アブラハム(聖典比較)

創世記(創)、アブラハム書(ア)、ジョセフ・スミス約(ジ)の比較

創11:26 テラは七十歳になってアブラム、ナホルおよびハランを生んだ。
創11:27 テラの系図は次のとおりである。テラはアブラム、ナホルおよびハランを生み、
        ハランはロトを生んだ。

ア01:01 わたしの先祖が住んでいたカルデヤ人の地において、わたしアブラハムは、別の
        居住の地を得ることが自分にとって必要であるのを知った。
ア01:02 また、わたしのためにさらに大いなる幸福と平安と安息があるのを知り、わたし
        は先祖の祝福と、私が聖任されるべきそれらの祝福をつかさどる権利とを得よう
        と努めた。わたしは自分自身が義に従うものであったので、また、多くの知識を
        持つ者となり、義に従うさらに大いなる者となることを望み、もっと多くの知識
        を持ち、多くの国民の先祖、平和の君となることを望み、また数々の指示を受け、
        神の戒めを守ることを望んだので、先祖に属する権利を持つ正当な相続人、大祭
        司となった。
ア01:03 それは先祖からわたしに授けられた。それは先祖から、時の初めから、まことに
        初めから、すなわち地が造られる前から現在まで伝わったものである。それは長
        子、すなわち最初の人、すなわちアダム、すなわち最初の先祖の権利であり、先
        祖たちを通してわたしに至ったものである。
ア01:04 わたしは、子孫に関して先祖に与えられた神の定めに従って、神権に任じられる
        ことを求めた。
ア01:05 わたしの先祖は、彼らの義と主なる彼らの神が与えられた聖なる戒めから離れて、
        異教徒の神々を礼拝し、わたしの言葉を聴くのをまったく拒んだ。
ア01:06 彼らは悪を行うことをその心に留め、エルケナの神と、リブナの神と、マーマク
        ラの神と、コラシの神と、エジプトの王パロの神にすっかり頼り切っていたから
        である。
ア01:07 そこで、彼らは異教徒の犠牲にその心を向けて、これら口の聞けない偶像に彼ら
        の子供たちをささげ、わたしの声を聴こうとせず、エルケナの祭司の手によって
        わたしの命を取ろうとした。エルケナの祭司はまた、パロの祭司であった。
ア01:08 さて当時、カルデヤの地に築かれた祭壇上でこれら異国の神々への犠牲として男
        女や子供をささげることが、エジプトの王パロの習わしであった。
ア01:09 そして、祭司はエジプト人の流儀に従って、パロの神にささげ物をし、またシャ
        グレールの神にもささげ物をした。ところで、シャグレールの神は太陽であった。
ア01:10 パロの祭司は、オリシェムの平野の奥にあるポテパルの丘と呼ばれた丘のそばに
        あった祭壇上で、子供を感謝のささげ物としてささげることさえ行った。
ア01:11 さて、この祭司は、かつてこの祭壇上で3人のおとめをささげた。このおとめた
        ちは、ハムの直系の王家の一人であるオニタの娘たちであった。このおとめたち
        はその節操のゆえにささげられたのである。彼女たちは木や石の神々をひれ伏し
        て拝もうとしなかったために、この祭壇上で殺された。そして、それはエジプト
        人の流儀に従って行われた。
ア01:12 さて、祭司たちはわたしに暴力を振るい、この祭壇上でそのおとめたちを殺した
        ように、わたしも殺そうとした。この祭壇について知るために、この記録の初め
        にある絵図を参照してほしい。
ア01:13 それはカルデヤ人の間で用いられたような寝台の形に倣って造られ、エルケナ、
        リブナ、マーマクラ、コラシの神々の前、およびエジプトの王パロの神に似た神
        の前に置かれていた。
ア01:14 あなたがたがこれらの神々について理解できるように、わたしは冒頭の図形中に
        それらの型を示した。このような種類の図形を、カルデヤ人はラーレーノスと呼
        ぶ。それは象形文字という意味である。
ア01:15 彼らがわたしをささげて命を取るために、その手をわたしの上に振り上げたとき、
        見よ、わたしは主なる神に声を上げた。すると、主は耳を傾けて聴いてくださり、
        全能者の示現でわたしを満たしてくださった。そして、主の前の天使がわたしの
        傍らに立ち、直ちに縄を解いてくれた。
ア01:16 そして、主の声がわたしに及んだ。「アブラハム、アブラハム、見よ、わたしの
        名はエホバである。わたしはあなたの声を聞いた。そして、あなたを救い出し、
        あなたを父の家から、すべての親族からあなたの知らない異国の地へ連れ出すた
        めに降って来た。
ア01:17 これは、彼らがその心をわたしから背けて、エルケナの神と、リブナの神と、マ
        ーマクラの神と、コラシの神と、エジプトの王パロの神を礼拝したためである。
        そこでわたしは、彼らに報いを下し、わたしの子であるあなたアブラハムの命を
        取ろうとして手を振り上げた者を滅ぼすために、降ってきたのである。
ア01:18 見よ、わたしはわたしの手によってあなたを導こう。わたしはあなたを受け入れ
        て、わたしの名、すなわちあなたの父の神権を与えよう。わたしの力はあなたの
        うえにあるであろう。
ア01:19 それはノアとともにあったように、あなたとともにあるであろう。しかし、あな
        たの働きによって、わたしの名はとこしえにこの世に知られるであろう。わたし
        はあなたの神だからである。」
ア01:20 見よ、ポテパルの丘は、カルデヤのウルの地にあった。主はエルケナの祭壇とそ
        の地の神々の祭壇を壊し、それらを完全に破壊し、祭司を打たれたので、彼は死
        んだ。そして、カルデヤに、またパロの宮廷に大きな嘆きがあった。パロとは、
        王族の血統による王を意味する。
ア01:21 さて、このエジプトの王は、ハムの腰から出た子孫であり、生まれはカナン人の
        血統を引いた者であった。
ア01:22 この家系からすべてのエジプト人が出て、カナン人の地がその地に残されたので
        ある。
ア01:23 エジプトの地は最初に一人の女によって発見された。この女はハムの娘であり、
        エジプタスの娘であった。エジプタスとは、カルデヤ語でエジプトを意味し、禁
        じられたものいう意味である。
ア01:24 この女がその地を発見したとき、それは水の下にあったが、後に彼女はそこに息
        子たちを定住させた。このようにして、ハムから、その地にのろいをとどめた人
        種が出たのである。
ア01:25 さて、エジプトの最初の政府は、ハムの娘であるエジプタスの長男パロによって
        設けられた。それはハムの政府に倣い、族長制であった。
ア01:26 パロは義にかなった人であり、王国を設立して、生涯賢明かつ公正に民を治め、
        最初の世代、最初族長統治の時代、すなわちアダムやノアの治世に先祖たちによ
        って設けられた制度を模倣しようと熱心に努めた。ノアは彼の先祖であり、彼に
        地の祝福と知恵の祝福を授けたが、神権に関しては彼をのろった。
ア01:27 さて、パロは神権の権利を持つことのできない血統の出であったが、パロたちは、
        ハムを通してノアからそれを受けたと自ら主張した。そのために、わたしの父は
        彼らの偶像崇拝に惑わされたのである。
ア01:28 しかし、わたしはこの後、わたし自身から創造の初めまでさかのぼって年代記を
        書くようにしよう。数々の記録がわたしの手に入り、わたしは現在までそれを所
        有しているからである。
ア01:29 さて、エルケナの祭司が打たれて死んだ後、その地に飢饉があるであろうとカル
        デヤの地についてわたしに言われたことが成就した。
ア01:30 このために、飢饉がカルデヤの全地に広がった。すると、わたしの父はその飢饉
        のためにひどく苦しみ、わたしの命を取ろうとわたしに対して企てた悪事を悔い
        た。
ア01:31 しかし、神権の権利に関する先祖すなわち族長たちの記録を、主なるわたしの神
        は、わたしの手の中に残された。したがって、創造の始まりと、もろもろの遊星
        と、もろもろの星の知識を、それが先祖に知らされたとおりに、わたしは今日ま
        で保持してきたのである。そこで、わたしの後に来る子孫の益のために、わたし
        はこれらの事柄の多くをこの記録に書くようにしよう。

考察)

・アブラハムが最初に住んでいたカルデヤのウルでは、偶像礼拝と人間の犠牲が捧げられ
 ていた。アブラハムも捧げられそうになったが、神によって助けられた。

・神権と福音について語られている。アブラハムの子孫が神権と福音で全世界の国民を
 祝福するという聖約が交わされた。

・エジプトの起源について説明されている。エジプト人は神権をもたないが、それを真似
 ていた。



創11:28 ハランは父テラにさきだって、その生れた地、カルデヤのウルで死んだ。
ア02:01 さて、主なる神がウルの地において飢饉をひどくされたので、わたしの兄弟ハラ
        ンは死んだ。しかし、わたしの父テラはなお、カルデヤのウルの地に住んでいた。

創11:29 アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライといい、ナホルの
        妻の名はミルカといってハランの娘である。ハランはミルカの父、またイスカの
        父である。
ア02:02 そして、わたしアブラハムはサライをめとり、わたしの兄弟ナホルはミルカをめ
        とった。ミルカはハランの娘であった。

創11:30 サライはうまずめで、子がなかった。
創11:31 テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻である嫁
        サライとを連れて、カナンの地へ行こうとカルデヤのウルを出たが、ハランに着
        いてそこに住んだ。

創12:01 時に主はアブラムに言われた、「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、
        わたしが示す地に行きなさい。
ア02:03 さて、主はわたしに言われた。「アブラハム、あなたは国を出て、親族と別れ、
        父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。」

ア02:04 そこで、わたしはカルデヤのウルの地を去り、カナンの地に向かった。わたしは
        兄弟の子ロトとその妻、およびわたしの妻サライを連れて行った。わたしの父も、
        わたしたちがハランと名付けた地までわたしについて来た。
ア02:05 そして、飢饉が和らいだ。すると、父はハランにとどまり、そこに住んだ。ハラ
        ンには多くの羊の群れがあったからである。父は再び偶像礼拝に戻り、そのため
        にハランにとどまった。

創11:32 テラの年は二百五歳であった。テラはハランで死んだ。

ア02:06 しかし、わたしアブラハムとわたしの兄弟の子ロトは、主に祈った。すると、主
        はわたしに現れて言われた。「立って、ロトを伴って行きなさい。わたしはあな
        たをハランから連れ出し、異国の地において、あなたをわたしの名を負う使え人
        にすると定めたからである。あなたの後の子孫がわたしの声に聞き従うとき、わ
        たしはその地を彼らに永遠の所有として与えるであろう。
ア02:07 わたしは主なるあなたの神である。わたしは天にすみ、地はわたしの足台である。
        わたしが海の上に手を差し伸べると、それはわたしの声に従う。わたしは風と火
        をおこしてわたしの車とする。わたしが山々に向かって『ここを去れ』と言えば、
        見よ、それらは突如一瞬にして旋風により取り去られる。
ア02:08 わたしの名はエホバであり、わたしは初めから終わりを知っている。それゆえ、
        わたしの手はあなたのうえにある。

