羊飼いとして人々を導く

神権会のレッスン

2018年10月の総大会
「羊飼いとして人々を導く」(スティーブンソン長老)より


【お話のまとめ】 今回のテーマは「ミニスタリング」です。 そして「迷い出た羊」つまり、教会にあまり来られていない方を どのようにフォローするかについて考えます。 ・ミニスタリングとは   まず、基本的なことから、「ミニスタリング」とは何かについて見ていきます。   ミニスタリングとは「(教会員同士が互いに)仕え、教え、導く」ことです。   英語の辞書を見るとministerは「仕える」「世話をする」「大臣」という意味があります。   2018年4月2日付の大管長会の手紙の同封物には、従来のホーム・ティーチングとの違い   ついて、次の3つを挙げています。     ・御霊に導かれて行う     ・柔軟性がある     ・一人一人の会員の必要に合わる   また、「救い主の方法によって行う」ことが強調されています。   「愛」「啓示」「改心」がポイントになるでしょう。 ・手を差し伸べる   ・七十人会長会のゴドイ長老の経験     バプテスマを受けて教会に入ったばかりのころ、教えてくれた宣教師が転勤し、     教会に友人がいないので、自分の居場所がなくなったと感じました。     昔の友人と会って遊ぶようになり、教会に行かなくなりました。     あるワードの会員が助けの手を差し伸べ、温かく迎え入れるような方法で     教会に戻って来るよう招いてくれ、教会に戻りました。   ・私も似たような経験をしています。助けた方でなく、助けられた方です。    私は16歳で宣教師に出会って、教会に通うようになったのですが、    バプテスマを受けたのは、20歳になったときです。    その間の4年間は順調に教会に行っていたかというと、    教会に行かなかった時期もありました。    まだ、教会員ではないので、ホームティチャの割り当てを受けていなかった    のですが、若い男性の会長さんが私をフォローして、    再び教会に来るようにしてくれました。彼には感謝しています。   ・小さな働きが永遠の結果をもたらします。    天の御父はわたしたちの日々の何気ない働きを、    奇跡的なものに変えることができます。 ・ミニスタリング   ・わたしたちが互いに心をかける方法     ・「組織」として、個人と家族に仕える。     ・「主がなされたように」個人に対して仕え、教え、導く。     ・「主の御名」により、「主の力」と「権能」と「愛」に      あふれた優しさをもって仕える。     ・個人と家族が「儀式に備え」、交わした「聖約を守り」、      「自立」するように助ける。   ・ミニスタリングと、安息日のプログラム変更は関連します。    ミニスタリングで学んできたことが、空いた時間とのバランスを取り、    家庭を中心とした、より高く、より神聖な安息日の経験をしていくのに    役立ちます。    ミニスタリングで学んできたこととは何でしょうか。   ・ミニスタリングは「単に親切にする」以上のものです。    「主の方法」で行うことによって、永遠にわたるような良い影響をもたらす    ことができます。    主の方法とはどのようなものでしょうか。    今年は、家庭と日曜学校で新約聖書を学んでいるので、    救い主の方法をいっぱい学ぶことができます。    また、「救い主の方法で教える」という小冊子からも学ぶことができる。   ・主の方法     ・愛のゆえの奉仕     ・教える     ・相手ために祈る     ・慰める     ・祝福する     ・主に従うように招く     ・祈りの気持ちで願い求める     ・常に教会員を見守る     ・彼らとともにいて彼らを強める     ・各会員の家庭を訪れる     ・一人一人がイエス・キリストの弟子になれるよう助ける。 ・羊飼いから学ぶ   ・まことの羊飼いは自分の羊を愛し、どの羊の名前も知っており、    それぞれに対して心を寄せます。   ・牧羊の実際     ・羊を飼う仕事は困難を極めます。      朝は日の出のずっと前から始め、夜は日没のずっと後に仕事を終えます。      風、嵐、病気、怪我、干ばつなどの困難があります。      山の上まで、ずっと水を運ばないといけないこともあります。     ・大変な仕事なので、手伝う人や馬や犬がいます。     ・春の初めに山に連れて行った2000匹の羊が、冬が迫り羊を山から下ろして数えると      たいてい200匹以上がいなくなっています。肉食動物によって失われます。      