2−2 ガリラヤでの伝道

イエス、悔い改めを説かれる


紀元30年 ガリラヤのカナ
マタイ4:17,マルコ1:14-15,ルカ4:15,ヨハネ4:45

ガリラヤに着かれると、ガリラヤの人たちはイエスを歓迎した。それは、彼らも祭に行っていたので、その祭の時、イエスがエルサレムでなされたことをことごとく見ていたからである。
イエスはガリラヤで、神の福音を宣べ伝えて言われた、
「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」。
イエスは諸会堂で教え、みんなの者から尊敬をお受けになった。

カペナウムの役人の死にかけている息子の癒し[奇跡]


紀元30年 ガリラヤのカナ
ヨハネ4:46-54


イエスは、またガリラヤのカナに行かれた。そこは、かつて水をぶどう酒にかえられた所である。ところが、病気をしているむすこを持つある役人がカペナウムにいた。

この人が、ユダヤからガリラヤにイエスのきておられることを聞き、みもとにきて、カペナウムに下って、彼の子をなおしていただきたいと、願った。その子が死にかかっていたからである。

そこで、イエスは彼に言われた、「あなたがたは、しるしと奇跡とを見ない限り、決して信じないだろう 」。
この役人はイエスに言った、「主よ、どうぞ、子供が死なないうちにきて下さい」。
イエスは彼に言われた、「お帰りなさい。あなたのむすこは助かるのだ 」。彼は自分に言われたイエスの言葉を信じて帰って行った。

その下って行く途中、僕たちが彼に出会い、その子が助かったことを告げた。
そこで、彼は僕たちに、そのなおりはじめた時刻を尋ねてみたら、「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えた。

それは、イエスが「あなたのむすこは助かるのだ 」と言われたのと同じ時刻であったことを、この父は知って、彼自身もその家族一同も信じた。
これは、イエスがユダヤからガリラヤにきてなされた第二のしるしである。


【動画】役人の息子


イエス、郷里の人々に拒まれる
イエスは群衆のまん中を通り抜けて去って行かれた[奇跡]


紀元30年 ガリラヤのナザレ
ルカ4:16-30,ヨハネ4:44


それからお育ちになったナザレに行き、安息日にいつものように会堂にはいり、聖書を朗読しようとして立たれた。

すると預言者イザヤの書が手渡されたので、その書を開いて、こう書いてある所を出された、
「主の御霊がわたしに宿っている。貧しい人々に福音を宣べ伝えさせるために、わたしを聖別してくださったからである。主はわたしをつかわして、囚人が解放され、盲人の目が開かれることを告げ知らせ、打ちひしがれている者に自由を得させ、
主のめぐみの年を告げ知らせるのである」。

イエスは聖書を巻いて係りの者に返し、席に着かれると、会堂にいるみんなの者の目がイエスに注がれた。

そこでイエスは、「この聖句は、あなたがたが耳にしたこの日に成就した」と説きはじめられた。
すると、彼らはみなイエスをほめ、またその口から出て来るめぐみの言葉に感嘆して言った、「この人はヨセフの子ではないか」。

そこで彼らに言われた、「あなたがたは、きっと『医者よ、自分自身をいやせ』ということわざを引いて、カペナウムで行われたと聞いていた事を、あなたの郷里のこの地でもしてくれ、と言うであろう」。
それから言われた、「よく言っておく。預言者は、自分の郷里では歓迎されないものである。
よく聞いておきなさい。エリヤ(Elias=Elijah)の時代に、三年六か月にわたって天が閉じ、イスラエル全土に大ききんがあった際、そこには多くのやもめがいたのに、
エリヤ(Elias=Elijah)はそのうちのだれにもつかわされないで、ただシドンのサレプタにいるひとりのやもめにだけつかわされた。
また預言者エリシャの時代に、イスラエルには多くのらい病人がいたのに、そのうちのひとりもきよめられないで、ただシリヤのナアマンだけがきよめられた」。

