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インザストリームは慶良間諸島・座間味島にあるダイビングサービスです。

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海話TALES OF SEA

タマちゃんと植村直己とテイラーズ

タマちゃん・・・関東近海に現れたアイドル、アゴヒゲアザラシ。2004年4月以降消息不明

植村直己・・・登山家、冒険家。1984年マッキンリー厳冬期単独登頂後行方不明

テーラーズガーデンイール・・・学名Heteroconger taylori.主に東南アジアに分布すると思われるガーデンイールの1種。2004年初めて1匹のみ見つけるが9月の台風以降消息不明。



日本中のアイドルと世界の冒険家とアナゴ1匹の3種の生物に共通するもの。自ら求めようと運命に流されようと彼らに訪れた『分散』

生き物は絶えず自らの生息域を広げようと今の生息域を越えて未知の地への分散を試みる。それが個体の意志には叛く運命の悪戯であろうと強い信念に裏付けられた冒険であろうと・・・。本能として、または結果として分散するのである。

コロンブスのように新大陸を見つけ分散が成功するものは稀で、ほとんどの場合過酷な試練の果ての悲惨な結果に終わります。しかしどのような結果に終わろうと分散は続くのです。たとえマッキンリーに散ろうと・・・。

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人は、分散を冒険と呼ぶ、地球上へ余すところなく生息域を広げたいまでも宇宙へ深海へ未踏峰の山へ・・・自らの意志で行う冒険という名で呼び未だ分散を続ける。

そこに自らの意思など微塵もなくても・・・。
たまたま海流の具合で卵や幼魚が流れてきただけにせよ・・・。
ただ孤独に大洋を流れ未知の世界へたどり着く。
そんな魚たちのたどった人生の奇跡と軌跡を思うとこれを冒険と呼ばすしてなんと呼べばいいのだろう?

テイラーズ・ハナダイギンポ・マツカサウオ・コガネヤッコ・ミギマキ・ユウゼン・・・座間味でも数々の魚がその分散により現れ又消えていく。

魚たちの場合、彼らにとっての分散の多くは個体への死を意味する。生息可能な場所にたどり着けた者も、繁殖不可能な、生物としての存在意義の無いところへたどり着き一生を終えるのであろう。境のない海で何百・何千年も分散を繰り返し続けた彼らには今更、新たな約束の地など、ありえないのだから・・・。

住めぬ場所へあくなき冒険を続ける彼らは、いずれ待つ終焉へ進まざるを得ない孤独な冒険者なのだろうか??あの植村直己のような・・・

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タマちゃんが岸辺の人ごみの向こうに見ていたのはいったい何なのだろうか??

テイラーズは、一人ぼっちの砂地で何を思っていたのだろうか?


彼らは、分散の苛烈な確率をようやく生き残り、故郷から遥か遠くに流され、人生の中で同種に一度も会うこともなく生物としての使命を果たすこともできず孤独に生きているのです。そして、人知れず異郷の地で散るのです。

今度彼らを見る時にその彼らの人生に思いをはせてみてください。
彼らが体験した冒険に思いをはせてみてください。
自然が彼らに与えた過酷な運命に、そして果たせぬ使命に・・・。


いつもより少し悲しく、少しかっこよく見えるかもしれません。

あのハナダイギンポの笑う目の奥に何か見えるかもしれません。
彼の思いが・・・。


P.S. ハナダイギンポ、何年居たんでしょうか?15年?もっと?2008年ついに居なくなりました。何か淋しいです。