創12:02 わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよ
        う。あなたは祝福の基となるであろう。
ア02:09 わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを計り知れないほど祝福し、あなた
        の名をすべての国民の間で大いなるものとしよう。あなたはあなたの後の子孫に
        とって祝福の基となり、彼らはすべての国民にこの務めと神権を携えていくであ
        ろう。

ア02:10 わたしはあなたの名によって彼らを祝福しよう。この福音を受け入れるすべての
        者はあなたの名によって呼ばれ、あなたの子孫と見なされ、立ち上がってあなた
        を父としてたたえるであろう。

創12:03 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地
        のすべてのやからは、あなたによって祝福される」。
ア02:11 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地
        のすべての氏族は、あなた(すなわち、あなたの神権)によって、また、この権
        利はあなたによって続くという約束をわたしはあなたに与えるのであなたの子孫
        (すなわち、あなたの神権)によって、またあなたの後の子孫(すなわち、文字
        通りの子孫、肉体の子孫)によって、救いの祝福すなわち永遠の命の祝福である
        福音の祝福を授けられるであろう。」

ア02:12 さて、主がわたしに語るのをやめて、わたしから退かれた後、わたしは心の中で
        言った。「あなたの僕はあなたを熱心に求めてきました。そして今、わたしはあ
        なたを見いだしました。
ア02:13 あなたは天使を遣わして、エルケナの神々からわたしを救い出してくださいまし
        た。わたしはあなたの御声によく聞き従うようにしますので、あなたの僕を立ち
        上がらせて、安らかに去らせてください。」

創12:04 アブラムは主が言われたようにいで立った。ロトも彼と共に行った。アブラムは
        ハランを出たとき七十五歳であった。
ア02:14 それで、わたしアブラハムは、主が言われたように出かけた。ロトもわたしと一
        緒に行った。わたしアブラハムはハランを出たとき、62歳であった。

創12:05 アブラムは妻サライと、弟の子ロトと、集めたすべての財産と、ハランで獲た人
        々とを携えてカナンに行こうとしていで立ち、カナンの地にきた。
ア02:15 わたしは、カルデヤのウルにいたときにめとったサライと、わたしの兄弟の子ロ
        トと、わたしたちが集めたすべての財産と、ハランで得た人々を伴ない、カナン
        の地へ向かう道に出て、道を進みながら天幕に住んだ。

ア02:16 したがって、わたしたちがハランからジェルションを通ってカナンの地へ向かう
        旅をしていたとき、永遠はわたしたちの覆いであり、わたしたちの岩であり、わ
        たしたちの救いであった。
ア02:17 さて、わたしアブラハムは、ジェルションの地で祭壇を築き、主にささげ物をし
        て、わたしの父の家から飢饉が去って彼らが滅びることのないようにと祈った。

創12:06 アブラムはその地を通ってシケムの所、モレのテレビンの木のもとに着いた。そ
        のころカナンびとがその地にいた。
ア02:18 その後、わたしたちは、ジェルションからその地を通ってシケムの地に着いた。
        それはモレの平野にあり、わたしたちはすでにカナン人の地の境に入っていた。
        わたしはモレの平野のそこで犠牲をささげ、心から主に呼び求めた。すでに偶像
        礼拝をする民族の地に入っていらからである。

創12:07 時に主はアブラムに現れて言われた、「わたしはあなたの子孫にこの地を与えま
        す」。アブラムは彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。
ア02:19 すると、主はわたしの祈りに答えて、わたしに現れ、「わたしはあなたの子孫に
        この地を与える」と言われた。

創12:08 彼はそこからベテルの東の山に移って天幕を張った。西にはベテル、東にはアイ
        があった。そこに彼は主のために祭壇を築いて、主の名を呼んだ。
ア02:20 そこで、わたしアブラハムは、主のために築いた祭壇の所から立ち上がり、そこ
        からべテルの東の山に移って天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。
        そこにわたしは主のために別の祭壇を築いて、再び主の名を呼んだ。

創12:09 アブラムはなお進んでネゲブに移った。

考察)

・ハランが死んだ理由は飢饉のためだった。

・父のテラは偶像礼拝をやめなかった。

・アブラハム書2章15節によると、アブラハムに付いて行った人々は奴隷ではなく、アブ
 ラハムが伝道をして、集めた人々であった。



創12:10 さて、その地にききんがあったのでアブラムはエジプトに寄留しようと、そこに
        下った。ききんがその地に激しかったからである。
ア02:21 そして、わたしアブラハムはなおも進んで、南へ旅を続けた。その地には飢饉が
        続いていた。そこで、わたしアブラハムはエジプトに下って行き、そこに滞在す
        ることにした。飢饉が非常に激しくなったからである。

創12:11 エジプトにはいろうとして、そこに近づいたとき、彼は妻サライに言った、「わ
        たしはあなたが美しい女であるのを知っています。
ア02:22 さて、わたしがエジプトに入ろうとしてそこに近づいたとき、主はわたしに言わ
        れた。「見よ、あなたの妻サライは、見るに非常に美しい女である。

創12:12 それでエジプトびとがあなたを見る時、これは彼の妻であると言ってわたしを殺
        し、あなたを生かしておくでしょう。
ア02:23 それで、エジプト人はサライを見ると、『この女はあの男の妻だ』と言ってあな
        たを殺し、サライは生かしておくであろう。それゆえ、あなたは次のように行な
        うようにしなさい。

創12:13 どうかあなたは、わたしの妹だと言ってください。そうすればわたしはあなたの
        おかげで無事であり、わたしの命はあなたによって助かるでしょう」。
ア02:24 サライに、あなたの妹であるとエジプト人に言わせなさい。そうすれば、あなた
        の命は助かるであろう。」

ア02:25 そこで、わたしアブラハムは、主がわたしに言われたことをすべて妻サライに告
        げた。「だから、どうかわたしの妹だと彼らに言ってほしい。そうすれば、わた
        しはあなたのおかげで無事であり、わたしの命はあなたによって助かるであろう。」

創12:14 アブラムがエジプトにはいった時エジプトびとはこの女を見て、たいそう美しい
        人であるとし、
創12:15 またパロの高官たちも彼女を見てパロの前でほめたので、女はパロの家に召し入
        れられた。
創12:16 パロは彼女のゆえにアブラムを厚くもてなしたので、アブラムは多くの羊、牛、
        雌雄のろば、男女の奴隷および、らくだを得た。
創12:17 ところで主はアブラムの妻サライのゆえに、激しい疫病をパロとその家に下され
        た。
創12:18 パロはアブラムを召し寄せて言った、「あなたはわたしになんという事をしたの
        ですか。なぜ彼女が妻であるのをわたしに告げなかったのですか。
創12:19 あなたはなぜ、彼女はわたしの妹ですと言ったのですか。わたしは彼女を妻にし
        ようとしていました。さあ、あなたの妻はここにいます。連れて行ってください」。
創12:20 パロは彼の事について人々に命じ、彼とその妻およびそのすべての持ち物を送り
        去らせた。

考察)

・エジプトに入る前に、サライを妹とだと言うように命じたのは主である。
 サライは異母妹なので嘘ではなかった。

・アブラハム書の模写3では、エジプトで、アブラハムがパロに招かれて、王座に座り、
 天文学の原理を教えたことが示されている。







創13:01 アブラムは妻とすべての持ち物を携え、エジプトを出て、ネゲブに上った。ロト
        も彼と共に上った。
創13:02 アブラムは家畜と金銀に非常に富んでいた。
創13:03 彼はネゲブから旅路を進めてベテルに向かい、ベテルとアイの間の、さきに天幕
        を張った所に行った。
創13:04 すなわち彼が初めに築いた祭壇の所に行き、その所でアブラムは主の名を呼んだ。
創13:05 アブラムと共に行ったロトも羊、牛および天幕を持っていた。
創13:06 その地は彼らをささえて共に住ませることができなかった。彼らの財産が多かっ
        たため、共に住めなかったのである。
創13:07 アブラムの家畜の牧者たちとロトの家畜の牧者たちの間に争いがあった。そのこ
        ろカナンびととペリジびとがその地に住んでいた。
創13:08 アブラムはロトに言った、「わたしたちは身内の者です。わたしとあなたの間に
        も、わたしの牧者たちとあなたの牧者たちの間にも争いがないようにしましょう。
創13:09 全地はあなたの前にあるではありませんか。どうかわたしと別れてください。あ
        なたが左に行けばわたしは右に行きます。あなたが右に行けばわたしは左に行き
        ましょう」。
創13:10 ロトが目を上げてヨルダンの低地をあまねく見わたすと、主がソドムとゴモラを
        滅ぼされる前であったから、ゾアルまで主の園のように、またエジプトの地のよ
        うに、すみずみまでよく潤っていた。
創13:11 そこでロトはヨルダンの低地をことごとく選びとって東に移った。こうして彼ら
        は互に別れた。
創13:12 アブラムはカナンの地に住んだが、ロトは低地の町々に住み、天幕をソドムに移
        した。
創13:13 ソドムの人々はわるく、主に対して、はなはだしい罪びとであった。
創13:14 ロトがアブラムに別れた後に、主はアブラムに言われた、「目をあげてあなたの
        いる所から北、南、東、西を見わたしなさい。
創13:15 すべてあなたが見わたす地は、永久にあなたとあなたの子孫に与えます。
創13:16 わたしはあなたの子孫を地のちりのように多くします。もし人が地のちりを数え
        ることができるなら、あなたの子孫も数えられることができましょう。
創13:17 あなたは立って、その地をたてよこに行き巡りなさい。わたしはそれをあなたに
        与えます」。
創13:18 アブラムは天幕を移してヘブロンにあるマムレのテレビンの木のかたわらに住み、
        その所で主に祭壇を築いた。



