パスカルの三角形に潜む母関数 <<面白数学らんど>>
1 横の列
図のように、パスカルの三角形の横の数列は、(1+x)n のxkの各係数になっています。これは高校でも教える内容です。
例えば、(0段から数えて)4段目は、(1+x)4=1+4x+6x2+4x3+1x4 ですね。
このようなとき、(1+x)4は、数列[1,4,6,4,1]を生成する母関数(生成関数)といいます。
2 縦の列
では、今度は縦の列に注目してみましょう。
縦の列は、(1−x)-nの展開項の係数になっています。例えば、(1−x)−2=1+2x+3x2+4x3+5x4+…
今、f1=(1−x)−1、f2=(1−x)−2とすると、[1,3,6,10,15,…]を表す母関数をf3とすると、
f3=f2+xf2+x2f2+x3f2+…=(1+x+x2+x3+…)f2=f1f2=(1−x)−3
(1桁ずつずらして足す) となり、一般にn列目の母関数が(1−x)−n がわかります。
3 斜めの和
パスカルの三角形の各項を図のように斜めに加えるとフィボナッチ数列が現れます。これは結構有名です。
フィボナッチ数列の母関数は、2で述べたパスカルの三角形の縦の母関数(1−x)−nを用いて示すことができます。
F=f1+x2f2+x4f3+x6f4+…=1/(1−x−x2)
4 横の数の平方の和(中央ケイマの数列)
最後にちょっと変わったものを紹介します。
図左の、ケイマにとった数列、1,2,6,20,70,252,…はどんな数列でしょう。
実は,図右のように、各段の項の平方の和に対応しています。
証明は(1+x)n(1+x)n=(1+x)2n の両辺のxnの係数を比較すれば簡単にできます。