3−5 十二使徒の派遣

ガリラヤでの3度目の巡回


紀元32年 ガリラヤ
マタイ9:35-38,マルコ6:6

イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。
また群衆が飼う者のない羊のように弱り果てて、倒れているのをごらんになって、彼らを深くあわれまれた。
そして弟子たちに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。
だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい」。

十二使徒の派遣


紀元32年 ガリラヤ
マタイ10:1-42,11:1(ジョセフ・スミス訳),マルコ6:7-13,ルカ9:1-6

そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった。
十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、
ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、
熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。
イエスはこの十二人をつかわすに当り、ふたりずつつかわすことにして、彼らに命じて言われた、「異邦人の道に行くな。またサマリヤ人の町にはいるな。
むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところに行け。
行って、『天国が近づいた』と宣べ伝えよ。
病人をいやし、死人をよみがえらせ、らい病人をきよめ、悪霊を追い出せ。ただで受けたのだから、ただで与えるがよい。
ただわらじをはくだけで、財布の中に金、銀または銭を入れて行くな。
旅行のための袋も、二枚の下着も、くつも、つえも、パンも持って行くな。働き人がその食物を得るのは当然である。
どの町、どの村にはいっても、その中でだれがふさわしい人か、たずね出して、立ち去るまではその人のところにとどまっておれ。
その家にはいったなら、平安を祈ってあげなさい。
もし平安を受けるにふさわしい家であれば、あなたがたの祈る平安はその家に来るであろう。もしふさわしくなければ、その平安はあなたがたに帰って来るであろう。
もしあなたがたを迎えもせず、またあなたがたの言葉を聞きもしない人があれば、その家や町を立ち去る時に、彼らに対する抗議のしるしに、足のちりを払い落しなさい。
あなたがたによく言っておく。さばきの日には、ソドム、ゴモラの地の方が、その町よりは耐えやすいであろう。
わたしがあなたがたをつかわすのは、羊をおおかみの中に送るようなものである。だから、賢い僕に、またはとのように素直になりなさい。
人々に注意しなさい。彼らはあなたがたを衆議所に引き渡し、会堂でむち打つであろう。
またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためである。
彼らがあなたがたを引き渡したとき、何をどう言おうかと心配しないがよい。言うべきことは、その時に授けられるからである。
語る者は、あなたがたではなく、あなたがたの中にあって語る父の霊である。
兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、また子は親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。
またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
一つの町で迫害されたなら、他の町へ逃げなさい。よく言っておく。あなたがたがイスラエルの町々を回り終らないうちに、人の子は来るであろう。
弟子はその師以上のものではなく、僕はその主人以上の者ではない。
弟子がその師のようであり、僕がその主人のようであれば、それで十分である。もし家の主人がベルゼブルと言われるならば、その家の者どもはなおさら、どんなにか悪く言われることであろう。
だから彼らを恐れるな。おおわれたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。
わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言え。耳にささやかれたことを、屋根の上で言いひろめよ。
また、からだを殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、からだも魂も地獄で滅ぼす力のあるかたを恐れなさい。
二羽のすずめは一アサリオンで売られているではないか。しかもあなたがたの父の許しがなければ、その一羽も地に落ちることはない。
またあなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。
それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。
だから人の前でわたしを受けいれる者を、わたしもまた、天にいますわたしの父の前で受けいれるであろう。
しかし、人の前でわたしを拒む者を、わたしも天にいますわたしの父の前で拒むであろう。
地上に平和をもたらすために、わたしがきたと思うな。平和ではなく、つるぎを投げ込むためにきたのである。
わたしがきたのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をそのしゅうとめと仲たがいさせるためである。
そして家の者が、その人の敵となるであろう。
わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこや娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。
また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくない。
自分の命を求める者はそれを失い、わたしのために自分の命を失っている者は、それを得るであろう。
あなたがたを受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。
預言者の名のゆえに預言者を受けいれる者は、預言者の報いを受け、義人の名のゆえに義人を受けいれる者は、義人の報いを受けるであろう。
わたしの弟子であるという名のゆえに、この小さい者のひとりに冷たい水一杯でも飲ませてくれる者は、よく言っておくが、決してその報いからもれることはない」。

イエスは十二弟子にこのように命じ終えてから、町々で教えまた宣べ伝えるために、そこを立ち去られた。
そこで、彼らは出て行って、悔改めを宣べ伝え、
多くの悪霊を追い出し、大ぜいの病人に油をぬっていやした。


【動画】人々に福音を宣べ伝え,人々を祝福するために十二使徒を召されるイエス


ヨハネの死


紀元32年 ペレアのマケルス
マタイ14:1-2,6-12,マルコ6:14-16,21-29,ルカ9:7-9

ところが、よい機会がきた。ヘロデは自分の誕生日の祝に、高官や将校やガリラヤの重立った人たちを招いて宴会を催したが、
そこへ、このヘロデヤの娘がはいってきて舞をまい、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、
さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。
そこで少女は座をはずして、母に「何をお願いしましょうか」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えた。
するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った、「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます」。
王は非常に困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。
そこで、王はすぐに衛兵をつかわし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、
盆にのせて持ってきて少女に与え、少女はそれを母にわたした。

ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りにきて、墓に納めた。そして、イエスのところに行って報告した。
さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、
他の人々は「彼はエリヤ(Elias)だ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。
ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのか。
ヨハネはわたしがすでに首を切ったのだが、こうしてうわさされているこの人は、いったい、だれなのだろう」。そしてイエスに会ってみようと思っていた。

十二使徒の帰還と報告


紀元32年 ベツサイダの近くのピリポの領地
マタイ14:13,マルコ6:30-32,ルカ9:10

さて、使徒たちはイエスのもとに集まってきて、自分たちがしたことや教えたことを、みな報告した。
するとイエスは彼らに言われた、「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休むがよい」。それは、出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。
イエスは彼らを連れて、人を避け、舟に乗ってベツサイダという町へひそかに退かれた。
しかし、群衆はそれと聞いて、町々から徒歩であとを追ってきた。

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