自閉症解明

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謎の多かった自閉症が解明しました。自閉症の原因が解り、自閉症の予防法が解りました。そして、自閉症が理解できるようになり、これまで見逃されていた効果的な支援法が見つかりました。

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2018年12月発売
『自閉症解明』
アマゾン電子書籍
前著の改訂版です。

2018年4月発売
『自閉症と刷り込み』
花伝社より出版

2001年12月発売
『精神構造論仮説と育児論』
自閉症には触れていませんが、自閉症の原因が解った基礎になっています。


学会発表

2010年
自閉症スペクトラム学会

同一性のこだわりの治療

2009年
自閉症スペクトラム学会

自閉症の原因

2009年
発達心理学会

自閉症の原因

2008年
発達心理学会

自閉症の原因

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発達心理学会

自閉症の原因

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1.自閉症の原因

自閉症は生まれつきの障害で遺伝子が原因だと考えられています。それで、世界中で多くの研究機関が自閉症遺伝子の研究をしています。しかし、自閉症の遺伝子といった単独の遺伝子は見つかりませんでした。現在は、1000個以上の遺伝子が関与している多遺伝子障害だと考えられています。

自閉症に関連している遺伝子が1000個以上あるので、研究機関によって研究している遺伝子が異なります。そして、それぞれの研究機関が「自閉症遺伝子発見」といったプレスリリースを出しています。

このようなプレスリリースを読んだことがある方は、自閉症の遺伝子研究が進んでいると思うはずです。しかし単純に考えても、このような発表が1000個以上出て来ることになります。

自閉症遺伝子が1000個以上も発見されたら、自閉症の遺伝子研究が進んでいるとは言えなくなります。自閉症の遺伝子研究は混迷しています。


2.遺伝子説

自閉症の原因が遺伝子であれば、今も昔も発症率はほとんど変わらないはずです。

近江学園は第二次世界大戦後まもなくの1946年に、戦災孤児60名と知的障害児50名の定員で糸賀一雄によって創設されました。その近江学園にはじめて自閉症の子どもが来たのは1955年だそうです。したがって、それまでの10年間、近江学園にいた知的障害児の中に自閉症の子どもは1人もいなかったことになります。

故日本自閉症協会会長の石井哲夫は、1950年に大学を卒業して児童相談室に勤めました。そのとき、15名ほどの知的障害児の教育に携わったそうですが、その中に自閉症の子どもは1人もいなかったそうです。自閉症の子どもは、その後ぼちぼち来るようになったそうです。(石井哲夫著、『自閉症児がふえている』)

現在、特別支援学校小学部では30〜50%が自閉症です。
1950年ごろ、知的障害児のなかに自閉症の子どもはほとんどいなかったということは、自閉症の原因は遺伝子ではないということを示しています。


3.自閉症の動物モデル

動物行動学者のローレンツから引用します。

ハイイロガンのヒナを隔離飼育することによって、すべての刷り込み過程を可能なかぎり妨げると、臆病で、一緒に行動をしようとはしないハイイロガンになる。そのような障害をもった二羽のハイイロガンを飼育用の囲い地に一緒にしておくと、しばしば向かい合った二つの隅にできるだけお互いに遠く離れて座るようになる。同種の仲間に対する彼らの反応は奇妙にメチャクチャである。この障害の現われ方は、人間において「自閉児」と記載されているものに似ている。(『ハイイロガンの動物行動学』)

ハイイロガンのヒナを隔離飼育して刷り込みを妨げたときに現われた障害は、自閉症児と似ていました。


4.赤ちゃんの刷り込み

1.母親への選好

赤ちゃんは生後数時間で、母親の匂いと他の女性の匂いを識別し、母親の匂いがする方を向きます。

赤ちゃんは生後2日目には、母親の顔を他の女性の顔よりも長く見ます。

赤ちゃんは生後2日目には、ベッドの両側から母親と他の女性が名前を呼ぶと母親の声がする方を向きます。

新生児が母親の匂いや顔や声を選好するということは、もしも歩ければ、母親の後を追うということを示しています。そして、赤ちゃんが母親を刷り込んでいることを示しています。


2.新生児分離不安

日本でただ1人自宅出産をおこなっていた産婦人科医の大野明子から引用します。

(出産直後から母親に抱かれていた赤ちゃんは)体重を測り、洋服を着せるだけの間の、ごくわずかな時間、お母さんからほんの少し、30センチほど離れただけなのに、さっきまで静かだった赤ちゃんが泣いたりします。お母さんにもう一度抱っこされると、すぐ泣きやみます。生まれたときから赤ちゃんは、お母さんがこんなに好きです。(『分娩台よ、さようなら』、261ページ)

