ニーファイ第2書


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リーハイの死。ニーファイの兄たち、ニーファイに背く。主、ニーファイに荒れ野へ立ち去るように警告される。荒れ野での旅など。

第1章

リーハイ、自由の地について預言する。リーハイの子孫は、イスラエルの聖者を拒むならば散らされ、打たれる。リーハイ、義の武具を身に着けるように息子たちに勧める。紀元前約588年から570年に至る。

01 さて、わたしニーファイが兄たちに教え終えてから、父のリーハイもまた多くのことを兄たちに話し、主が彼らをエルサレムの地から連れ出すに当たり、どれほど大いなることをなさったかを彼らに語った。
02 父はまた、彼らが海の上で背いたことや、神が彼らを憐れんで、海にのみ込まれないように命を助けてくださったことについて、彼らに語った。
03 さらに父は、彼らが得た約束の地について話し、また、エルサレムの地から逃れるように警告してくださった主がいかに憐れみ深い御方であるかを、彼らに語った。
04 見よ、父は言った。「わたしは示現を受け、エルサレムがすでに滅びてしまったことを知っている。エルサレムに残っていたら、わたしたちもまた滅びていたであろう。」
05 父は言った。「しかし、わたしたちはいろいろな苦難に遭ったにもかかわらず、約束の地を手に入れた。これはほかのあらゆる地に勝ったえり抜きの地であって、主なる神がわたしの子孫の受け継ぎの地としてわたしに聖約してくださった地である。まことに、主はこの地を、わたしやわたしの子孫にとこしえに下さると聖約され、また主の御手によってほかの国々から導かれて来るすべての人にも与えると聖約された。
06 それでわたしリーハイは、わたしの内にある御霊の働きによって預言する。すなわち、主の御手によって導かれて来るのでなければ、だれもこの地に来ることはない。
07 したがって、この地は主が連れて来られる者のために聖別されている。もしこの人々が主から与えられた戒めに従って主に仕えるならば、ここは彼らにとって自由の地となり、彼らは決して囚われの身に陥ることがないであろう。もし囚われの身に陥るならば、それは罪悪のためである。罪悪がはびこるとき、地は罪悪を犯す人々のためにのろわれるが、義人のためにはとこしえに祝福されるからである。
08 見よ、この地を今なおほかの国民に知られないようにしておくのは、賢いことである。見よ、多くの国民が群がって来て、受け継ぎの地がなくなってしまうからである。
09 それで、わたしリーハイは約束を受けている。すなわち、主なる神によってエルサレムの地から連れて来られる人々は、主の命令を守るかぎりこの地の面で栄え、またほかのすべての国民からも離されて、この地を自分のものとして所有する。そして彼らは、主の命令を守るならばこの地で祝福を受け、彼らを苦しめる者はなく、またその受け継ぎの地を取り上げる者もなく、とこしえに安全に暮らせるのである。
10 しかし見よ、彼らが主の御手から非常に大きな祝福を受けた後、すなわち、彼らが地とすべての人の創造についての知識を得、世の創造以来の主の大いなる驚くべき業を知り、信仰によってすべてのことを行う力を与えられ、世の初めからの戒めをことごとく授かり、しかも主の限りない慈しみによってこの貴い約束の地へ連れて来られた後に、不信仰に陥る時が来ると、見よ、わたしは言うが、もし彼らがまことのメシヤ、彼らの贖い主、彼らの神であるイスラエルの聖者を拒む日が来れば、公正な神の裁きが彼らにとどまるであろう。
11 まことに主は、彼らのもとにほかの国民を連れて来て力を授けられる。そして、彼らは所有している地を取り上げられ、散らされ、打たれる。
12 まことに、世代が移るにつれて、彼らの中に流血があり、大きな刑罰が下る。だから息子たちよ、覚えておいてほしい。まことに、わたしの言葉に聞き従ってほしい。
13 おお、あなたがたは目を覚ましていてもらいたい。深い眠りから、すなわち地獄の眠りから目覚めて、あなたがたを縛っている恐ろしい鎖を振り払いなさい。その鎖は人の子らを縛って、不幸と災いの永遠の淵に連れ去る鎖である。

14 目を覚ましなさい。そして地から立ち上がり、おののく父の言葉を聞きなさい。あなたがたは間もなく父の体を冷たい無言の墓に横たえなければならない。そこからはどんな旅人も決して戻って来ることができない。あとわずかで、わたしは世のすべての人のたどる道を行く。
15 しかし見よ、主はわたしを地獄から贖ってくださった。わたしは主の栄光を見た。そして、主の愛の御腕に永遠に抱かれている。
16 わたしは、あなたがたが主の掟と裁決を忘れずに守ることを願っているが、まさにこれは、初めからわたしの心配していたところである。
17 わたしの心は時々、悲しみに押しつぶされるようであった。それは、あなたがたの心がかたくななために、主なるあなたがたの神が満ちみちる激しい怒りを下されて、あなたがたが絶たれ、とこしえに滅ぼされてしまうのではないかと恐れてきたからである。
18 あるいは、多くの代にわたってのろいがあなたがたに及び、剣や飢饉に見舞われ、忌み嫌われ、また悪魔の意志に惑わされ、捕らえられはしないかと恐れてきたからである。
19 おお、息子たちよ、これらのことがあなたがたに及ぶことなく、あなたがたが主に選ばれた愛される民となるように願っている。しかし見よ、主の道はとこしえに義であるから、御心が行われるように。
20 主は『あなたがたはわたしの命令を守るかぎり地に栄える。しかし、わたしの命令を守らなければ、わたしの前から絶たれる』と言われた。
21 さて、わたしの霊があなたがたにあって喜びを得て、あなたがたのことを喜びながらこの世を去ることができるように、また、わたしの心が憂いや悲しみを抱いて墓に入ることのないように、息子たちよ、地から立ち上がって、男らしくありなさい。そして思いを一つにし、心を一つにして決意を固め、あらゆることに結束しなさい。これはあなたがたが囚われの身に陥らないためである。
22 また、ひどいのろいをもってのろわれないためであり、公正な神の不興を自分に招いて、滅びを、まことに霊と体の両方の永遠の滅びを受けることのないようにするためである。
23 目を覚ましなさい、息子たちよ。義の武具を身に着けなさい。あなたがたを縛っている鎖を振り払い、暗闇を抜け出て、地から立ち上がりなさい。
24 これからはもう、あなたがたの弟に背かないようにしなさい。彼の見た示現は荘厳なものであって、彼はわたしたちがエルサレムを出たときから神の命令を守り、神の御手に使われる者としてわたしたちを約束の地へ導いて来た。もし彼がいなかったなら、わたしたちはきっと荒れ野で飢え死にしていたであろう。にもかかわらず、あなたがたは彼の命を奪おうとした。そして、彼はあなたがたのためにひどく憂い悲しんだ。
25 わたしは、この後またニーファイが苦しむのではないかと、見よ、あなたがたのことで非常に恐れおののいている。それはあなたがたが、彼があなたがたを支配する権力と権能を求めたと言って彼をひどく責めてきたからである。しかしニーファイは、あなたがたを支配する権力と権能を求めたのではなく、神の栄光とあなたがた自身の永遠の幸いを求めてきたのである。わたしはそのことを知っている。
26 あなたがたは、彼がはっきり言ったのでつぶやいた。あなたがたは、彼が厳しかった、自分たちに対して怒ったなどと言う。しかし見よ、彼の厳しさは、彼の内にある神の御言葉の力の厳しさであって、またあなたがたの言う怒りとは、神の内にある真理にほかならない。それをニーファイは自ら抑えることができなくて、あなたがたの罪悪について大胆に明らかにしたのである。
27 神の力が彼とともにあるのは必要なことであって、彼が命じたことにあなたがたは従わなければならない。しかし見よ、彼が口をつぐむことができないほど彼の口を開いて語らせたのは、彼自身ではなく、彼の内にある主の御霊であった。
28 さて、わたしの息子レーマン、それにレムエル、サム、ならびにイシマエルの息子であるわたしの息子たちよ。見よ、あなたがたがニーファイの声に聞き従うならば、滅びないであろう。そして彼に聞き従うならば、わたしはあなたがたに祝福を、それも第1の祝福を残そう。
29 しかし、もしあなたがたが彼に聞き従わないならば、わたしは第1の祝福、まことにわたしの祝福を取り上げて、それをニーファイに授けよう。
30 さて、ゾーラムよ、わたしはあなたに告げる。見よ、あなたはラバンの僕であったが、エルサレムの地から連れて来られた。わたしはあなたが息子ニーファイにとって、とこしえに真の友であることを知っている。
31 したがって、あなたが忠実であったので、あなたの子孫はニーファイの子孫とともに祝福を受けて、長くこの地の面に住んで栄えるであろう。そしてあなたの子孫の中で罪悪が行われないかぎり、この地の面で栄えるのを損なったり阻害したりする者は、とこしえにないであろう。
32 それで、あなたがたが主の命令に従うならば、主はこの地を聖別し、あなたの子孫をわたしの息子の子孫とともに、安全に守ってくださるであろう。」


【動画】リーハイ,家族に最後の祝福を授ける


第2章

贖いは聖なるメシヤを通してもたらされる。選択の自由は存在と進歩にとって欠かせない。アダムが堕落したのは人が存在するためである。人は自由と永遠の命を選ぶことを許されている。紀元前約588年から570年に至る。

