自閉症の新しい理論白石 勧現在、自閉症はカナータイプで1000人に3人、軽度も含めると100人に1人と言われています。 療育論も確立していません。 自閉症の新しい理論を提出しました。 |
新自閉症論1章 自閉症の原因(1) 2章 刷り込み 3章 刷り込みの機能 4章 自閉症の症状 5章 言葉の障害とこだわり 6章 恐怖症の治療 7章 自閉症の原因(2) 8章 自閉症予防の4ヶ条 学会発表自閉症の原因(2)(new) 自閉症関連療育相談 その他愛の構造(精神構造論仮説) 『精神構造論仮説と育児論』 更新履歴・2010.01.29 ・2010.01.28 ・2010.01.25 ・2009.05.05 意見や感想など、こちらまで メール ください。 リンクフリーです。 |
1.自閉症の原因早期発症タイプの赤ちゃんは、母親と目を合わせなかったり、母親に抱かれたがらなかったり、母親の後を追わなかったりします。 はじめは、母親の冷蔵庫のような冷たい性格が、母子関係がうまれていない原因で、自閉症の原因だと解釈されました。 しかしその後 それから40年以上、世界中で脳と遺伝子の研究が行われてきました。 しかし、いまだに原因が解明されていません。 (インフルエンザでも、一卵性双生児と二卵生双生児の統計をとれば、一卵性双生児のほうが一致率が高いという数字がでるはずです。しかし、インフルエンザの原因は、遺伝ではなくウイルスです。) 2.自閉症の発症率自閉症の原因が遺伝子なら、今も昔も発症率はほとんど変わらないはずです。 しかし、1950年ごろの日本には自閉症の子どもはほとんどいませんでした。 日本自閉症協会会長の石井哲夫は、1950年に大学を卒業して児童相談室に勤めました。そのとき、15名ほどの知的障害児の教育に携わったそうですが、その中に自閉症の子どもは1人もいなかったそうです。自閉症の子どもは、その後ぼちぼち来るようになったということです。(石井哲夫著、『自閉症児がふえている』) 15名ほどの知的障害児の中に、自閉症の子どもは1人もいませんでした。 近江学園は、1946年に戦災孤児60名と知的障害児50名の定員の施設として開設されました。 糸賀一雄氏も障害児の専門家です。 1950年ごろの日本では、65名の知的障害児のなかに(児童相談室15名+近江学園50名)、自閉症の子どもは1人もいませんでした。 現在は、知的障害養護学校の30〜40%が自閉症です。 これは、自閉症の原因は遺伝子ではないということを示しています。 自閉症の原因は、母親の育て方でもなく、遺伝子でもありません。 3.母親への愛定型の赤ちゃんの場合、母親への愛は、いつごろ、どのようにしてうまれるのでしょうか? 定型の赤ちゃんは、生後6ヶ月から9ヶ月ごろ、人見知りをするようになり、母子分離の抵抗が激しくなります。 生後6ヶ月から9ヶ月ごろ、人見知りがはじまるのも、母子分離の抵抗が激しくなるのも、この頃に、恐怖感がうまれるからです。 赤ちゃんは、生後2日目には、自分の母親とほかの母親と、識別ができます。 生後2日目の赤ちゃんが (母子同床であれば)、匂いでも声でも顔でも、自分の母親とほかの母親と識別し、自分の母親の方を向くということが実験で解っています。 母親と見知らぬ人と識別できるようになるのに、6ヶ月以上もかかるという解釈が間違っているのはあきらかです。 生後2日目には、匂いでも声でも顔でも自分の母親の方を向くということは、母親を識別しているだけではなく、母親を好きになっているということを示しています。 日本でただ一人自宅出産をおこなっている産婦人科医の大野明子先生が、新生児に現われる分離不安(新生児分離不安)を報告しています。 (出産直後から母親に1時間ほど抱かれていた赤ちゃんは)体重を測り、洋服を着せるだけの間の、ごくわずかな時間、お母さんからほんの少し、30センチほど離れただけなのに、さっきまで静かだった赤ちゃんが泣いたりします。お母さんにもう一度抱っこされると、すぐ泣きやみます。生まれたときから赤ちゃんは、お母さんがこんなに好きです。(『分娩台よ、さようなら』、261ページ) 赤ちゃんは生まれてすぐからお母さんのことが好きです。 これほど早く母親への愛がうまれるというのは、鳥類の刷り込みと同じです。 4.動物モデル刷り込みで有名な動物行動学者のローレンツの本を読みました。 ハイイロガンのヒナを隔離飼育することによって、すべての刷り込み過程を可能なかぎり妨げると、臆病で、一緒に行動をしようとはしないハイイロガンになる。そのような障害をもった二羽のハイイロガンを飼育用の囲い地に一緒にしておくと、しばしば向かい合った二つの隅にできるだけお互いに遠く離れて座るようになる。同種の仲間に対する彼らの反応は奇妙にメチャクチャである。この障害の現われ方は、人間において「自閉児」と記載されているものに似ている。(『ハイイロガンの動物行動学』、145ページ) ハイイロガンのヒナが、刷り込みを妨げられたときに現われる障害は自閉症と似ていました。 ハイイロガンは、夫婦で子育てをし、家族や仲間と群れを作って行動をともにします。 ところが、刷り込みを妨げられた2羽のハイイロガンを一緒に囲いに入れると、行動をともにするどころか、できるだけ遠く離れて坐りました。 また、仲間に対しての反応は奇妙にメチャクチャで、激しい攻撃行動で突進してきているオスを、求愛と勘違いしたメスがいたそうです。 通常なら、動物は同種の感情を間違いなく読みとるそうです。 5.