K-NET / KiK-net 波形解析　WAVEANA ソフトウェア マニュアル 2016/07/28

概要

• 防災科学技術研究所の強震観測網K-NETおよびKiK-netの地震観測波形を表示し，地震応答スペクトラムを表示します．
• また，水平二成分の波形を合成して任意方向の成分波形を求めることもできます．
  まず，K-NETおよびKiK-netの観測波形データを入手してください．
  K-NETおよびKiK-netの観測波形データは
• 　　　防災科学技術研究所　強震観測網（K-NET/KiK-net）
  から入手することができます．（ただし、利用者登録が必要です）
• サンプルデータとして，DATAフォルダに，鳥取県西部地震(2000/10/06)の日野町の記録，芸予地震(2001/03/24)の三原市におけるK-NETおよびKiK-netの３成分加速度記録データを用意しています．
  
• 広島市消防局は，広島市地震情報ネットワークのページで広島市内の８観測地点の地震観測データを公開しています．ダウンロードした地震データを取り扱えるようにしました．入手できるファイルは，１個の地震に対して観測された複数地点の３成分加速度データを１ファイルにまとめた特殊なフォーマットをしていますが，添付のソフトhenkan.exeを用いて，個々の成分ごとのデータファイルに変換し，WAVEANAで読み込んで，K-NET / KiK-net のデータと同様の処理ができます．　「ファイル」ボタンでファイル形式を「広島市消防局ファイル」に選んで，ファイル読み込みを行ってください．

Ver4.21の変更点

• 加速度・速度・変位波形のCSVファイル出力時の小数点以下桁数を３桁に変更しました。

Ver4.1の変更点

• 地震応答スペクトラムから，同じ固有周期に対する減衰比５％の１質点系最大加速度応答Saと最大変位応答Sdの関係を
  Sa-Sdスペクトラムとして表示できるようにしました．
• K-NET/KiKI-net観測点データを最新のものに更新しました．

Ver4の変更点

• 地震応答スペクトラムから，同じ固有周期に対する減衰比５％の１質点系最大加速度応答Saと最大変位応答Sdの関係を
  Sa-Sdスペクトラムとして表示できるようにしました．
• K-NET/KiKI-net観測点データを最新のものに更新しました．

Ver3.1の変更点

• 中央防災会議の想定東南海地震波データを表示できるようにしました．
• 　「ファイル」ボタンでファイル形式を「中央防災会議ファイル」に選んで，ファイル読み込みを行ってください．
• サンプルデータとして，DATAフォルダの中に52384968.ns (.ew, .ud)が用意されています．

注意事項

• 　DATAフォルダ内のsitename.csvは，観測点コードから所在地情報を取り出すためのデータベースです．DATAフォルダとsitename.csvは削除しないでください．
• 
  　３成分のデータファイル名は必ず同一とし，また，拡張子は成分に応じてK-NETの場合はNS,EW,UDとしてください．また，KiK-netの場合は，NS1,EW1,UD1またはNS2,EW2,UD2としてください．
  　これは，ダウンロードしたときのファイル名をそのままで使用できるということですが，ダウンロードしたファイル名は観測点記号，地震発生日，時分を表していますから非常に長い名前になっています．これを，分かりやすい名前に変更するときにも，拡張子は変えないでください．
• 　ダウンロードしたファイルを解凍されますと，「．tar」がついたフォルダにデータが展開されます．このフォルダ名の「．tar」はファイルの拡張子として認識されますので正常にファイルを開くことができません．フォルダ名から「．tar」を取っておいてください．Ver2.01ではこういったフォルダ名のチェック機能を組み込みました．
  

使い方

• (1)ファイルデータの読込
  　「ファイル」ボタンをクリックして，ダイアログでファイルを指定してください．NS成分のファイルを指定すれば，EWおよびUD成分のデータファイルも読み込みます．
• 　単一成分のときは「３成分読込」のチェックをはずし，ダイアログのファイルの種類で成分NS,EW,UDを指定してください．それ以外の拡張子は「すべて(*.*)」を指定して，選択してください．
• 　データが保存されているフォルダ名には「．tar」のようなピリオドを含む文字を付けないでください．
  
