JR205系電車のデータ
JR205系は、国鉄時代末期の1985年に山手線用として初めて製造されました。205系がデビューする前までは、国電車両としては201系や203系が最も新しい車両でした。これらの車両は「省エネ電車」として従来の103系電車より少ない電力で走ることからデビュー当時は画期的な車両でした。制御装置は電機子チョッパ制御で今までの抵抗制御に代わる装置でした。201系は1979年に、試作車の900番台として中央快速線に試験投入されました。MT比率は当時は8M2Tでしたが1981年にデビューした量産車が6M4Tとなりました。この時、試作車も6M4Tに変更しました。201系電車は、まず始めに量産車が中央快速線に投入されました。その後東海道・山陽緩行線や中央・総武緩行線にも投入されていきますが、途中から国鉄の財政難で台車等の部品コスト削減して製造しましたが結局、1985年に中央快速線用で製造が打ち切られました。203系電車は、常磐緩行線と乗り入れ先の営団地下鉄千代田線に乗り入れしていた103系を置き換えるため、地下乗り入れのため前面を貫通型としてアルミ車体として1982年に10両が完成し、1984年に増備が行われ、1985年から製造された車両はボルスタレス台車となり1986年で置き換えが完了した。203系の足回りは基本的には201系と同じです。
山手線の103系を置き換えるため201系を投入したかった国鉄だが財政難のため、投入できなかった。そこで、コストを削減しながら高性能電車をデビューさせることになった。これが205系である。205系は201系でコストが掛かっていた電機子チョッパ制御から、コストを削減するために当時、新型の近郊型電車を開発する時に研究・開発された「界磁添加励磁制御」を採用した。界磁添加励磁制御はその後211系や213系等にも採用された。界磁添加励磁制御は、界磁制御と抵抗制御をブレンドしたもので、103系等の抵抗制御車で使われている直巻電動機(直流モーター)の界磁制御部分に電動発電機(MG)からの電流で界磁電流の増減を行い弱め制御やブレーキ時に余った電力を架線に戻す回生ブレーキ制御を行う。この結果、主回路が電機子チョッパ制御と比べて容易となり、国鉄初の回生ブレーキの採用となったため、国鉄最後の高性能電車となった。国鉄初の採用となったのはこれだけではなく、ブレーキハンドルの段数位置を電機信号で送る「電機指令式ブレーキ」や台車 の軽量化を行った「ボルスタレス台車」などの採用された。205系は、6M4Tでまず山手線に投入され、その後、東海道・山陽緩行線にも投入された。国鉄時代には山手線には10両34編成が投入され、東海道・山陽緩行線には7両(4M3T)4編成の計368両が製造された。
国鉄が1987年4月1日にJRになっても205系の増備が続き国鉄時代に製造された0番台も含んで(サハ204も含む)なんと1461両が製造された。これだけ投入される理由は、205系電車の高性能に魅力があったからであろう。JR化後はJR東日本とJR西日本のみが首都圏で活躍している103系を置き換えるために205系の製造を進めて、JR東日本が投入した205系は、山手線、横浜線、京浜東北線(現在は全車転属)、埼京線、中央・総武緩行線(現在は全車転属し、一部に先頭車化改造やIGBT・VVVFインバータ制御に改造された車両も登場した)南武線、京葉線、武蔵野線に投入された。山手線と横浜線には混雑緩和策として6扉車のサハ204をそれぞれ編成に1両増結した。(横浜線用は100番台)さらに1991年には相模線の電化開業に合せて、マイナーチェンジを行った500番台を4両13編成を投入した。JR西日本は阪和線にマイナーチェンジした1000番台を4両5編成を増備した。205系は合計して1533両の大所帯となった。しかしJR東日本の205系にはE231系投入および103系大量置き換えのため大変革が到来してきており、205系が先頭車化改造されたり南武支線に配属される2M方式の205系や(中央・総武緩行線で活躍してきた2編成のMM’ユニットの各1ユニットを改造クモハ205とクモハ204となる)MT比率を1:1にするため武蔵野線に転属される車両はVVVFインバータ制御に改造された車両も登場してきている。最終的には、山手線にE231系500番台が投入されると山手線の205系は武蔵野線、京葉線、南武線、川越・八高線、仙石線、房総各線(千葉より東)に転属されることになる。そのためサハ205の先頭車化改造やモハ205・204の主制御器が界磁添加励磁制御からIGBT・VVVFインバータ制御に改造される。一部車両については補助電源装置をMGからSIV(静止型インバータ)に変更となる車両も出てくる。ちなみにVVVFインバータ制御 は交流モーターで動くため、205系には直流モーターで動く車両と交流モーターで動く車両の2種類となり、電車の動く仕組みを大きく異なる。共通点は、車体と電機指令式ブレーキと回生ブレーキ、台車等である。なお、VVVFインバータ制御に改造される車両(武蔵野線用)のMGに関しては予算上からSIVに取り替える車両とそのままMGを使う車両に分かれる模様です。(車両転属に関する事は今後の205系についてを参照していただきたい)
205系に関するデータは次の通りです。
車両形式:クハ205(Tc)・204(Tc’)、モハ205(M)・204(M’)、サハ205(T)、サハ204(T’)(6扉車)
定員:クハ205・204・・・136人、モハ205・204・・・144人、サハ205・・・144人、サハ204・・・157人
車体寸法:20メートル級車両、車体幅:2870ミリ(サハ204は2800ミリ)
主電動装置:界磁添加励磁制御
主電動機:MT61×4台(1000番台はWMT61A×4台)
出力:120KW 総出力数:480KW
主回路方式:1C4M2群(ユニット方式)
最高速度:100Km/h(1000番台は120Km/h)
ブレーキ方式:回生ブレーキ併用電機指令式空気ブレーキ、直通予備ブレーキ
補助電源装置:電動発電機(MG)(1000番台はSIV)
動力車の台車:DT50(JR化後に製造された車両はDT50D。1000番台はWDT50G)
付随車の台車:TR235(JR化後に製造された車両はTR235D。1000番台はWTR235G)