創14:01 シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオク、エラムの王ケダラオメルおよび
        ゴイムの王テダルの世に、
創14:02 これらの王はソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シナブ、ゼボイ
        ムの王セメベル、およびベラすなわちゾアルの王と戦った。
創14:03 これら五人の王はみな同盟してシデムの谷、すなわち塩の海に向かって行った。
創14:04 すなわち彼らは十二年の間ケダラオメルに仕えたが、十三年目にそむいたので、
創14:05 十四年目にケダラオメルは彼と連合した王たちと共にきて、アシタロテ・カルナ
        イムでレパイムびとを、ハムでズジびとを、シャベ・キリアタイムでエミびとを
        撃ち、
創14:06 セイルの山地でホリびとを撃って、荒野のほとりにあるエル・パランに及んだ。
創14:07 彼らは引き返してエン・ミシパテすなわちカデシへ行って、アマレクびとの国を
        ことごとく撃ち、またハザゾン・タマルに住むアモリびとをも撃った。
創14:08 そこでソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ゼボイムの王およびベラすなわち
        ゾアルの王は出てシデムの谷で彼らに向かい、戦いの陣をしいた。
創14:09 すなわちエラムの王ケダラオメル、ゴイムの王テダル、シナルの王アムラペル、
        エラサルの王アリオクの四人の王に対する五人の王であった。
創14:10 シデムの谷にはアスファルトの穴が多かったので、ソドムの王とゴモラの王は逃
        げてそこに落ちたが、残りの者は山にのがれた。
創14:11 そこで彼らはソドムとゴモラの財産と食料とをことごとく奪って去り、
創14:12 またソドムに住んでいたアブラムの弟の子ロトとその財産を奪って去った。
創14:13 時に、ひとりの人がのがれてきて、ヘブルびとアブラムに告げた。この時アブラ
        ムはエシコルの兄弟、またアネルの兄弟であるアモリびとマムレのテレビンの木
        のかたわらに住んでいた。彼らはアブラムと同盟していた。
創14:14 アブラムは身内の者が捕虜になったのを聞き、訓練した家の子三百十八人を引き
        連れてダンまで追って行き、
創14:15 そのしもべたちを分けて、夜かれらを攻め、これを撃ってダマスコの北、ホバま
        で彼らを追った。
創14:16 そして彼はすべての財産を取り返し、また身内の者ロトとその財産および女たち
        と民とを取り返した。
創14:17 アブラムがケダラオメルとその連合の王たちを撃ち破って帰った時、ソドムの王
        はシャベの谷、すなわち王の谷に出て彼を迎えた。
創14:18 その時、サレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒とを持ってきた。彼はいと高
        き神の祭司である。

創14:19 彼はアブラムを祝福して言った、「願わくは天地の主なるいと高き神が、アブラ
        ムを祝福されるように。
創14:20 願わくはあなたの敵をあなたの手に渡されたいと高き神があがめられるように」。
        アブラムは彼にすべての物の十分の一を贈った。
ジ14:25 メルキゼデクは声を上げて、アブラムを祝福した。
ジ14:26 さて、メルキゼデクは信仰の人であり、義を行った。子供のころ、彼は神を畏れ、
        ライオンの口を封じ、猛火を鎮めた。
ジ14:27 こうして彼は神から認められ、神がエノクと交わされた聖約の位に従う大祭司に
        聖任された。
ジ14:28 それは、神の御子の位に従うものであり、その位は人によらず、人の意志によら
        ずに与えられたもので、父も母もなく、日の初めも年の終わりもない。それは神
        から来たものであった。
ジ14:29 それは、神御自身の声の召しにより、神御自身の御心に従って、人々に、すなわ
        ち神の名を信じるすべての人に与えられた。
ジ14:30 神御自身がエノクと彼の子孫に固く誓っておられたからである。この位と召しに
        従って聖任された人は皆、信仰により、山々を崩し、海を分け、水を干上がらせ、
        その流れを変える力を持つであろう。
ジ14:31 また、もろもろの国の軍勢をものともせず、地を分け、あらゆる縄目を解き、神
        の前に立ち、神の御心と命令のとおりにすべてのことを行い、支配と権威を服従
        させる力を持つであろう。これは創世の前からおられた神の御子の御心によるの
        である。
ジ14:32 この信仰を持ち、この神の位に上った人々は、身を変えられて天に取り上げられ
        た。
ジ14:33 さて、メルキゼデクはこの位の祭司であった。そのため、サレムで平和を得て、
        平和の君と呼ばれた。
ジ14:34 そして、この民は義を行い、天を得、エノクの町を求めた。それは、末日まで、
        すなわち世の終わりまで取っておくために、神がかつて地から分けて取り上げら
        れた町である。
ジ14:35 神は、天と地が一つとなり、神の子らが火によるかのように試されると言い、固
        く誓われた。
ジ14:36 このメルキゼデクはこのように義を打ち立てたので、彼の民によって天の王、言
        い換えれば、平和の王と呼ばれた。
ジ14:37 そして、彼は大祭司であり、神の倉を守る人であったので、声を上げて、アブラ
        ムを祝福した。
ジ14:38 神は彼を、貧しい人々のために什分の一を受け取るように定めておられた。
ジ14:39 そこでアブラムは、自分の持っていたすべてのもの、すなわち神が必要を超えて
        授けてくださったすべての所有の富の什分の一を彼に納めた。
ジ14:40 すると、神はアブラムを祝福し、御自身が交わされた聖約と、メルキゼデクが彼
        に授けた祝福とに従って、富と誉れと土地とを永遠の所有として彼に授けられた。

創14:21 時にソドムの王はアブラムに言った、「わたしには人をください。財産はあなた
        が取りなさい」。
創14:22 アブラムはソドムの王に言った、「天地の主なるいと高き神、主に手をあげて、
        わたしは誓います。
創14:23 わたしは糸一本でも、くつひも一本でも、あなたのものは何にも受けません。ア
        ブラムを富ませたのはわたしだと、あなたが言わないように。
創14:24 ただし若者たちがすでに食べた物は別です。そしてわたしと共に行った人々アネ
        ルとエシコルとマムレとにはその分を取らせなさい」。

考察)

・14章のジョセフ・スミス訳では、メルキゼデクの大いなる務めについて述べられている。
 メルキゼデク神権の権威と祝福が説明されている。

・アブラハムはメルキゼデクから神権を受けた。
 アブラハムの父は信仰から離れていたので、父から神権を受けられなかったからである。

・教義と聖約84:12-14
 イザヤスは神の手の下でそれ(神権)を受けた。
 イザヤスはまたアブラハムの時代に生きていて、彼から祝福を受けた。
 このアブラハムはメルキゼデクから神権を受け、メルキゼデクは先祖の血統を通して
 それを受け、まことにノアまで至る。

・メルキゼデクが十分の一を受け取っていたのは貧しい人に分け与えるためである。

・他の聖典に述べられているメルキゼデク
  ・ヘブル7:1-4(ジョセフ・スミス訳)
    このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の祭司であったが、王たちを
    撃破して帰るアブラハムを迎えて祝福し、
    それに対して、アブラハムは彼にすべての物の十分の一を分け与えたのである。
    その名の意味は、第一に義の王、次にまたサレムの王、すなわち平和の王である。
    なぜなら、このメルキゼデクは神の御子の位に従う祭司に聖任されたからである。
    その位とは父がなく、母がなく、系図がなく、生涯の初めもなく、命の終わりも
    ないものである。そして、この神権に聖任される人々は皆、神の御子のようであ
    って、いつまでも祭司なのである。
    そこで、族長のアブラハムが最もよいぶんどり品の十分の一を与えたのだから、
    この人がどんなにすぐれた人物であったかが、あなたがたにわかるであろう。
  ・アルマ13:14-19
    メルキゼデクも、わたしがこれまで語ってきたこの同じ位に従う大祭司であり、
    とこしえに大神権を受けた人である。
    アブラハムが什分の一を納めた相手はこのメルキゼデクであった。まことに、わ
    たしたちの先祖アブラハムは、彼の所有したすべてのものの10分の1をこの人
    に納めたのである。
    このメルキゼデクは、サレムの地を治める王であった。彼の民はかつて罪悪と忌
    まわしい行いを募らせていた。彼らは皆迷って、あらゆる悪事にふけっていたの
    である。
    しかし、メルキゼデクは力強い信仰を働かせ、神の聖なる位に従う大神権の職を
    受けたので、民に悔い改めを説いた。すると見よ、彼らは悔い改めた。そして、
    メルキゼデクは生涯その地に平和を確立した。そのために、彼はサレムの王であ
    ったので、平和の君と呼ばれた。彼はその父の下で国を治めた。
    さて、メルキゼデクよりも前に多くの人がおり、メルキゼデクより後にも多くの
    人がいたが、彼よりも偉大な人は一人もいなかった。そのため、人々が彼につい
    て述べることは特別であった。
  ・教義と聖約107:2-4
    なぜメルキゼデク神権と呼ばれるかといえば、メルキゼデクはそれほど偉大な大
    祭司であったからである。
    彼の時代の前には、これは神の御子の位に従う聖なる神権と呼ばれていた。
    しかし、至高者の名を敬い尊ぶことから、この名をあまり頻繁に繰り返すのを避
    けるために、昔の教会員はこの神権を、メルキゼデクにちなんで、メルキゼデク
    神権と呼んだのである。

・サレムとは「平安、平和」という意味である。エルサレムは、サレムに定冠詞のエルが
 付いた地名である。サレムの王が平和の君と言われた由縁である。





創15:01 これらの事の後、主の言葉が幻のうちにアブラムに臨んだ、「アブラムよ恐れて
        はならない、わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは、はなはだ大き
        いであろう」。
創15:02 アブラムは言った、「主なる神よ、わたしには子がなく、わたしの家を継ぐ者は
        ダマスコのエリエゼルであるのに、あなたはわたしに何をくださろうとするので
        すか」。
創15:03 アブラムはまた言った、「あなたはわたしに子を賜わらないので、わたしの家に
        生れたしもべが、あとつぎとなるでしょう」。
創15:04 この時、主の言葉が彼に臨んだ、「この者はあなたのあとつぎとなるべきではあ
        りません。あなたの身から出る者があとつぎとなるべきです」。
創15:05 そして主は彼を外に連れ出して言われた、「天を仰いで、星を数えることができ
        るなら、数えてみなさい」。また彼に言われた、「あなたの子孫はあのようにな
        るでしょう」。

ジ15:09 アブラムは言った。「主なる神よ、あなたはどのようにしてこの地を、永遠の受
        け継ぎとしてわたしにお授けくださるのですか。」
ジ15:10 すると、主は言われた。「たとえあなたが死んでも、それはあなたに授けられな
        いことがあろうか。
ジ15:11 あなたは、たとえ死んでもそれを所有する。人の子が生きる日が来るからである。
        しかし、死なないでどうして生きることができるだろうか。人の子にはまず命が
        与えられなければならない。」
ジ15:12 そして、アブラムは将来を見て人の子の時代を目にし、喜んだ。そして、彼の霊
        は安息を得、彼は主を信じた。そして、主はこれを彼の義と認められた。
創15:06 アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた。

