ミニコラム6〜グラズノフ ステンカ・ラージン

グラズノフはロシアの作曲家です。この曲のタイトル、「ステンカ・ラージン」とは、
17世紀のヴォルガの海賊にしてコサックのリーダーの名前です。

ステンカ・ラージンは17世紀に農民反乱をおこします。
当時ロシアはロマノフ王朝の時代で、ツァーリ(王)が絶対的な権力をもち、
一握りの貴族と大多数の農民の身分の差がはっきりしていました。
ステンカ・ラージンは農奴制に反発して、ヴォルガ川流域で反乱を起こします。
結局、ステンカ・ラージンの軍は反乱を起こすも政府軍に鎮圧され、
彼は反逆の罪で殺されてしまいます。
その物語を表したのがこの「ステンカ・ラージン」です。

ステンカ・ラージンはペルシャの王妃を略奪して、
結局その王妃を戦いに勝つために神への捧げものとしてヴォルガ川に投げ入れます。
作品中にはそのときの場面も如実に描かれています。

この曲は、グラズノフが20歳の時に作った作品です。
なので、曲全体に若さが感じられます。
クラリネットは、はっきりいってかなりおいしいです。
先述の、ペルシャの王妃のテーマを最初に提示するのはクラリネットです。
なお、この曲には随所に有名な「ヴォルガの舟歌」のモチーフがあります。
これと、王妃のテーマが繰り返しあらわれて、この曲を構成しています。

演奏者的意見として、この曲ははっきりいってかなり難しいです。
イメージはストーリーがあるのでつかみやすいのですが、
やはり自分なりの解釈も必要とします。
さらに、技巧的に相当難しいですね。
なかなか、ツライです…。ハイ。

おすすめは、USSR Symphony Orchestra/Svetlanovのものです。
テンポの緩急がうまくついててかっこいいと思います。
2枚組みで1500円です。

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