01 「さて、ヤコブよ、わたしはあなたに告げる。あなたは、わたしが荒れ野で艱難に遭っていたときに最初に生まれた子である。見よ、あなたは、幼いとき、あなたの兄たちが乱暴なためにひどい苦難を味わい、つらい思いをした。
02 しかしながら、荒れ野で最初に生まれたわたしの子ヤコブよ、あなたは神の偉大さを知っている。神はあなたの苦難を聖別して、あなたの益としてくださる。
03 そのため、あなたは祝福されて、兄ニーファイとともに安全に暮らすであろう。そして、神に仕えて生涯を送るであろう。それでわたしは、あなたが贖い主の義によって贖われていることを知っている。それは、時が満ちると人に救いをもたらすために贖い主が来られることを、あなたが見たからである。
04 またあなたは、若いときに贖い主の栄光を見た。だからあなたは、贖い主が肉にあって教え導かれるときにそれを受ける人々と同じように幸いである。それは、御霊は昨日も、今日も、またとこしえに変わらない御方だからである。人の堕落以来、方法が用意されており、救いは無料である。
05 人は善悪をわきまえることを十分に教えられている。また、人には律法が与えられている。しかし、この律法によって義とされる者はだれもいない。すなわち、この律法によって人は絶たれるのである。まことに、現世にかかわる律法によって人は絶たれ、また霊にかかわる律法によっても人は良いものから絶たれて、とこしえに惨めな状態になる。
06 したがって、贖いは聖なるメシヤによって、またメシヤを通じてもたらされる。それは、メシヤが恵みと真理に満ちておられるからである。
07 見よ、メシヤは律法の目的を達するため、打ち砕かれた心と悔いる霊を持つすべての人のために、罪に対する犠牲として御自身をささげられる。このような人々のためにしか、律法の目的は達せられないのである。
08 したがって、これらのことを地に住む者に知らせて、聖なるメシヤの功徳と憐れみと恵みによらなければ、だれも神の御前に住める者がいないことに気づかせるのは、何と大切なことであろうか。聖なるメシヤは、肉において御自分の命を一度捨て、そして、死者の復活をもたらすために御霊の力によって再びそれを得て、最初によみがえる者となられる。
09 したがって、メシヤは神にとって初穂となられるので、すべての人の子らのために執り成しをしてくださる。だから、メシヤを信じる者は救われるのである。
10 また、すべての人への執り成しがあるので、人は皆、神のみもとに来る。そのため、彼らは神の御前に立ち、神の内にある真理と聖さによって裁かれる。したがって、聖者が授けられた律法の目的は、定められた罰の執行にあり、贖罪の目的を達するために定められた罰を科することは、同じ目的で定められている幸福を与えることと相対している。
11 それは、すべての事物には反対のものがなければならないからである。荒れ野で最初に生まれた息子よ、もし事物に反対のものがなければ、義は生じ得ないし、邪悪も、聖さも惨めな状態も、善も悪も生じ得ない。そうすると、すべての事物は混じり合って一つとならざるを得ない。したがって、事物が一体となるならば、生も死も、朽ちる状態も朽ちない状態もなく、幸不幸も、意識も無意識もなく、死んだ状態で続かなければならない。
12 そうすると、すべての事物は無用に造られたということになり、したがって、創造には何も目的がなかったことになる。そのため、この一体となった事物は神の知恵とその永遠の目的、また神の力と憐れみと公正を滅ぼしてしまうに違いない。
13 もし律法がないと言うならば、罪もないと言わなければならない。もし罪がないと言うならば、義もないと言わなければならない。そして、もし義がなければ、幸福はない。そして、義も幸福もなければ、罰も不幸もない。そしてこれらのものがなければ、神は実在しない。神が実在しなければ、わたしたちは存在せず、大地もない。なぜならば、作用するものも作用されるものもなく、事物の創造はあり得なかったからである。そこで、すべての事物は消えうせていたに違いない。
14 さて、息子たちよ、わたしがこれらのことをあなたがたに話すのは、あなたがたの利益となり知識となるようにするためである。それは、神が実在し、すべての事物を、すなわち天地とその中にある万物を、作用するものも作用されるものも創造されたからである。
15 また、神がわたしたちの最初の先祖と野の獣と空の鳥、要するに、創造されて現在あるすべての事物を創造された後、人の行く末にかかわる永遠の目的を達するために反対のものが備えられなくてはならなかった。すなわち、禁断の実に対しては命の木というようであって、前者は甘く後者は苦かった。
16 そのようにして、主なる神は思いのままに行動することを人に許された。しかし人は、一方に誘われるか他方に誘われるかでなければ、思いのままに行動することはできなかった。
17 わたしリーハイは、自分が読んだことから考えるのだが、記録にあるとおり神の一人の天使が天から落ち、彼は神の御前で邪悪なことを求めたので、悪魔になったと思わざるを得ない。
18 彼は天から落ちて、とこしえに惨めな状態になったので、全人類もまた惨めな状態にしようとした。そこで彼、すなわち悪魔であり、あらゆる偽りの父である、あの年を経た蛇は、エバに、『禁断の実を食べなさい。あなたがたは死ぬことがなく、善悪を知って神のようになるであろう』と言った。
19 アダムとエバは禁断の実を食べた後、エデンの園から追い出され、地を耕すことになった。
20 そして彼らは、子供をもうけ、まことに全地の家族をもたらした。
21 また、人の子らの命は、肉にある間に悔い改めることができるように、神の御心によって引き延ばされた。したがって、彼らの状態は試しの状態となり、彼らの寿命は主なる神が人の子らに与えられた命令で長くされた。主なる神が、すべての人は悔い改めなければならないと命じられたからである。主なる神はすべての人に、先祖の背きのために彼らが道に迷った状態にあることを示されたのである。
22 ところで見よ、アダムがもし背かなかったならば、彼は堕落をせずにそのままエデンの園にいたであろう。そして創造されたすべてのものは、創造された後の状態そのままで存続したに違いない。また、すべてのものはとこしえに存続し、終わりがなかったに違いない。
23 そして、アダムとエバは子供を持たなかったであろう。また、不幸を知らないので喜びもなく、罪を知らないので善も行わず、罪のない状態にとどまっていたであろう。
24 しかし見よ、すべての物事は、万事を御存じである御方の知恵によって行われてきた。
25 アダムが堕落したのは人が存在するためであり、人が存在するのは喜びを得るためである。
26 そして時が満ちると、人の子らを堕落から贖うためにメシヤが来られる。人の子らは堕落から贖われているので、すでにとこしえに自由となり、善悪を知るようになっている。彼らは、神が下された戒めによって、大いなる終わりの日に律法に伴う罰を受けるほかは、思いのままに行動することができ、強いられることはないのである。
27 そのため、人は肉においては自由であり、人のために必要なものはすべて与えられる。そして人は、すべての人の偉大な仲保者を通じて自由と永遠の命を選ぶことも、あるいは悪魔の束縛と力に応じて束縛と死を選ぶことも自由である。悪魔は、すべての人が自分のように惨めになることを求めているからである。
28 ところで、息子たちよ、わたしはあなたがたが偉大な仲保者に頼り、主の大いなる戒めに聞き従い、主の御言葉に忠実であって、主の聖なる御霊の御心に添って永遠の命を選んでほしいと思っている。
29 肉の思いとその中に潜む悪に従って、永遠の死を選んではならない。肉の思いは、悪魔の霊に力を与え、あなたがたを捕らえて地獄に落とし、悪魔は彼自身の王国であなたがたを支配するであろう。
30 息子たちよ、わたしは自分の試しの生涯が終わろうとするに当たって、これらのわずかな言葉を、あなたがたすべての者に告げておく。わたしは預言者の言葉に従って善なるものを選んできた。わたしには、あなたがたの永遠の幸いを願う以外に何の目的もないのである。アーメン。」

第3章

エジプトにおいてヨセフは示現でニーファイ人を見た。ヨセフは、末日の聖見者ジョセフ・スミスと、イスラエルを救い出すモーセと、世に出る『モルモン書』について預言した。紀元前約588年から570年に至る。

01 「わたしの末の子であるヨセフよ、わたしはあなたに告げる。あなたはわたしが苦難に遭った荒れ野で生まれた。まことに、わたしが大いに嘆き苦しんでいたころに、あなたの母はあなたを産んだ。
02 あなたとあなたの子孫がイスラエルの聖者の戒めを守ることにより、主があなたの受け継ぎとして、またあなたの同胞とともにあなたの子孫が受け継ぐ地として、またとこしえに安全な地として、最も貴い地であるこの地を聖別してくださるように。
03 さて、わたしが苦難に遭った荒れ野から連れて来た末の子ヨセフよ、主がとこしえにあなたを祝福してくださるように。あなたの子孫がことごとく滅びてしまうことはないであろう。
04 見よ、あなたはわたしの腰から出た者であり、また囚われの身となってエジプトへ連れて行かれたヨセフの子孫だからである。主がヨセフに立てられた聖約は偉大である。
05 すなわち、ヨセフはまことにわたしたちの時代を見た。そしてヨセフは、主なる神がイスラエルの家のために、ヨセフの腰から出た者の中から1本の義にかなった枝を起こされるという、主の約束を受けた。その枝というのはメシヤではなく、折り取られる1本の枝のことである。この枝は、折り取られるにもかかわらず、主の聖約の中で思い起こされる。その聖約とは、彼らを暗闇から光に連れ出すために、まことに隠れた暗闇と束縛から自由へ連れ出すために、メシヤが力の霊によって末日にその御姿を彼らに現されるというものである。
06 ヨセフはまことに証して言った。『主なるわたしの神は、一人の聖見者を立てられる。それは、わたしの腰から出た者のためのえり抜きの聖見者である。』
07 まことに、ヨセフはまた言った。『主はわたしにこう言われた。「わたしはあなたの腰から出た者の中から、一人のえり抜きの聖見者を立てよう。彼はあなたの腰から出た者の中で大いに尊ばれるであろう。わたしはその聖見者に、彼の同胞であるあなたの腰から出た者のために一つの業を行うように命じよう。その業は、彼らにとって大いに価値のあるものであり、わたしがあなたの先祖と交わした聖約をあなたの腰から出た者に知らせるものである。
08 わたしはその聖見者に、わたしが命じる業のほかには何の業も行わないように命じよう。彼はわたしの業を行うので、わたしは彼を、わたしの目にかなった偉大な者としよう。
09 その聖見者はモーセのように偉大である。モーセとは、わたしの民を救い出すために、おお、イスラエルの家よ、わたしがあなたのために立てると言っておいた者である。
10 わたしはモーセを立てて、あなたの民をエジプトの地から救い出そう。
11 しかし、わたしはあなたの腰から出た者の中から一人の聖見者を立て、わたしの言葉をあなたの腰から出た子孫に伝える力を彼に授けよう。また、わたしの言葉を伝えるだけでなく、すでに彼らの中に伝わっているわたしの言葉を確信させる力も授けよう。
12 そのために、あなたの腰から出た者は書き記す。またユダの腰から出た者も書き記す。そして、あなたの腰から出た者が書き記すものと、ユダの腰から出た者が書き記すものは一つに合わされて、偽りの教義を打ち破り、争いを鎮め、あなたの腰から出た者の中に平和を確立し、また末日に先祖についての知識を彼らに与え、そしてまた、わたしの聖約についても知らせる。」主はそう言われる。
13 「おお、イスラエルの家よ、あなたを元どおりにするために、わたしの業がわたしのすべての民の中で始まるその日、その聖見者は弱さを強くされる」と主は言われる。』
14 またヨセフは次のように預言した。『見よ、主はその聖見者を祝福される。わたしがわたしの腰から出た者について主から頂いたこの約束は、必ず果たされるので、その聖見者を滅ぼそうとする者は打ち破られる。見よ、わたしは、この約束が果たされることを確信している。
15 その聖見者の名はわたしにちなんで付けられ、またその名は彼の父の名を取って付けられる。そして、彼はわたしのようである。主が彼の手により、主の力によってもたらされるものが、わたしの民を救いに至らせるからである。』
16 まことにヨセフは、次のように預言した。『わたしは、モーセについての約束を確信しているように、このことも確信している。それは主が、「あなたの子孫をとこしえに守ろう」とわたしに言われたからである。
17 また、主は言われた。「わたしはモーセを立てよう。そして、杖をもって彼に力を与え、また明瞭に書き記す力も彼に与えよう。しかしわたしは、彼の舌を緩めて、彼がよく語れるようにはしない。わたしは彼を、語るに力ある者とはしないからである。しかしわたしは、自分の手の指でわたしの律法を彼に書き与え、また彼のために一人の代弁者を備えよう。」
18 主はまたわたしに言われた。「わたしはあなたの腰から出た者のために聖見者を立て、また彼のために一人の代弁者を備えよう。そして見よ、わたしはその聖見者に、あなたの腰から出た者の書き記したものをあなたの腰から出た者に書き伝えさせる。また、あなたの子孫の代弁者がそれを告げ知らせる。
19 その聖見者が書き記す言葉は、わたしの知恵にかなって、あなたの腰から出た者に伝わる言葉である。それはあたかも、あなたの腰から出た者が、地から叫んでいるかのようである。わたしは、彼らの信仰を知っているからである。
20 あなたの腰から出た者は、地から叫ぶ。すなわち、多くの時代が過ぎてから、彼らの同胞に悔い改めを叫ぶ。そして、彼らの叫びは分かりやすい言葉で伝わる。
21 彼らの信仰のゆえに、彼らの言葉はわたしの口から出て、あなたの腰から出た者である彼らの同胞に伝わる。わたしは彼らの言葉の弱いところを、彼らの信仰のゆえに強くし、わたしがあなたの先祖と交わした聖約を思い起こさせよう。」』
22 さて見よ、わたしの息子ヨセフよ、わたしの遠い先祖はこのように預言した。
23 したがって、あなたはこの聖約によって祝福されている。あなたの子孫はその書物の言葉に聞き従うので、滅ぼされないからである。
24 あなたの子孫の中に、一人の力ある者が現れる。その者は神の御手に使われる者として、篤い信仰をもって、言葉にも行いにも大いに善をなし、偉大な驚嘆すべきことを行い、また神の目に大いなることを行い、イスラエルの家とあなたの兄たちの子孫に対して十分な回復をもたらす。
25 さて、ヨセフよ、あなたは幸いである。見よ、あなたはまだ若いので、兄のニーファイの言葉に聞き従いなさい。そうすれば、わたしの語った言葉のとおりになるであろう。もうすぐこの世を去ろうとする父の言葉を覚えておきなさい。アーメン。」

第4章

リーハイ、子孫に勧告と祝福を残す。その後、死んで葬られる。ニーファイ、神の慈しみを喜び、とこしえに主に信頼を寄せる。紀元前約588年から570年に至る。

01 さて、わたしニーファイは、エジプトに連れて行かれたヨセフに関し、父が語った預言について述べる。
02 見よ、ヨセフは自分のすべての子孫について預言した。そして、彼の書き記した預言に勝るものは少ない。彼はわたしたちと、わたしたちの将来の子孫について預言した。その預言は真鍮の版に書き記されている。
03 それで父は、ヨセフの預言について語り終えると、レーマンの子供、すなわちレーマンの息子、娘たちを呼び寄せて言った。「見よ、わたしの長男の息子や娘であるわたしの孫たちよ、わたしの言葉に耳を傾けてほしい。
04 それは主なる神が、『あなたがたは、わたしの命令を守るかぎり地に栄える。しかし、わたしの命令を守らなければ、わたしの前から絶たれる』と言われたからである。
05 しかし見よ、わたしの孫たちよ、わたしはあなたがたに祝福を残さなければ、墓に入ることができない。見よ、わたしは、あなたがたが行くべき道に従って育てられるならば、その道から離れないことを知っているからである。
06 したがって、もしあなたがたがのろわれるならば、見よ、そののろいがあなたがたから取り去られて、その責任が両親の頭に帰するように、わたしはあなたがたに祝福を残す。
07 したがって、わたしの祝福のゆえに、主なる神はあなたがたが滅びるのを許さず、あなたがたと子孫を、とこしえに憐れんでくださるであろう。」
08 さて、父はレーマンの息子、娘たちに語り終えると、次にレムエルの息子、娘たちを自分の前に連れて来させた。
09 そして、父は彼らに言った。「見よ、わたしの次男の息子や娘である孫たちよ、見よ、わたしはレーマンの息子、娘たちに残した祝福と同じ祝福をあなたがたに残す。したがって、あなたがたはことごとく滅ぼされてしまうことはなく、あなたがたの子孫は、最後には祝福されるであろう。」
10 そして父は、彼らに語り終えると、見よ、イシマエルの息子たちと、またイシマエルの家のすべての者に語った。
11 そして、彼らに語り終えると、父はサムに言った。「あなたとあなたの子孫は幸いである。あなたは弟のニーファイと同様に、地を受け継ぐからである。あなたの子孫は、ニーファイの子孫とともに数えられる。そして、あなたは弟と同じようになり、あなたの子孫は弟の子孫と同じようになる。そしてあなたは生涯、祝福を受けるであろう。」
12 そして父リーハイは、自分の心に感じるままに、また自分の内にある主の御霊に従って、自分の家のすべての者に語った後、年老いて、死んで葬られた。

