AnotherDay<Written by Ren Ryuuzaki>

 天気もうららかなパプワ島の真昼間。
(…あー、ダリィ。)
 そんなことを思いながら、俺は走っていた。
 なんで走っているかというと、だ…
『今日は、パプワ島を一周して来い!』
 いきなりそんなことをパプワに言われ、走っている。
(いやまー、別にアイツの言うこと聞かなくてもいいんだけど?最近昔ほど運動してねーし、ランニングとか久しぶりだし、まったく持って別に…)
 かまわないのだが。
 いや、別にパプワに『チャッピー』と例の合図を言われたからではない。
 別に、チャッピーがジリジリと俺の側に寄って来たからではない。断じてないぞっ。

 パプワ島一周…それくらいなら、3・4時間くらいで事足りるだろう。
 しっかし…なんで、パプワはそんなことをしろ、なんていうんだろうか。
 パプワの行動はいつも突拍子が無くて、予想がつかない。
 まー、いいけどな。
 パプワ島に来て、もう大分経つ。
 そろそろそういうパプワの行動にも慣れた。
 ようは、さっさとパプワ島回れば良いわけだ!
 そう頭を切り替えて、思いっきりダッシュをかける。
 
 そう気合を入れて数分後…
「あらぁ、シンタローさんじゃないの」
「シンタローさん、どちらへ?」
 一瞬にしてテンションが下がる。
 イトウとタンノ。一番会いたくないナマモノの筆頭に入るヤツらだ。
「どこでもいーだろ」
と軽くあしらう。
「まぁ、じゃあ」
 とイトウ。
「私とデートしましょうよv」
 びたっとくっついてくるナマモノに青筋が立った。
「ずっずるいわイトウちゃん!シンタローさんは私とデートするのよ」
 あーっ鬱陶しい!!!!

 ガンマ砲。

 …ふーっ。
 出だしから気分最悪だぜ。
 俺はなにやらムカムカしながら、止まっていた足を急がせた。


 これまた数分後、森の中に入ってすぐ。
 俺は危険を感じて、走っていた道から横に跳んだ。
「シンタロー、覚悟っ!!!」
「ミヤギっ?!」
 着地してから先ほどまで自分が居た場所を見てみると、ミヤギの「生き字引の筆」で、
 岩。
 という字が木に書かれていた。
 数分後。
「どういうつもりだ」
 どすのきいた声でボロボロになったミヤギを踏みつけながら聞いた。
「う…う。ちょっとした出来心だんべ…」
「ちょっとした出来心も2度と起こらないようにしてやろーか」
 にやり、ときっと傍からみたら空寒い笑顔が俺の顔にはりついていただろう。
「あぁっミヤギくんっ」
 がさごそ、と茂みの中からトットリが出てきた。
 俺が足蹴にしているミヤギの存在を認めると、
「くっミヤギくんの仇!えいっ能天気雲っ」
 といって下駄を投げた。
 びよぉぉぉぉ。
 雨、だ。
「…いや、別に、雨くらいどってことないけどな。」
 最近日照りが多かったし、島のみんなも喜ぶだろう。
「なっならこれでどうだっ」
 今度は、雪が降ってきた。
「はっはっは!これでシンタローも行きにくいだろうっでかしたべトットリぃ!」
「やっただっちゃミヤギくんっ」
 喜んでいる二人には悪いのだが…。
「…溶けてますけど。」
 泥の水溜まりとなった雪山の残骸を指差しながら、教えてやった。
「あぁっここは南国の島っ」
「しっしかたあるめぇ、ここは、二人でシンタローの息の根を止めてっ」
 …ガンマ砲。


「シーンちゃんっv」
 …うんざり、と思いながら俺はそのキャピキャピな声の主の方を向いた。
 予想にたがわず、そこには、自称天才博士、本質バカアホグンマがいた。
「見てみて、僕の最新のロボットv」
 そこには、巨大なロボットが立っていた。
 四本足。ええと…なんていうか、それは…。
「…何、つくったんだてめぇ。」
「これはねぇ…」
 グンマが説明しようとしたその時。
「わーい、なんだこの動物!?」
「えーい、10円キズつけちゃえー☆」
「わー、エグチくん、ナカムラくん!ダメだよぅ、僕のロボットにそんなことしちゃぁっ」
 物体にエグチとナカムラが近寄るのを防ぐために近寄った。
「…で、これはなんだって?」
「えーだからぁ、これはハーレムおじさんをかたどった…」
 ガンマ砲。
「うわーん、ひどいよぅ、日記に書いてやるぅっ」
 馬鹿やろう、獅子舞のロボットなんかつくるんじゃねぇよ。
 俺は泣いているグンマを後にした。


 今度は、沼近く。
「シンタロー」
 ノンビリと呼びとめられた。
「…コージか?」
「おう」
 まったく、今日は…やたら、知り合いに会うっつーか。
 パプワ島を一回りしているんだから、それもそれで当たり前なのかもしれないが…。
「どうじゃ、釣りでも一緒にせんか?」
「は?」
 釣り?
「やらねーよ」
 コージは沼で釣りをしよう、というのだろうか。
 こんな沼、釣れるのは薫ちゃんくらいしかいないと思うが。
「じゃ、将棋でも、どうじゃろうか」
「…」
 なんなんだ?
「どうじゃ?」
「…わりぃけど、先急いでんだ…やめとくワ」
「…そうか。そりゃー、しかたないのぅ」
「わりぃな」
 良くわからないが、そう手を上げて俺は道を進むことにした。が…
「シンタロー」
 また呼びとめられた。
「…なんだ?」
「…お茶も、いらんか」
「…」
「…いや、いらなければ良いんじゃ」
 …なっなんなんだ?!!!

