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古代の森へ   愛媛県砥部町上原町の遺跡

 古墳をみたいといわれたら、わたしはすぐに、県総合公園内に忘れ去られたかのように点在する「古代の森」を思い出す。砥部町の南ヶ丘団地に接して大下田古墳群が点在している。「古代の森」という名は、おそらくそのように整備したいという担当者の意図であったのであろうが、いまはすっかり忘れ去られ、ひっそりと残されている。それがいかにも古代の森らしい風情になっている。
 テニスコートから10分ほど登ると山頂につく。そこには全長30mほどの前方後円墳である大下田3号古墳がある。そこから動物園駐車場のほうに降りる。大下田1号古墳は、駐車場のすぐ崖上に、大下田2号古墳は、駐車場の崖下のすぐのところにある。いずれも遊歩道がついていて、道の便はよい。1号→2号→3号の順に6世紀半ばから後半につくられた地域の有力者の古墳である。
大下田1号古墳から古代の森を見る(中央部山頂に大下田3号前方後円墳)
 

@大下田3号墳
  大下田3号B石室の内部
この地域唯一の前方後円墳である大下田3号古墳は、前方部と後円部のそれぞれに横穴式石室がある。前方部のB石室には石障といわれる2枚の立石があって、玄室を区画している。九州の古墳の影響を受けたものと考えられる。古墳時代6世紀後半。前方後円墳、全長34m。A石室の長さ10.3m。


 
A大下田1号古墳
 写真中央の丸く膨らむ部分が大下田1号古墳
この地域で横穴式石室が作られ始めた6世紀中頃の古墳である。小中学生が見学するのにもっとも適している。案内板もあり、内部に入っても安全である。円墳、直径25m.石室の長さ5.5m。耳環、鉄やじり、太刀、須恵器など出土。遺物は愛媛県歴史民俗資料館で展示中。

B大下田2号古墳

石室内部(玄室)から入り口(羨道)方向を見る(階段状になっている)

2号古墳は1つの墳丘に2つの横穴式石室がある。古墳時代6世紀中頃のものである。1号石室は、石室の長さが7.6mもある長大なもので、横穴式石室がもっとも発達した時期のものである。何人もの遺体が葬られたのであろう。入り口は玄室(石室内部)より高く、階段状になるもので、九州の古墳の影響を受けたものと考えられる。長円墳、長径20m.遺物は愛媛県歴史民俗資料館で展示中。

 
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