13 さて、父の死後幾日もたたないうちに、レーマンとレムエル、それにイシマエルの息子たちは、主の勧告のことでわたしに腹を立てた。
14 それは、わたしニーファイが主の言葉に促されて、やむを得ず彼らに語ったからである。わたしはそれまでに多くのことを彼らに語り、父も生前に多くのことを彼らに語ってきた。そして、語ったことの多くは、わたしの造ったほかの版に書き記してある。わたしの造ったほかの版には、歴史に関する部分が多く書き記してあるからである。
15 そしてこの版には、わたし自身のことと、真鍮の版に刻まれている聖文の多くを書き記す。わたしは聖文に喜びを感じるからである。わたしは聖文について心に深く考え、わたしの子孫の知識となり利益となるようにこれを書き記す。
16 見よ、わたしは主に関することに喜びを感じる。わたしの心は、これまでに見聞きしたことを絶えず深く考えている。
17 それでも、主が深い慈しみを、大いなる驚くべき業の中でわたしに示してくださっているにもかかわらず、わたしの心は、「おお、わたしは何と惨めな人間なのだろう」と叫ぶ。まことに、わたしの心はわたしの肉のために苦悩し、わたしの霊はわたしの罪悪のために嘆く。
18 わたしは、非常にたやすくまとわりつく誘惑と罪に取り囲まれている。
19 そしてわたしが喜ぼうとすると、心は罪のためにうめき苦しむ。それでもわたしは、これまでに自分がだれに頼ってきたかを知っている。
20 わたしを支えてこられたのは神である。神はわたしが荒れ野で苦難に遭っていたときに、いつもわたしを導き、また底知れない深みの海の上でも、わたしを守られた。
21 神は、わたしの肉体が燃え尽きるほどに、わたしを愛で満たされた。
22 また、わたしの敵を辱め、わたしの前で彼らの身を震えさせられた。
23 見よ、神は、日中はわたしの嘆願を聞き、夜は示現によってわたしに知識を授けられた。
24 また日中、わたしは神の前に熱烈な祈りを力強くささげ、まことにわたしの声を天に向かって上げた。すると天使たちが降って来て、わたしを教え導いた。
25 わたしの体は神の御霊の翼に乗せられて、非常に高い山の上に運ばれて行った。そしてわたしの目は数々の偉大なことを、まことに人にとってあまりにも偉大すぎることを見た。そのためにわたしは、それらのことを書き記してはならないと告げられた。
26 おお、わたしがそれほど偉大なことを見たのであれば、そして主が、人の子らに対して御自身を低くして、それほど深い憐れみをもって人々を訪れてこられたとするならば、たとえわたしが苦難に遭ったからといって、どうしてわたしの心が涙し、わたしの霊が悲しみの谷にとどまり、わたしの肉体がやせ衰え、わたしの力が弱くなってよいだろうか。
27 またわたしの肉のことで、どうして罪に負けてよいだろうか。まことに、どうして誘惑に負けて、悪しき者がわたしの心に入って、わたしの平安を破り、わたしの霊を苦しめるのを許してよいだろうか。わたしが敵のことで怒りを抱くのはなぜなのか。
28 目覚めよ、わたしの霊よ、もはや罪の中でしおれるな。喜べ、おお、わたしの心よ。もうわたしの敵に場所を与えてはならない。
29 わたしの敵のことで二度と怒ってはならない。苦難のために力を弱くしてはならない。
30 喜べ、おお、わたしの心よ。主に叫び求めて言え。「おお、主よ、わたしはとこしえにあなたをほめたたえます。まことに、わたしの神であり、わたしの救いの岩であるあなたを喜びます。
31 おお、主よ、わたしを贖ってください。わたしを敵の手からお救いください。わたしが罪の兆しに震えおののくようにしてください。
32 わたしの心は打ち砕かれており、わたしの霊は悔いていますので、地獄の門がいつもわたしの前に閉じていますように。おお、主よ、わたしが低い谷の道を歩み、しっかりと平坦な道を進むことができるように、わたしの前で義の門を閉ざさないでください。
33 おお、主よ、あなたの義の衣でわたしを包み込んでください。おお、主よ、わたしが敵の前から逃れられるように道を備えてください。わたしの前に道をまっすぐにしてください。つまずかせるものをわたしの道に置かず、わたしの前に道を開いてください。わたしの道を遮らず、敵の道をふさいでください。
34 おお、主よ、わたしはあなたを頼ってまいりました。これからもとこしえに、あなたを頼ってまいります。わたしは肉の腕に頼る者はのろわれることを知っているので、肉の腕には頼りません。まことに、人に頼る者、すなわち肉を自分の腕とする者はのろわれます。
35 まことに、わたしは、神は求める者には惜しみなく与えられることを知っています。わたしが道理に外れた求め方をしなければ、わたしの神はわたしに与えてくださいます。それでわたしはあなたに声を上げ、まことに、わたしの神、わたしの義の岩であるあなたに叫び求めます。まことに、わたしの声はわたしの岩であり、永遠の神であるあなたのみもとに、とこしえに上ることでしょう。アーメン。」

第5章

ニーファイ人はレーマン人から分かれ、モーセの律法を守り、神殿を建てる。レーマン人は不信仰のために主の前から絶たれ、のろいを受け、ニーファイ人にとって鞭となる。紀元前約588年から559年に至る。

01 さて見よ、わたしニーファイは、兄たちが腹を立てたので、主なるわたしの神に切に叫び求めた。
02 しかし見よ、わたしに対する兄たちの怒りは激しくなり、彼らはわたしの命を奪おうとした。
03 まことに彼らは、わたしに向かってつぶやいて言った。「弟は我々を支配しようと思っている。我々は彼のためにひどい試練を受けてきた。見よ、もう弟の言葉で苦難を味わわなくても済むように、弟を殺してしまおう。我々は弟を支配者には決してさせない。この民を支配する権利は、兄の我々にある。」
04 ところでわたしは、兄たちがわたしに対してつぶやいた言葉のすべてをこの版に載せることはしない。ただ、彼らがわたしの命を奪おうとしたと言えば十分である。

05 さて、主はわたしニーファイに、彼らのもとを去って荒れ野へ逃げるように、またわたしとともに行きたい者も皆、そうするように警告された。
06 そこでわたしニーファイは、自分の家族と、ゾーラムとその家族、兄サムとその家族、弟のヤコブとヨセフ、わたしの姉妹たち、そのほかわたしとともに行きたい者たち全員を連れて出た。わたしとともに行くことを望んだ者たちは皆、神の警告と啓示を信じる者たちであったので、わたしの言葉に聞き従った。
07 わたしたちは天幕と持てるものをすべて携えて、幾日も荒れ野を旅した。そして、幾日も荒れ野を旅した後、わたしたちは天幕を張った。
08 そして、わたしの民がその地をニーファイと呼ぶことを望んだので、わたしたちはその地をニーファイと名付けた。
09 また、わたしとともにいた者たちは皆、自分たちをニーファイの民と呼ぶことにした。

10 わたしたちはモーセの律法に従って、何事にも主の裁決と掟と戒めを守るように努めた。
11 そして、主がわたしたちとともにおられた。わたしたちは種をまき、豊かに収穫して、非常に栄えた。またわたしたちは、大小の家畜の群れと、あらゆる動物を飼い始めた。
12 わたしニーファイは、真鍮の版に刻まれた記録と、前にわたしがこの版に刻んだとおり、主の手によって父のために備えられた球、すなわち羅針盤も持って来た。
13 そこでわたしたちは、非常に栄えて、その地で増え始めた。

14 それでわたしニーファイは、ラバンの剣を取り、それに倣って多くの剣を造った。それは今やレーマン人と呼ばれている民が、わたしたちを襲って滅ぼすことのないようにするためであった。彼らがわたしとわたしの子供たちと、またわたしの民と称する者たちを憎んでいることを、わたしは知っていたからである。
15 わたしは民に、建物を建てることを教え、また非常に豊富にあった木材や鉄や銅、また真鍮や鋼や金や銀や貴重なあらがねなど、あらゆる材料で物を造り出すことを教えた。
16 また、わたしニーファイは神殿を建てた。ソロモンの神殿に倣って建てたが、その違いは、建てるのにそれほど多く貴重な品を使わなかったことである。そのような貴重な品がこの地になかったため、ソロモンの神殿と同じようには建てることができなかった。しかし、建築の様式はソロモンの神殿と同じで、その造りは非常に見事であった。
17 そしてわたしニーファイは、民を勤勉に働かせ、また手を使って働くようにさせた。
18 さて、民はわたしが彼らの王になることを望んだ。しかしわたしニーファイは、彼らには王がない方がよいと思った。それでも、わたしの力の及ぶかぎり彼らのために尽くした。
19 見よ、主は兄たちについて、わたしが彼らを治める者になり教える者になると言われたが、その主の言葉はすでに成就していた。したがって、彼らがわたしの命を奪おうとしたときまで、わたしは主の命令どおりに彼らを治める者、教える者となっていたのである。
20 それで、主がわたしに言われた、「あなたの言うことに聞き従わなければ、彼らは主の前から絶たれる」という御言葉は成就した。見よ、彼らは御前から絶たれてしまったのである。
21 主はまた、彼らの罪悪のために、のろいを彼らに下された。まことにひどいのろいを下された。見よ、彼らが主に対して心をかたくなにし、あたかも火打ち石のように硬くなってしまったからである。それで主なる神は、彼らが肌の白い、非常に麗しく喜ばしい者たちであったので、わたしの民に誘惑とならないように、彼らの肌を黒ずんだ肌にされた。
22 主なる神はこう言われる。「彼らが自分たちの罪悪を悔い改めなければ、わたしは彼らをあなたの民にとって不快な者としよう。
23 彼らの子孫と縁を結ぶ者の子孫はのろわれる。それらの者は同じのろいを受けるからである。」主はそう言われ、そのとおりになった。

24 彼らは、自分たちに下されたのろいのために、悪意と狡猾さに満ちた怠惰な民となり、荒れ野で猛獣をあさった。
25 主なる神はわたしに言われた。「彼らはあなたの子孫にわたしのことを思い起こさせるため、あなたの子孫にとって鞭となるであろう。そして、あなたの子孫がわたしを覚えて、わたしの言葉に聞き従わなければ、彼らはあなたの子孫を、滅びに至るまで鞭打つであろう。」
26 さて、わたしニーファイはヤコブとヨセフを任じ、彼らをわたしの民の地における祭司と教師にした。
27 そして、わたしたちは幸福に暮らした。
28 そして、わたしたちがエルサレムを去ってから30年が過ぎた。
29 わたしニーファイはこれまで、自分の造った版にわたしの民についての記録を付けてきた。
30 そこで、主なる神はわたしに、「ほかに版を造り、あなたの民の益となるように、わたしの目に善しとする多くの事柄をそれに刻みなさい」と言われた。
31 それでわたしニーファイは、主の命令に従い、行ってこの版を造り、これらのことを刻んだ。
32 わたしは神に喜ばれる事柄を刻んだ。もしもわたしの民が神にかかわる事柄を喜ぶならば、彼らはこの版にわたしが刻んだことも喜ぶであろう。
33 また、もしもわたしの民が自分たちの歴史についてもっと詳しく知りたいならば、わたしの造ったほかの版を調べなくてはならない。
34 しかし、もう40年が過ぎ去り、兄たちとの間にすでに戦争や争いがあったと言えば、それで十分であろう。


【動画】ニーファイ人,レーマン人から分かれる


第6章

ヤコブ、ユダヤ人の歴史を詳しく述べる。バビロニア捕囚と帰還。イスラエルの聖者の務めと十字架の刑。異邦人から受ける助け。ユダヤ人がメシヤを信じるときに起こる末日のユダヤ人の回復。紀元前約559年から545年に至る。