創15:07 また主は彼に言われた、「わたしはこの地をあなたに与えて、これを継がせよう
        と、あなたをカルデヤのウルから導き出した主です」。
創15:08 彼は言った、「主なる神よ、わたしがこれを継ぐのをどうして知ることができま
        すか」。
創15:09 主は彼に言われた、「三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山ばとと、
        家ばとのひなとをわたしの所に連れてきなさい」。
創15:10 彼はこれらをみな連れてきて、二つに裂き、裂いたものを互に向かい合わせて置
        いた。ただし、鳥は裂かなかった。
創15:11 荒い鳥が死体の上に降りるとき、アブラムはこれを追い払った。
創15:12 日の入るころ、アブラムが深い眠りにおそわれた時、大きな恐ろしい暗やみが彼
        に臨んだ。
創15:13 時に主はアブラムに言われた、「あなたはよく心にとめておきなさい。あなたの
        子孫は他の国に旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを四百年の間、
        悩ますでしょう。
創15:14 しかし、わたしは彼らが仕えたその国民をさばきます。その後かれらは多くの財
        産を携えて出て来るでしょう。
創15:15 あなたは安らかに先祖のもとに行きます。そして高齢に達して葬られるでしょう。
創15:16 四代目になって彼らはここに帰って来るでしょう。アモリびとの悪がまだ満ちな
        いからです」。
創15:17 やがて日は入り、暗やみになった時、煙の立つかまど、炎の出るたいまつが、裂
        いたものの間を通り過ぎた。
創15:18 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた、「わたしはこの地をあなたの子
        孫に与える。エジプトの川から、かの大川ユフラテまで。
創15:19 すなわちケニびと、ケニジびと、カドモニびと、
創15:20 ヘテびと、ペリジびと、レパイムびと、
創15:21 アモリびと、カナンびと、ギルガシびと、エブスびとの地を与える」。

考察)

・15章6節のジョセフ・スミス訳では、アブラハムが神の御子を示現で見て復活について
 知ったことが記されている。

・15章12節、大きな恐ろしい暗やみについては、ジョセフ・スミスも最初の示現を受ける
 前に経験した。これは悪魔からの攻撃であった。

・15章13-16節、これは、ヤコブ家族がエジプトに移住してから、モーセによって脱出す
 るまでのことを予言している。

・15章17節、煙と炎は神の臨在を現わしている。出エジプト記でも、神は昼は煙の柱、
 夜は炎の柱でイスラエルの民を導いた。



創16:01 アブラムの妻サライは子を産まなかった。彼女にひとりのつかえめがあった。エ
        ジプトの女で名をハガルといった。
創16:02 サライはアブラムに言った、「主はわたしに子をお授けになりません。どうぞ、
        わたしのつかえめの所におはいりください。彼女によってわたしは子をもつこと
        になるでしょう」。アブラムはサライの言葉を聞きいれた。
創16:03 アブラムの妻サライはそのつかえめエジプトの女ハガルをとって、夫アブラムに
        妻として与えた。これはアブラムがカナンの地に十年住んだ後であった。
創16:04 彼はハガルの所にはいり、ハガルは子をはらんだ。彼女は自分のはらんだのを見
        て、女主人を見下げるようになった。
創16:05 そこでサライはアブラムに言った、「わたしが受けた害はあなたの責任です。わ
        たしのつかえめをあなたのふところに与えたのに、彼女は自分のはらんだのを見
        て、わたしを見下げます。どうか、主があなたとわたしの間をおさばきになるよ
        うに」。
創16:06 アブラムはサライに言った、「あなたのつかえめはあなたの手のうちにある。あ
        なたの好きなように彼女にしなさい」。そしてサライが彼女を苦しめたので、彼
        女はサライの顔を避けて逃げた。
創16:07 主の使は荒野にある泉のほとり、すなわちシュルの道にある泉のほとりで、彼女
        に会い、
創16:08 そして言った、「サライのつかえめハガルよ、あなたはどこからきたのですか、
        またどこへ行くのですか」。彼女は言った、「わたしは女主人サライの顔を避け
        て逃げているのです」。
創16:09 主の使は彼女に言った、「あなたは女主人のもとに帰って、その手に身を任せな
        さい」。
創16:10 主の使はまた彼女に言った、「わたしは大いにあなたの子孫を増して、数えきれ
        ないほどに多くしましょう」。
創16:11 主の使はまた彼女に言った、「あなたは、みごもっています。あなたは男の子を
        産むでしょう。名をイシマエルと名づけなさい。主があなたの苦しみを聞かれた
        のです。
創16:12 彼は野ろばのような人となり、その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は
        彼に逆らい、彼はすべての兄弟に敵して住むでしょう」。
創16:13 そこで、ハガルは自分に語られた主の名を呼んで、「あなたはエル・ロイです」
        と言った。彼女が「ここでも、わたしを見ていられるかたのうしろを拝めたのか」
        と言ったことによる。
創16:14 それでその井戸は「ベエル・ラハイ・ロイ」と呼ばれた。これはカデシとベレデ
        の間にある。
創16:15 ハガルはアブラムに男の子を産んだ。アブラムはハガルが産んだ子の名をイシマ
        エルと名づけた。
創16:16 ハガルがイシマエルをアブラムに産んだ時、アブラムは八十六歳であった。

考察)

・イシマエルはアラブ人の先祖となった。
 アラブ人もアブラハムが自分たちの始祖と信じている。



創17:01 アブラムの九十九歳の時、主はアブラムに現れて言われた、「わたしは全能の神
        である。あなたはわたしの前に歩み、全き者であれ。
創17:02 わたしはあなたと契約を結び、大いにあなたの子孫を増すであろう」。

創17:03 アブラムは、ひれ伏した。神はまた彼に言われた、
ジ17:03 そこで、アブラハムはひれ伏し、主の名を呼んだ。
ジ17:04 すると、神は彼に語って言われた。「わたしの民はわたしの教えから迷い出て、
        彼らの先祖たちにわたしが与えた定めを守っていない。
ジ17:05 また、彼らはわたしが命じた油注ぎと、埋葬すなわちバプテスマを守っておらず、
ジ17:06 その戒めに背を向けて、子供の洗いや血の注ぎを取り入れ、
ジ17:07 義人アベルの血は罪のために流されたと言い、そして自分たちがわたしの前に責
        任を問われることを理解していない。

創17:04 「わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたは多くの国民の父となるであろう。
創17:05 あなたの名は、もはやアブラムとは言われず、あなたの名はアブラハムと呼ばれ
        るであろう。わたしはあなたを多くの国民の父とするからである。
創17:06 わたしはあなたに多くの子孫を得させ、国々の民をあなたから起そう。また、王
        たちもあなたから出るであろう。

創17:07 わたしはあなた及び後の代々の子孫と契約を立てて、永遠の契約とし、あなたと
        後の子孫との神となるであろう。
ジ17:11 わたしはあなたと割礼の聖約を立てよう。これは、わたしと、あなたおよびあな
        たの代々後の子孫との間の聖約となる。子供は8歳になるまでわたしの前に責任
        を負えないことを、あなたがとこしえに知るためである。
ジ17:12 また、あなたは、わたしがあなたの先祖と交わしたすべての聖約を守るようにし
        なければならない。またあなたは、わたしがわたし自身の口によってあなたに与
        えた戒めを守らなければならない。そうすれば、わたしはあなたとあなたの後の
        子孫にとって神となるであろう。

創17:08 わたしはあなたと後の子孫とにあなたの宿っているこの地、すなわちカナンの全
        地を永久の所有として与える。そしてわたしは彼らの神となるであろう」。
創17:09 神はまたアブラハムに言われた、「あなたと後の子孫とは共に代々わたしの契約
        を守らなければならない。あなたがたのうち
創17:10 男子はみな割礼をうけなければならない。これはわたしとあなたがた及び後の子
        孫との間のわたしの契約であって、あなたがたの守るべきものである。
創17:11 あなたがたは前の皮に割礼を受けなければならない。それがわたしとあなたがた
        との間の契約のしるしとなるであろう。
創17:12 あなたがたのうちの男子はみな代々、家に生れた者も、また異邦人から銀で買い
        取った、あなたの子孫でない者も、生れて八日目に割礼を受けなければならない。
創17:13 あなたの家に生れた者も、あなたが銀で買い取った者も必ず割礼を受けなければ
        ならない。こうしてわたしの契約はあなたがたの身にあって永遠の契約となるで
        あろう。
創17:14 割礼を受けない男子、すなわち前の皮を切らない者はわたしの契約を破るゆえ、
        その人は民のうちから断たれるであろう」。
創17:15 神はまたアブラハムに言われた、「あなたの妻サライは、もはや名をサライとい
        わず、名をサラと言いなさい。
創17:16 わたしは彼女を祝福し、また彼女によって、あなたにひとりの男の子を授けよう。
        わたしは彼女を祝福し、彼女を国々の民の母としよう。彼女から、もろもろの民
        の王たちが出るであろう」。

創17:17 アブラハムはひれ伏して笑い、心の中で言った、「百歳の者にどうして子が生れ
        よう。サラはまた九十歳にもなって、どうして産むことができようか」。
ジ17:23 その時、アブラハムはひれ伏して喜び、心の中で言った。「100歳の者に子が
        生まれ、90歳のサラが子を産む。」

創17:18 そしてアブラハムは神に言った、「どうかイシマエルがあなたの前に生きながら
        えますように」。
創17:19 神は言われた、「いや、あなたの妻サラはあなたに男の子を産むでしょう。名を
        イサクと名づけなさい。わたしは彼と契約を立てて、後の子孫のために永遠の契
        約としよう。
創17:20 またイシマエルについてはあなたの願いを聞いた。わたしは彼を祝福して多くの
        子孫を得させ、大いにそれを増すであろう。彼は十二人の君たちを生むであろう。
        わたしは彼を大いなる国民としよう。
創17:21 しかしわたしは来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立て
        るであろう」。
創17:22 神はアブラハムと語り終え、彼を離れて、のぼられた。
創17:23 アブラハムは神が自分に言われたように、この日その子イシマエルと、すべて家
        に生れた者およびすべて銀で買い取った者、すなわちアブラハムの家の人々のう
        ち、すべての男子を連れてきて、前の皮に割礼を施した。
創17:24 アブラハムが前の皮に割礼を受けた時は九十九歳、
創17:25 その子イシマエルが前の皮に割礼を受けた時は十三歳であった。
創17:26 この日アブラハムとその子イシマエルは割礼を受けた。
創17:27 またその家の人々は家に生れた者も、銀で異邦人から買い取った者も皆、彼と共
        に割礼を受けた。

考察)

・17章のジョセフ・スミス訳では、割礼について明らかにされている。
  ・アブラハムの契約の子孫であることを示す。
  ・割礼の儀式が制定された理由
    ・民は正しい原則から遠ざかり、本当の儀式を放棄した。
    ・バプテスマは正しく遵守されていなかった儀式の一つだった。
    ・民の子らを洗い、アベルの血の記念に血を振りかけ、これは罪のために流され
     たのであると教えていた。
    ・彼らは子供が自分で責任を取れない間は、イエス・キリストの贖いが必要でな
     いことを理解していなかった。
  ・この背教のため割礼が制定された。
    ・割礼は契約のしるしであった。
    ・割礼はアブラハムの子孫のためのものであった。
    ・割礼は子供が8歳になるまで自分で責任が取れる年齢に達していないことを示
     していた。