ヒトの刷り込みローレンツが刷り込みという現象を発表すると、多くの学者がヒトも刷り込みをおこなっているかどうか、新生児を観察しました。 しかし、刷り込みのような現象は観察できませんでした。 ところが最近になって、分娩室をうす暗くすると、生まれたばかりの赤ちゃんが1時間ほど母親の顔を一心に見つめるという、新生児覚醒状態という現象が知られるようになりました。 顔を一心に見つめるというのは、ハイイロガンのヒナがローレンツを刷り込んだときと同じです。 現在は、小児科の重鎮である小林登先生 小西先生は、マスクをかけた看護師さんに育てられた未熟児が母親の顔を見て泣いた、という現象を報告しています。 マスクをかけた看護師さんの顔を刷り込んでいたので、マスクをしていない母親の顔に拒否反応を示した、と小西先生は解釈しています。(『赤ちゃんと脳科学』) 新生児人見知りや新生児分離不安は、赤ちゃんが刷り込みをおこなっていることを示しています。 ただし、3人の先生は、ヒトの刷り込みは大きな意味を持っていない、と解釈しています。 6.脳の機能自閉症は、先天的な脳の機能障害だと考えられています。 ほとんどの鳥類は刷り込みによって親や自分が属する種(仲間)が決まります。 刷り込みは恋愛にもかかわっています。 恋愛の対象となる種が、刷り込みによって決まるか、先天的に脳に組み込まれているかは、種によって異なります。 脳の機能は、高等な種ほど刷り込みによってうまれる比率が高く、原始的な種ほど先天的に組み込まれている比率が高くなります。 ヒトは最も高等な種です。 鳥類の場合の刷り込みによってうまれる脳の機能をまとめました。 ○親への後追い行動がうまれる。(親への信頼がうまれ、そばにいるだけで安心がうまれます) 自閉症の原因を刷り込みの障害だと解釈すると、症状を理論的に説明できるようになります。 7.恐怖刷り込みによって様々な脳の機能がうまれます。 なかでも代表的なのが、「母親のそばにいると安心がうまれる」、という脳の機能です。 早期発症タイプの自閉症の赤ちゃんが母親の後を追わないのは、この機能がうまれていないからです。 ところが、自閉症の赤ちゃんの方はそれどころではありません。 母のいる地球という星に生まれてきたのではなく、未知の生物に取り囲まれた未知の星に生まれてきたようなものです。 まわりは恐いものだらけです。 母親のそばにいても安心がうまれないので、物事の規則性で安心をえようとしたり、物事が同じであること(同一性)によって安心をえようとします。 規則性へのこだわりは、有用な物事にむかえば、学業や将来の職業にも役立つので、治療すべき症状とはいえません。 同じ道しか歩かないとか、同じ物しか食べないといった同一性へのこだわりは、日常の生活のさまげになるだけではなく、新しいことを学ぶといった学習のさまたげになります。 同一性へのこだわりは、その根底に、変化への恐れや新しいことへの恐れをともなっているので、一種の恐怖症です。 恐怖症の治療の原則は、早期発見、早期治療です。 自閉症の子どもには恐怖症の治療が必要不可欠です。 自閉症の子どもの療育には、恐怖症の治療とABAなどの早期教育という両輪が必要です。
8.自閉症スペクトラムガチョウの場合、刷り込みの臨界期は孵化後の36時間ほどだそうです。 また、孵化する直前に母鳥の鳴き声を聞いていたヒナが、孵化してから人を刷り込んでも、人の刷り込みが不十分になるそうです。 刷り込みは、出来たか出来なかったかという二者択一ではありません。 アスペルガー症候群の子どもは、言葉の模倣に大きな問題はありません。 高機能自閉症の子どもは、言葉や身辺自立にそれほど問題はありません。 (共感というのは、目の前で人が転んだのを見て自分が転んだかのように感じたり、梅干を食べている人を見て自分が梅干を食べているかのように身体が反応するという、脳の機能です。) 折れ線型という、途中で発達が後退するタイプがあります。 9.自閉症の予防刷り込みに一番重要なのは、出産直後の赤ちゃんが眠るまでの、新生児覚醒状態と呼ばれる約2時間です。 自閉症の予防には、出産後の18時間の環境を整えるだけでよいのです。 ◎出産後の18時間は母子同床にする哺乳類の出産は母子同床が自然の姿です。 戦後、出産の介助者が産婆さんから医師へと変わり、家庭での出産から、病院での出産になり、生まれたばかりの赤ちゃんが新生児室に隔離されるようになりました。 感染症の予防のために、新生児室に隔離するという理論でした。 現代では、新生児を隔離する医学的根拠はないということが解っています。 ◎分娩室の照明を落とす出産直後の、新生児覚醒状態と呼ばれている2時間の間に、お母さんが、赤ちゃんを抱いて、見つめ合い、話しかけるだけで、刷り込みには十分なはずです。 そして、「アーン」と口を開けるまねっこゲームをして遊べば、刷り込みが行われたことの確認になります。 現代の分娩室の照明はとても明るいです。 また、生まれたばかりの赤ちゃんの記念写真を、フラッシュを使って撮るのは危険です。 ◎赤ちゃんのいる部屋の照明を落とす現代の病院は、母子が一緒にすごす部屋も赤ちゃんには明るすぎます。 薄暗い病院は大人には嫌われます。 赤ちゃんは生まれて3日間ほどは明るさをとても嫌がります。 しかし、薄暗い部屋で撮った写真は、新生児がまん丸の目を開けています。 このような、すぐにでもできるちょっとした配慮で、自閉症を予防できると考えています。 10.お願い最後まで読んでいただきありがとうございました。 自閉症の解明は現代の急務です。 2004.11.20〜 更新日 2010.02.09 次のページへ |