01 ニーファイの弟ヤコブがニーファイの民に語った言葉。
02 「見よ、わたしの愛する同胞よ、わたしヤコブは神から召され、神の聖なる位に従って聖任され、またあなたがたが王すなわち保護者として頼り、身の安全のよりどころとしているわたしの兄ニーファイによって任じられたので、あなたがたも知っているように、わたしは非常に多くのことをあなたがたに語ってきた。
03 にもかかわらず、わたしはあなたがたの幸いを願って、あなたがたに再び話をする。まことに、わたしはあなたがたのことを非常に心配している。また、あなたがたも知っているように、わたしはこれまでも心配してきた。そのためにわたしは、力のかぎりあなたがたに説き勧め、父の言葉をあなたがたに教え、また、世界の創造以来書き記されてきたすべての事柄について、あなたがたに語ってきた。
04 ところで、見よ、わたしはあなたがたに、現在あることとこれから起こることについて話したいと思う。それで、イザヤの言葉を読んで聞かせよう。これらの言葉は、わたしがあなたがたに話すようにと兄が望んだものである。わたしは、あなたがたが神の御名を覚えてあがめるように、あなたがたのためを思ってこれを話す。
05 さて、わたしがこれから読む言葉は、イザヤがイスラエルの家に属するすべての者について述べたものである。したがって、あなたがたはイスラエルの家の者であるので、それらをあなたがたにたとえて差し支えない。また、あなたがたはイスラエルの家の者であるので、イザヤが述べたことの中には、あなたがたにたとえて差し支えないものがたくさんある。
06 ところで、イザヤの述べた言葉は次のとおりである。『主なる神はこう言われる。「見よ、わたしは異邦人に向かって手を挙げ、もろもろの民に向かってわたしの旗を掲げよう。すると彼らはあなたの息子たちを腕に抱き、あなたの娘たちを肩に乗せて来る。
07 王たちはあなたの養父となり、王妃たちはあなたの養母となる。彼らは顔を地に向けてあなたに身をかがめ、あなたの足のちりをなめる。こうしてあなたは、わたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は恥を受けないからである。」』
08 わたしヤコブは、これらの言葉について少し話したい。見よ、わたしたちはエルサレムから出て来たのであるが、主は、そのエルサレムにいた人々がすでに殺され、また囚われの身となって連れ去られたことを、わたしに示された。
09 しかしながら、主は、彼らが再び帰って来ることをわたしに示してくださった。またイスラエルの聖者である主なる神が、肉にあって彼らに御自身を現されることと、主が御自身を現された後、わたしに語った天使の言葉のとおりに、彼らが主を鞭打って十字架につけることも、主はわたしにお示しになった。
10 彼らがイスラエルの聖者に対して心をかたくなにし、強情になった後、見よ、イスラエルの聖者の裁きが下る。そして彼らが打たれ、苦しめられる日が来る。
11 したがって彼らは、あちらこちらに追い立てられた後、天使が言うように、多くの者が肉にあって苦しみを受ける。しかし、忠実な者の祈りのおかげで、彼らは滅びることはない。彼らは散らされ、打たれ、嫌われるが、主が彼らに憐れみをかけられるので、彼らは自分たちの贖い主を知るようになるとき、再び受け継ぎの地に集められる。
12 この預言者が書き記している異邦人は、幸いである。見よ、彼らは悔い改めてシオンと戦わず、あの大きな忌まわしい教会に加わらなければ救われるからである。主なる神は御自分の子供たちと交わされた聖約を果たされるからである。預言者がこれらの事柄を書き記したのはこのためである。
13 したがって、シオンと、また主の聖約の民と戦う者たちは、これらの人々の足のちりをなめるであろう。しかし、主の民は恥を受けることはない。主の民は主を待ち望む者であり、今なおメシヤの来臨を待ち望んでいるからである。
14 見よ、この預言者の言葉によれば、メシヤは彼らを再び元に戻す業を始められる。それで、彼らがメシヤを信じる日が来ると、メシヤは力と大いなる栄光とをもって、彼らに御自身を現し、彼らの敵を滅ぼされる。またメシヤは、御自分を信じる者を一人も滅ぼされない。
15 メシヤを信じない者は、火と嵐と地震と流血と疫病と飢饉によって滅ぼされる。そして彼らは、主がイスラエルの聖者なる神であられることを知るのである。
16 『勇士から獲物をどうして取り返せようか。また正当な捕虜をどうして救い出せようか。』
17 しかし主はこのように言われる。『勇士の捕らえた捕虜さえ取り返され、荒々しい者に奪われたものさえ奪い返される。』力の神が御自分の聖約の民を救い出されるからである。主はこう言われる。『わたしはあなたと争う者と争う。
18 わたしはあなたを虐げる者に、彼ら自身の肉を食わせる。彼らは甘いぶどう酒に酔うように自分の血に酔う。こうしてすべての者は、主なるわたしがあなたの救い主、あなたの贖い主、ヤコブの力ある者であることを知るようになる。』」


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第7章

イザヤ、メシヤについて述べる。メシヤは博学な者の舌を持っておられる。また、打つ者に御自分の背を向けられる。メシヤは辱められることはない。イザヤ書第50章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「まことに、主はこう言われる。『わたしはあなたを去らせたか。とこしえにあなたを捨てたか。』主は言われる。『あなたの母の離縁状はどこにあるか。わたしはあなたをだれのもとに去らせたか。どの債主にあなたを売り渡したか。わたしはだれにあなたを売り渡したか。見よ、あなたは自分の罪悪のために自分自身を売り渡し、あなたの母は、あなたの背きのために捨てられた。
02 それゆえ、わたしが来たときにはだれもいなかった。わたしが呼んだときに、まことに、答える者はだれ一人いなかった。おお、イスラエルの家よ、わたしの手が短くて贖うことができないのか。わたしには救う力がないのか。見よ、わたしは海をしかって干上がらせ、川を荒れ野とする。水が乾いてその中の魚は悪臭を放ち、渇きのために死ぬ。
03 わたしは天を暗黒で覆い、粗布をその覆いとする。』
04 おお、イスラエルの家よ、主なる神は博学な者の舌をわたしに与えて、わたしがあなたに、時宜を得た言葉をどのように語ればよいか分かるようにされた。あなたが疲れているとき、主なる神は朝ごとに目覚めさせてくださる。主なる神はわたしの耳を開いて、博学な者として聞けるようにしてくださる。
05 主なる神は、わたしの耳を開かれた。わたしは逆らわず、退くこともしなかった。
06 わたしは打つ者にわたしの背を任せ、ひげを抜く者にわたしの頬を任せた。わたしは侮辱されても、つばきをかけられても、顔を隠さなかった。
07 主なる神がわたしを助けてくださるので、わたしは恥を受けない。それで、わたしは顔を火打ち石のようにした。わたしは自分が辱められないことを知っている。
08 主は近くにいて、わたしを義とされる。わたしと争う者はだれか。さあ、ともに立とう。わたしの敵はだれか。近くに来させよ。そうすれば、わたしは口の力をもってその敵を打とう。
09 主なる神がわたしを助けてくださる。わたしを罪に定める者は皆、まさに衣のように古び、しみが彼らを食い尽くす。
10 あなたがたの中で、主を畏れ、主の僕の声に従い、暗闇の中を歩いて光を持たない者はだれか。
11 見よ、火をともし、火の粉で自分の身を囲む者よ。あなたがたは皆、自分たちの火の光の中を歩み、自分たちのともした火の粉の中を歩め。あなたがたがわたしの手から受けるのは、苦しみのうちに横たわることである。」

第8章

終わりの時に、主はシオンを慰め、イスラエルを集められる。贖われた者は大きな喜びのうちにシオンに来る。イザヤ書第51章および第52章1〜2節と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「『義を追い求める者よ、わたしに聞き従え。あなたがたが切り出された岩と、あなたがたが掘り出された穴とを思いみよ。
02 あなたがたの父アブラハムと、あなたがたを産んだサラとを思いみよ。わたしは彼ただ一人を召し、彼を祝福した。』
03 主はシオンを慰め、すべてその荒れた所を慰められる。主はその荒れ野をエデンのようにし、その砂漠を主の園のようにされる。そこには喜びと楽しみがあり、感謝と歌声がある。
04 『わたしの民よ、わたしに聴け。おお、わたしの国民よ、わたしに耳を傾けよ。律法はわたしから出、わたしは、わたしの裁きを民を照らす光とする。
05 わたしの義は近い。わたしの救いはすでに出ており、わたしの腕は民を裁く。もろもろの島はわたしを待ち望み、わたしの腕に頼る。
06 天に向かって目を上げよ。また、下の地を見よ。天は煙のように消えうせ、地は衣のように古び、そこに住む者も同じように死ぬ。しかし、わたしの救いはとこしえに続き、わたしの義は廃れない。
07 義を知る者よ、わたしが心の中にわたしの律法を書き記した民よ、わたしに聴け。人のそしりを恐れるな。ののしりを怖がるな。
08 しみが彼らを衣のように食い尽くし、虫が彼らを羊の毛のように食う。しかし、わたしの義はとこしえに続き、わたしの救いは代々に及ぶ。』
09 目覚めてください、目覚めてください。おお、主の御腕よ、力をまとってください。昔のように目を覚ましてください。かつてラハブを切り裂き、龍を貫いた御方は、あなたではありませんか。
10 かつて海を、すなわち大いなる深みの水を干上がらせ、海の深みを贖われた者の通る道とされた御方は、あなたではありませんか。
11 それゆえ、主に贖われた者は帰って来ます。歌いながらシオンに帰って来ます。そして、永遠の喜びと聖さは彼らの頭上にあり、彼らは楽しみと喜びを得、悲しみと嘆きは逃げ去ります。
12 『そうしたのはわたしである。まことに、わたしがあなたがたを慰める者である。見よ、あなたは何者なので、いつかは死ぬ人を、また草のようになる人の子を恐れるのか。
13 天を広げ地の基を据えた、あなたの造り主である主を忘れるあなたは、何者であるか。虐げる者がまるで滅ぼす用意が整ったかのように憤っているのを、日々絶えず恐れてきたあなたは、何者であるか。虐げる者の憤りはどこにあるのか。
14 流浪の囚われ人は速やかに解き放されて、穴の中で死ぬことなく、パンが尽きることもない。
15 わたしは波をとどろかせる、主なるあなたの神である。万軍の主とは、わたしの名である。
16 わたしは天を設け、地の基を据え、シオンに向かって、見よ、あなたはわたしの民である、と言うために、あなたの口にわたしの言葉を置き、わたしの手の陰であなたを覆った。』
17 おお、エルサレムよ、目覚めよ、目覚めよ、立ち上がれ。あなたは先に主の手から主の憤りの杯を飲んだ。すなわち、あなたは震える杯の搾り取ったかすを飲み干した。
18 彼女が産んだすべての息子の中に、彼女を導く者は一人もなく、彼女が育て上げたすべての息子の中に、彼女の手を取る者は一人もいない。
19 これら二人の息子があなたのもとに来ている。この二人はあなたの荒廃と滅亡、飢饉と剣のゆえにあなたを哀れに思う。わたしはだれによって、あなたを慰めようか。
20 あなたの息子たちは、この二人のほかは皆、気を失った。この二人はすべての通りの起点に当たる場所で横たわっている。網にかかったかもしかのように、この二人には主の憤り、あなたの神の責めが満ちている。
21 それゆえ、苦しむ者よ、ぶどう酒によらず酔っている者よ、今これを聞け。
22 あなたの主、御自分の民のことを弁護なさるあなたの神、主はこう言われる。『見よ、わたしはあなたの手から震える杯を、すなわちわたしの憤りの杯のかすを取り除いた。あなたは二度とそれを飲むことはない。
23 わたしは、あなたを苦しめる者の手にそれを渡そう。彼らは先にあなたに、「身をかがめて、我々が踏み越えて行けるようにせよ」と言った。そしてあなたは、自分の体を地面のように、また通りのように横たえて、彼らが踏み越えて行くに任せた。』
24 おお、シオンよ、目覚めよ、目覚めよ、力を着よ。おお、聖なる都エルサレムよ、美しい衣を着よ。これからはもう、割礼を受けない者と清くない者は、あなたの中に入って来ることはないからである。
25 あなたの身からちりを振り落とせ。おお、エルサレムよ、立ち上がって座せ。おお、囚われたシオンの娘よ、あなたの首の縄を解き捨てよ。」

第9章

ユダヤ人は将来、彼らに約束されたすべての地に集められる。贖罪は人を堕落から贖う。死者の体は墓から出、霊は地獄やパラダイスから出て来る。その後、人は裁きを受ける。贖罪は人を死と地獄、悪魔、無窮の苦痛から救う。義人は神の王国に救われる。罪に対しては罰が宣告される。イスラエルの聖者が門を守る御方である。紀元前約559年から545年に至る。

