アルマ書32章では信仰を築き上げることを植物を育てることにたとえている。
人が神を受け入れ、信仰を養い、証を得るには、次の段階がある。
1)信じようとする望みを持つ。
2)御言葉を学ぶ。
3)光を感じる。
4)御言葉を行う。
5)証を得る。
6)証をする。
アルマ書32章
第1段階 信じようとする望みを持つ(他者のもつ実を味わう)
26 さて、信仰についてわたしが言ったように、信仰とは完全に知ることではない。わた
しの言葉についてもそのとおりである。信仰が完全に知ることではないのと同じよう
に、あなたがたはわたしの言葉が確かであることも最初から完全に知ることはできな
い。
27 しかし見よ、もしあなたがたが目を覚まし、能力を尽くしてわたしの言葉を試し、ご
くわずかな信仰でも働かせようとするならば、たとえ信じようとする望みを持つだけ
でもよい。わたしの言葉の一部分でも受け入れることができるほどの信仰になるまで、
その望みを育ててゆけ。
これは他者のもつおいしい実を味わうことにたとえられる。
このたとえは、アルマ書にはないが、わたしが追加した。
おいしい果物を食べるととてもうれしい気持ちになる。そして、自分もその果物
の種を育てて、おいしい果物を作ってみたいと思うようになる。
この果物は福音に対する証(言葉だけでなく、生活態度や人生観)を表している。
人々が信じようとする望みを持つきっかけは、既に信仰を持つ人々のもつ実、
つまり生活態度や人生観に共感することから始まる。
第2段階 神様の御言葉を学ぶ(種を植える)
28 さて、御言葉を一つの種にたとえてみよう。さて、もしあなたがたが心の中に場所を
設けて、種をそこに植えるようにするならば、見よ、それがほんとうの種、すなわち
良い種であり、またあなたがたが主の御霊に逆らおうとする不信仰によってそれを捨
てるようなことがなければ、見よ、その種はあなたがたの心の中でふくらみ始めるで
あろう。そして、あなたがたは種がふくらみつつあるのを感じると、心の中で次のよ
うに思うであろう。『これは良い種、すなわち御言葉は良いものに違いない。これは
わたしの心を広げ、わたしの理解力に光を注ぎ、まことに、それはわたしに良い気持
ちを与え始めている。』
29 さて見よ、これによってあなたがたの信仰は増さないであろうか。わたしはあなたが
たに言う。信仰は増す、と。にもかかわらず、まだ完全に知るというところまでは行
かない。
これは種を植えることにたとえられる。
信じようとする望みを持つと御言葉を学びたくなる。
モルモン書や聖書などの聖典を読んだり、聖餐会や日曜学校などの集会に参加し
たりして神様の御言葉を学ぶ。
第3段階 光を感じる(芽が出る)
30 しかし見よ、その種がふくらんで芽を出し、生長し始めると、あなたがたはその種を
良いものであると思うに違いない。見よ、それがふくらんで芽を出し、生長している
からである。さて見よ、これはあなたがたの信仰を強めないであろうか。まことに、
それはあなたがたの信仰を強めるであろう。あなたがたは、『これは良い種であるこ
とが分かる』と言う。見よ、それが芽を出し、生長し始めているからである。
31 ところで見よ、あなたがたはこれが良い種であると確信しているであろうか。確信し
ていると、わたしはあなたがたに言う。種はその種独自の形を生じるからである。
32 したがって、もし種が芽を出して生長するならば、それは良い種である。しかし、芽
を出さなければ、見よ、それは良い種ではないので捨てられる。
33 さて見よ、あなたがたはすでに試して種を植え、その種がふくらんで芽を出し、生長
し始めているので、その種が良いものであることを知るに違いない。
34 さて見よ、あなたがたの知識は完全であろうか。そのとおり、あなたがたの知識はそ
のことに関しては完全であるが、あなたがたの信仰は眠ったままである。この理由は
あなたがたが知っている。というのは、あなたがたは、御言葉があなたがたの心を高
めたのを知っており、またあなたがたは、それがすでに芽を出し、あなたがたの理解
力に光が注がれ、あなたがたの心が広がり始めているのを知っているからである。
35 おお、それならば、このことはほんとうではないだろうか。わたしはあなたがたに言
う。確かにほんとうである、と。なぜなら、それは光だからである。光は何であろう
と善である。というのは、そのように見分けがつくからであり、こうしてあなたがた
は、それが善であることを必ず知るようになる。さて見よ、この光を経験した後、あ
なたがたの知識は完全であろうか。
36 見よ、そうでないとあなたがたに言おう。あなたがたは自分の信仰を捨ててはならな
い。あなたがたは、種が良いものかどうかを知ろうとして、ただ信仰を働かせてその
種を植えてみただけだからである。
これは種が芽を出すことにたとえられる。
この光は目に見える光ではなく、心で感じる光で、キリストの光とも言われている。
これは、人の心を広げ、人の理解力に光を注ぎ、人に良い気持ちを与える。
そして、人はこの光が善であることを知るようになり、これは良いものに違いな
