自閉症の原因と予防自閉症の新しい理論 白石 勧現在、自閉症は重度で1000人に3人、軽度も含めると100人に1人と言われています。もっとも発症率が高い障害です。それにもかかわらず原因がまったく解っていません。また、療育論も確立していません。原因を解明し、療育論を確立し、予防法を見いだすことが現代の急務です。自閉症の新しい理論を提出しました。ぜひ検討してください。 |
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自閉症論学会発表2010年 2009年 2009年 2008年 2007年 2006年 自閉症関連その他『精神構造論仮説と育児論』 療育相談恐怖症治療のコツをお伝えします。 連絡先住所 電話 メール 更新履歴・2010.11.26 ・2010.11.25 サイトマップリンクフリーです。 |
1.自閉症の原因自閉症の早期発症タイプの赤ちゃんは、母親と目を合わせなかったり、母親に抱かれたがらなかったり、母親の後を追わなかったりします。 はじめは、母親の冷蔵庫のような冷たい性格が母子関係がうまれていない原因で、自閉症の原因だと解釈されました。 しかしその後、てんかんの発作が高頻度で現われることや、二卵性双生児より一卵性双生児の一致率がはるかに高いことなどから、先天的な障害だと考えられるようになりました。 育児環境か遺伝子かという二者択一で、一方が否定されたので、遺伝子の障害だと解釈されたのです。 しかし、いまだに原因が解明されていません。 例えばインフルエンザですが、流行すると家族みんなでインフルエンザにかかる家もあれば、誰もインフルエンザにかからない家もあります。 一卵性双生児がインフルエンザにかかる一致率が高いからといって、インフルエンザの原因は遺伝子だと言ったら、それはナンセンスです。 2.自閉症の発症率自閉症の原因が遺伝子であれば、今も昔も発症率は変わらないはずです。 日本自閉症協会会長の石井哲夫先生は、1950年に大学を卒業して児童相談室に勤めました。そのとき、15名ほどの知的障害児の教育に携わったそうですが、その中に自閉症の子どもは1人もいなかったそうです。自閉症の子どもは、その後ぼちぼち来るようになったということです。(石井哲夫著、『自閉症児がふえている』) 15名ほどの知的障害児の中に自閉症の子どもは1人もいなかったというのは、自閉症協会の会長が書いていることなので信頼でき、疑う余地はありません。 近江学園は、1946年に戦災孤児60名と知的障害児50名の定員の施設として開設されました。自閉症の子どもがはじめて来たのは1955年だったそうです。(糸賀一雄著、『この子らを世の光に』) 糸賀一雄氏も障害児の専門家です。 1950年ごろの日本には、65名の知的障害児のなかに(児童相談室15名と近江学園50名)、自閉症の子どもは1人もいませんでした。 1950年ごろ、知的障害児のなかに自閉所児は1人もいなかったというこれらの資料は、自閉症の原因は遺伝子ではないということを示しています。 自閉症の原因は、母親の育て方でもなく、遺伝子でもありません。 3.母親への愛では、定型の赤ちゃんの場合、母親への愛はいつごろ、どのようにしてうまれるのでしょうか? 定型の赤ちゃんは、生後6〜9ヶ月ごろ、人見知りをするようになり、母子分離の抵抗が激しくなります。 この解釈が学会の定説になっているので、赤ちゃんの母親への愛は生後6〜9ヶ月にわたっての母子相互作用によってうまれると考えられています。 生後6〜9ヶ月ごろに、人見知りがはじまるのも、母子分離の抵抗が激しくなるのも、この頃に恐怖感がうまれてくるからです。 赤ちゃんは、生後2日目には、自分の母親とほかの母親と識別できます。 母親と見知らぬ人と識別できるようになるのに6ヶ月以上もかかる、という解釈が間違っているのはあきらかです。 生後2日目には、匂いでも声でも顔でも自分の母親の方を向くということは、母親を識別しているだけではなく、すでに母親を好きになっているということを示しています。 日本でただ一人自宅出産をおこなっている産婦人科医の大野明子先生が、新生児に現われる分離不安(新生児分離不安)を報告しています。 (出産直後から母親に抱かれていた赤ちゃんは)体重を測り、洋服を着せるだけの間の、ごくわずかな時間、お母さんからほんの少し、30センチほど離れただけなのに、さっきまで静かだった赤ちゃんが泣いたりします。お母さんにもう一度抱っこされると、すぐ泣きやみます。生まれたときから赤ちゃんは、お母さんがこんなに好きです。(『分娩台よ、さようなら』、261ページ) 赤ちゃんは生まれてすぐからお母さんのことが好きになっています。 