01 「さて、わたしの愛する同胞よ、わたしがこれらのことを読んだのは、イスラエルの家に属するすべての者と交わされた主の聖約について、あなたがたに知らせるためである。
02 この聖約は、ユダヤ人が神のまことの教会と群れに回復され、彼らの受け継ぎの地に集め戻され、彼らに約束されたすべての地に定住する時が来るまで、主が初めから代々、聖なる預言者たちの口を通してユダヤ人に語ってこられたものである。
03 見よ、わたしの愛する同胞よ、わたしがこれらのことをあなたがたに話すのは、主なる神があなたがたの子孫に授けられる祝福のことで、あなたがたが喜びを味わい、とこしえに頭を上げていられるようにするためである。
04 わたしはあなたがたが、すなわちあなたがたの多くが将来のことを知ろうとして、大いに探し求めてきたことを知っている。その結果わたしに分かるのは、わたしたちの肉体は必ず衰えて死ぬけれども、将来わたしたちが肉体にあって神にまみえることを、あなたがたが知っているということである。
05 また、まことにわたしに分かるのは、わたしたちが出て来たエルサレムで、将来、神が肉体にあって人々に御自身を現されることを、あなたがたが知っているということである。そのことが、彼らの中で起こることが必要だからである。すべての人が大いなる創造主に従うようになるためには、創造主御自身が肉にあって人のなすがままになり、すべての人のために亡くなられることが必要なのである。
06 死がすべての人に及ぶようになったので、大いなる創造主の憐れみに満ちた計画を成就するためには、復活の力が必ずなければならない。その復活は、堕落のゆえに必ず人に及ばなければならない。堕落は背きのゆえに生じたのである。そして、人は堕落したために主の御前から絶たれてしまった。
07 したがって、贖罪は無限の贖罪でなければならない。もしそれが無限の贖罪でなければ、この朽ちるものが朽ちないものを着ることはできない。したがって、人に下った最初の裁きが限りなく続かなければならない。もしそうならば、この肉体は横たえられ、朽ち果てて母なる大地に返り、もう二度と起き上がることがないに違いない。
08 おお、神の知恵、神の憐れみと恵みよ。見よ、もしも肉体がもう二度と起き上がることがないとすれば、わたしたちの霊は、永遠の神の御前から落ちて悪魔となったあの天使に従うようになり、もはや起き上がることはない。
09 そして、わたしたちの霊は、あの天使のようになっていたに違いない。わたしたちは悪魔の使いである悪霊となって、神の御前から締め出され、偽りの父とともに、彼自身のように惨めな状態にとどまっていたに違いない。まことに、その者はわたしたちの始祖をだました者であり、光の天使であるかのように装い、人の子らをそそのかして人殺しをする秘密結社を作らせたり、あらゆる隠れた闇の業を行わせたりする者である。
10 おお、神の慈しみの何と深いことか。わたしたちがこの恐ろしい怪物に捕まらないように、神は逃れる道を備えてくださっている。まことに、その恐ろしい怪物とは死と地獄であり、わたしはそれを肉体の死および霊の死と呼ぶ。
11 イスラエルの聖者であるわたしたちの神の解放の道により、わたしが語ってきたこの死は肉体の死であって、やがてその死者を解き放す。その死とは墓のことである。
12 また、わたしが語ってきたこの死、すなわち霊の死もやがてその死を解き放す。その霊の死とは地獄のことである。したがって、死と地獄とはその死を解き放さなければならない。すなわち、地獄はそこに囚われている霊を解き放し、墓はそこに囚われている肉体を解き放して、人々の肉体と霊は互いに回復される。それはイスラエルの聖者の復活の力によるのである。
13 おお、わたしたちの神の計画の何と偉大なことよ。今語ったことのほかに、神のパラダイスは義人の霊を解き放し、墓は義人の体を解き放さなければならない。そして、その霊と体は再び本来のものに回復され、すべての人は不朽となり、不死となる。彼らは生けるものであって、わたしたちのように肉にあって完全な知識を持つ。わたしたちが持っている知識は、そのときに完全になるのである。
14 それでわたしたちは、自分に罪があること、汚れていること、裸であることについて、すべて完全な知識を得る。また義人は、自分の喜びと自分の義について完全な知識を得、潔白を、まことに義の衣をまとう。
15 そしてすべての人は、この第1の死から命に移行すると、すでに不死となっているので、イスラエルの聖者の裁きの座の前に出なければならない。それから裁きがあって、すべての人は神の聖なる裁きによって裁かれなければならない。
16 そして、義にかなった者はそのまま義の状態にあり、汚れている者は、そのまま汚れた状態にある。このことは、主が生きておられるように確かである。主なる神がそう言われたからであり、これは、決して過ぎ去ることのない神の永遠の御言葉である。ところで、汚れている者は悪魔と悪魔の使いであり、これらの者は、彼らのために用意された永遠の火の中に入る。彼らの苦痛は、炎がとこしえに立ち上って消えることのない、火と硫黄の池のようである。
17 おお、わたしたちの神の偉大で公正なことよ。神は御自分のすべての御言葉を実行されるからであり、神の御言葉がすでに神の口から出たもので、その律法は成就されなければならないものだからである。
18 しかし見よ、義人、すなわちイスラエルの聖者の聖徒たち、イスラエルの聖者を信じてきた者たち、世の十字架を堪え忍んできた者たち、世の辱めをいとわなかった者たち、これらの人々は、世の初めから彼らのために用意された神の王国を受け継ぐ。そして彼らの喜びは、とこしえに満たされるであろう。
19 おお、イスラエルの聖者であるわたしたちの神の憐れみ深いことよ。神は御自分の聖徒たちをあの恐ろしい怪物、すなわち悪魔と死と地獄と、無窮の苦痛であるあの火と硫黄の池から救われる。
20 おお、わたしたちの神の聖さは何と偉大なことか。神はすべてのことを御存じであり、神の御存じでないことはない。
21 神は、神の声に聞き従うすべての人を救うために、この世に来られる。見よ、神はすべての人の苦痛、まことに男、女、子供の区別なく、アダムの家族に属する、生けるものすべての苦痛を受けられる。
22 神がこれを受けられるのは、復活がすべての人に及び、大いなる裁きの日に、すべての人が神の御前に立つようにするためである。
23 また神は、すべての人に、イスラエルの聖者に対して完全な信仰を抱きながら、悔い改めて、神の御名によってバプテスマを受けなければならないと命じておられる。そうでなければ、人は神の王国に救われない。
24 もし彼らが、悔い改めて神の御名を信じることをせず、またその御名によってバプテスマを受けることなく、最後まで堪え忍ぶことをしなければ、彼らは罰の定めを受ける。イスラエルの聖者である主なる神が、そう言われたからである。
25 それゆえ、イスラエルの聖者は律法を授けられた。律法がないところには罰がない。また罰のないところには罪の宣告もない。そして、罪の宣告のないところで、イスラエルの聖者の憐れみが人々に対してその役割を主張するのはなぜかといえば、それは贖罪のゆえである。彼らはイスラエルの聖者の力によって救われているからである。
26 その贖罪は、律法を与えられたことのないすべての人にとっても、神の正義の要求を満たすので、これらの人々は、あの恐ろしい怪物、すなわち死と地獄と悪魔と、無窮の苦痛である火と硫黄の池から救われて、彼らに息をお与えになったイスラエルの聖者である神のみもとに連れ戻されるのである。
27 しかし、すでに律法を与えられ、まことにわたしたちと同じように神のすべての戒めを受けていながら、それらに背き、自分の試しの生涯をいたずらに過ごす者は災いである。その者の状態は恐ろしいものである。
28 おお、悪しき者のあの狡猾な策謀よ。おお、人の虚栄と意志の弱さと愚かしさよ。人は学識があると自分は賢いと思い、神の勧告に聞き従わない。そして自分独りで分かると思って神の勧告を無視するので、彼らの知恵は愚かであって役に立たない。そして彼らは滅びるのである。
29 しかし、神の勧告に聞き従うならば、学識のあるのはよいことである。
30 しかし、この世のものを豊かに持つ富者は災いである。彼らは自分が富んでいるので、貧しい者をさげすみ、柔和な者を迫害する。また、彼らの心は彼らの富にあるので、富が彼らの神となっている。そして見よ、彼らの富は彼らとともに滅びるのである。
31 聞こうとせずに、耳の聞こえない者のようになっている者は災いである。彼らは滅びるからである。
32 見ようとせずに、盲人のようになっている者は災いである。彼らもまた滅びるからである。
33 心に割礼のない者は災いである。彼らは終わりの日に自分の罪悪を知って打たれるからである。
34 偽りを言う者は災いである。彼は地獄に突き落とされるからである。
35 故意に人を殺す者は災いである。彼は死ぬからである。
36 みだらな行いをする者は災いである。彼らは地獄に突き落とされるからである。
37 偶像を礼拝する者は災いである。すべての悪霊を治める悪魔が喜ぶからである。
38 要するに、罪を抱いたまま死ぬ者は皆、災いである。彼らは神のみもとに帰って神の御顔を仰ぐが、罪の中にとどまるからである。
39 おお、わたしの愛する同胞よ、あの聖なる神に背くことの恐ろしさと、あの狡猾な者の誘惑に負けることの恐ろしさを思い起こしなさい。肉の思いを抱くことは死であり、霊的な思いを抱くことは永遠の命であることを覚えておきなさい。
40 おお、わたしの愛する同胞よ、わたしの言葉に耳を傾けなさい。イスラエルの聖者の偉大さを思い起こしなさい。わたしがあなたがたに対してひどいことを語ったと言ってはならない。もしそう言うなら、あなたがたは真理をののしることになる。わたしはあなたがたの造り主の御言葉を語ってきたからである。わたしは真理の言葉が、すべての汚れに対して厳しいことを知っている。しかし、義人は真理を愛しており、おののかないので、真理の言葉を恐れない。
41 おお、それで、わたしの愛する同胞よ、聖者なる主のみもとに来なさい。主の道が義にかなっていることを覚えておきなさい。見よ、その道は人にとって狭いが、人の前にまっすぐであり、門を守る者はイスラエルの聖者である。聖者はここには僕を使われない。またその門を通る以外に、ほかの道はない。そしてその御方を欺くことはできない。その御方の御名は、主なる神だからである。
42 そして、たたく者にはだれにでも、主なる神は門をお開けになる。しかし、自分に学識のあることを誇る知者や、知恵のあることを誇る学者、富のあることを誇る富者、まことに、これらの者を主なる神はさげすまれる。彼らがこのようなものを捨てて、神の御前で自分を愚かな者だと思って心底謙遜になるのでなければ、主は彼らのために門をお開けにはならない。
43 そして、知者と賢者にかかわるもの、すなわち聖徒たちのために用意されているあの幸福は、彼らからとこしえに隠されるのである。
44 おお、わたしの愛する同胞よ、わたしの言葉を覚えておきなさい。見よ、わたしは自分の衣を脱いで、これをあなたがたの前で振り、わたしの救いの神に、そのすべてを見通す目でわたしを見てくださるように祈る。それであなたがたは、すべての人が各自の行いに応じて裁かれる終わりの日に、わたしがこうしてあなたがたの罪悪をわたしの身から振り払ったのを、イスラエルの神が御覧になったことと、わたしが神の御前に輝いて立っており、あなたがたの血から免れていることを知るであろう。
45 おお、わたしの愛する同胞よ、罪を捨てなさい。あなたがたを固く縛ろうとする者の鎖を振り落とし、あなたがたの救いの岩である神のみもとに来なさい。
46 義人に公正な報いが与えられるあの栄えある日、すなわち裁きの日のために、あなたがた自身を備えなさい。そうすればあなたがたは、ひどく恐れてしりごみしなくて済む。また、自分のひどい罪悪をことごとく思い出して、『おお、全能の神なる主よ、神聖です。あなたの裁きは神聖です。わたしは自分に罪のあることを知っています。わたしはあなたの律法に背きました。わたしの背きはわたし自身が犯したものです。そして、わたしはすでに悪魔に捕らえられており、悪魔のひどい惨めな状態のとりこになっています』と、やむを得ず叫ばなくて済むであろう。
47 しかし見よ、わたしの同胞よ、わたしがあなたがたに、これらの事柄が恐ろしい現実であることを自覚させる必要があるだろうか。あなたがたの思いが清かったならば、わたしはあなたがたをひどく苦しめたりするだろうか。もしあなたがたが罪から解放されているならば、わたしは、真理の率直さに従ってあなたがたにも率直であろうとするだろうか。
48 見よ、もしあなたがたが聖なる状態であるならば、わたしは、聖さについてあなたがたに語るだろう。しかしあなたがたは、今聖なる状態ではなく、またわたしを師と見なしてくれているので、わたしは、罪の結果についてあなたがたに教えることが必要である。
49 見よ、わたしの霊は罪を忌み嫌い、わたしの心は義を喜ぶ。そしてわたしは、神の聖なる御名をほめたたえよう。
50 さあ、わたしの同胞よ、渇いている者は皆、水の所に来なさい。金のない者は、さあ、買って食べなさい。まことに、さあ、金を出さず、代価を払わないで、ぶどう酒と乳を買いなさい。
51 それゆえ、価値のないものに金を使ってはならない。満足を得られないものに労力を費やしてはならない。熱心にわたしに聞き従い、わたしがこれまでに語った言葉を覚えておきなさい。そして、イスラエルの聖者のみもとに来て、腐ることも朽ちることもないものを食べて、豊かなものによってあなた自身を喜ばせなさい。
52 見よ、わたしの愛する同胞よ、あなたがたの神の御言葉を覚えておきなさい。日中は絶えず神に祈り、夜は神の聖なる御名に感謝し、心を喜ばせなさい。
53 主の聖約がどれほど偉大で、人の子らに対して主が御自身を低くされる姿がどれほど偉大であるかを見なさい。主の偉大さと、主の恵みと憐れみのゆえに、主はわたしたちの子孫が肉においてことごとく滅ぼされてしまうことはなく、主御自身が守ってくださると、わたしたちに約束された。また、後の時代にわたしたちの子孫が、イスラエルの家のために1本の義にかなった枝になるとも約束された。
54 さて、わたしの同胞よ、わたしはもっとあなたがたに話したい。しかし明日、わたしの言葉の残りを告げ知らせることにしよう。アーメン。」