いと感じる。
第4段階 御言葉を行う(養いを与える)
37 そして見よ、木が生長し始めると、あなたがたは、『この木が根付き、生長し、わた
したちのために実を結ぶように、十分に注意して養いを与えよう』と言うであろう。
さて見よ、あなたがたが十分に注意して養いを与えれば、それは根付き、生長し、実
を結ぶであろう。
38 しかし、もしあなたがたがその木に構わず、養い育てることに心を配らなければ、見
よ、それが根付くことはないであろう。そして、太陽の暑さが及んでその木を熱する
と、その木はまったく根がないので枯れてしまうであろう。そこであなたがたは、そ
の木を抜いて捨てる。
39 さてこれは、種が良くなかったからでもなければ、実が好ましいものでなかったから
でもない。ただ、あなたがたの土地がやせているためである。あなたがたがその木に
養いを与えようとしないので、実を得ることができないのである。
これは養いを与えることにたとえられる。
せっかく芽が出ても水や肥料をやらなければ芽は枯れてしまう。
これと同じように御言葉を学び光を感じてもそれを行いに移さなければ信仰は萎
んでしまう。
神様の戒めを守り、自分の生活を改善し、良い人格を養い、キリストのような特
質を持つことができるよう努力する。また、キリストの生涯と模範、主が示され
た愛と希望と思いやりに注意を払って生活し、もっと人に親切にし、もっと忍耐
強く、もっと礼儀を尽くし、人をゆるせるようになるように努力する。
第5段階 証を得る(実を得る)
40 このように、もし信仰の目をもって実を期待しながら御言葉を養おうとしなければ、
あなたがたは決して命の木の実を得ることができない。
41 しかし、あなたがたが御言葉に養いを与えようとすれば、つまり、その木が生長を始
めるときに、非常な熱意と、忍耐を伴う信仰を働かせてその実を期待しながら養いを
与えようとすれば、それは根付くであろう。そして見よ、それは生長して永遠の命を
もたらす木になるであろう。
42 あなたがたは、御言葉が自分の中に根付くように、熱意と信仰と忍耐をもってそれを
養うので、見よ、やがてその実を得るであろう。その実は最も価値があり、どんな甘
いものよりも甘く、どんな白いものよりも白く、どんな清いものよりも清い。また、
あなたがたは満ち足りるまでその実を食べて、もう飢えることも、渇くこともないで
あろう。
これは実を得て味わうことにたとえられる。
聖句ガイドによると証とは聖霊によって与えられる知識と霊的な確信とある。
証は聖霊によって与えられる。
モロナイ書10章4節にはモルモン書について証を得る方法が書かれている。
「キリストを信じ」ながら問うならば「聖霊の力」によって答え与えられる。
行いがないならこのような証は得られない。証を得たとしても行うことをやめて
しまうと証を失ってしまう。
第6段階 証をする。(実を分かち合う)
これは実を、まだ信仰のない人に分け与えることにたとえられる。
このたとえも、アルマ書にはないが、わたしが追加した。
聖句ガイドでは証をすることとは聖霊の力によって証言することとある。
これには言葉だけでなく行いや思いや感情や表情など自分の持つ人柄すべてが含
まれる。これらは私たちの周りにいる人々になんらかの影響を与える。
意識して行う証よりも無意識に行う証のほうが多いかもしれない。
これを果物の実を他の人に与えることにたとえた。
これは、まだ信仰のない人の第1段階につながる。
自分に実っている証という果物を、周りの人々が味わい、そして、信じようとす
る望みを起こすようになる。大切なのは、自分が証という果物をいつもおいしく
実らせていることである。
図)信仰の6つの段階
―――――――― ――――――――――――
|他者が証をする|――>|1)信じようとする |
―――――――― | 望みを持つ |
| (他者の実を食べる)|
――――――――――――
|2)御言葉を学ぶ |
| (種を植える) |
―――――――― ――――――――――――
|キリストの光 |――>|3)光を感じる |
―――――――― | (芽を出す) |
――――――――――――
|4)御言葉を行う |
| (養いを与える) |
―――――――― ――――――――――――
| 聖霊の力 |――>|5)証を得る |
―――――――― | (実を得る) |
―――――――――――― ――――――――――――
|6)証をする |――>| 他者が信じようとする |
| (実を分け与える)| | 望みを持つ |
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証の公式 信仰+行い+御霊=証
植物が育つのには光と水と土が必要である。
・光に相当するのが「御霊」です。これは「祈り」を通して得られる。
・水に相当するのが「霊的な知識」これは「聖文の研究」を通して得られる。
・土に相当するのが「善を行なうこと」これは「戒めを守ること」である。
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