誤報と交通局の対応
昨日、友人のご親族の方がこのHPをご覧になったというメールをいただきました。
その後、彼の死後、封印していた彼のHPを見たところ、
BBSにものすごい数のメッセージが投稿されていました。
私も投稿しようかと思いましたが、なんて書けばいいのかわからず、
結局、メールで私の思ったことをご親族の方に伝えるという形をとりました。
その方も投稿されていたのですが、
あの事故の裏には、信じられないことがあったようです。
友人は、何度も書いているように、勤務中の事故で、亡くなりました。
その前に、大阪にある「ニュートラム」という交通機関について、説明します。
ニュートラムは、大阪南港を走っているリニアモーターカーのような交通機関です。
運行はすべてコンピュータで制御されているので、
ひとつひとつの車両には運転手はおりません。
コンピュータ制御の無人運転が売りの交通機関です。
このニュートラムは、数年前に、制御がきかなくなって暴走し、
多くの人が重傷を負うという事故がありました。
それからしばらくは、有人運転をしていましたが、またもとの無人運転に戻りました。
交通局も、ニュートラムの暴走対策に関しては対策を講じたはずだと思っていました。
ですが、あの日、また事故が起きました。
ニュートラムのホームにはドアがついているので、一般の乗客がホームに転落するということは、
ほとんどありませんが、作業員は別です。
外で作業しているわけですから。
作業員とて人間ですから、退避の手順を踏んでいたとしても、
誤って転落してしまう可能性は十分にあるわけです。
それで、友人はどうも誤って線路に転落してしまったようです。
そこへ、電車がきました。ニュートラムはかなり早いスピードが出る乗り物で、
なおかつ、無人運転なので、運転手はいないわけです。
当然、目撃者はいません。制御センターで電車を止めるしかないわけです。
友人がはねられるまで、電車は止まらなかった上に、ひきずられていったため、
真相は、わからないのです。
目撃者は、いると思います。作業員です。
ひとりで作業するわけはありませんから、当然複数人、いたはずです。
そこを取材すれば、どういう状況だったか、わかると思います。
完全にわかるかどうかは、また別の問題でしょうが。
(事故に巻き込まれた本人は亡くなっているので)
ご家族の方が、変わり果てた友人の姿を警察署で見たときに、
交通局は、記者会見をしていたそうです。
普通、勤務中の事故で、亡くなったのなら、
先にご家族に謝罪するのが、当然のことではないのでしょうか。
また当然警察がからむような事故なわけですから、
名前を出すか、出さないかということも問題になり、
ご家族の方は、出さないでくれという意向を示されたそうです。
ですが、現実には、本名が報道され、しかも第一報では、
その名前が、間違っていたそうです。
それだけではありません。
マスコミは、真実がわからないのをいいことに、
憶測で記事を書き、ご家族の方が傷つくような報道までしたそうです。
友人は、死にたくて死んだわけじゃありません。
それは、特にご家族の方は、痛いほどわかっておられると思います。
私が見たニュースは、事実を淡々と述べていただけだったのですが、
それとて、怒りが湧いてくるようなものでした。
ニュースというものの役割を考えてみても。
それが、憶測で書かれたとしか思えない記事だったとしたら?
その人を、知る者がその記事を読んだら?
それはきっと少数でしょう。ですが、真実を報道するのが報道マンの役目だとしたら、
憶測で人が傷つく記事を書くのは、役目に反してることにはならないのでしょうか?
私は、真実をありのままに報道することがニュースの役目だと思っています。
誤報なんてもってのほかですし、憶測でかかれた記事を載せるのも、
ある種の「誤報」だと思います。
メディアの性格によってある程度記事がゆがめられてしまうのは、よくあります。
ですが、真実ではない記事を書くとは、どういうことなんでしょう。
取材に基づいたものですか?
その人に近しい人であればあるほど、答えはノーに近づくと思います。
スクープを競うことが部数や視聴率につながるのは、仕方ないと思いますが、
さりとて、スクープを載せられたら、その中身はどうでもいいのでしょうか?
そんなことをしている時間すら、ないのでしょうか。
同じスクープだったら、真実をよりリアルに報道するべきなのではないでしょうか。
私は、読んだ人が傷つくような、記事だけは書きたくありません。