・17章17節のジョセフ・スミス訳では、アブラハムは馬鹿にして笑ったのではなく、喜ん
 だと記している。これはヘブライ語の創世記によっても立証されている。

・アブラハムの聖約
  ・地の約束
    ・現世において
      カナンの地(パレスチナ)はアブラハムとその子孫に与えられる。
      アブラハムは生きている間、その地をまったく受けなかった。
      将来、死者が復活してから、主に忠実なアブラハムの子孫は、その地を所有
      し、必要であれば、それに応じて増え広がる。
    ・永遠において
      アブラハムの義にかなった子孫が、福千年の後、日の栄の状態になった地球
      を受け継ぐ。
  ・子孫の約束
    ・現世において
      アブラハムの子孫から数多くの国民が生まれた。イサクからはイスラエル人、
      イシマエルからアラブ人、ケトラからミデアン人。現在これらの人口は1億
      を超える。リーハイの子孫のアメリカ先住民、行方不明の十部族を加えると
      もっと多い。
    ・永遠において
      昇栄することによって、霊の子孫をもうけ続けられる。
  ・神権の約束
    ・現世において
      福音を説き、福音の祝福を、全人類にもたらすために神権が与えられた。
      アブラハムの子孫たちによって、全人類は祝福を受けた。旧約時代のモーセ
      などの預言者たち、イエス・キリスト、十二使徒、リーハイの子孫である
      アメリカ大陸の預言者たちは皆、アブラハムの子孫であった。
    ・永遠において
      昇栄することによって、御父の持っているものを受け継ぐ。

・このアブラハムの聖約はエライアスによって回復された。(教義と聖約110:12)
 アブラハムの聖約は現在では形を変え神殿で交わす聖約となっている。

・教義と聖約110:12
 エライアスが現れ、わたしたちと子孫によってわたしたちの後の時代のすべての者が
 祝福を受けるであろうと述べて、アブラハムの福音の神権時代をゆだねた。

・アブラハムは永遠の結婚をし、昇栄した。(教義と聖約132:29-31)

・教義と聖約132:29-31
 アブラハムは、啓示と戒めによって、すなわちわたしの言葉によって、彼が受けたすべ
 てのものを受け、そして昇栄に入ってその王座に着いている。
 アブラハムは、その子孫とその腰から出た者について約束を受けた。すなわち、彼らは
 この世にいるかぎり続くということである。アブラハムとその子孫についてであるが、
 彼らはこの世の外でも続くであろう。この世でもこの世の外でも、彼らは星のように数
 限りなく続く。すなわち、たとえ海辺の砂を数えたとしても、彼らを数え尽くすことは
 できないであろう。
 彼らは命じられたことのほかに何も行わなかったので、約束のとおりに昇栄に入り、
 王座に着いている。彼らは天使ではなく、神々なのである。

・「アブラム」は「高められた父」という意味、「アブラハム」は「多数の父」という意味、
 「サライ」「サラ」は「高貴な女性」という意味がある。(サライはサラの所有格)



創18:01 主はマムレのテレビンの木のかたわらでアブラハムに現れられた。それは昼の暑
        いころで、彼は天幕の入口にすわっていたが、
創18:02 目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。彼はこれを見て、天幕
        の入口から走って行って彼らを迎え、地に身をかがめて、
創18:03 言った、「わが主よ、もしわたしがあなたの前に恵みを得ているなら、どうぞし
        もべを通り過ごさないでください。
創18:04 水をすこし取ってこさせますから、あなたがたは足を洗って、この木の下でお休
        みください。
創18:05 わたしは一口のパンを取ってきます。元気をつけて、それからお出かけください。
        せっかくしもべの所においでになったのですから」。彼らは言った、「お言葉ど
        おりにしてください」。
創18:06 そこでアブラハムは急いで天幕に入り、サラの所に行って言った、「急いで細か
        い麦粉三セヤをとり、こねてパンを造りなさい」。
創18:07 アブラハムは牛の群れに走って行き、柔らかな良い子牛を取って若者に渡したの
        で、急いで調理した。
創18:08 そしてアブラハムは凝乳と牛乳および子牛の調理したものを取って、彼らの前に
        供え、木の下で彼らのかたわらに立って給仕し、彼らは食事した。
創18:09 彼らはアブラハムに言った、「あなたの妻サラはどこにおられますか」。彼は言
        った、「天幕の中です」。
創18:10 そのひとりが言った、「来年の春、わたしはかならずあなたの所に帰ってきまし
        ょう。その時、あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」。サラはうし
        ろの方の天幕の入口で聞いていた。
創18:11 さてアブラハムとサラとは年がすすみ、老人となり、サラは女の月のものが、す
        でに止まっていた。
創18:12 それでサラは心の中で笑って言った、「わたしは衰え、主人もまた老人であるの
        に、わたしに楽しみなどありえようか」。
創18:13 主はアブラハムに言われた、「なぜサラは、わたしは老人であるのに、どうして
        子を産むことができようかと言って笑ったのか。
創18:14 主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、定めの時に、わたしはあ
        なたの所に帰ってきます。そのときサラには男の子が生れているでしょう」。
創18:15 サラは恐れたので、これを打ち消して言った、「わたしは笑いません」。主は言
        われた、「いや、あなたは笑いました」。
創18:16 その人々はそこを立ってソドムの方に向かったので、アブラハムは彼らを見送っ
        て共に行った。
創18:17 時に主は言われた、「わたしのしようとする事をアブラハムに隠してよいであろ
        うか。
創18:18 アブラハムは必ず大きな強い国民となって、地のすべての民がみな、彼によって
        祝福を受けるのではないか。
創18:19 わたしは彼が後の子らと家族とに命じて主の道を守らせ、正義と公道とを行わせ
        るために彼を知ったのである。これは主がかつてアブラハムについて言った事を
        彼の上に臨ませるためである」。
創18:20 主はまた言われた、「ソドムとゴモラの叫びは大きく、またその罪は非常に重い
        ので、
創18:21 わたしはいま下って、わたしに届いた叫びのとおりに、すべて彼らがおこなって
        いるかどうかを見て、それを知ろう」。
創18:22 その人々はそこから身を巡らしてソドムの方に行ったが、アブラハムはなお、主
        の前に立っていた。
創18:23 アブラハムは近寄って言った、「まことにあなたは正しい者を、悪い者と一緒に
        滅ぼされるのですか。
創18:24 たとい、あの町に五十人の正しい者があっても、あなたはなお、その所を滅ぼし、
        その中にいる五十人の正しい者のためにこれをゆるされないのですか。
創18:25 正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことを、あなたは決してなさらないでし
        ょう。正しい者と悪い者とを同じようにすることも、あなたは決してなさらない
        でしょう。全地をさばく者は公義を行うべきではありませんか」。
創18:26 主は言われた、「もしソドムで町の中に五十人の正しい者があったら、その人々
        のためにその所をすべてゆるそう」。
創18:27 アブラハムは答えて言った、「わたしはちり灰に過ぎませんが、あえてわが主に
        申します。
創18:28 もし五十人の正しい者のうち五人欠けたなら、その五人欠けたために町を全く滅
        ぼされますか」。主は言われた、「もしそこに四十五人いたら、滅ぼさないであ
        ろう」。
創18:29 アブラハムはまた重ねて主に言った、「もしそこに四十人いたら」。主は言われ
        た、「その四十人のために、これをしないであろう」。
創18:30 アブラハムは言った、「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしは申しま
        す。もしそこに三十人いたら」。主は言われた、「そこに三十人いたら、これを
        しないであろう」。
創18:31 アブラハムは言った、「いまわたしはあえてわが主に申します。もしそこに二十
        人いたら」。主は言われた、「わたしはその二十人のために滅ぼさないであろう」。
創18:32 アブラハムは言った、「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしはいま一
        度申します、もしそこに十人いたら」。主は言われた、「わたしはその十人のた
        めに滅ぼさないであろう」。
創18:33 主はアブラハムと語り終り、去って行かれた。アブラハムは自分の所に帰った。

考察)

・18章1節にアブラハムに現れたのは主で、2節以降の3人は地上の人間である。



創19:01 そのふたりのみ使は夕暮にソドムに着いた。そのときロトはソドムの門にすわっ
        ていた。ロトは彼らを見て、立って迎え、地に伏して、
創19:02 言った、「わが主よ、どうぞしもべの家に立寄って足を洗い、お泊まりください。
        そして朝早く起きてお立ちください」。彼らは言った、「いや、われわれは広場
        で夜を過ごします」。
創19:03 しかしロトがしいて勧めたので、彼らはついに彼の所に寄り、家にはいった。ロ
        トは彼らのためにふるまいを設け、種入れぬパンを焼いて食べさせた。
創19:04 ところが彼らの寝ないうちに、ソドムの町の人々は、若い者も老人も、民がみな
        四方からきて、その家を囲み、
創19:05 ロトに叫んで言った、「今夜おまえの所にきた人々はどこにいるか。それをここ
        に出しなさい。われわれは彼らを知るであろう」。
創19:06 ロトは入口におる彼らの所に出て行き、うしろの戸を閉じて、
創19:07 言った、「兄弟たちよ、どうか悪い事はしないでください。

創19:08 わたしにまだ男を知らない娘がふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、
        さし出しますから、好きなようにしてください。ただ、わたしの屋根の下にはい
        ったこの人たちには、何もしないでください」。
ジ19:13 そこでロトは言った。「御覧ください。わたしにはまだ男を知らない娘が二人い
        ます。どうか兄弟たちよ、娘たちを差し出さなくてもよいようにしてください。
        娘たちに好き勝手なことはしないでください。
ジ19:14 神の僕がそのようなことをするのを、神は義とはされないからです。ですから、
        兄弟たちよ、もう一度だけお願いします。この人たちに何もしないで、わたしの
        家に安らかにいられるようにしてください。わたしの屋根の下に身を寄せていた
        だいたのですから。」

創19:09 彼らは言った、「退け」。また言った、「この男は渡ってきたよそ者であるのに、
        いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれは彼らに加えるよりも、
        おまえに多くの害を加えよう」。彼らはロトの身に激しく迫り、進み寄って戸を
        破ろうとした。
ジ19:09 彼らはロトに、「退け」と言った。彼らは彼に腹を立てていた。
ジ19:10 そして、彼らは互いに言った。「この男は渡って来たよそ者であるのに、裁き人
        になろうとする。今、我々は彼らに加えるよりも、この男に多くの害を加えよう。」
ジ19:11 そして、彼らはその人に言った。「あの男たちを、おまえの娘たちをもらおう。
        そして、好きなようにさせてもらう。」
ジ19:12 さて、これがソドムの流儀であった。

