高価な真珠 序文
『高価な真珠』は、末日聖徒イエス・キリスト教会の信仰と教義の多くの重要な事項に関連のある、えりすぐった資料の選集である。これらの記事は、預言者ジョセフ・スミスによって準備され、その当時の教会の定期刊行物に掲載されたものである。
『高価な真珠』という表題がつけられた最初の選集は、1851年に、当時十二使徒評議会会員であり、英国伝道部の部長でも会ったフランクリン・D・リチャ−ズ長老によって作成された。その目的は、ジョセフ・スミスの時代に限られた部数しか刊行されなかった幾つかの重要な記事を、人々がもっと容易に入手できるようにすることであった。ヨーロッパとアメリカの各地で教会員が多くなるにつれて、これらの記事を入手できるようにすることが必要となった。そして、『高価な真珠』は広く用いられるようになり、その後、1880年10月10日に、ソルトレーク・シティーにおける総大会で、大管長会の提議によって教会の標準聖典の一つとなったのである。
さらに教会の必要に応じて、内容に幾つかの改訂が加えられた。1878年には、初版に含まれていなかった「モーセ書」の一部が加えられた。1902年には、『教義と聖約』に重複して掲載されていた幾つかの部分が『高価な真珠』から削除された。1902年にはまた、章と節に分けられ、脚注がつけられた。1921年には、初めて2段組になり、索引がついた。その後、1976年4月まで変更はなかったが、この年に2つの啓示が加えられた。これら2つの啓示は、1979年に『高価な真珠』から『教義と聖約』に移された。それが現在の『教義と聖約』第137章と第138章である。また、現在の版には、内容を初期の記録と一致させるために幾つかの変更が加えられている。
以下は、現在の内容についての簡単な紹介である。
「モーセ書(抜粋)」1830年6月にジョセフ・スミスが翻訳を始めた、『聖書』のジョセフ・スミス訳の創世記からの抜粋(『教会歴史』(Histore of the Church)第1巻、98−101、131−139ページ参照)。
「アブラハム書」 1835年にジョセフ・スミスが入手したエジプトのパピルスからの翻訳。族長アブラハムの書き物がこれに含まれていた。その翻訳文は、イリノイ州ノーブーで1842年3月1日から『タイムズ・アンド・シーズンズ』(Times and Seasons)に連載された(『教会歴史』第4巻、519−534ページ参照)。
「ジョセフ・スミス−マタイ」 『聖書』のジョセフ・スミス訳の中の、マタイの証からの抜粋。『新約聖書』の翻訳を始めるようにとの神の指示については、教義と聖約第45章60−61節を参照。
「ジョセフ・スミス−歴史」 ジョセフ・スミスの公式の証と歴史からの抜粋。これは、彼が1838年に準備し、イリノイ州ノーブーで1842年3月15日から『タイムズ・アンド・シーズンズ』に連載されたものである。(全文については、『教会歴史』第1巻、1−44ページを参照)。
「末日聖徒イエス・キリスト教会の信仰箇条」 ウェントワース書簡として一般に知られた教会略史とともに、1842年3月1日に『タイムズ・アンド・シーズンズ』に掲載されたジョセフ・スミスの声明(『教会歴史』第4巻、535−541ページ参照)。