パーマン2号

パーマン2号はチンパンジーのパーマンである。
本名は「ブービー」。2歳。
旧作では、動物園でお母さんと一緒に住んでいたが、
新作では、老夫婦の家にペットとして飼われている。

パーマンの面白いところは、2号がお猿さんだというところである。
「なんでお猿さん!大丈夫?」という感じである。
藤子・F・不二雄特有のギャグセンスである。

しかし、2号は1号の手下的な扱いではない。
1号と同等の関係がある。1号自身が2号のことを親友と呼んでいる。
この辺がギャグであると同時に、藤子・F・不二雄の主張するところが見える。
まず、この地球は人間だけのものではないということがある。
そして、もう一つはブービーを社会から低く見られている人々のたとえとして
みる場合には、差別というものの無意味さを主張している。

パーマン2号は人間社会だけでなく、動物社会でも活躍の場がある。
漫画「2号の正体がばれた」「白ネコが犯人」では、ブービーの意外な人格者
の側面が照らし出されている。
「2号の正体がばれた」では、2号の正体を見てしまったとなりの犬が、ブー
ビーを脅迫する。秘密を守ることの交換条件として、自由に出回りたいという
犬の要求に応じる。だが、その犬が外で暴れ怖がられ捕まりそうになったとき、
ブービーは彼を助ける。助けられた犬は交換条件なしでも秘密を守ることを約
束する。そのあとでも、ブービーは夜にこっそりと犬を散歩させてあげる。
自分を脅迫した相手にも情をかけるブービーはまさに人格者だ。
「白ネコが犯人」では、盗みを行った猫を捕まえて懲らしめはするものの、
その猫がお腹がすき、仕方なくやったことが分かっていたので、残飯がいっぱ
い捨ててあるところへ連れていってあげるのである。
正義と慈悲を両方兼ね備えた大変立派なお猿さんなのである。
人間でもこんな人はあまり見ることができない。

この辺を見ていると、バードマンがなぜ猿をパーマンにしたのかが見えてくる。
最終回の「バード星への道」では、バードマンが「私から見たら君たちの優劣は
たいした違いではない」という趣旨のことを言っている。つまり、バード星人の
レベルからすれば、人と猿の違いでさえもたいした違いはないのである。
このことは、何でも優劣で人を評価したがる私たちへの作者からの教訓である。

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