  (2)波形表示
  ファイルを選択すれば，自動的に３成分加速度波形を表示します．
  「波形」の選択で，3成分の加速度，速度，変位波形を表示します．
  「波形」のチェックをはずせば，「成分」で選択した成分の加速度，速度，変位波形を表示します．
  「自動」のチェックをはずせば，表示開始位置，縦軸スケールを自由に設定することができます．
  波形が表示されている部分の加速度波形を積分して，速度および変位波形を表示します．
  速度および変位波形は，5秒以上の長周期成分を除去しています．また，表示範囲内で直流（DC）成分を除去しています．
  直流（DC）成分を除去のOn/Offを変更した時は，ファイルデータの再読込が必要です．
  「３成分読み込み」のチェックをはずせば，単一成分波形を読み込むことができます．
• 
  (3)地震応答スペクトラム
  「応答スペクトラム」をクリックすれば，地震応答スペクトラムを表示します．
  応答スペクトルの計算は，波形表示されている範囲の地震加速度波形について行います．従って，表示開始点や時間軸目盛りを変更すると同じ結果は得られません．同一の結果を得るためには，時間軸目盛りを一定にし，また，開始点を自動に設定してください．
  応答スペクトルは，周期0.05秒〜10秒の範囲を対数軸上で100分割した周期において計算しています．
  応答スペクトラムの横軸は，周期または振動数に切り替えることができます．
• 横軸を線形目盛り周期を選択すれば，最長表示周期は2秒ですが，メニューバーから「表示単位」-「線形目盛り最長周期」をクリックして5秒または10秒を選択することもできます．
  「拡大図」をチェックすれば，個々のスペクトラムを順に拡大して表示します．
• 減衰比は0%〜10%を標準にしていますが，メニューバーから「表示単位」-「減衰比倍率」をクリックして，0%〜25%または0%〜100%を設定することもできます．
  
  (4)地震応答スペクトラムの重ね合わせ
  拡大図として表示された応答スペクトラムを重ね合わせることができます．
  「新規作図」で，現在の拡大図の形式（縦横軸の目盛り）でスペクトラムが作成されます．
  「重ね合わせ」で拡大図のスペクトラムが追加されます．重ね合わされる応答スペクトルが同一の次元を持つか(SA,SV,SDであるか）どうかのチェックは行っておりません．
  
  (5)Sa-Sdスペクトラム
  　「Sa-Sd」ボタンをクリックして，h=0.05の減衰比を持つ１質点系の固有周期Tまたは固有振動数fに対する加速度応答スペクトラムSaと変位応答スペクトラムSdの関係をSa-Sd
  スペクトラムとして表示することができます．
  短周期領域では，Sdは周期の増加に対して大きくなる性質がありますが長周期領域では減少することもあり，必ずしも周期に対して単調増加ではありませんので，SaとSdが対応するよ
  うに調整して表示しております．「変位調整」のチェックをはずすと，周期の増加に対する真のSa-Sd関係を表示します．
  Sa-Sd曲線は弾性領域における１質点系の最大応答加速度と最大応答変位の関係を示すものと考えることができます．
  　
  (6)観測地点リスト
  「観測点リスト」をクリックすれば，K-NETおよびKiK-netの観測地点の名称および所在地を地点コードのアルファベット順に一覧表示します．
  テキストボックスに地点コード（完全でなくても先頭文字を何文字か入れればよい，大小文字いずれでもよい）を入れ，検索ボタンをクリックすれば，該当する観測点リスト位置が表示されます．
• 現在、観測点所在地は公表されておりませんので、市町村合併に伴う変更に従って旧リストを修正しています。正確を期していますが、もし、誤りがあった場合は、「編集・コピー」にチェックを入れれば編集が可能になります。編集後、「保存」ボタンを押して観測地点リストを保存します。
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  (7)波形合成
  水平二成分の合成波形を求めることができます．
  まず，３成分波形を読み込みます．（上下動データは使用しませんが読み込まなければなりません）
  「合成波形」ボタンをクリックして，「水平成分波形の合成」ウインドウを開きます．
  合成する方位角を指定します．北を0度，東を90度として0〜360度の範囲で指定します．
  「出力ファイル」ボタンをクリックして，出力ファイル名を設定します．ファイル名拡張子には方位角を設定するようにしていますが，任意の拡張子を付けることもできます．
  出力ファイルの形式は，K-NET/KiK-netのファイル形式と完全に同一ですから，一成分のみの読み込みでデータを読み込み，応答スペクトラムを求めることができます．
• （8）ダウンロードページにリンク
• 起動画面のK-NETまたはKiK-netの文字をクリックして当該の地震波形データのダウンロードページにリンクすることができます．
  ただし，地震波形データをダウンロードするには，前もって，防災科学技術研究所に登録してユーザーアカウントを得ていなければなりません．
  