 なんか…おかしい。
 今日は人に会い過ぎだ。
 俺、最近なにか恨みを買うようなことしたっけか。
 心当たりがありすぎてわからん。
 真剣に悩みながら、走っていた。
 あー、もう、かなり、疲れた。
 考え疲れた。もうあまり考えたくない。
「シンタローはぁんvv」
 なにやら空耳がきこえたような気したが、ガンマ砲で応戦をしておいた。
 これでしばらくは走るのに熱中できる。




 …あと、200メートル程度でパプワの家。
 なにやら、今日は長い1日だった。
 むやみやたらにガンマ砲を連発したから、だいぶ体力を消耗してしまった。

 …もう少し、もう少しで…家…。
 あーちくしょう、ふらふらするぜ。
 …なんか、久しぶりにこれだけ疲れたような気がする。
 訓練所に居たころは毎夜こんな感じだったけどな。
 あの頃は、毎日毎日必死で…
 何もかもを忘れれるように必死で動いていた。
 自分のコンプレックスや親父の重圧を忘れれるように…
 …やべ、なんか、かなり…意識が朦朧としてきた。
 ねむ………。


 なにやら、バタ、という音を、聞いたような気がする。
 それは自分が寝崩れる音だったか、それともドアが開く音だったか、その時の俺には判断できなかった。



 あー。明るくなってきた…。そろそろ起きねーと、朝飯が…。
 って、なんだ、何か良い匂いがするっ?!
 がばっと起きあがる。

 と。
 目の前でバンバン、という色とりどりの音が溢れた。
「おめでとー!!!」
「おめでとー!!」
 …なっなんだぁ?!

 起きた俺の前には、ミヤギ・トットリ・アラシヤマ、コージ、グンマ、パプワ、チャッピー…そして、島の皆が居た。
 パーティ用のクラッカーを持って、にやにやしながら。

 良く見ると、部屋の中は折り紙のチェーンの飾りつけなどがしてある。
 何が起きているか分からず呆然としている俺に、パプワが話かけた。
「今日は、お前の誕生日だろう?ボクが特別に誕生日パーティーを開いてやったんだ、感謝しろ!」
 え?た、誕生日?
「今日はシンちゃんの誕生日だよ!自分で忘れちゃった??」
 にこにこ笑って、包帯でグルグル巻きのグンマが説明をする。
 …俺の誕生日って…5月、24日…あ、そういえば、もうそろそろな、気がしなくもない。
「じゃ、じゃあ昨日のあの騒動は…」
「そ、飾りつけシンタローに気付かれないようにどうするか考えたんだべ」
「時間稼ぎ考えるの、大変だったんだっちゃよね?」
「ふふふそこはオラの頭脳明晰さを利用して!」
「そうだっちゃ、流石ミヤギくんだっちゃ♪」
「そーだべそーだべ」
 得意げになっているミヤギ。
「結局、一人一人のノルマは全くばらばらになったけどのう」
「そーだよ、アラシヤマなんて本当に一瞬で終っちゃうしさぁ」
「ひどぃどす、シンタローはぁん…。親友のわてだけ一瞬でふっとばすなんて…」
 …つーか、あれのどこが考えられた上での計画なんだ;
 と、思わなくもないが…。

 …そっか、そうだったんだ。
 今日は…俺の…
 誕生日なんて、すっかり忘れてた。
 誕生日を祝ってもらうのなんて…どれだけぶりだろう。

「あれっシンちゃん笑ってる?嬉しい?嬉しい?」
 テンションの上がったグンマの声に、慌てた。
「え?いや、べっ別に…」
「わーシンちゃんがテレてるv」
「テレてねぇよ!」

「シンタロー!ごちゃごちゃ言ってないで、ケーキ作れ!」
「ケーキィ?俺が作るのかよ」
「そうだ!誕生日というものには、ケーキが必需品だろ!」
 そんなこと、誰に聞いたんだか…。

 …まぁ、よいか。
 今日は、なんだか気分が良いし。
「しゃーねーな。お礼にケーキでも作ってやるよ」
 今日は気分が良いから、特別、な。
「当たり前だ!」
 パプワの生意気な通る声が、今日もパプワ島で響いた。
                                <end>

はい、ここまで付き合ってくださってありがとうございました!
これは、読んでくだされば分かるように、シンタローの誕生日を記念して書いたものです。
創作時間1週間;(おい)
2日で考えて4日で書いた。
可笑しなところもたくさんありますが、多めにみてやってください。…死。
ていうかどなたか、これちゃんした文章化して欲しいですわ〜。
マンガ化でも可。笑
ええと、なんていうか、文章は稚拙かもしれませんが、本人とても楽しんで書きました。
願わくば読んでくださった貴方も、少しでも楽しんでくださいますように。
                                         2002.5.24 龍咲 蓮



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