第10章

ユダヤ人は将来、自分たちの神を十字架につける。ユダヤ人は、主を信じるようになるときまで散らされる。アメリカは将来、支配する王のいない自由の地となる。人は神と和解し、神の恵みによって救いを得るようにしなければならない。紀元前約559年から545年に至る。

01 「さて、わたしの愛する同胞よ、わたしヤコブは、先にわたしが語ったこの義にかなった枝について、もう一度あなたがたに話そう。
02 見よ、わたしたちが得た約束は、肉におけるわたしたちへの約束である。だからわたしに示されたように、わたしたちの子孫の中には、不信仰のために肉において滅びる者が多い。しかし、それでも神は多くの者に憐れみをかけられる。それで、わたしたちの子孫は元に戻され、自分たちの贖い主について真実の知識を与えるものを得る。
03 それゆえ、わたしが先にあなたがたに語ったように、キリストは(この名こそが贖い主の御名であるとわたしは昨晩天使から告げられたが)ユダヤ人の中に、すなわち世の人々の中でいちばん邪悪な者たちの中に来られる必要がある。そして、彼らはキリストを十字架につける。それがわたしたちの神にとって必要だからである。彼らのほかには、自分たちの神を十字架につけるような国民は、地上のどこにもいない。
04 もし大きな奇跡がほかの国民の中で行われたならば、その民は悔い改め、その奇跡を行われた御方が自分たちの神であられることに気づくからである。
05 しかし、エルサレムにいる人々は、偽善売教と罪悪のために、キリストに対して心をかたくなにして、キリストを十字架につける。
06 それゆえ、彼らの罪悪のために、滅亡と飢饉、疫病、流血が彼らを襲う。また滅ぼされなかった者は、すべての国民の中に散らされる。
07 しかし見よ、主なる神はこう言われる。『彼らがわたしをキリストであると信じる日が来ると、わたしが彼らの先祖と聖約したように、彼らは肉にあって、地上で彼らの受け継ぎの地に戻される。
08 そして彼らは、長年の離散から、すなわち海の島々から、また地の四方から集められる。また異邦人の国民は、彼らを受け継ぎの地に連れ戻すことによって、わたしの目に大いなる者となる。』神はこう言われる。
09 まことに異邦人の王たちは、彼らにとって養父となり、王妃たちは養母となる。したがって主の約束は、異邦人にとって偉大である。主がそう言われたからであって、だれがこれに反駁できようか。
10 しかし見よ、神は言われた。『この地はあなたの受け継ぎの地となる。また、異邦人はこの地で祝福される。
11 そして、この地は異邦人にとって自由の地となり、将来異邦人のために立つ王は、この地に一人もいない。
12 わたしは、ほかのすべての国民に対してこの地を防ぎ固めよう。
13 シオンと戦う者は滅びる。
14 わたしに逆らって王を立てる者は滅びる。主であり天の王であるわたしが彼らの王となり、わたしの言葉を聞く彼らにとって、わたしはとこしえに彼らの光となるからである。
15 さて、わたしはこの目的のために、すなわち、人の子らが肉にある間にわたしが彼らに行うと約束した聖約を果たすために、隠れた闇の業と殺人と忌まわしい行いを絶やさなければならない。
16 そのために、シオンに挑む者は、ユダヤ人も異邦人も、束縛された者も自由な者も、男も女もすべて滅びる。これらの者は全地の淫婦だからである。わたしに味方しない者は、わたしに反対する者だからである。』わたしたちの神はこう言われる。
17 『わたしは人の子らに立てた約束、すなわち、彼らが肉にある間にわたしが彼らに行うと約束したことを果たす。』
18 それで愛する同胞よ、神はこう言われる。『わたしは異邦人の手によって、あなたの子孫を苦しめ悩ます。それでも、わたしは異邦人の心を和らげるので、彼らはあなたの子孫にとって父親のようになる。それで、異邦人は祝福されて、イスラエルの家の中に数えられる。
19 さて、わたしはあなたの子孫と、あなたの子孫に数えられる者のために、この地を受け継ぎの地としてとこしえに聖別しよう。』神はわたしにそう言われる。『この地はわたしにとって、ほかのあらゆる地に勝ったえり抜きの地である。それゆえわたしは、ここに住むすべての者がわたしを礼拝することを望む。』神はそう言われる。
20 さて、わたしの愛する同胞よ、わたしたちの憐れみ深い神は、これらのことについて、このように多くの知識を与えてくださったので、わたしたちは神を覚えて、罪を捨てようではないか。わたしたちは捨てられてはいないので、うなだれるのはやめよう。わたしたちは受け継ぎの地から追い出されたが、主が海をわたしたちの道とされたので、わたしたちはもっと良い地に導かれて来た。そして、わたしたちは今、海の島にいる。
21 しかし、海の島々にいる者たちに対する主の約束は偉大である。また、島々というからには、このほかにももっとあるに違いない。そこにもわたしたちの同胞が住んでいる。
22 それは見よ、主なる神が御自分の意のまま、思いのままに、時々イスラエルの家から人々を連れ出されたからである。そして見よ、主は、折り取られた者をすべて覚えておられるので、わたしたちのことも覚えておられる。
23 それゆえ、心を喜ばせなさい。そしてあなたがたは、自分の思うとおりに行動すること、すなわち永遠の死の道を選ぶことも、永遠の命の道を選ぶことも自由であるのを覚えておきなさい。
24 さて、わたしの愛する同胞よ、神の御心と和解しなさい。悪魔の意志と肉の思いに自らを従わせてはならない。また、神と和解した後にあなたがたが救われるのは、ただ神の恵みによること、また神の恵みを通じてであることを覚えておきなさい。
25 そして、神が復活の力によって、あなたがたを死からよみがえらせ、また贖罪の力によって、永遠の死からもよみがえらせてくださって、あなたがたが神の永遠の王国に迎え入れられ、神の恵みによって神をほめたたえることができるように。アーメン。」

第11章

ヤコブ、贖い主にまみえる。モーセの律法はキリストの予型であり、キリストが来られることを立証する。紀元前約559年から545年に至る。

01 ところで、ヤコブはそのときに、もっと多くのことをわたしの民に語ったが、わたしは以上のことだけを書き記すにとどめた。わたしが書き記してきたことで十分だからである。
02 さて、わたしニーファイはイザヤの言葉に喜びを感じるので、もっと彼の言葉を書き記そう。わたしは彼の言葉をわたしの民に当てはめ、また彼の言葉をわたしの子孫に伝えよう。わたしが贖い主にまみえたと同じように、まことに彼も贖い主にまみえたからである。
03 わたしの弟のヤコブもまた、わたしが贖い主にまみえたと同じように、すでに贖い主にまみえている。それで、わたしは自分の言葉が真実であることをわたしの子孫に立証するために、この二人の言葉を子孫に伝えよう。神はかつて、「わたしは3人の言葉をもって、わたしの言葉を確かなものとする」と言われた。にもかかわらず、神はさらに多くの証人を遣わして、御自分の言葉をことごとく立証される。
04 見よ、わたしは、キリストの来臨が真実であることを、わたしの民に立証することに喜びを感じる。モーセの律法は、まさにそのために与えられたのである。世の初めから神が人に与えてこられたすべてのものは、キリストの予型である。
05 わたしはまた、主がわたしたちの先祖に立てられた聖約を喜んでいる。まことに、死から人々を解放する、偉大な永遠の計画に見られる主の恵みと公正、力、憐れみを喜んでいる。
06 またわたしは、キリストが来られなければすべての人が必ず滅びるということを、わたしの民に立証することを喜ぶ。
07 というのは、もしキリストが実在しなければ神は実在せず、神が実在しなければ創造はあり得ないので、わたしたちの存在もないからである。しかしながら、神は実在しておられ、その神はキリストであって、御自身の定められた時が満ちると来られるのである。
08 さて、わたしはイザヤの言葉を少し書き記して、わたしの民の中でこれらの言葉を見る者が心を高めて、すべての人のために喜べるようにしよう。さあ、その言葉は次のとおりである。あなたがたはこれらを、自分自身とすべての人に当てはめてみるがよい。

第12章

イザヤ、末日の神殿とイスラエルの集合、それに福千年の裁きと平和を見る。高ぶる者と悪を行う者は、主の再臨の時に低くされる。イザヤ書第2章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて見た言葉。
02 さて、終わりの時に次のことが起こる。主の家の山は山々の頂に堅く立ち、もろもろの丘よりも高くそびえ、すべての国民はそこに流れて来る。
03 多くの民が来て言う。『さあ、わたしたちは主の山に登り、ヤコブの神の家へ行こう。主は御自分の道をわたしたちに教えてくださる。わたしたちは主の道を歩もう。』律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。
04 主は国民の中で裁きを行い、多くの人を責められる。彼らは剣を鋤先に、槍を鎌に打ち直し、国民は国民に向かって剣を上げず、彼らはもう戦いのことを学ばない。
05 おお、ヤコブの家よ、さあ、わたしたちは主の光の中を歩もう。さあ、歩もうではないか。あなたがたは皆、これまで悪の道に迷ってきた。
06 それゆえ、おお、主よ、あなたはあなたの民、ヤコブの家を捨てられた。それは彼らが、東方からのものを国に満たし、ペリシテ人のように占い師に聴き、見知らぬ者の子供たちと交わるのを好むからである。
07 彼らの地には銀と金が満ち、彼らの宝には限りがない。彼らの地には馬も満ち、戦車も限りなくある。
08 彼らの地には偶像も満ち、彼らは自分の手の業、すなわち自分自身の指で造ったものを拝む。
09 地位の低い者は身をかがめず、地位の高い者はへりくだらない。それゆえ、彼をお赦しにならないように。
10 おお、あなたがた悪人たちよ、岩の中に入り、土の中に隠れよ。主への畏れと主の尊厳の輝きが、あなたがたを打つからである。
11 そしてその日には、目を上げて高ぶる者は低くされ、傲慢な者はかがめられ、ただ主だけが高められる。
12 それは、万軍の主の日が間もなくすべての国民に、まことにすべての者に、すなわち、誇り高ぶる者に、また思い上がるすべての者に臨んで、その者は低くされるからである。
13 主の日は、レバノンの杉が高くそびえているために、そのすべての杉に臨み、またバシャンのすべてのかしの木に臨む。
14 また、すべての高い山、すべての丘、思い上がるすべての国民、すべての人、
15 また、すべての高いやぐら、すべての堅固な城壁、
16 また、海のすべての船、タルシシのすべての船、すべての好ましい景色に臨む。
17 その日には、高ぶる者はかがめられ、傲慢な者は低くされ、ただ主だけが高められる。
18 そして、主は偶像をことごとく廃される。
19 主が地を激しく揺り動かされると、主への畏れが彼らに生じ、主の尊厳の輝きが彼らを打つので、彼らは岩の洞穴や地の穴に入る。
20 その日、人は拝むために自分で造った銀の偶像と金の偶像を、もぐらやこうもりに投げ与え、
21 岩の割れ目や、険しい岩の頂に入る。主が地を激しく揺り動かされると、主への畏れが彼らに生じ、主の大いなる尊厳の輝きが彼らを打つからである。
22 あなたがたは、鼻で息をする人間に頼むことをやめよ。そのような者に何の価値があろうか。」

