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客(?)3:混沌(CHAOS)のボス達 |
イギリスにあるバー、イリュージョン。
KOF2002での激闘を終えたキングは、いつも通り
営業をこなしていた。
すると、外に出ていたエリザベスが、青ざめた顔をして
戻ってきた。
「ま、マスター。今日もいますよ、あの男の人が…」
「あの男、今日もいるのかい?」
「はい。鬼の形相をしたフルーツ屋です。店のまん前で
売るなんて、一体、どういう神経してるんでしょう?」
事の成り行きはこうだ。
数日前、エリザベスが店に出勤した時だった。
彼女は、店の前で『何か』を発見した。
鬼の形相でフルーツを売る空手家。
周りから漂う凄まじい気は、商売人のくせに、人を近づけ
させない。
とはいえ、このままでは営業妨害もいいところなので、
意を決して、エリザベスはその男に抗議しに言った。
「あの、すみません。ここは店の前なんですけど…」
男がこちらの方を向く。
依然として無愛想、鬼の形相は相変わらず。
エリザベスは「ヒィッ!」と驚いたが、ここは何とか
耐えた。
「もし、道端で商売なさるのでしたら、移動願いたいの
ですが…」
男は無言で、しばらくエリザベスを見ていた。
射抜くかのような気が、ずっと彼女を襲う。
だが、注意を受け入れたのか、男は店を畳んで、どこか
に移動した。
これで一件落着かに思われた。
だが、店が営業して数時間後、男はまた元の位置に舞い
戻っていた。
しかも、今度は先程よりもさらに凄まじい気を漂わせて
いる。
さすがにエリザベスも近づく事は叶わず、その日は何も
できずに終わった。
どうせ、さすらいの商売人。
明日にでもなれば、どこかにいなくなるだろうとタカを
くくっていたが、これが大間違い。
次の日も、男はイリュージョンの開店時間に合わせて、
バーの外を陣取っていた。
注意できる者はおらず、数日間、この状態が続いているの
だから、やられた方はたまったものではない。
「とにかく、このままじゃ店の売上にも影響しかねない。
エリザベス、悪いけど、カウンターお願いできるかしら?」
「マスター! どこに…」
「私から一言言ってやるよ」
「ちょっ!」
エリザベスの制止も振り切り、キングは店の外にいる
フルーツ屋に話し掛けた。 |
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「あんただね。ここ最近、うちの前で商売行ってるのは…」
男はキングの方に振り返ったが、無言のままでいた。
「はっきりいって、商売の邪魔なんだよ。さっさと別の所へ
移動してくれるかい?」
男は頑として動かない。
「そっちがその気なら、こっちは警察呼んででも解決するよ!」
その時、男は急に立ち上がった。
何かの気を感じたようだ。
キングも、その気を感じた。
フルーツ屋に負けず劣らず、凄まじい気だ。
「フッフッフ、豪鬼よ。待たせたのぅ」
気の感じる方から声がした。
闇から現れたその姿は、天狗の面を被った空手家だった。
キングはその男に見覚えがあるらしく、思わず叫んで
しまった。
「あんた! タク」
「NO! わしはMr.カラーテ! 空手の探究者なり!」
キングが言い終わらないうちに、天狗面の男は否定した。
「済まぬのぅ。この国に用があったので、お主との決着を早く
つけるべく、野試合の場所をここに選んだ。思ったより時間が
かかってしまったのは、申し訳なく思っているが…」
「フッ。我にとってそんな事はどうでも良い。求むるはただ、
主と死合うこの瞬間のみ!」
両者が構える。
それぞれの覇動がぶつかりあい、辺り一帯の地面が揺れる。
が、覇動を出しているのは男二人だけではなかった。
「あんた達、店のまん前で…」
キングがキッとこちらを睨む。
まさに鬼の形相、その様子はあの豪鬼顔負けであった。
「勝手に戦うんじゃないわよぉっ!!!」
キングが足から放った2発の波動、ダブルストライクが二人の
修羅に炸裂。
この瞬間、彼女が殺意の波動に目覚めたとか、そうでないとか…。 |
to be continued |
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