コピー・ロボットはパーマンの留守を預かる役目を持っている。
本人の姿だけでなく、性格、能力、記憶もコピーされる。
パーマンという漫画の魅力の一つにコピー・ロボットがある。
ロボットは普通、主人の命令にだけ従っていればよく、余計な心は必要ない。
しかし、パーマンのコピーロボットの場合は、全く本人になりきる必要性があるため、
どうしても心を持たざるをえない。
心があるゆえにいろいろと面白いエピソードが起きてくる。
主人の命令をいやがってみたり、主人の相談にのったりする。
主従関係というよりは、双子の兄弟のようである。
双子の兄弟が、とても似ていても違った個性をもつように、
コピーロボットも主人とは微妙に違った個性をもっている。
アニメでは、ミツ夫はみち子のことが好きなのだが、
コピーロボットはユキという違う女の子を好きになってしまう。
ミツ夫がバード星に留学した後、留守を預かるのはコピーロボットなのだが、
ドラえもんの星野スミレのエピソードを見るとミツ夫は10年以上も帰ってきていない。
その間、コピーロボットはどういう状態なのだろうか。
コピー・ロボットも人間のように成長をするだろう。
人間のようにいろいろな経験をし、人生を作っていく。
恋もするだろうし、新しい友達や恩師、上司、同僚など人間関係を築き上げていく。
これはもはや本人の留守を預かるというレベルでない。
全く別々な人生が出来上がっている。
ミツ夫が留学から帰ったらどうなるのだろう。
ミツ夫がコピーロボットの鼻を押して人形に戻すことができるのだろうか。
人形に戻すという行為は、コピーが歩んで来た10年以上の人生を消してしまうことに
匹敵する。あるいは、ミツ夫がある意味別人が歩んで来た人生を引き継がなくては、
ならなくなるのか。ミツ夫留学時には、ミツ夫が歩んで来た11年の人生をコピーが
引き継いだが、ミツ夫帰還時には、コピーが歩んできた約10年の人生をミツ夫が引き
継ぐことになるのだろう。
インターネット上には多くのパーマンのパロディー小説がある。
ミツ夫留学後のコピーの人生とスミレとの関係が多くの読者を引きつけ、
パロディー小説の創作意欲をかきたてるのだろう。
そういう意味でもパーマンは非常に興味深い作品である。
|