第13章

ユダとエルサレム、不従順のために罰せられる。主、御自分の民を弁護し、また裁かれる。シオンの娘たち、世俗につかって、のろいと苦しみを受ける。イザヤ書第3章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「見よ、万軍の主なる主は、エルサレムとユダから柱と杖、すなわち、杖と頼むすべてのパンと、柱と頼むすべての水を取り去られる。
02 また勇士、戦士、さばきつかさ、預言者、賢者、長老、
03 50人の長、高官、議官、熟練した職人、雄弁な演説家を取り去られる。
04 『わたしは子供たちを彼らの君とし、みどりごが彼らを治める。』
05 民は互いに虐げ合い、隣人同士が虐げ合い、子供は長老に向かって高ぶり、地位の低い者は高貴な者に向かって高ぶる。
06 そのとき、人は自分の父の家にいる兄弟に取りすがって言う。『あなたには衣があります。わたしたちを治める者になって、あなたの手でこの破滅が起こらないようにしてください。』
07 その日、彼は誓って言う。『わたしの家にはパンも着る物もないので、わたしは癒す者にはなれません。わたしを民を治める者にしないでください。』
08 民の舌と行いが主に背いて、主の栄光の目を怒らせたために、エルサレムは滅び、ユダは倒れたのである。
09 彼らの顔つきは彼らについて不利な証言をし、彼らの罪があたかもソドムのようであることを表しており、彼らはそれを隠すことができない。彼らは災いである。彼らは自ら悪の報いを受けたのである。
10 義人に、彼らは幸いであることを告げなさい。彼らは自分の行いの実を食べるからである。
11 悪人は滅びるので災いである。彼らの手の報いが彼らに及ぶからである。
12 わたしの民は子供たちに虐げられ、女たちに治められる。おお、わたしの民よ、あなたを導く者たちはあなたを誤らせ、あなたの歩む道を絶やす。
13 主は弁護するために立ち上がり、民を裁くために立たれる。
14 主は御自分の民の長老たちと君たちについて裁きを行われる。あなたがたはぶどう園を食い尽くし、あなたがたの家には貧しい者から奪ったものがある。
15 『どういうつもりなのか。あなたがたはわたしの民を打ち砕き、貧しい者の顔をすりつぶす。』万軍の主なる神はそう言われる。
16 さらに主は言われる。『シオンの娘たちは高ぶり、首を伸ばして目でこびを売りながら歩き、小またで歩きながら、その足で鈴の音を出す。』
17 それゆえ、主はシオンの娘たちの頭の頂を打ってかさぶたで覆い、また主は彼女たちの隠し所をあらわにされる。
18 その日、主は彼女たちの鈴の音を出す飾り物、髪にかぶせる網、月形の飾り物、
19 鎖、腕輪、顔覆い、
20 頭飾り、すね飾り、結わえひも、香の入れ物、耳飾り、
21 指輪、鼻飾り、
22 礼服、外套、頭巾、髪を縮らすもの、
23 鏡、こまやかに織った亜麻布の衣服、ターバン風の帽子、かぶり物などの装いを取り除かれる。
24 そして、芳香は変わって悪臭となり、帯は変わって裂けた布となり、美しく整えた髪は変わってかぶろとなり、胸衣は変わって粗布の帯となり、美しさは変わって焼け傷となる。
25 あなたの男たちは剣に倒れ、あなたの勇士たちは戦いで倒れる。
26 シオンの門は嘆き悲しみ、シオンは荒れ廃れて、地に座する。」

第14章

シオンとその娘たち、福千年に贖われ、清められる。イザヤ書第4章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「その日、7人の女が一人の男に取りすがって言う。『わたしたちは自分のパンを食べ、自分の着物を着ます。ただわたしたちをあなたの名で呼ばれるようにし、わたしたちの恥を取り除いてください。』
02 その日、主の枝は麗しく栄光に満ち、地の産物は、イスラエルの逃れた者にとって並外れて麗しくなる。
03 そして、シオンに残る者、エルサレムにとどまる者、すなわちエルサレムで暮らす者として書き記されているすべての者は、聖なる者と呼ばれる。
04 主がその裁きの霊と焼き尽くす霊によって、シオンの娘たちの汚れを洗い清め、エルサレムの血をその中からすすぎ清められるとき、そのことは起こる。
05 主はシオンの山のすべての住まいと、その集会のうえに、昼は雲と煙、夜は燃える火の輝きを設けられる。シオンのすべての栄光のうえに守りがあるためである。
06 また一つの幕屋があって、昼は暑さを避ける陰となり、また避け所となり、嵐と雨をしのぐ隠れ場所となる。」

第15章

主のぶどう園(イスラエル)は荒れ廃れ、主の民は散らされる。背教し、散らされた状態にある彼らに、数々の災いが及ぶ。主は一つの旗を掲げ、イスラエルを集められる。イザヤ書第5章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「そのときに、わたしは深く愛する者に、その人のぶどう園についてわたしの愛する者の歌を歌おう。わたしの愛する者は、よく肥えた丘にぶどう園を持っていた。
02 彼はそこに垣を巡らし、その中の石を取り除き、そこに最も良いぶどうを植え、その中にやぐらを建て、またそこにぶどうの搾り場を設けた。そして、ぶどうがなるのを待ち望んだ。ところが、なったのは良くないぶどうであった。
03 さて、おお、エルサレムに住む者たちと、ユダの人々よ、さあ、わたしとぶどう園との間を裁きなさい。
04 『わたしがぶどう園にしたことのほかに、何かもっとそこでできたことがあっただろうか。わたしはぶどうがなるのを待ち望んでいたのに、なったのは良くないぶどうであった。
05 さあ、わたしは自分がぶどう園に行おうとしていることを、あなたがたに告げよう。わたしはその垣を取り去って、食い尽くされるに任せる。また、その塀を取り壊して、踏みにじられるに任せる。
06 わたしはそれを荒れるままにしておき、刈り込むことも、耕すこともせず、いばらとおどろを生えさせる。またわたしは、雲に命じ、その上に雨を降らせない。』
07 万軍の主のぶどう園はイスラエルの家であり、ユダの人々は主が楽しみにして植えられた苗木である。主は公平を望まれたのに、見よ、圧制。義を望まれたのに、見よ、叫び。
08 空地がなくなるまで家に家を建て連ね、自分たちだけが国の真ん中にいようとする者は災いである。
09 万軍の主がわたしの耳に言われた。『多くの家が必ず荒れ廃れ、大きな麗しいもろもろの町は住む者のない所となる。
10 まことに、10エーカーのぶどう園は1バテの実しか結ばず、1ホメルの種はわずかに1エパの実しか結ばない。』
11 朝早く起きて強い酒を追い求め、夜まで飲み続けて、ぶどう酒に身を焼かれる者は災いである。
12 彼らの酒宴には、琴と竪琴、鼓と笛とぶどう酒がある。しかし、彼らは主の業に見向きもせず、主の手の働きに目を留めない。
13 それゆえ、わたしの民は無知のために囚われの身となる。彼らの高官たちは飢え、民衆は渇きで干上がる。
14 それゆえ、地獄は広がり、その口を限りなく開く。そして彼らの栄華と、彼らのどよめきと、彼らの華やかさ、および喜び楽しむ者は、その中に落ち込む。
15 地位の低い者はさらに下げられ、力ある者は低くされ、高ぶる者の目は低くされる。
16 しかし、万軍の主は公平によってあがめられ、聖なる神は義をもって神聖であるとたたえられる。
17 そのとき、子羊たちは自分の牧場にいるように草をはみ、見知らぬ者たちは肥えた者たちの食べ残しを食べる。
18 虚栄の縄で悪を引き寄せ、車の綱でするように罪を引き寄せる者は災いである。
19 彼は言う。『我々に見えるように、彼を急がせ、彼の業を早くさせよ。我々が知ることができるように、イスラエルの聖者の勧告をそば近くに寄せよ。』
20 悪を善と呼び、善を悪と呼び、闇を光とし、光を闇とし、苦いものを甘い、甘いものを苦いとする者は災いである。
21 自分を見て賢いと思う者、自分を見て分別があると思う者は災いである。
22 ぶどう酒を飲むのに強い者、強い酒を混ぜ合わせる剛の者は災いである。
23 彼らはわいろのために悪人を義とし、義人からその義を奪う。
24 それゆえ、火がわらを焼き尽くし、炎がもみ殻をなめ尽くすように、彼らの根は腐り、彼らの花はちりのように飛び散る。彼らが万軍の主の律法を捨て、イスラエルの聖者の言葉を侮ったからである。
25 それゆえ、主の怒りは主の民に向かって燃え、主は彼らに対して御手を伸ばし、彼らを打たれた。もろもろの丘は揺れ動き、彼らのしかばねは通りで引き裂かれた。それでも主の怒りは解かれず、なおも御手は伸ばされている。
26 主は遠く離れた国民に一つの旗を掲げ、地の果てから彼らを呼ばれる。すると、彼らは急いで速やかに来る。見よ、彼らの中には疲れる者も、つまずく者もない。
27 また、まどろむ者も、眠る者もない。彼らの腰の帯は解けず、靴のひもも切れない。
28 その矢は鋭く、その弓はことごとく張っている。そして、その馬のひづめは火打ち石のように、その車輪は旋風のように、そのとどろきはライオンのように思われる。
29 彼らは若いライオンのようにほえる。ほえて、獲物を捕らえると、確実に運び去るので、だれも救い出す者はいない。
30 その日、彼らは海鳴りのように彼らにほえる。もし彼らが地を見るならば、見よ、暗闇と悲しみがあり、光は天で暗くなる。」

第16章

イザヤ、主を目にする。イザヤの罪は赦される。イザヤ、預言するように召され、ユダヤ人がキリストの教えを拒むことを預言する。残りの者が帰って来る。イザヤ書第6章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「ウジヤ王が死んだ年に、わたしは高く上げられた御座に主が座しておられるのを見た。主の衣のすそは神殿に満ちていた。
02 その上方にセラピムがいて、それぞれ6つの翼を持っており、二つの翼で顔を覆い、二つの翼で両足を覆い、二つの翼で飛んでいた。
03 そして、一人が別の一人に叫んで言った。『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主。全地は万軍の主の栄光に満ちる。』
04 そのように叫んだ者の声で入り口の柱が揺れ動き、宮には煙が満ちた。
05 それでわたしは言った。『わたしは災いだ。わたしは滅ぼされる。わたしは唇の清くない者で、唇の清くない人々の中に住んでいる。ところが、わたしの目は万軍の主なる王を見たからである。』
06 そのとき、セラピムの一人が、火ばしで祭壇の上から取った燃え盛る炭を手に携えて、わたしのところに飛んで来た。
07 そして、彼はそれをわたしの口に当てて言った。『これがあなたの唇に触れたので、あなたの悪は取り去られ、あなたの罪は清められた。』
08 また主の声があって、こう言われた。『だれを遣わそうか。我々のためにだれが行くだろうか。』それでわたしは言った。『わたしがここにいます。わたしをお遣わしください。』
09 すると主は言われた。『行ってこの民に必ず聞けと告げなさい。』しかし彼らは理解しなかった。『必ず見よと告げなさい。』しかし彼らは悟らなかった。
10 また主は言われた。『この民の心を鈍くし、彼らの耳を重くし、彼らの目を閉ざしなさい。彼らが自分の目で見、自分の耳で聞き、自分の心で理解し、心を改めて、癒されることがないためである。』
11 それでわたしは、『主よ、いつまでですか』と言った。すると主は言われた。『もろもろの町が荒廃して住む者がいなくなり、家々に人がいなくなり、地もすっかり荒れ果てるときまでである。
12 そして、そのただ中には荒れ廃れた所が増えるので、主は人々を遠くに移した。
13 しかし、それでもなお10分の1の者がいる。彼らは帰って来るが、食い尽くされる。しかし、テレビンの木とかしの木がその葉を落としても幹が木の中にあるように、聖なる子孫はその幹となる。』」