創19:10 その時、かのふたりは手を伸べてロトを家の内に引き入れ、戸を閉じた。
ジ19:15 すると、彼らはロトに腹を立て、進み寄って戸を破ろうとした。しかし、聖なる
        人々である神の天使たちは、手を伸べてロトを家の中に引き入れ、戸を閉じた。

創19:11 そして家の入口におる人々を、老若の別なく打って目をくらましたので、彼らは
        入口を捜すのに疲れた。
創19:12 ふたりはロトに言った、「ほかにあなたの身内の者がここにおりますか。あなた
        のむこ、むすこ、娘およびこの町におるあなたの身内の者を、皆ここから連れ出
        しなさい。
創19:13 われわれがこの所を滅ぼそうとしているからです。人々の叫びが主の前に大きく
        なり、主はこの所を滅ぼすために、われわれをつかわされたのです」。
創19:14 そこでロトは出て行って、その娘たちをめとるむこたちに告げて言った、「立っ
        てこの所から出なさい。主がこの町を滅ぼされます」。しかしそれはむこたちに
        は戯むれごとに思えた。
創19:15 夜が明けて、み使たちはロトを促して言った「立って、ここにいるあなたの妻と
        ふたりの娘とを連れ出しなさい。そうしなければ、あなたもこの町の不義のため
        に滅ぼされるでしょう」。
創19:16 彼はためらっていたが、主は彼にあわれみを施されたので、かのふたりは彼の手
        と、その妻の手と、ふたりの娘の手を取って連れ出し、町の外に置いた。
創19:17 彼らを外に連れ出した時そのひとりは言った、「のがれて、自分の命を救いなさ
        い。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはな
        らない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。
創19:18 ロトは彼らに言った、「わが主よ、どうか、そうさせないでください。
創19:19 しもべはすでにあなたの前に恵みを得ました。あなたはわたしの命を救って、大
        いなるいつくしみを施されました。しかしわたしは山まではのがれる事ができま
        せん。災が身に追い迫ってわたしは死ぬでしょう。
創19:20 あの町をごらんなさい。逃げていくのに近く、また小さい町です。どうかわたし
        をそこにのがれさせてください。それは小さいではありませんか。そうすればわ
        たしの命は助かるでしょう」。
創19:21 み使は彼に言った、「わたしはこの事でもあなたの願いをいれて、あなたの言う
        その町は滅ぼしません。
創19:22 急いでそこへのがれなさい。あなたがそこに着くまでは、わたしは何事もするこ
        とができません」。これによって、その町の名はゾアルと呼ばれた。
創19:23 ロトがゾアルに着いた時、日は地の上にのぼった。
創19:24 主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて、
創19:25 これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地にはえてい
        る物を、ことごとく滅ぼされた。
創19:26 しかしロトの妻はうしろを顧みたので塩の柱になった。
創19:27 アブラハムは朝早く起き、さきに主の前に立った所に行って、
創19:28 ソドムとゴモラの方、および低地の全面をながめると、その地の煙が、かまどの
        煙のように立ちのぼっていた。
創19:29 こうして神が低地の町々をこぼたれた時、すなわちロトの住んでいた町々を滅ぼ
        された時、神はアブラハムを覚えて、その滅びの中からロトを救い出された。
創19:30 ロトはゾアルを出て上り、ふたりの娘と共に山に住んだ。ゾアルに住むのを恐れ
        たからである。彼はふたりの娘と共に、ほら穴の中に住んだ。
創19:31 時に姉が妹に言った、「わたしたちの父は老い、またこの地には世のならわしの
        ように、わたしたちの所に来る男はいません。
創19:32 さあ、父に酒を飲ませ、共に寝て、父によって子を残しましょう」。
創19:33 彼女たちはその夜、父に酒を飲ませ、姉がはいって父と共に寝た。ロトは娘が寝
        たのも、起きたのも知らなかった。
創19:34 あくる日、姉は妹に言った、「わたしは昨夜、父と寝ました。わたしたちは今夜
        もまた父に酒を飲ませましょう。そしてあなたがはいって共に寝なさい。わたし
        たちは父によって子を残しましょう」。
創19:35 彼らはその夜もまた父に酒を飲ませ、妹が行って父と共に寝た。ロトは娘の寝た
        のも、起きたのも知らなかった。
創19:36 こうしてロトのふたりの娘たちは父によってはらんだ。
創19:37 姉娘は子を産み、その名をモアブと名づけた。これは今のモアブびとの先祖であ
        る。
創19:38 妹もまた子を産んで、その名をベニアンミと名づけた。これは今のアンモンびと
        の先祖である。

考察)

・19章8-10節のジョセフスミス訳ではロトがソドムの悪に対抗したことが記されている。
 ロトは娘を差し出さないように懇願した。

・ロトの妻が塩の柱になったことについて
  ・ロトの妻は残してきた財産を取りに戻ったために死んでしまったと思われる。
  ・ソドムは現在、死海の南部の湖底に沈んでいることから、塩の柱という表現に
   なったと思われる。

・ロトの娘たちが父と子を作ったことが記されているが、神に認められる行為でなかった。
 彼女たちは自分たち以外は、すべて滅んでしまったと思い込んでいたため、このよう
 な行為に及んでしまったと思われる。



創20:01 アブラハムはそこからネゲブの地に移って、カデシとシュルの間に住んだ。彼が
        ゲラルにとどまっていた時、
創20:02 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラル
        の王アビメレクは、人をつかわしてサラを召し入れた。
創20:03 ところが神は夜の夢にアビメレクに臨んで言われた、「あなたは召し入れたあの
        女のゆえに死なねばならない。彼女は夫のある身である」。
創20:04 アビメレクはまだ彼女に近づいていなかったので言った、「主よ、あなたは正し
        い民でも殺されるのですか。
創20:05 彼はわたしに、これはわたしの妹ですと言ったではありませんか。また彼女も自
        分で、彼はわたしの兄ですと言いました。わたしは心も清く、手もいさぎよく、
        このことをしました」。
創20:06 神はまた夢で彼に言われた、「そうです、あなたが清い心をもってこのことをし
        たのを知っていたから、わたしもあなたを守って、わたしに対して罪を犯させず、
        彼女にふれることを許さなかったのです。
創20:07 いま彼の妻を返しなさい。彼は預言者ですから、あなたのために祈って、命を保
        たせるでしょう。もし返さないなら、あなたも身内の者もみな必ず死ぬと知らな
        ければなりません」。
創20:08 そこでアビメレクは朝早く起き、しもべたちをことごとく召し集めて、これらの
        事をみな語り聞かせたので、人々は非常に恐れた。
創20:09 そしてアビメレクはアブラハムを召して言った、「あなたはわれわれに何をする
        のですか。あなたに対してわたしがどんな罪を犯したために、あなたはわたしと
        わたしの国とに、大きな罪を負わせるのですか。あなたはしてはならぬことをわ
        たしにしたのです」。
創20:10 アビメレクはまたアブラハムに言った、「あなたはなんと思って、この事をした
        のですか」。
創20:11 アブラハムは言った、「この所には神を恐れるということが、まったくないので、
        わたしの妻のゆえに人々がわたしを殺すと思ったからです。
創20:12 また彼女はほんとうにわたしの妹なのです。わたしの父の娘ですが、母の娘では
        ありません。そして、わたしの妻になったのです。
創20:13 神がわたしに父の家を離れて、行き巡らせた時、わたしは彼女に、あなたはわた
        したちの行くさきざきでわたしを兄であると言ってください。これはあなたがわ
        たしに施す恵みであると言いました」。
創20:14 そこでアビメレクは羊、牛および男女の奴隷を取ってアブラハムに与え、その妻
        サラを彼に返した。
創20:15 そしてアビメレクは言った、「わたしの地はあなたの前にあります。あなたの好
        きな所に住みなさい」。
創20:16 またサラに言った、「わたしはあなたの兄に銀千シケルを与えました。これはあ
        なたの身に起ったすべての事について、あなたに償いをするものです。こうして
        すべての人にあなたは正しいと認められます」。
創20:17 そこでアブラハムは神に祈った。神はアビメレクとその妻および、はしためたち
        をいやされたので、彼らは子を産むようになった。
創20:18 これは主がさきにアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの家のすべての者の
        胎を、かたく閉ざされたからである。

考察)

・なぜ王たちは老人のサラを妻にしようとしたのか。
  12章でエジプトの王が妻にしようとしたとき、サラは65歳、20章でゲラルの王が妻に
  しようとしたとき、サラは90歳だった。年齢が気にならないほど、美しかったのか。
  アブラハムは175歳、サラは127歳まで生きたので、この時代の人々は現在の倍くらい
  老化が遅かったのかもしれない。すると65歳は32歳の見た目、90歳は45歳の見た目
  になる。吉永小百合は70歳超えても、とても綺麗なので、年老いても人を惹きつける
  ことはあるのかもしれない。