これほど早く母親への愛がうまれるというのは、鳥類の刷り込みと同じです。 4.動物モデルそこで、刷り込みで有名な動物行動学者のローレンツの本を読みました。 ハイイロガンのヒナを隔離飼育することによって、すべての刷り込み過程を可能なかぎり妨げると、臆病で、一緒に行動をしようとはしないハイイロガンになる。そのような障害をもった二羽のハイイロガンを飼育用の囲い地に一緒にしておくと、しばしば向かい合った二つの隅にできるだけお互いに遠く離れて座るようになる。同種の仲間に対する彼らの反応は奇妙にメチャクチャである。この障害の現われ方は、人間において「自閉児」と記載されているものに似ている。(『ハイイロガンの動物行動学』) ハイイロガンのヒナが刷り込みを妨げられたときに現われる障害は、自閉症と似ていました。 ハイイロガンは、夫婦で子育てをし、家族や仲間と群れを作って行動をともにします。 ところが、刷り込みを妨げられた2羽のハイイロガンを一緒に囲いに入れると、行動をともにするどころか、できるだけ遠く離れて坐りました。 また、仲間に対しての反応は奇妙にメチャクチャで、攻撃行動で突進してきているオスを、求愛と勘違いしたメスがいたそうです。 通常なら、動物は同種の感情を間違いなく読みとるそうです。 5.ヒトの刷り込みローレンツが刷り込みという現象を発表すると、多くの学者がヒトも刷り込みをおこなっているのかどうか、新生児を観察しました。 しかし、刷り込みのような現象は観察できませんでした。 ところが最近になって、分娩室をうす暗くすると、生まれたばかりの赤ちゃんが1時間ほど母親の顔を一心に見つめるという、新生児覚醒状態という現象が知られるようになりました。 現在は、小児科の重鎮である小林登先生、赤ちゃん学会の理事長の小西行郎先生、カンガルー抱っこを日本に最初に導入した周産期医療の堀内勁(たけし)先生など、赤ちゃんに詳しい先生方が、ヒトの刷り込みを認めています。 小西先生は、マスクをかけた看護師さんに育てられた未熟児が面会に来た母親の顔を見て泣いた、という現象を報告しています。 マスクをかけた看護師さんの顔を刷り込んでいたので、マスクをしていない母親の顔に拒否反応を示した、と小西先生は解釈しています。(『赤ちゃんと脳科学』) 新生児人見知りや新生児分離不安は、赤ちゃんが刷り込みをおこなっていることを示しています。 6.脳の機能と刷り込み自閉症は脳の機能障害です。 鳥類の場合、親や自分が属する種(仲間)の図式が先天的に脳に組み込まれているのは、一部の原始的な種に限られます。 ローレンツが育てたコクマルガラス嬢は、となりの少女に恋をしました。 「高等な種ほど刷り込みによってうまれる脳の機能の比率が高い」、というのが刷り込みの原則です。 鳥類の場合の刷り込みによってうまれる脳の機能をまとめました。 ○親への後追い行動がうまれる。(親のそばにいると安心がうまれます) ヒトは動物の中で最も高等な種です。 (詳しくは、 4章 自閉症の症状を参照ください。) 7.恐怖刷り込みに障害があると、社会性の障害(共感能力の障害)や言葉の障害がうまれます。 刷り込みによって感情共鳴や言語共鳴などの脳の機能がうまれますが、なかでも重要なのが、「母親のそばにいると安心がうまれる」、という脳の機能です。 母親のそばにいると安心がうまれるので、定型の赤ちゃんは母親の後を追うようになります。 お母さんは、赤ちゃんがなつかないので、寂しい思いをし、悲しい思いをします。 自閉症の子どもは、お化け屋敷のなかに生まれてきたようなものです。 ふたつの戦略自閉症の子どもは、お化け屋敷のような恐怖の世界をたったひとりでサバイバルしています。 1.無視お化けが出てきても無視すれば恐くありません。 ○見ないようにし、聞かないようにして、恐い世界を無視します。 ○恐くなんかないよと、恐怖感を無視します。 ○回したり、並べたりといった安心できることに没頭します。 ○手をぱたぱた、ひらひらなど自己刺激に没頭します。 2.同一性のこだわり前回安全だった物事と同じなら安心できます。 ○前回安全だった道順と同じ道順なら安心できるので、前回と同じ道順にこだわります。 ○前回食べて大丈夫だった物と同じ物を食べていれば安心です。 ひとりひとり採用する戦略が異なります。 恐怖症の治療恐怖の世界を生き延びるために採用した、無視や同一性のこだわりという戦略は、新しいことを学んでいくという学習の妨げになり、発達の妨げになります。 同一性のこだわりは変化への恐れや新しいことへの恐れがあるので、一種の恐怖症です。 自閉症児には、掃除機や三輪車や滑り台やぬいぐるみを恐がるなど、他にも多くの恐怖症があります。 恐怖症の治療の原則は、早期発見、早期治療です。 