バードマン

バードマンは宇宙の平和を守る異星人で、地球にパーマンたちを
任命するためにやってきた。パーマンたちを任命したあとも、
時々、地球にやってきて、パーマンたちを指導している。
新作のアニメを見ていると、話し方も軽い感じがして、
お茶目な人である。

原作の漫画を見ているとバードマンが出てくる回はあまり多くない。
だから、バードマンが出てくると、パーマンたちをどう指導するのか
関心がいってしまう。
バードマンの言動から、私が学んだことは多い。

バードマンがやってくるときというのは、パーマンがピンチの時が多い。
ピンチといっても命が危ないとかそういう時ではない。
(というか毎回危ない経験をパーマンはしている)
パーマンセットを盗まれたとか、
パーマンの正体がばれそうになっているとか、
パーマンをやめたがっているとかである。

そのときバードマンは直接助けたりしない。
パーマンたちが自身で解決できるように仕向けるのである。
そのへんのやり方が面白い。そしてそれは私自身の学びになる。
バードマンは問題解決よりも、問題解決していく上で、
パーマンたちがいかに成長していくのかに関心があるようだ。

バードマンが手を出したら一発で解決してしまうだろう。
正体がばれそうになったときだって、バードマンは記憶消去銃で、
正体をしってしまった人の記憶を消してしまうこともできるのである。
(記憶消去銃はアニメの第410話「さよならパー子」に出てくる。
パーマンをやめるスミレからパーマンの記憶を消すために使おうとした。)
でもそれは、パーマンが解決できないときの最終手段である。
バードマンは極力、パーマンたちが自分で解決するよう求めるのである。

ミツ夫がパーマンセットを奪われた話(パーマン全員集合)では、
バードマンは期限を設け、それに間に合わなければ、パーマンたちに
罰則を課している。しかし、バードマンにとっては、期限が重要なわ
けでない。期限に間に合わせようとして、彼らが努力をすることを求
めたのである。だから、期限に遅れたけれども、自分の時計をわざと
遅らせて、彼らの努力を認めたのである。バードマンの時計は壊れて
いるとパーマンたちにバカにされたけど、バードマンはそのようなこ
とは気にしない謙遜はひとである。余計なプライドは持っていない。
彼はパーマンたちが自分たちの力で問題を解決できたことだけがうれ
しいのである。

ミツ夫が成長していく過程ではバードマンが大きくかかわっている。
漫画ではバードマン登場の回は、ミツ夫が新たなものを得るきっかけ
となっている。

「パーマンはつらいよ」では、パーマンをやめたがっているミツ夫に
対して、バードマンは動揺することもなく、冷静に、なぜ人助けをす
るのかということを説いている。決して強制はしない。おだてたりも
しない。そのときミツ夫は反発するものの、後にこれが、ミツ夫が立
ち直るきっかけとなる。バードマンはミツ夫が必ず立ち直ることを知
っていたので、パーマン・セットをミツ夫にあずけている。

初回、バードマンがミツ夫を任命したとき、居眠りしていて、時間が
なくなったので、たまたまそこにいたミツ夫を任命したことになって
いる。だがしかし、のちにバードマンは精神分析機で心の奥底まで調
べて、パーマンにふさわしいかどうかを確かめたと言っている。
(パーマン全員集合)じゃあどうして適当に決めたふりをしたのか。
それはミツ夫が思い上がらないようにするためであろう。もし、自分
が特別に選ばれたのだと思いあがると、それが障害になって、ミツ夫
が成長できないからである。人は自分には足りないところがあると自
覚するから成長しようとする。バードマンはそれを知っていたので、
あえて初回で、そういう芝居をしたのだと思う。(これは推測)

私がパーマンを藤子・F・不二雄の作品の中で最高傑作と思っている
最大の要因はこのバードマンにあると思う。自分の中では、バードマ
ンはこの作品のキーマンである。

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