創21:01 主は、さきに言われたようにサラを顧み、告げられたようにサラに行われた。
創21:02 サラはみごもり、神がアブラハムに告げられた時になって、年老いたアブラハム
        に男の子を産んだ。
創21:03 アブラハムは生れた子、サラが産んだ男の子の名をイサクと名づけた。
創21:04 アブラハムは神が命じられたように八日目にその子イサクに割礼を施した。
創21:05 アブラハムはその子イサクが生れた時百歳であった。
創21:06 そしてサラは言った、「神はわたしを笑わせてくださった。聞く者は皆わたしの
        ことで笑うでしょう」。
創21:07 また言った、「サラが子に乳を飲ませるだろうと、だれがアブラハムに言い得た
        であろう。それなのに、わたしは彼が年とってから、子を産んだ」。
創21:08 さて、おさなごは育って乳離れした。イサクが乳離れした日にアブラハムは盛ん
        なふるまいを設けた。
創21:09 サラはエジプトの女ハガルのアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクと遊ぶの
        を見て、
創21:10 アブラハムに言った、「このはしためとその子を追い出してください。このはし
        ための子はわたしの子イサクと共に、世継となるべき者ではありません」。
創21:11 この事で、アブラハムはその子のために非常に心配した。
創21:12 神はアブラハムに言われた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのため
        に心配することはない。サラがあなたに言うことはすべて聞きいれなさい。イサ
        クに生れる者が、あなたの子孫と唱えられるからです。
創21:13 しかし、はしための子もあなたの子ですから、これをも、一つの国民とします」。
創21:14 そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋とを取り、ハガルに
        与えて、肩に負わせ、その子を連れて去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒
        野にさまよった。
創21:15 やがて皮袋の水が尽きたので、彼女はその子を木の下におき、
創21:16 「わたしはこの子の死ぬのを見るに忍びない」と言って、矢の届くほど離れて行
        き、子供の方に向いてすわった。彼女が子供の方に向いてすわったとき、子供は
        声をあげて泣いた。
創21:17 神はわらべの声を聞かれ、神の使は天からハガルを呼んで言った、「ハガルよ、
        どうしたのか。恐れてはいけない。神はあそこにいるわらべの声を聞かれた。
創21:18 立って行き、わらべを取り上げてあなたの手に抱きなさい。わたしは彼を大いな
        る国民とするであろう」。
創21:19 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水の井戸のあるのを見た。彼女は行って
        皮袋に水を満たし、わらべに飲ませた。
創21:20 神はわらべと共にいまし、わらべは成長した。彼は荒野に住んで弓を射る者とな
        った。
創21:21 彼はパランの荒野に住んだ。母は彼のためにエジプトの国から妻を迎えた。
創21:22 そのころアビメレクとその軍勢の長ピコルはアブラハムに言った、「あなたが何
        事をなさっても、神はあなたと共におられる。
創21:23 それゆえ、今ここでわたしをも、わたしの子をも、孫をも欺かないと、神をさし
        てわたしに誓ってください。わたしがあなたに親切にしたように、あなたもわた
        しと、このあなたの寄留の地とに、しなければなりません」。
創21:24 アブラハムは言った、「わたしは誓います」。
創21:25 アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビ
        メルクを責めた。
創21:26 しかしアビメレクは言った、「だれがこの事をしたかわたしは知りません。あな
        たもわたしに告げたことはなく、わたしもきょうまで聞きませんでした」。
創21:27 そこでアブラハムは羊と牛とを取ってアビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。
創21:28 アブラハムが雌の小羊七頭を分けて置いたところ、
創21:29 アビメレクはアブラハムに言った、「あなたがこれらの雌の小羊七頭を分けて置
        いたのは、なんのためですか」。
創21:30 アブラハムは言った、「あなたはわたしの手からこれらの雌の小羊七頭を受け取
        って、わたしがこの井戸を掘ったことの証拠としてください」。
創21:31 これによってその所をベエルシバと名づけた。彼らがふたりそこで誓いをしたか
        らである。

創21:32 このように彼らはベエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルは
        立ってペリシテの地に帰った。
創21:33 アブラハムはベエルシバに一本のぎょりゅうの木を植え、その所で永遠の神、主
        の名を呼んだ。
創21:34 こうしてアブラハムは長い間ペリシテびとの地にとどまった。
ジ21:32 このようにして彼らはベエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコ
        ルは立ち上がって、ベエルシバに一本のぎょうりゅうの木を植え、その所で、主
        の名を呼んだ。
ジ21:33 そして、彼らはペリシテの地に帰った。
ジ21:34 そして、アブラハムは永遠の神を礼拝し、長い間ペリシテびとの地にとどまった。



創22:01 これらの事の後、神はアブラハムを試みて彼に言われた、「アブラハムよ」。彼
        は言った、「ここにおります」。
創22:02 神は言われた、「あなたの子、あなたの愛するひとり子イサクを連れてモリヤの
        地に行き、わたしが示す山で彼を燔祭としてささげなさい」。
創22:03 アブラハムは朝はやく起きて、ろばにくらを置き、ふたりの若者と、その子イサ
        クとを連れ、また燔祭のたきぎを割り、立って神が示された所に出かけた。
創22:04 三日目に、アブラハムは目をあげて、はるかにその場所を見た。
創22:05 そこでアブラハムは若者たちに言った、「あなたがたは、ろばと一緒にここにい
        なさい。わたしとわらべは向こうへ行って礼拝し、そののち、あなたがたの所に
        帰ってきます」。
創22:06 アブラハムは燔祭のたきぎを取って、その子イサクに負わせ、手に火と刃物とを
        執って、ふたり一緒に行った。
創22:07 やがてイサクは父アブラハムに言った、「父よ」。彼は答えた、「子よ、わたし
        はここにいます」。イサクは言った、「火とたきぎとはありますが、燔祭の小羊
        はどこにありますか」。
創22:08 アブラハムは言った、「子よ、神みずから燔祭の小羊を備えてくださるであろう」。
        こうしてふたりは一緒に行った。
創22:09 彼らが神の示された場所にきたとき、アブラハムはそこに祭壇を築き、たきぎを
        並べ、その子イサクを縛って祭壇のたきぎの上に載せた。
創22:10 そしてアブラハムが手を差し伸べ、刃物を執ってその子を殺そうとした時、
創22:11 主の使が天から彼を呼んで言った、「アブラハムよ、アブラハムよ」。彼は答え
        た、「はい、ここにおります」。
創22:12 み使が言った、「わらべを手にかけてはならない。また何も彼にしてはならない。
        あなたの子、あなたのひとり子をさえ、わたしのために惜しまないので、あなた
        が神を恐れる者であることをわたしは今知った」。
創22:13 この時アブラハムが目をあげて見ると、うしろに、角をやぶに掛けている一頭の
        雄羊がいた。アブラハムは行ってその雄羊を捕え、それをその子のかわりに燔祭
        としてささげた。
創22:14 それでアブラハムはその所の名をアドナイ・エレと呼んだ。これにより、人々は
        今日もなお「主の山に備えあり」と言う。
創22:15 主の使は再び天からアブラハムを呼んで、
創22:16 言った、「主は言われた、『わたしは自分をさして誓う。あなたがこの事をし、
        あなたの子、あなたのひとり子をも惜しまなかったので、
創22:17 わたしは大いにあなたを祝福し、大いにあなたの子孫をふやして、天の星のよう
        に、浜べの砂のようにする。あなたの子孫は敵の門を打ち取り、
創22:18 また地のもろもろの国民はあなたの子孫によって祝福を得るであろう。あなたが
        わたしの言葉に従ったからである』」。
創22:19 アブラハムは若者たちの所に帰り、みな立って、共にベエルシバへ行った。そし
        てアブラハムはベエルシバに住んだ。
創22:20 これらの事の後、ある人がアブラハムに告げて言った、「ミルカもまたあなたの
        兄弟ナホルに子どもを産みました。
創22:21 長男はウヅ、弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、
創22:22 次はケセデ、ハゾ、ピルダシ、エデラフ、ベトエルです」。
創22:23 ベトエルの子はリベカであって、これら八人はミルカがアブラハムの兄弟ナホル
        に産んだのである。
創22:24 ナホルのそばめで、名をルマという女もまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカ
        を産んだ。

考察)

・22章1-18節、イサクの犠牲は将来のイエスの贖いを予表していた。アブラハムとイサク
 が登った山は、将来、イエスが十字架に付けられた場所である。



創23:01 サラの一生は百二十七年であった。これがサラの生きながらえた年である。
創23:02 サラはカナンの地のキリアテ・アルバすなわちヘブロンで死んだ。アブラハムは
        中にはいってサラのために悲しみ泣いた。
創23:03 アブラハムは死人のそばから立って、ヘテの人々に言った、
創23:04 「わたしはあなたがたのうちの旅の者で寄留者ですが、わたしの死人を出して葬
        るため、あなたがたのうちにわたしの所有として一つの墓地をください」。
創23:05 ヘテの人々はアブラハムに答えて言った、
創23:06 「わが主よ、お聞きなさい。あなたはわれわれのうちにおられて、神のような主
        君です。われわれの墓地の最も良い所にあなたの死人を葬りなさい。その墓地を
        拒んで、あなたにその死人を葬らせない者はわれわれのうちには、ひとりもない
        でしょう」。
創23:07 アブラハムは立ちあがり、その地の民ヘテの人々に礼をして、
創23:08 彼らに言った、「もしわたしの死人を葬るのに同意されるなら、わたしの願いを
        いれて、わたしのためにゾハルの子エフロンに頼み、
創23:09 彼が持っている畑の端のマクペラのほら穴をじゅうぶんな代価でわたしに与え、
        あなたがたのうちに墓地を持たせてください」。
創23:10 時にエフロンはヘテの人々のうちにすわっていた。そこでヘテびとエフロンはヘ
        テの人々、すなわちすべてその町の門にはいる人々の聞いているところで、アブ
        ラハムに答えて言った、
創23:11 「いいえ、わが主よ、お聞きなさい。わたしはあの畑をあなたにさしあげます。
        またその中にあるほら穴もさしあげます。わたしの民の人々の前で、それをさし
        あげます。あなたの死人を葬りなさい」。
創23:12 アブラハムはその地の民の前で礼をし、
創23:13 その地の民の聞いているところでエフロンに言った、「あなたがそれを承諾され
        るなら、お聞きなさい。わたしはその畑の代価を払います。お受け取りください。
        わたしの死人をそこに葬りましょう」。
創23:14 エフロンはアブラハムに答えて言った、
創23:15 「わが主よ、お聞きなさい。あの地は銀四百シケルですが、これはわたしとあな
        たの間で、なにほどのことでしょう。あなたの死人を葬りなさい」。
創23:16 そこでアブラハムはエフロンの言葉にしたがい、エフロンがヘテの人々の聞いて
        いるところで言った銀、すなわち商人の通用銀四百シケルを量ってエフロンに与
        えた。
創23:17 こうしてマムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、畑も、その中のほら穴も、
        畑の中およびその周囲の境にあるすべての木も皆、
創23:18 ヘテの人々の前、すなわちその町の門にはいるすべての人々の前で、アブラハム
        の所有と決まった。
創23:19 その後、アブラハムはその妻サラをカナンの地にあるマムレ、すなわちヘブロン
        の前のマクペラの畑のほら穴に葬った。
創23:20 このように畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々によってアブラハムの所有の
        墓地と定められた。

考察)

