銚子電気鉄道
〜頑張れ!銚子電鉄!〜
<はじめに>
銚子電気鉄道(以下銚子電鉄)は銚子−外川(とがわ)間の6.4Kmの短いローカル私鉄です。銚子電鉄は2006年11月に、ホームページ上で「電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください!!電車代を稼がなくちゃ、いけないんです。」との異例の緊急告知文を公開した事で全国的に有名になったと思います。銚子電鉄は赤字の鉄道事業を補填するために、ぬれ煎餅の販売も行っており、ぬれ煎餅を含む副業収入が鉄道収入を上回っています。副業はぬれ煎餅の他に、鉄道グッズ販売、ヤマト運輸の宅配受付業務などがあります。
銚子電鉄線は日中時間帯、1時間に2本の割合で運転されており、1両で運転されています。
銚子駅で出発を待つ銚子電鉄1000形。後ろには211系の姿。
車庫がある仲ノ町で顔を合わせる1000形と800形。
仲ノ町駅は小さな駅舎でありながらも本社・車両基地がある。ぬれ煎餅の販売も行っている。
<歴史>
1923年に銚子鉄道として銚子−外川間が開通し、開業当時は単線非電化でした。1925年に電化され電車が走るようになりました。しかし、第二次世界大戦で1945年、銚子大空襲で車庫や変電所は被災し、一時運行不能となりました。1948年に銚子鉄道は企業再生整備法により、銚子電気鉄道として再発足し銚子鉄道から車両・施設を引き継ぎました。銚子電鉄は直流600Vで、笠上黒生(かさがみくろはえ)に変電所が設置されています。また、電車の交換も同駅で行われています。
しかしながら、モータリゼーションが進んだことにより利用客が年々減少傾向で、一時は廃止も検討されました。1984年には銚子−仲ノ町間のヤマサ醤油関連の貨物輸送が廃止され、旅客輸送のみとなりました。1985年にはNHKの朝の連続ドラマ小説「澪つくし」のロケで銚子電鉄も撮影され、同年に登場したトロッコ客車は「澪つくし号」として愛称が付けられました。1994年からはワンマン運転が実施されるようになり、1995年より犬吠駅構内にて、ぬれ煎餅の販売を開始し、美味しい事もあって全国的に有名になり、現在では東京駅の地下街でも販売されるようになりました。
しかし、1996年に国から補助されてきた欠損補助金が打ち切られ、銚子市が補助金を出す形で支援が行われてきましたが2004年に銚子電鉄の内野元社長が会社名義で銀行から1億円近くの借金をし、個人の借金返済に充てた事が発覚し、横領容疑で逮捕され、銀行からの融資と銚子市からの支援がストップし、厳しい状況になっています。
外川駅で1000形と並ぶユ100形「澪つくし号」。
<沿線の見所>
外川駅舎
終着駅の外川駅は、木造駅舎となっていて、開業時からあまり変わっていない特徴ある駅舎となっています。
今や貴重な木造駅舎である外川駅。レトロな駅舎はローカル線に似合う!
犬吠埼 交通案内:銚子電鉄線犬吠駅下車徒歩約10分
毎年、初日の出の時は大勢の人でにぎわう犬吠埼ですが、犬吠駅から約10分ほどのところにあります。銚子は関東で最も東に位置しています。
犬吠埼近くから望む太平洋。
犬吠駅舎
第一回関東の駅100選にも選ばれた犬吠駅ですが、駅舎がヨーロピアン調になっている特徴があります。
犬吠駅舎。
笠上黒生の電車交換
銚子電鉄線で列車交換が出来るのは笠上黒生のみであり、同駅ではタブレット交換が行われます。タブレット交換が行いやすいよう、停止位置が定められています。
笠上黒生駅でのタブレット交換シーン。線路内に立っている係員(駅員)がタブレットの受け渡しを行う。
<車両>
銚子電鉄にはデハ1000形2両、デハ800形1両、デハ700形2両、デハ300形1両、デキ3型1両、ユ100形1両の計8両が在籍しています。いずれも非冷房車となっています。
デハ1000形(デハ1001、デハ1002)
デハ1000形は1994年に、営団地下鉄銀座線で走っていた2000形車両を両運転台改造し、台車やパンタグラフは廃車発生品を用いており、取り付け改造工事などが施され、2両が入線しました。銚子電鉄初のカルダン駆動車となっています。現在は銚子電鉄の主力車となっています。
1000形デハ1001。同車は2006年12月17日現在、検査切れにより休車となっている。
デハ800形(デハ801)
1986年に伊予鉄道のモハ104を譲り受け、1両のみが入線しました。同車は1950年に製造され、銚子方と外川方で前面の形状が異なっているのが特徴です。
デハ800形。こちらは銚子方。
デハ800形。こちらは外川方で貫通扉があるが使用されていない模様。
デハ700形(デハ701、デハ702)
1978年に近江鉄道デハ51を譲り受け、両運転台化改造を施し2両が入線しました。
現在、デハ702は休車状態となっています。
デハ700形デハ702。同車は現在、休車中である。
デハ300形(デハ301)
1950年に鶴見臨港鉄道で活躍していたモハ101形を譲り受け、1両が入線しました。同車は1930年に新潟鉄工所(現在の新潟トランシス)にて製造されました。デハ300形は総括運転が出来ない事もあり、現在は休車となっています。
300形デハ301。現在は休車中。
デキ3形(デキ3)
1922年にドイツで製造された小型電気機関車で1941年に改造の上、銚子電鉄に入線しました。デキ3は銚子−仲ノ町間のヤマサ醤油関連の貨物列車として活躍しましたが、貨物輸送が廃止され現在は仲ノ町車庫で休んでいます。小さい事から鉄道ファンに人気があります。
小さい電気機関車デキ3とデハ702.デキ3が小さい事がわかる。
ユ100形(ユ101)
1985年に国鉄ワム80000をトロッコ客車改造し、入線しました。「澪つくし」号として4月から10月の休日に定期列車の後ろに連結されて運転されます。
仲ノ町車庫で留置中のユ101「澪つくし号」。
<終わりに>
ホームページ上に緊急告知文を掲載した銚子電鉄ですが、ぬれ煎餅の注文は全国から殺到し、デハ701を検査に通す事が出来ました。車両・施設の老朽化は著しく、冷房車の車両導入や枕木の交換が必要かと思いますが、元社長の横領で融資がストップされている状態です。そんな中で、2006年11月25日に国土交通省関東運輸局から業務改善命令が命じられ、業務改善が認められない場合、営業停止処分となってしまいます。厳しい状況ですが営業停止処分にならないよう、業務改善される事を願いたいところです。頑張れ!銚子電鉄!
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