等差数列の音楽(&階差が等差&フィボナッチ)

まず、図のように、音階C,C#,D,D#,E,F,F#,G,G#,A,A#,B に1,2,3,…,12と番号を付けます。

 

次に、12を法とした初項1(C)の等差数列を考えます。等差数列は次の表のように12種類が考えられます。

公差

数       列

1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12

1,3,5,7,9,11

1,4,7,10
1,5,9
1,6,11,4,9,2,7,12,5,10,3,8
1,7
1,8,3,10,5,12,7,2,9,4,11,6
1,9,5
1,10,7,4
10 1,11,9,7,5,3
11 1,12,11,10,9,8,7,6,5,4,3,2
12 1

 上の数列は1周期分です。つまり、この数列がサイクリックに繰り返されるということです。

周期は、12を、公差と12の最大公約数で割った数で決定されます。ですから12音全部の音が現れるのは、d=1,5,7,11の4通りですね。


 さて、では数列のスケールを聴いてみましょう。36音(3オクターブ)にしています。楽譜をクリックすると音が聴けます

公差 譜面 ポイント
全音音階(whole tone scale)といわれる。ジャズではブレイクやブリッジのときなど、調性が一時失われるときに用いられる。
減音音階(Cdim7の分散音)と呼ばれる、主音から全音,半音が交互に連続してできるフレーズである。ジャズでは経過コードや代理コードによく用いられる。
これはCaug(オーグメンテド)コードの分散音である。上の減音音階はC,D,Eの3つのオーグメンテドコードの分散音が集まっていると考えられる。
公差5は12と互いに互に素なので、12音全部が1度ずつ現れる。黒鍵と白鍵が2つに分離してでてくるところが面白い。実はこれは完全5度のサイクルによる音階の構成法である。確かマイルスデイビスのラウンドミッドナイトのコーダでこのフレーズのようなカンジのものが出てきたと思う

   初項1、公差1〜11までの等差数列の音列を全部まぜて1曲にしました。 <<等差数列スペシャル>>←ここをクリック


第一階差数列が等差数列になるような数列の音列

 例えば、第一階差が初項1公差1の等差数列である数列を音符で表すと、

と左右対称のスケールになります。12音階ならば24音が1周期になります。結構面白いフレーズです。第一階差が公差2の等差数列の場合は、となります。これは6音1周期のへんなアルペジオのメロディーです。

 公差3の場合はというメロディーです。

 このような音列を、公差1〜11まで全部まぜて1曲にしました。<<階差スペシャル>>←ここをクリック


フィボナッチ数列の音楽

はついでにフィボナッチ数列でもやってみましょう。フィボナッチ数列を12を法として表すと

1,1,2,3,5,8,1,9,10,7,5,12,5,5,10,3,1,4,5,9,2,11,1,12,1 

という24の周期を持つ数列になることがわかります。これを、先ほどの手法で曲にしてみます。前奏8小節と、最後8小節に上で述べた階差数列が項差2の等差数列になるフレーズ(奇妙なアルペジオ)を配置しまして曲らしくしました。無調性なのですが、最後は一応Key in Aで完結します。  <<フィボナッチスペシャル>>←ここをクリック


ここでのmidiファイルの作成は加藤一郎さん作成のフリーソフトMuseで作っています。

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