・23章3-20節、アブラハムは神からカナンの地を与えられていたが、その地の住民から、
 力ずくで奪うことはせず、交渉して土地を購入した。



創24:01 アブラハムは年が進んで老人となった。主はすべての事にアブラハムを恵まれた。
創24:02 さてアブラハムは所有のすべてを管理させていた家の年長のしもべに言った、
        「あなたの手をわたしのももの下に入れなさい。
創24:03 わたしはあなたに天地の神、主をさして誓わせる。あなたはわたしが今一緒に住
        んでいるカナンびとのうちから、娘をわたしの子の妻にめとってはならない。
創24:04 あなたはわたしの国へ行き、親族の所へ行って、わたしの子イサクのために妻を
        めとらなければならない」。
創24:05 しもべは彼に言った、「もしその女がわたしについてこの地に来ることを好まな
        い時は、わたしはあなたの子をあなたの出身地に連れ帰るべきでしょうか」。
創24:06 アブラハムは彼に言った、「わたしの子は決して向こうへ連れ帰ってはならない。
創24:07 天の神、主はわたしを父の家、親族の地から導き出してわたしに語り、わたしに
        誓って、おまえの子孫にこの地を与えると言われた。主は、み使をあなたの前に
        つかわされるであろう。あなたはあそこからわたしの子に妻をめとらねばならな
        い。
創24:08 けれどもその女があなたについて来ることを好まないなら、あなたはこの誓いを
        解かれる。ただわたしの子を向こうへ連れ帰ってはならない」。
創24:09 そこでしもべは手を主人アブラハムのももの下に入れ、この事について彼に誓っ
        た。
創24:10 しもべは主人のらくだのうちから十頭のらくだを取って出かけた。すなわち主人
        のさまざまの良い物を携え、立ってアラム・ナハライムにむかい、ナホルの町へ
        行った。
創24:11 彼はらくだを町の外の、水の井戸のそばに伏させた。時は夕暮で、女たちが水を
        くみに出る時刻であった。
創24:12 彼は言った、「主人アブラハムの神、主よ、どうか、きょう、わたしにしあわせ
        を授け、主人アブラハムに恵みを施してください。
創24:13 わたしは泉のそばに立っています。町の人々の娘たちが水をくみに出てきたとき、
創24:14 娘に向かって『お願いです、あなたの水がめを傾けてわたしに飲ませてください』
        と言い、娘が答えて、『お飲みください。あなたのらくだにも飲ませましょう』
        と言ったなら、その者こそ、あなたがしもべイサクのために定められた者という
        ことにしてください。わたしはこれによって、あなたがわたしの主人に恵みを施
        されることを知りましょう」。
創24:15 彼がまだ言い終らないうちに、アブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエル
        の娘リベカが、水がめを肩に載せて出てきた。
創24:16 その娘は非常に美しく、男を知らぬ処女であった。彼女が泉に降りて、水がめを
        満たし、上がってきた時、
創24:17 しもべは走り寄って、彼女に会って言った、「お願いです。あなたの水がめの水
        を少し飲ませてください」。
創24:18 すると彼女は「わが主よ、お飲みください」と言って、急いで水がめを自分の手
        に取りおろして彼に飲ませた。
創24:19 飲ませ終って、彼女は言った、「あなたのらくだもみな飲み終るまで、わたしは
        水をくみましょう」。
創24:20 彼女は急いでかめの水を水ぶねにあけ、再び水をくみに井戸に走って行って、す
        べてのらくだのために水をくんだ。
創24:21 その間その人は主が彼の旅の祝福されるか、どうかを知ろうと、黙って彼女を見
        つめていた。
創24:22 らくだが飲み終ったとき、その人は重さ半シケルの金の鼻輪一つと、重さ十シケ
        ルの金の腕輪二つを取って、
創24:23 言った、「あなたはだれの娘か、わたしに話してください。あなたの父の家にわ
        たしどもの泊まる場所がありましょうか」。
創24:24 彼女は彼に言った、「わたしはナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘です」。
創24:25 また彼に言った、「わたしどもには、わらも、飼葉もたくさんあります。また泊
        まる場所もあります」。
創24:26 その人は頭を下げ、主を拝して、
創24:27 言った、「主人アブラハムの神、主はほむべきかな。主はわたしの主人にいつく
        しみと、まこととを惜しまれなかった。そして主は旅にあるわたしを主人の兄弟
        の家に導かれた」。
創24:28 娘は走って行って、母の家のものにこれらの事を告げた。
創24:29 リベカにひとりの兄があって、名をラバンといった。ラバンは泉のそばにいるそ
        の人の所へ走って行った。
創24:30 彼は鼻輪と妹の手にある腕輪とを見、また妹リベカが「その人はわたしにこう言
        った」というのを聞いて、その人の所へ行ってみると、その人は泉のほとりで、
        らくだのそばに立っていた。
創24:31 そこでその人に言った、「主に祝福された人よ、おはいりください。なぜ外に立
        っておられますか。わたしは家を準備し、らくだのためにも場所を準備しておき
        ました」。
創24:32 その人は家にはいった。ラバンはらくだの荷を解いて、わらと飼葉をらくだに与
        え、また水を与えてその人の足と、その従者たちの足を洗わせた。
創24:33 そして彼の前に食物を供えたが、彼は言った、「わたしは用向きを話すまでは食
        べません」。ラバンは言った、「お話しください」。
創24:34 そこで彼は言った、「わたしはアブラハムのしもべです。
創24:35 主はわたしの主人を大いに祝福して、大いなる者とされました。主はまた彼に羊、
        牛、銀、金、男女の奴隷、らくだ、ろばを与えられました。
創24:36 主人の妻サラは年老いてから、主人に男の子を産みました。主人はその所有を皆
        これに与えました。
創24:37 ところで主人はわたしに誓わせて言いました、『わたしの住んでいる地のカナン
        びとの娘を、わたしの子の妻にめとってはならない。
創24:38 おまえはわたしの父の家、親族の所へ行って、わたしの子に妻をめとらなければ
        ならない』。
創24:39 わたしは主人に言いました、『もしその女がわたしについてこない時はどういた
        しましょうか』。
創24:40 主人はわたしに言いました、『わたしの仕えている主は、み使をおまえと一緒に
        つかわして、おまえの旅にさいわいを与えられるであろう。おまえはわたしの親
        族、わたしの父の家からわたしの子に妻をめとらなければならない。
創24:41 そのとき、おまえはわたしにした誓いから解かれるであろう。またおまえがわた
        しの親族に行く時、彼らがおまえにその娘を与えないなら、おまえはわたしにし
        た誓いから解かれるであろう』。
創24:42 わたしはきょう、泉のところにきて言いました、『主人アブラハムの神、主よ、
        どうか今わたしのゆく道にさいわいを与えてください。
創24:43 わたしはこの泉のそばに立っていますが、水をくみに出てくる娘に向かって、
        「お願いです。あなたの水がめの水を少し飲ませてください」と言い、
創24:44 「お飲みください。あなたのらくだのためにも、くみましょう」とわたしに言う
        なら、その娘こそ、主がわたしの主人の子のために定められた女ということにし
        てください』。
創24:45 わたしが心のうちでそう言い終らないうちに、リベカが水がめを肩に載せて出て
        きて、水をくみに泉に降りたので、わたしは『お願いです、飲ませてください』
        と言いますと、
創24:46 彼女は急いで水がめを肩からおろし、『お飲みください。わたしはあなたのらく
        だにも飲ませましょう』と言いました。それでわたしは飲みましたが、彼女はら
        くだにも飲ませました。
創24:47 わたしは彼女に尋ねて、『あなたはだれの娘ですか』と言いますと、『ナホルと
        その妻ミルカの子ベトエルの娘です』と答えました。そこでわたしは彼女の鼻に
        鼻輪をつけ、手に腕輪をつけました。
創24:48 そしてわたしは頭をさげて主を拝し、主人アブラハムの神、主をほめたたえまし
        た。主は主人の兄弟の娘を子にめとらせようと、わたしを正しい道に導かれたか
        らです。
創24:49 あなたがたが、もしわたしの主人にいつくしみと、まことを尽そうと思われるな
        ら、そうとわたしにお話しください。そうでなければ、そうでないとお話しくだ
        さい。それによってわたしは右か左に決めましょう」。
創24:50 ラバンとベトエルは答えて言った、「この事は主から出たことですから、わたし
        どもはあなたによしあしを言うことができません。
創24:51 リベカがここにおりますから連れて行って、主が言われたように、あなたの主人
        の子の妻にしてください」。
創24:52 アブラハムのしもべは彼らの言葉を聞いて、地に伏し、主を拝した。
創24:53 そしてしもべは銀の飾りと、金の飾り、および衣服を取り出してリベカに与え、
        その兄と母とにも価の高い品々を与えた。
創24:54 彼と従者たちは飲み食いして宿ったが、あくる朝彼らが起きた時、しもべは言っ
        た、「わたしを主人のもとに帰らせてください」。
創24:55 リベカの兄と母とは言った、「娘は数日、少なくとも十日、わたしどもと共にい
        て、それから行かせましょう」。
創24:56 しもべは彼らに言った、「主はわたしの道にさいわいを与えられましたから、わ
        たしを引きとめずに、主人のもとに帰らせてください」。
創24:57 彼らは言った、「娘を呼んで聞いてみましょう」。
創24:58 彼らはリベカを呼んで言った、「あなたはこの人と一緒に行きますか」。彼女は
        言った、「行きます」。
創24:59 そこで彼らは妹リベカと、そのうばと、アブラハムのしもべと、その従者とを送
        り去らせた。
創24:60 彼らはリベカを祝福して彼女に言った、「妹よ、あなたは、ちよろずの人の母と
        なれ。あなたの子孫はその敵の門を打ち取れ」。
創24:61 リベカは立って侍女たちと共にらくだに乗り、その人に従って行った。しもべは
        リベカを連れて立ち去った。
創24:62 さてイサクはベエル・ラハイ・ロイからきて、ネゲブの地に住んでいた。
創24:63 イサクは夕暮、野に出て歩いていたが、目をあげて、らくだの来るのを見た。
創24:64 リベカは目をあげてイサクを見、らくだからおりて、
創24:65 しもべに言った、「わたしたちに向かって、野を歩いて来るあの人はだれでしょ
        う」。しもべは言った、「あれはわたしの主人です」。するとリベカは、被衣で
        身をおおった。
創24:66 しもべは自分がしたことのすべてをイサクに話した。
創24:67 イサクはリベカを天幕に連れて行き、リベカをめとって妻とし、彼女を愛した。
        こうしてイサクは母の死後、慰めを得た。
考察)

・アブラハムのしもべはアブラハムの兄弟のナホルの親族がすむ土地まで行って、
 親族から、イサクの結婚相手を探しに行った。
 イサクの妻となったリベカの父はナホルの息子である。





創25:01 アブラハムは再び妻をめとった。名をケトラという。
創25:02 彼女はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバクおよびシュワを産ん
        だ。
創25:03 ヨクシャンの子はシバとデダン。デダンの子孫はアシュリびと、レトシびと、レ
        ウミびとである。
創25:04 ミデアンの子孫はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアであって、これらは
        皆ケトラの子孫であった。
創25:05 アブラハムはその所有をことごとくイサクに与えた。
創25:06 またそのそばめたちの子らにもアブラハムは物を与え、なお生きている間に彼ら
        をその子イサクから離して、東の方、東の国に移らせた。
創25:07 アブラハムの生きながらえた年は百七十五年である。
創25:08 アブラハムは高齢に達し、老人となり、年が満ちて息絶え、死んでその民に加え
        られた。
創25:09 その子イサクとイシマエルは彼をヘテびとゾハルの子エフロンの畑にあるマクペ
        ラのほら穴に葬った。これはマムレの向かいにあり、
創25:10 アブラハムがヘテの人々から、買い取った畑であって、そこにアブラハムとその
        妻サラが葬られた。

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