会堂にいた者たちはこれを聞いて、みな憤りに満ち、
立ち上がってイエスを町の外へ追い出し、その町が建っている丘のがけまでひっぱって行って、突き落そうとした。

しかし、イエスは彼らのまん中を通り抜けて、去って行かれた。
イエスはみずからはっきり、「預言者は自分の故郷では敬われないものだ 」と言われたのである。


【動画】腹を立てたナザレの人びと



【動画】メシヤであられることを宣言されるイエス


会堂で教えを説かれる


紀元30年 ガリラヤのカペナウム
マタイ4:13-16,ルカ4:31-32

そしてナザレを去り、ゼブルンとナフタリとの地方にある海べの町カペナウムに行って住まわれた。
そして安息日になると、人々をお教えになったが、
その言葉に権威があったので、彼らはその教に驚いた。
これは預言者イザヤによって言われた言が、成就するためである。
「ゼブルンの地、ナフタリの地、海に沿う地方、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤ、
暗黒の中に住んでいる民は大いなる光を見、死の地、死の陰に住んでいる人々に、光がのぼった」。

ペテロ、アンデレ、ヤコブ、ヨハネの召し
網が魚でいっぱいになった[奇跡]


紀元30年 ガリラヤの海
マタイ4:18-22(ジョセフ・スミス訳),マルコ1:16-20,ルカ5:1-11


イエスがガリラヤの海べを歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレとが、海に網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。
さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、
そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。
その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。

話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。
シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。

そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。

そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。
 
これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。
彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。

シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。わたしは預言者たちによって書き記されている者である。わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。
そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。
ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネも、
父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスのあとについて行った。


【動画】イエス,使徒をお選びになる



【動画】わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。


ペテロのしゅうとめを癒される[奇跡]
汚れた霊を追い出された[奇跡]
その他の人々を癒される[奇跡]


紀元30年 ガリラヤのカペナウム
マタイ8:14-17,マルコ1:21-34,ルカ4:33-41

それから、彼らはカペナウムに行った。そして安息日にすぐ、イエスは会堂にはいって教えられた。
人々は、その教に驚いた。律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。
ちょうどその時、けがれた霊につかれた者が会堂にいて、叫んで言った、
「ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。
イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け 」と言われた。
すると、けがれた霊は彼をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。
人々はみな驚きのあまり、互に論じて言った、「これは、いったい何事か。権威ある新しい教だ。けがれた霊にさえ命じられると、彼らは従うのだ」。
こうしてイエスのうわさは、たちまちガリラヤの全地方、いたる所にひろまった。
それから会堂を出るとすぐ、ヤコブとヨハネとを連れて、シモンとアンデレとの家にはいって行かれた。
ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床についていたので、人々はさっそく、そのことをイエスに知らせた。
イエスは近寄り、その手をとって起されると、熱が引き、女は彼らをもてなした。
夕暮になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた者をみな、イエスのところに連れてきた。
こうして、町中の者が戸口に集まった。
イエスは、さまざまの病をわずらっている多くの人々をいやし、また多くの悪霊を追い出された。悪霊も「あなたこそ神の子です」と叫びながら多くの人々から出ていった。しかし、イエスは彼らを戒めて、物を言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスはキリストだと知っていたからである。
これは、預言者イザヤによって「彼は、わたしたちのわずらいを身に受け、わたしたちの病を負うた」と言われた言葉が成就するためである。

ガリラヤでの巡回


紀元30年 ガリラヤ
マタイ4:23-25,マルコ1:35-39,ルカ4:42-44

朝はやく、夜の明けるよほど前に、イエスは起きて寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。
すると、シモンとその仲間とが、あとを追ってきた。
そしてイエスを見つけて、「みんなが、あなたを捜しています」と言った。
イエスは彼らに言われた、「ほかの、附近の町々にみんなで行って、そこでも教を宣べ伝えよう。わたしはこのために出てきたのだから 」。
イエスはガリラヤの全地を巡り歩いて、諸会堂で教え、王国の福音を宣べ伝え、イエスの名を信じる人々の中のあらゆる病気、あらゆる患いをお癒しになった。
そこで、その評判はシリヤ全地にひろまり、人々があらゆる病にかかっている者、すなわち、いろいろの病気と苦しみとに悩んでいる者、悪霊につかれている者、てんかん、中風の者などをイエスのところに連れてきたので、これらの人々をおいやしになった。
こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの向こうから、おびただしい群衆がきてイエスに従った。

