Dyneemaラインの特性
少し長いですが役に立ちますので最後までお読みください。
資料はメーカー等資料によります。(あくまでも参考資料としてご利用ください。)

高密度ポリエチレン(HDPE)ファイバーが材料名です。

一般的には特別に合成した超高分子(40万以上)の非常に長いポリエチレンを超展伸して糸にした超展伸ポリエチレンの事で東洋紡以外の会社でもライセンス製造されています。
現在一般的にDyneemaと言われているのはDyneema SK60のことです。
 軽量で非常に大きい引っ張り強度(350kgf/mm2)を持ち比重は0.97と軽量で耐薬品性・耐紫外線性等、において優れています。
熱等による寸法安定性・耐熱性(融点144℃〜155℃)を除いてパラグライダーには適したライン材料です。
Dyneemaの歴史
・1930年代にアイデアが提案された。
・1979年DSM社はDyneema糸とゲル紡糸過程を発明した。
・1986年東洋紡との協力で初めて工業化に日本で成功した。(工業化技術は東洋紡によるところが大きい。?)
・1990年からオランダでSK-60シリーズの商用生産を始めた。
・1996年からKS-70シリーズの生産を開始した。
・1996年〜KS-70シリーズの生産を急増している。(KS-70シリーズで世界展開を考えているのか?)
名称
北アメリカを除いて、Dyneemaとして知られておりヨーロッパではDSM社が製造し北アメリカでの名称はスペクトルでハウエル社がライセンス生産している。
本来のDyneemaは 商品名ですが世界的(北米を除く)にHDPEファイバーの代名詞がDyneemaとなっています。
DSM社はアメリカでもDyneemaにしたいようです。
*この特性は東洋紡ホームページDyneemaで見る事が出来ます。
  http://www.toyobo.co.jp/seihin/dn/dyneema/index.htm
製品としてはDyneemaSK60とDyneemaSK71が供給されています。
最近、ザイロンに比べ力を入れていませんが、更なる高強度の可能性を示していますので研究は進んでいるのではないでしょうか?
*DMS社での特性はDMS社ホームページで見ることが出来ます。
  http://www3.dsm.com/hpf/products/~en/
DyneemaSK60、DyneemaSK65、DyneemaSK75、DyneemaSK76が供給されていますが東洋紡製品と大差ないようです。
Dyneema SK70シリーズと言う強力なDyneemaが有ります。北アメリカではスペクトル2000と言われています。
最近ではDSM社の急激な増産で一般的に使用されています。
他に長時間大きいテンションが掛かると伸びるという特性がある様ですがパラグライダーの場合衝撃荷重を考慮して極めて大きい安全率が採られているためにライン強度の割には小さい飛行時のテンションしか加わっていない為に伸びよりも収縮が問題となるようです。
例えば1.1mm−80kg-テストラインは安全率が50%ほどあり材料強度は120kgF以上あり通常飛行時に掛かるテンションは最大で4kgf行かない事が大半で酷いものでは1kgf以下が可也有ります。
Dyneemaラインは下の写真のように非常に細い超高分子ポリエチレン繊維の集合体である。
×200   簡易コンピューターマイクロスコープ画像

Dyneemaエレメントライン。接着剤(パラフィンワックス?)で1cm弱ずつ横広に押さえて束ね間の側面を数ミリ間隔で接着して纏めています。
20daN位の下の写真のような小さいラインとして例えば4本纏めて80daNテストラインとしてポリエステル被服で包んで我々が使用するパララインとなるようです。
エレメントを纏めて必要なラインを作る為に作業性が向上したようです。X60

接着部拡大。x200
ワックスで押さえつけられたように接着されているのがわかります。

単繊維を束ねたエレメントをパラレルに纏めた物と編んだ物があり写真は編んだ物です。 X60

太い編みラインの写真です。 X10

[個人的独断的見解]・・・図解解説
Dyneemaラインの伸び率の温度特性はプラスチックでは例外的に僅かに収縮しますが、問題となる程ではないようです。
Dyneemaをラインにする時に単繊維の断面形状のためかp-アラミドのように直線的的ではなく蛇行したラインとなり伸び率の大きいラインと成るために上の顕微鏡写真のように1cmごとに上面をワックスで抑えてさらに側面を数ミリごとにワックスで固定してラインの収縮を抑えて寸法安定性を維持しているようで、熱又は有機溶媒でワックスが緩むと収縮するものと考えられます。p-アラミドのコンペラインと同じで方法は違いますが、収縮するラインをワックスで固めて収縮を押さえてラインの寸法安定を維持しておりワックスが緩むと収縮してライン収縮と言う問題を引き起こすと考えられます。ローディングしても一時的なもので、テンションを掛けて加熱してワックスを軟化して冷却後にテンションを緩めるなどしないと、回復は困難ではないかと推定されます。しかし完全に回復する保障はありません。
ワックス温度特性の改善により多少改善される可能性はあると思いますが、素材メーカーのDSM,東洋紡の問題ではなくライン製造メーカーのラインエレメント作成時の使用ワックス選定に温度変性解決の道はあるように考えます。温度50℃以上でのライン収縮はワックスで伸ばしてあったラインがワックスが軟化したためと考えられます。軟化温度の高い粘りのあるワックス等で解決できるかも知れません。
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実験室の「化学物質」のページでdyneemaラインのTCT-CG-MS法でワックス(S1) (S2)が検出されているが、これがライン固定用のワックスと考えられ成分構成など検討の余地が有るのではと考えます。ラインメーカーは場合によるとワックスの成分分析などしたこともないかもしれません。(TCT-CGーMSの加熱温度が低くめの為に高沸点パラフィンがTICに出ていない可能性があります。)
Target42-lineの成分
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Vertex-lineの成分
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材質のDyneemaよりもラインをエレメント化(纏める)する時のワックスに注目!!