出産直後から母親に抱かれていた赤ちゃんは母親から離されると泣きます。
これは、もしも赤ちゃんが歩ければ、母親の後を追うということを示しています。
そして、母親を刷り込んでいることを示しています。

3.新生児人見知り

小児科医の小西行郎は、マスクをつけた看護師に育てられたNICUの未熟児が面会に来た母親の顔を見て泣いたという現象を報告しています。そこで、お母さんにマスクをつけてもらうと泣かなくなったそうです。

これは、未熟児がマスクをつけた看護師を刷り込んでいることを示しています。マスクをつけた看護師を刷り込んだ赤ちゃんが、マスクをつけていない母親を拒否するという現象を「新生児人見知り」と名付けました。

「新生児人見知り」も、赤ちゃんが刷り込みをおこなっていることを示しています。新生児は母親を匂いでも顔でも声でも特定していて選好を示します。また、母子分離された時に泣いています。いずれも、新生児がお母さんを母親(頼るべき対象)として特定していることを示しています。


5.自閉症と刷り込み

自閉症は脳の機能障害です。
それで、生まれつきの障害で遺伝子が原因だと考えられています。

鳥類の場合、母親や自分が属する種や共に過ごす仲間の図式が生得的に脳に組み込まれているのは一部の原始的な種に限られます。
ほとんどの種は、親の図式や自分が属する種や共に過ごす仲間の図式といった脳の機能は刷り込みによって生まれます。

自閉症の特徴は刷り込みの障害として説明できることを示します。

1.後追い行動がうまれる。

刷り込みには、刷り込んだ対象(母親)の後を追うという機能があります。これは、信頼すべき対象(母親)を特定したことを意味しています。カモのヒナが母ガモの後を追うのは、母ガモを刷り込んでいるからです。カモのヒナといえども、母ガモを刷り込まないと母ガモの後を追いません。

2.刷り込みは種にかかわる。

自閉症の当事者で、自分はヒトという種とは異なる、異星人だと書いている方がいます。ほとんどの鳥類は刷り込みによって仲間が決まります。

3.種への共感がうまれる。

刷り込みを妨げられたガンは同種への共感に障害が生まれました。自閉症者の定型者に対しての共感の障害は刷り込みの障害として説明できます。

4.恋愛(繁殖)にかかわる。

自閉症の当事者として初めて本を書いたテンプル・グランディンは、恋愛という感情を感じたことがないそうです。

ローレンツが育てたコクマルガラスはとなり家の少女に恋をしました。これは「性刷り込み」と呼ばれています。繁殖といった本能と考えられていた機能にも刷り込みがかかわっています。

5.自閉症スペクトラムという連続性

ガンの場合、刷り込みの臨界期は孵化後の36時間ほどです。しかし、18時間を過ぎて人を刷り込んだ場合、刷り込みが不十分になります。

刷り込みは、出来たか出来なかったかという二者択一ではありません。刷り込みが遅れると刷り込みが不十分になります。自閉症スペクトラムという連続性は、不十分な刷り込みという連続性として説明することができます。


6.自閉症と恐怖

刷り込みによってうまれる脳の機能のなかでも特に重要なのが、母親のそばにいると安心がうまれるという機能です。自閉症の幼児が母親の後を追わないのは、母親のそばにいても安心がうまれないからです。

お母さんは子どもがなつかないので寂しい思いをするかもしれません。しかし、自閉症の子どもの方はそれどころではありません。お母さんのそばにいても安心がうまれません。

自閉症の子どもは、地球という未知の惑星に生まれてきたのに、頼るべき母親を刷り込んでいません。自閉症の子どもにとって、生まれてきた地球という未知の惑星は恐怖の世界にほかなりません。
自閉症の子どもは地球という未知の惑星をたったひとりでサバイバルしています。

恐怖の世界をサバイバルする戦略が2つあります。

1.恐怖を無視

自閉症の子どもは怖い物事を意識しないようにして無視しています。怖い物事を無視していれば怖くありません。それで、顔はポーカーフェイスです。

○見ないようにして、聞かないようにして、怖い物事を無視します。耳ふさぎも怖い音を聞かないようにする戦略です。

○恐くなんかないよと恐怖を意識しないで無視します。恐怖だけでなく痛みも意識しないで無視していることがあります。

○回したり、並べたりといった規則性のある安心できることに没頭します。規則性と法則性で安心を得ます。

○手をぱたぱた、ひらひらなど、自己刺激に没頭します。自分で刺激を作って恐い刺激を遮断しています。

2.同一性へのこだわり

地雷が埋まっている草原に前回通った小道があったとします。今日、あなたは前回と違う道を通るでしょうか?前回と同じ道を通るはずです。前回と違う道を通ることは死の危険を犯すことを意味するからです。

