ああ正弦定理

 青森県の高校の数学の先生で、中村潤さんという方がいます。彼は、東北地区の数学教育協議会の委員長もされています。

彼は、自他ともに認めるシンガーソングライターで、ギター片手にあらゆるところに現れて自作曲を披露するのであります。

最近では、2000年の8月に幕張メッセで行われたICME9(第9回国際数学教育者会議)において、世界各国の人々の前で、あの「黄金比の歌」を

なんと英訳バージョンで歌ったのです!(写真参照)   <音楽&数学らんどへもどる>  <解の公式の歌へ>

  

写真左(世界各国の人たちが楽しく歌いました。奥さんの姿も見えます)

写真右(黄金比に魅せられて作った歌だと英語で紹介・右は補足の通訳をしてくださった木村良夫先生)

 彼の作品は、「黄金比の歌」の他に、「解の公式の歌」「三角関数の歌」など数学の歌が多いのですが、どの歌詞にも、数学が嫌いな生徒に対し

て、数学の面白さや楽しさを優しく説く中村ワールドを感じることができます。

 さて、中村先生の最近の作品を紹介させていただきます。タイトルは「ああ正弦定理」ここをクリック

  (1回しか聴いたことがないので怪しいのですがだいたいこんな曲です。間奏にLovin’Youを入れてしまいました)

 「ああ正弦定理」

色んな生き方が あっていいんだよ

色んな輝きが あるから面白い

だからだから 違いを結ぶのは

人の愛、愛

あああ、あああ 正弦定理

 

色んな三角形 あっていいんだよ

自分の好きなよに 描いていいんだよ

だからだから 違いを結ぶのは

外接円の直径、直径

あああ、あああ 正弦定理

 

サインA分のaイコール

サインB分のbイコール

サインC分のcイコール   2R

 

  歌詞の1番は、人生について語っています。いろいろな生き方を認め合おうということ、そして違いを乗り越えて人が結びつくのは

愛があるからだということをいっています。

 2番は、一転して、三角形と正弦定理の話になります。しかし、これは一番の歌詞と深いつながりがあるのです。人が様々な生き方

や個性を認め合うように、様々な三角形を描いていいということ。そして、異なる三角形にもかかわらず、それらを一つに結ぶのは

円の直径であるという結論です。

 つまり、1番と2番では、生き方→三角形  愛→直径 という入れ替えを行った双対な詩になっているのです。

 では、なぜ、彼はこのような対応を自然と考えたのでしょう(それがわかる人はかなりの実践家であります)。

 

 先日、秋田で数学教育協議会の東北大会が行われましたが、その中で中村先生の発表の模様を紹介します。

このことから彼の歌詞の意味をつかむことができます。

 

@ 図のような円が描いてあるプリントを配ります。そこに、「任意の」三角形を各自描きます。(ここが色んな三角形あっていいんだよっていうとこ)

A 次に、3つの角の大きさ及びその対辺の長さを、分度器と定規で求めます。

B 長さを測ったら、a/sinA , b/sinB , c/sinC を電卓で計算します。(整数値で出すことにします) 

C すると、なんとすべての値が10となりました。そして、全員三角形が異なるにもかかわらず10となります。

  この10という値が実は円の直径です。異なる三角形を結ぶものは外接円の直径だったわけですね。

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