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更新履歴

• V1.0 2002/01/17
  V1.1 2002/07/26
  　　　　波形表示の時間軸目盛り250秒としたとき，データ数不足によって前段処理が正常に行われない不具合を修正しました．
  　　　　処理可能な波形データ個数をチャンネルあたり３万個まで拡張しました．
  V1.2 2002/08/20
  　　　　チャンネル当たり読込可能データ点数を50,000まで拡大しました．
  　　　　DC成分の除去On/Offのルーチンを整理しました．
• V1.3 2003/06/12
• 　　　　チャンネル当たり読込可能データ点数を70,000まで拡大しました．
• 　　　　3成分読み込み時にファイルが揃っているかどうかチェックするようにしました．
• V2.0 2003/06/13
  　　　　チャンネル当たり読込可能データ点数を100,000まで
  　　　　拡大しました．500秒までの波形データを扱えます．
  　　　　波形表示開始点を表示範囲の1/2の時間ごとに前後
  　　　　にステップ移動できるようにしました
  V2.01 2003/07/26
• 　　　　データファイルが保存されているフォルダ名が適切かどうかのチェックルーチンを組み込みました
• V2.02 2003/09/27
• 　　　　波形を表示したとき，表示時間幅を10秒，100秒としたとき，細分目盛りを4個にして時間を読みやすくしました
  V2.10 2003/11/01
• 　　　　水平２成分の合成波形を求めるようにしました
• 　　　　減衰比を100%まで設定できるようにしました
• 　　　　応答スペクトラムの周期軸を線形目盛りとしたとき，10秒まで表示できるようにしました
• V2.20 2004/11/04
• 　　　　波形をCSVファイルで保存するとき、速度および変位が正しく保存されなかったのを修正しました
• 　　　　観測データファイルと同一の内容を持ち，ファイル名がサイト名で表される新規ファイルを作成する機能を設けました．
• V2.3 2007/03/20
  　　　　波形や応答スペクトラムの保存ファイル名規定値として現波形ファイル名（観測点コード，観測日，観測時間）で表すようにしました
  　　　　K-NET/KiK-netのデータダウンロードページにリンクできるようにしました
  　　　　応答スペクトラムの線サイズを自由に選択できるようにしました
• V2.31 2007/06/25
• 　　　　波形データの読込を実際のデータ個数に対応するように修正しました
• V3.0 2007/010/07
• 　　　　広島市情報ネットワークシステムで公開している観測地震データを処理できるようにしました．
• V3.0 2009/03/03
• 　　　　中央防災会議の想定東南海地震波データを処理できるようにしました．
• 
  V3.1 2009/03/03
  　　　　中央防災会議のデータを表示できるようにしました．
  　　　　データ書式は　　　　１行目に　NDATA= と　dT= の文字があること　　　　2行目以降のデータは　Fortranの書式で　8F10　　　　のテキストファイルを扱います．
  　　　　３成分波形のファイル名は同一で，拡張子は　　　　NS,EW,UDでなければなりません．
  
• V4.0 2009/08/11
  　　　　画像保存形式をPNGファイルへ変更しました．
  　　　　K-NET/KiK-netの計測点データを更新しました．
  
• 　　　　2009/08/21
  　　　　Sa-Sdスペクトラムを描くようにしました．
• V4.1 2015/02/06
• 　　　　観測点リストの観測地名を市町村合併後の正しい地名に更新しました。
• 　　　　観測点リストの修正ができるようするとともに、観測点リストの地名をクリップボードにコピーできるようにしました。 　
• V4.2 2016.07.28
• 　　　　加速度・速度・変位波形のCSVファイル出力時の小数点以下桁数を３桁に変更しました。

ソフトウェアが動作しない場合

• 解凍された実行ファイルwaveana31.exeと同じフォルダー内にサブフォルダDATAが作成されており，その中にsitename.csvが解凍されていますか．もし，そうでなければ，初期データ読み込み時に停止します．
• サブフォルダDATAが作成されていなければ，’フォルダごと解凍する’モードで，再度，解凍してください．

レジストリ

• 使用していません。

アンインストール

• フォルダごと削除してください。

謝辞

• このソフトウェアマニュアルのスタイルは鳳城白兎さんのマニュアルスタイルを拝借したものです．あまりにすばらしかったので，無断で利用させていただきましたが，ここで，お礼を申し上げます．