らい病人の癒し[奇跡]


紀元30年 ガリラヤ
マタイ8:1-4,マルコ1:40-45,ルカ5:12-16

ひとりのらい病人が、イエスのところに願いにきて、ひざまずいて言った、「みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。
イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ 」と言われた。
すると、らい病が直ちに去って、その人はきよくなった。
イエスは彼をきびしく戒めて、すぐにそこを去らせ、こう言い聞かせられた、
「何も人に話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた物をあなたのきよめのためにささげて、人々に証明しなさい 」。
しかし、彼は出て行って、自分の身に起ったことを盛んに語り、また言いひろめはじめたので、イエスはもはや表立っては町に、はいることができなくなり、外の寂しい所にとどまっておられた。しかし、人々は方々から、イエスのところにぞくぞくと集まってきた。

中風の者の癒し[奇跡]


紀元30年 ガリラヤのカペナウム
マタイ9:2-8,マルコ2:1-12,ルカ5:17-26(以上ジョセフ・スミス訳)



幾日かたって、イエスがまたカペナウムにお帰りになったとき、家におられるといううわさが立ったので、
ガリラヤやユダヤの方々の村から、多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスは御言を彼らに語っておられた。
またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。
すると、人々がひとりの中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。

ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。
イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、しっかりしなさい。子よ、あなたの罪はゆるされた 」と言われた。
ところが、そこに幾人かの律法学者がすわっていて、心の中で論じた、
「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神をけがすことだ。神ひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」。
イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の心ですぐ見ぬいて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。
中風の者に、あなたの罪はゆるされた、と言う方が、起きて歩け、と言うより、たやすくない。

しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために 」と彼らに言い、中風の者にむかって、
「あなたに命じる。起きよ、床を取りあげて家に帰れ 」と言われた。
すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。
みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。


【動画】歩けなかった男



【動画】イエスが罪人を赦し、中風の男を癒す


マタイとの食事


紀元30年 ガリラヤのカペナウム
マタイ9:9-13,マルコ2:13-17,ルカ5:27-32

イエスはまた海べに出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。
また途中で、アルパヨの子レビ(マタイ)が収税所にすわっているのをごらんになって、「わたしに従ってきなさい 」と言われた。
すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。
それから彼の家で、食事の席についておられたときのことである。多くの取税人や罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。こんな人たちが大ぜいいて、イエスに従ってきたのである。
パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った、「なぜ、彼は取税人や罪人などと食事を共にするのか」。
イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。
『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。

断食についての説教
花婿と婚礼の客[たとえ]
古い着物と新しい布きれ[たとえ]
古い皮袋と新しいぶどう酒[たとえ]
古いぶどう酒と新しいぶどう酒[たとえ]


紀元30年 ガリラヤのカペナウム
マタイ9:14-17(ジョセフ・スミス訳),マルコ2:18-22,ルカ5:33-39

ヨハネの弟子とパリサイ人とは、断食をしていた。そこで人々がきて、イエスに言った、「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。
するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいる間は、悲しんでおられようか。しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その時には断食をするであろう。
すると、パリサイ人たちがイエスに言った。「あなたはわたしたちが律法全体を守っているのを見ておられるのに、なぜバプテスマをもってわたしたちを受け入れてくださらないのですか。」
しかし、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは律法を守っていない。もし守っていたら、わたしを受け入れていたはずである。律法を与えたのはわたしだからである。
わたしはあなたがたを、バプテスマをもって受け入れることをしない。それはあなたがたにとって何の役にも立たないからである。
新しいものが来ると、古いものは捨てられることになる。
それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。
まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。
新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。
まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。

キリストの生涯と教え

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