自閉症の子どもも前回と同じ道を通ります。
前回食べた物を今回も食べます。
自閉症の子どもは自分が安全であることを経験した世界だけが安心の世界です。

同一性へのこだわりは想像力の障害が原因だと考えられています。しかし、これは誤解です。自閉症の子どもは恐怖の世界に住んでいるので前回と同じことに固執します。

母子関係が生まれていないということは、単に母子関係が生まれていないということではなく、自閉症の子どもの世界が恐怖の世界であることを意味していたのです。


7.恐怖症の治療

怖れる合理的な理由がない物事を怖れ、生活に支障が出ると、それは恐怖症と呼ばれます。
ライオンを怖れるのは恐怖症ではありませんが、子犬を怖れて生活に支障が出ればそれは恐怖症です。
ほとんどの恐怖症は治療できます。

恐怖の世界をサバイバルするために採用した、無視や同一性のこだわりという戦略は、新しいことを学ぶという学習の妨げになります。

同一性のこだわりは怖れる合理的な理由がないので、恐怖症として治療することができます。
自閉症の子どもには、掃除機や三輪車やぬいぐるみを恐がるなど、多くの恐怖症があります。
恐怖症の治療は、子どもが大きくなると大変ですが、子どもが小さいうちは簡単です。

恐怖症の治療をしていくと、世界は恐い世界ではなくなり、安心できる世界になります。
世界が安心できる世界になれば、無視や同一性のこだわりといったサバイバルする戦略が必要ではなくなり、情緒が安定し、問題行動が無くなるだけではなく、自閉症の子どもの発達が促進されます。


8.自閉症予防の5カ条

刷り込みで一番重要なのは新生児覚醒状態と呼ばれている出産後の約1時間です。次に重要なのは出産後の18時間です。自閉症を予防するには出産後18時間の環境を整えるだけで十分です。

1.分娩台を廃止してフリースタイルにする

分娩台の上で仰向けになって出産をするのは自然の摂理に反しています。出産が長引き、難産の原因になり、会陰裂傷も起きやすくなります。フリースタイルの出産だと仰向けで産むお母さんは1人もいません。仰向けでの出産は拷問のようなものです。胎児への血流も低下します。

分娩台の上で仰向けになって出産をするのは、母親としての本能も主体性も無視されています。母親としての本能と主体性が尊重されていれば、子どもは自閉症になりません。

2.分娩室の照明はなるべく薄暗くする

赤ちゃんは、暗い胎内から生まれてきたので、まぶしいと目を開けられません。お母さんの顔を見ることもできません。生まれて最初に母子が見つめ合えば、それだけで刷り込みが成立します。明るすぎる分娩室は刷り込みの妨げになります。

3.新生児室を廃止して母子同床にする

哺乳類は母子同床が自然の摂理です。現在、8割程の病院が赤ちゃんを新生児室に隔離しています。出産後早期からの母子分離が刷り込みに障害が生まれる最大の要因です。

4.赤ちゃんに接する人はマスクをつけない

お母さんを刷り込む前に、赤ちゃんがマスクをつけた看護師さんを刷り込むと、マスクをつけていないお母さんを避けることがあります。NICUのスタッフなど、赤ちゃんに接する人はマスクをつけないようにしてください。

5.生後2日間は、眼薬の点眼とフラッシュを焚いての写真撮影は禁止

眼薬の投与は新生児には刺激が強すぎます。母親の刷り込みに障害となる危険性があります。また、生まれたばかりの赤ちゃんを、フラッシュを焚いて写真を撮るのも危険です。まばゆい閃光は赤ちゃんには衝撃が強すぎます。

自閉症予防の5カ条は、余計なことをひかえるという内容なので、どれも今すぐにできる簡単なことばかりです。


お願い

現在の病院は母子ともに身体への安心・安全といった配慮は行き届いています。しかし、刷り込みにも配慮をするようにお願いします。また、これから赤ちゃんを産むお母さんは、後に続くお母さんたちの為にも、自閉症予防の5カ条を病院に要求して下さい。

自閉症は予防できます。
自閉症の予防に御協力下さい!


2004.11.20〜 更新日 2019.06.13

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