恐怖症の治療をしていくと、世界は恐い世界ではなくなり安心できる世界になります。 自閉症の子どもの療育には、行動療法と恐怖症治療の両輪が必要だと考えています。 8.自閉症スペクトラムガチョウの場合は、刷り込みの臨界期は孵化後の36時間ほどだそうです。 また、孵化する直前に母鳥の鳴き声を聞いていたヒナが、孵化してから人を刷り込んでも、人の刷り込みが不十分になるそうです。 刷り込みは、出来たか出来なかったかという二者択一ではありません。 アスペルガー症候群の子どもは、言葉の模倣能力に問題はありません。 高機能自閉症の子どもは、言葉や身辺自立に多少の遅れがあったとしても自ら身につけていきます。 (共感というのは、目の前で人が転んだのを見て自分が転んだかのように感じたり、梅干を食べている人を見て自分が梅干を食べているかのように身体が反応するという、脳の感情共鳴の機能です。) 折れ線型という、途中で発達が後退するタイプがあります。 9.自閉症の予防刷り込みに一番重要なのは、出産直後の赤ちゃんが眠るまでの新生児覚醒状態と呼ばれる約2時間です。 A.母子同床哺乳類の出産は母子同床が自然の摂理です。 この自然の摂理に従っていれば、哺乳類の赤ちゃんに刷り込みの障害が生まれる余地はありません。 20世紀に入ると細菌学が興隆しました。 生まれたばかりの赤ちゃんを感染症から予防するために新生児室に隔離するという発想が生まれました。 現代では、新生児を隔離する医学的根拠はないということが解っています。 それにも関わらず、生まれたばかりの赤ちゃんの母子分離が続いている現状には怒りを覚えます。 24年間、新生児室に通って赤ちゃんを診てきた石田勝正先生が書いています。(『生きる原点』) 一般の人は産科の新生児室には入れてもらえないので、なかの様子はおわかりにならないと思いますが、部屋のなかは地獄のようです。新生児が寂しがって泣き叫んでいます。(136ページ) 私は、赤ちゃんを生後1日目からよく抱いてよくあやしてやれば自閉症は発症しない、という仮説を力強く提案したいと思います。(143ページ) 私の仮説がたとえ間違っていたとしても、赤ちゃんにはけっして害はないのですから、赤ちゃんを産むお母さんは今すぐ私の提案を実行してください。学界の結論を待つよりも、子どを救うことを優先して考えるのであれば、それしかないと確信をもって言うことができます。(144ページ) 石田先生は股関節脱臼の権威です。 B.照明を落とす新生児室への隔離だけでは、現在の自閉症の増加を説明できません。 それは明るさではないかと推測しています。 現代の病院は、生まれたばかりの赤ちゃんには明るすぎます。 赤ちゃんは生まれてしばらくすると、一生懸命に目を開けて見ようとします。 ほとんどの新生児の写真は、不機嫌そうに眉間にしわをよせていて、目を少ししか開けていません。 フランスの産婦人科医であるミシェル・オダンが、『バース・リボーン』という本で書いています。 分娩第一期が進行して収縮がだんだん強くなっていくと、産婦は静かな薄暗い場所に移動したいと感じるようになります。(71ページ) 出産のとき、産婦に必要な条件はそのまま、生まれたばかりの赤ちゃんにとっても必要な条件であるということを強調しておきたいと思います。(112ページ) 2010年8月5日、チリで鉱山落盤事故が起きました。 C.照明では他にも気になっていることがあります1.生まれたばかりの赤ちゃんの記念写真をフラッシュを使って撮るのは危険です。 まばゆい閃光は赤ちゃんには衝撃が強すぎて、しばらくは目を開けられなくなります。 2.蛍光灯にも問題があるかもしれません。 蛍光灯は自然の灯りではありません。 母子同床と照明を落とすこと、こういったすぐにでもできるちょっとした配慮で自閉症は予防できると考えています。 10.遺伝子説現在、自閉症の原因は遺伝子説が常識になっています。 1.3つ組の障害遺伝子障害からどうして自閉症の3つ組と言われる広汎に及ぶ障害が生まれるのか、それを説明できる理論がありません。 これまで長い間、言語認知障害説や心の理論障害説など中核障害は何かという議論が続けられてきました。 2.自閉症スペクトラム自閉症は、カナータイプ、アスペルガー症候群、高機能、特定不能の広汎性発達障害などの連続体になっています。 3.身体的障害ダウン症には顔を見ても分かるといった身体的特徴があります。 遺伝子説は遺伝子が原因だという結論だけがあって、症状を説明できる理論がありません。 11.お願い最後まで読んでいただきありがとうございました。 現在、自閉症の原因はまったく解っていません。 私の理論に賛同をしていただけたなら、この理論の普及にお力をお貸しください。 2004.11.20〜 更新日 2013.04.23 |