安全な群れから離れ、羊飼いの保護から抜け出した羊を、肉食動物が狙います。     ・迷子になった羊は天敵からの危険に特にさらされやすいです。      費やす時間の最大15パーセントは、迷子の羊を探すためのものだそうです。      迷子の羊を捜し出すのが早ければ早いほど、羊が被害に遭う可能性が減ります。     ・牧羊犬は迷子の羊を見捨てません。      何匹かの羊が、夏の放牧地に取り残されたことがありました。      羊たちは雪に囲まれて身動きが取れなくなりました。      牧羊犬も一緒にそこに残っていた。羊を見守り、守りました。      牧羊犬は、羊たちを安全な羊飼いのもとや群れに導き、連れて行ける      ようになるまでそこに留まっていました。   ・羊飼い、群れ、羊飼いを手伝った人々は、それぞれ何をたとえてるでしょうか。     ・主はよい羊飼い       ・羊を知り、羊のために命を捨てる。       ・羊を養われ、羊は牧草を見いだす。       ・わたしたち一人一人を御存じで、見守ってくださっている。       ・これを知ることにより、わたしは永続する平安を感じる。       ・人生における苦難に直面したとき、仕え、教え、導いてくださる。       ・わたしたちの魂を回復してくださる。     ・主の群れの中の羊       ・わたしたちは個々に主によって仕え、教え、導かれる。     ・主は群れの中にいる羊を世話する助け手を必要とされている。       ・わたしたち自身も羊飼いとしてミニスタリングを助けるという責任がある。       ・主に仕え、主の名によって出て行き、主の羊を集める。       ・羊飼いはバプテスマを受けたすべての人。       ・わたしたちは愛をもって人々に手を差し伸べる。       ・おおかみから羊の群れを守る。       ・隣人が物質的または霊的に苦しんでいるとき、いつでも救助に駆けつける。       ・重荷が軽くなるように、互いの重荷を負い合う。       ・悲しむ者とともに悲しむ。       ・慰めの要る者を慰める。       ・主はそのことを愛をもって期待している。       ・世話する責任について報告する日がいつかやって来る。   ・迷い出た羊のたとえ     あなたがたのうちに、百匹の羊を持っている者がいたとする。     その一匹がいなくなったら、九十九匹を野原に残しておいて、     いなくなった一匹を見つけるまでは捜し歩かないであろうか。     そして見つけたら、喜んでそれを自分の肩に乗せ、     家に帰って来て友人や隣り人を呼び集め、     『わたしと一緒に喜んでください。いなくなった羊を見つけましたから』     と言うであろう。(ルカ15:4-7)     ・まとめ       1. わたしたちは迷い出た羊を特定する必要があります。       2. その羊が見つかるまで探します。       3. 見つかったら、必要な場合は羊を肩に乗せ、連れて帰ります。       4. 帰って来たら、友人とともに羊を囲みます。   ・すべての人は天の御父にとって貴い存在です。     ・天の御父の目から見て、その子供一人一人には計り知れない可能性があります。     ・人に対する神の愛は、人の理解をはるかに超えたものです。     ・献身的な牧羊犬のように、主は山にとどまって皆さんを風や嵐、雪、      そしてそのほかもっと多くのことから守ってくださいます。
【補足情報】 ・minister について   日本語の「大臣」は「大」であるのに対して、   英語の「minister」は「mini(小さい)」である。   「大臣」は一般の家臣と比べると大きいが、   王と比べるとmini(小さい)ことから、この違いが生じている。   ministerは大臣という意味が先にあって、   大臣が王に仕えることから「仕える」という意味が生じたようである。   ミニスタリングをする人を何と呼ぶかということについて、   ミニスターと呼ばないで、ミニスタリング・ブラザー、   ミニスタリング・シスターと呼ぶことになったのは、   ミニスターに大臣という意味があるからである。 ・従来のホーム・ティーチングとの違い   ・御霊に導かれて行う     ・必要を満たす最善の方法が分かるように霊感を求める。     ・利用可能なあらゆる手段を用いて働きかける。     ・型にはまった訪問や決められたメッセージに頼ることはできない。     ・霊感を求め,割り当てを受けた人々を思いやる最善の方法について,その家族と相談する。     ・機を見て、今と感じたときに。   ・柔軟性     ・優先順位が高い会員に力を注ぐ(新会員、受け入れてくれそうな不活発会員、      ひとり親家庭の親、伴侶をなくした人)     ・試練を経験している若い男性または若い女性のいる家族に青少年の指導者を割り当てる。     ・結婚している夫婦を家族または個人に割り当てる。     ・若い女性は,扶助協会の姉妹の同僚となる。     ・担当でなくても。     ・笑顔で挨拶するだけでも。   ・一人一人の会員の必要に合わせる     ・利用可能なあらゆる連絡手段を用いる     ・割り当てられた家族や個人と有益な話し合い     ・彼らに仕える最善の方法,      希望する働きかけの頻度とその方法,      メッセージを分かち合う必要があるか,      どのような内容のメッセージを必要としているかを理解する。 ・救い主の方法   聖典、特に新約聖書から救い主の方法を学ぶ。   知識を一方的に伝えることだけでなく、以下の3つが大切。   ・愛     ・相手を愛する     ・レッスンでなく、人々に心を向ける     ・励まし、指導、叱責   ・啓示     ・聖霊の導き(準備のときも、レッスン中のときも)     ・御霊によって教える     ・御霊に感じるままに臨機応変に教える     ・偶発的に訪れる「教える瞬間」を活用する   ・改心     ・自信も福音に従って生活する     ・自ら学ぶように支援する     ・生活に取り入れさせる     ・生活を変えるよう促す     ・責任を与える     ・奉仕させる   福音を教えるのは、生活を改善するのが目的だし、   そのためには、生徒を愛することが大切だし、   個々の生徒の必要性がわかるには聖霊の助けが必要になる。   そのためには、生徒の必要に合わせて、聖霊の促しのまま、   レッスン途中に計画を柔軟に変更することもある。 ・今回の説教の中で、「仕え、教え、導く」は7回使われている。  「主の方法」「主のように」は5回使われている。 ・リアホナ2018年12月号  「わたしのホームティーチャーと訪問教師はどこへ行ったのでしょうか」から   「ホームティチングと家庭訪問」と「ミニスタリング」の比較表     ホームティチングと家庭訪問  ミニスタリング     --------------------------------------------------------------     動機は義務感         動機は愛     何をするべきですか      なぜするべきですか     プロセスが大切        結果が大切     終了のチェック印を付ける   チェックし続ける     責任に焦点を当てる      人に焦点を当てる     月に1 度の訪問        シンプルで柔軟なコンタクト(1度に限らない)     決められたメッセージを届ける 御霊に導かれて福音を分かち合う     訪問に数えられるには?    霊的な福利に責任を持つ     兄弟姉妹に割り当てられる   兄弟姉妹にゆだねられる     終了を報告する        心を変える ・言葉のイメージから   ホームティチングでは、大管長会のメッセージを伝えて終りというイメージがある。   ミニスタリングは「仕える」「世話をする」というイメージがある。   言葉が変われば、イメージが変わり、イメージが変われば、思いが変わる。   思いが変われば、行いが変わり、行いが変われば実体が変わる。 ・家庭を中心にする。   ・家庭が教会のためにあるのでなく、教会が家庭のためにある。   ・教会が家庭を支援する。   ・個人が直接、神様との関係を築けるよう助ける。   ・ミニスタリングや、家庭での聖典学習は、これを実現する。   ・「魚を与える」から「魚の釣り方を教える」に変える。   ・ミニスタリングも家庭での聖典学習も「救い主の方法」よって行う。   ・「救い主の方法」を知るためには「家庭での聖典学習(特に新約聖書)」が必須。    「愛」「啓示」「改心」は救い主の方法のポイント   ・一方通行に知識を伝えるという従来のやり方を改めて、    相互に「愛」「啓示」「改心」念頭に置いて、仕え、教え、導く。 ・ジョセフ・スミス訳   「九十九匹を野原に残しておいて、いなくなった一匹を見つけるまでは」   の部分は、ジョセフ・スミス訳では、次のようになっている。   「九十九匹を残しておいて、野原に行って、いなくなった一匹を見つけるまでは」   九十九匹の安全を確保した上で、迷った羊を探しにいった。

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