第17章

エフライムとスリヤ、ユダと戦う。キリストはおとめからお生まれになる。イザヤ書第7章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「さて、ウジヤの子のヨタムの子、アハズの時代に、スリヤの王レヂンとレマリヤの子であるイスラエルの王ペカが、エルサレムに上って来て攻めたが、勝つことができなかった。
02 ときに、スリヤがエフライムと同盟をしているとダビデの家に知らせがあった。それで、王の心も、民の心も、森の木々が風に揺らぐように動揺した。
03 そのとき、主はイザヤに言われた。『あなたとあなたの子シャル・ヤシュブとは出て行って、布さらしの野の大路にある上の池の水道の端でアハズに会い、
04 彼に言いなさい。気を落ち着けて静かにしていなさい。恐れてはならない。スリヤを率いるレヂンとレマリヤの子が激しく怒っても、それは二つのくすぶっているたいまつの燃えさしにすぎないので、気弱になってはならない。
05 スリヤとエフライム、およびレマリヤの子は、あなたに対して悪事を企てて言っている。
06 「我々はユダに攻め上って、これを悩まそう。そして我々のためにこれを分けて、タビエルの子をそこで王にしよう。」
07 主なる神はこう言われる。そのことは行われない。また起こることはない。
08 スリヤの頭はダマスコ、ダマスコの頭はレヂンである。エフライムは65年のうちに破られて、一つの民を成さなくなる。
09 またエフライムの頭はサマリヤ、サマリヤの頭はレマリヤの子である。もしあなたがたが信じなければ、しっかりと立つことはできない。』
10 さらに主は、再びアハズに言われた。
11 『主なるあなたの神にしるしを求めなさい。深い所にも、また頭上の高い所にも求めなさい。』
12 しかしアハズは言った。『わたしは求めません。主を試みることはいたしません。』
13 そこでイザヤは言った。『おお、ダビデの家よ、聞きなさい。人を煩わすことはあなたがたにとってささいなことだろうか。そのようにして、わたしの神までも煩わそうとするのか。
14 それゆえ、主は自らしるしをあなたがたに与えられる。見よ、おとめが身ごもって男の子を産み、その子の名をインマヌエルと呼ぶ。
15 その子はバターと蜂蜜を食べて、悪を退け、善を選ぶことを知るようになる。
16 その子が悪を退け、善を選ぶことを知るようになる前に、あなたが忌み嫌った地は二人の王から捨てられる。
17 主は、あなたと、あなたの民と、あなたの父の家に、エフライムがユダから離れた日以来まだ臨んだことのない日をもたらされる。それはアッスリヤの王である。』
18 さて、その日、主はエジプトの果ての地にいるあぶと、アッスリヤの地にいる蜂を呼ばれる。
19 すると、彼らはやって来て、荒れた谷や岩の裂け目に、またすべてのいばらと、すべての潅木の上にとどまる。
20 その同じ日に、主は雇い入れたかみそり、すなわち川の向こうの者、アッスリヤの王によって、頭と足の毛をそり、またひげもそり落とす。
21 そしてその日、一人の男が若い雌牛1頭と羊2頭を飼う。
22 そして、これらは乳をたくさん出すので、彼はバターを食べる。その地に残された者は皆、バターと蜂蜜を食べる。
23 そしてその日に、かつて銀1000枚に値した1000株のぶどうの木のあった所は、すべていばらとおどろの生える所となる。
24 全地がいばらとおどろになるので、人々は弓と矢を持ってそこへ行く。
25 しかし、鍬で掘り耕されたすべての丘は、いばらとおどろの生える恐れがない。そこは牛を放す所、小さな家畜の踏む所となる。」

第18章

キリストはつまずきの石、妨げの岩のようである。さえずる口寄せにではなく、主に求めよ。律法と証に頼って導きを得よ。イザヤ書第8章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「さらに、主の言葉がわたしに言われた。『大きな巻き物を1巻取り、それに普通の文字でマヘル・シャラル・ハシ・バズと書きなさい。』
02 わたしは、証言する確かな証人として、祭司ウリヤとエベレキヤの子のゼカリヤをわたしのために立てた。
03 わたしが女預言者のもとに行くと、彼女は身ごもって男の子を産んだ。すると、主はわたしに言われた。『この子の名をマヘル・シャラル・ハシ・バズと呼びなさい。
04 それは、見よ、この子がまだ「お父さん、お母さん」と呼ぶことを知らないうちに、ダマスコの富とサマリヤの分捕り品が、アッスリヤの王のもとに運び去られるからである。』
05 主はまた重ねてわたしに言われた。
06 『この民は緩やかに流れるシロアの水を捨てて、レヂンとレマリヤの子とを喜んでいる。
07 それゆえ見よ、主は勢いと水量のある川の水、すなわちアッスリヤの王と彼のすべての栄光を彼らのうえにもたらす。それはすべての水路にあふれ、すべての堤を越え、
08 ユダに流れ込み、あふれみなぎって、首にまで達する。おお、インマヌエルよ、彼の翼は伸びて、あなたの国の広がりのすべてを覆う。』
09 おお、民よ、連合せよ。それでもあなたがたは打ち砕かれる。遠くの国々のすべての者よ、耳を傾けよ。腰に帯をせよ。それでもあなたがたは打ち砕かれる。腰に帯をせよ。それでもあなたがたは打ち砕かれる。
10 ともに諮れ。しかし、それは無に帰する。言葉を出せ。しかしそれは行われない。神がわたしたちとともにおられるからである。
11 主は強い御手をもって次のようにわたしに語り、この民の道を歩まないようにわたしを諭された。
12 『この民が「同盟を」と言うすべての相手に、あなたがたは「同盟を」と言ってはならない。彼らの恐れるものを恐れてはならない。おののいてはならない。
13 万軍の主を聖なる方としてたたえ、その方をあなたがたの恐れとし、また、あなたがたのおののきとしなさい。
14 そうすれば、その方は聖所となる。しかし、イスラエルの両家にはつまずきの石となり、妨げの岩となる。また、エルサレムに住む者には、わなとなり、落とし穴となる。
15 そして彼らの多くがつまずき、倒れ、砕かれ、わなにかかり、捕らえられる。』
16 証を束ね、律法をわたしの弟子たちの中に封じておきなさい。
17 わたしは、ヤコブの家から御顔を隠しておられる主を待ち望む。わたしは主を待ち受ける。
18 見よ、わたしと、主がわたしに賜わった子供たちは、シオンの山に住んでおられる万軍の主からイスラエルに与えられたしるしであり、不思議である。
19 人々があなたに、『霊媒に求めよ、さえずりささやく口寄せに求めよ』と言うとき、民は死者から知らせを受けようとする生者のために、自分たちの神に求めるべきではないだろうか。
20 律法と証に求めなさい。もし彼らがこの言葉に従って語らないとすれば、それは彼らの中に光がまったくないためである。
21 彼らはそこでつらい目に遭い、飢えに苦しむ。そして、彼らは飢えるといらだって、自分たちの王と神をのろって上を見る。
22 また彼らが地を見ると、災難と暗闇と苦しみの闇があり、彼らは暗闇に追いやられる。」

第19章

イザヤ、メシヤについて語る。暗闇の中にいる人々は大きな光を見る。わたしたちのために、一人のみどりごが生まれる。そのみどりごは平和の君となり、ダビデの王座に着いて治める。イザヤ書第9章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「しかし、その闇は、初め主がゼブルンの地とナフタリの地を少しばかり苦しめ、後にそれよりも激しく、ヨルダンの向こうの紅海の道沿いにもろもろの国民の住むガリラヤを苦しめられたときの、その苦しみのようではない。
02 暗闇の中を歩いていた人々は大きな光を見た。死の陰の地に住む者たちのうえに光がさした。
03 あなたは民を増やし、喜びを増し加えられた。彼らは刈り入れのときに喜ぶように、また男たちが分捕り品を分けるときに喜ぶように、あなたの前で喜ぶ。
04 あなたが彼の重荷のくびきと、彼の肩の棒と、彼を虐げる者の鞭を折られたからだ。
05 戦士の戦いには、ことごとく騒がしい音と血にまみれた衣が伴うが、しかしこれは、焼き払いと火の薪によって行われる。
06 わたしたちのために一人のみどりごが生まれる。わたしたちのために一人の男の子が与えられる。主権は彼の肩にあり、その名は霊妙、助言者、力ある神、永遠の父、平和の君ととなえられる。
07 ダビデの王座にも、また彼の王国においても、彼の主権と平和とは増し加わって限りなく、これから後とこしえに公平と公正によって王国は整えられて、確立される。万軍の主の熱意がこれを行うのである。
08 主はヤコブに言葉を送られ、それはイスラエルに及んだ。
09 すべての人は知るであろう。エフライムやサマリヤに住む者でさえ高ぶりおごった心でこう言うのを。
10 『れんがが崩れても切り石で建てよう。いちじくの木が切り倒されても杉の木でそれに代えよう。』
11 それゆえ、主はレヂンの敵を彼に対して立て、彼の敵を連合される。
12 前方にスリヤ人がおり、後方にはペリシテ人がいて、彼らは大口を開けてイスラエルを食い尽くす。それでも主の怒りは解かれず、主の手は伸ばされたままである。
13 人々が自分たちを打つ御方に立ち返らず、また万軍の主を求めないからである。
14 それゆえ、主は1日のうちに、イスラエルから頭と尾、また枝と葦を断ち切られる。
15 その頭とは長老であり、その尾とは偽りを教える預言者である。
16 この人々を導く者たちは民を誤らせ、彼らから導きを受ける者は滅びる。
17 それゆえ、主は彼らの若い男たちを喜ばず、父のいない子供ややもめに憐れみをかけられない。彼らはことごとく偽善者であり、悪を行う者であって、すべての口が愚かなことを語るからである。それでも主の怒りは解かれず、主の手は伸ばされたままである。
18 悪は火のように燃え盛る。火はいばらとおどろを焼き尽くし、森の茂みを燃え立たせ、茂みは煙の柱のように巻き上がる。
19 万軍の主の激しい怒りによって地は暗くなり、民は火の薪のようになるが、だれ一人その兄弟を救う者はいない。
20 彼は右手で引ったくってもなお飢え、左手で食らっても満たされることはない。彼らは皆、各々自分の腕の肉を食らうようになる。
21 マナセはエフライムを、エフライムはマナセを攻め、両者はともにユダを攻める。それでも主の怒りは解かれず、主の手はなお伸ばされたままである。」

第20章

アッスリヤの滅亡は、主の再臨の時の悪人の滅亡の予型である。主が再び来られた後に残る人々はわずかである。その日には、ヤコブの残りの者が帰って来る。イザヤ書第10章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「不義な法令を制定する者と、自分の定めた圧制の法を書き記す者は災いである。
02 彼らは乏しい者を公平から遠ざけ、わたしの民の中の貧しい者から権利を奪い、やもめを食い物にし、父のいない子供から略奪する。
03 あなたがたは、刑罰の日に遠くから荒廃が来るとき、どうするつもりか。あなたがたは、だれのもとに逃れて助けを求めるつもりか。自分の栄光をどこに残そうとするのか。
04 わたしがいなかったら、彼らは囚われた者の中にかがみ、殺された者の中に伏し倒れる。それでも主の怒りはやまず、主の手は伸ばされたままである。
05 『おお、アッスリヤ人よ、わたしの怒りの鞭よ。彼らの手にある杖は彼らの憤りである。
06 わたしは彼を遣わして偽善の国を攻めさせる。彼に命じてわたしの激しい怒りの民を攻めて物を奪わせ、獲物を奪わせて、彼らをちまたの泥のように踏みにじらせる。
07 しかし、彼はそのようには思わず、その心もそのようには考えない。彼の心にあるのは、多くの国民を滅ぼし、絶つことである。
08 彼は言う。「わたしの諸侯は皆、王ではないか。
09 カルノはカルケミシのようではないか。ハマテはアルパデのようではないか。サマリヤはダマスコのようではないか。
10 わたしの手は偶像の王国を幾つも築き、その彫像はエルサレムやサマリヤのものに勝っていた。
11 わたしは、サマリヤとその偶像に行ったように、エルサレムとその偶像にも同じように行わないだろうか。」
12 そして、主がシオンの山とエルサレムで御自分のすべての業を成し遂げられると、わたしはアッスリヤの王の頑強な心の実と、彼らの誇らしげな高ぶりを罰しよう。
13 それは、彼がこう言うからである。「わたしは自分の手の力で、また自分の知恵でこれらのことを行った。わたしは賢いからだ。わたしは人々の境を移し、彼らの宝を略奪した。わたしは勇士のように住む者を征服した。
14 わたしの手は、人々の富を鳥の巣のように見つけた。また、残された卵を人が集めるように、わたしは全地を集めた。しかし、翼を動かす者も、口を開く者も、さえずる者もなかった。」』
15 斧は、それを使って切る者に向かって、自分を誇るだろうか。のこぎりは、それをひく者に向かって高ぶるだろうか。それはちょうど、鞭がそれを振り上げる者に向かって、自分を打ち振るようなものであり、また、杖が木ではないかのように、自らを持ち上げるようなものである。
16 それゆえ、万軍の主なる主は、彼の肥えた者たちの中に衰弱を送り、彼の栄光の下で、火が燃えるように炎を燃え上がらせる。
17 イスラエルの光は火となり、その聖者は炎となり、燃え上がって、1日のうちに彼のいばらとおどろとを焼き尽くす。
18 また、彼の森とよく肥えた畑の栄えを、霊も体も二つながらに焼き尽くす。そこで、旗手が弱り果てるように彼らもそのようになる。
19 その森に残る木はわずかであって、子供でさえも、それを書き留めることができるであろう。
20 そしてその日には、イスラエルの残りの者とヤコブの家の逃れた者は、自分たちを打った者にもはや頼らず、イスラエルの聖者なる主に真心から頼る。
21 残りの者、すなわちヤコブの残りの者は、力ある神に立ち返る。
22 あなたの民イスラエルは海の砂のようであっても、その中の残りの者だけが帰って来る。滅びはすでに定まり、義があふれようとしている。
23 万軍の主なる神が、すでに定められている滅びを全地に及ぼされるからである。
24 それゆえ、万軍の主なる神はこう言われる。『おお、シオンに住むわたしの民よ、アッスリヤ人を恐れてはならない。彼はエジプトに倣って鞭であなたを打ち、杖をあなたに向かって振り上げる。
25 しかし、もうしばらくすれば憤りはやみ、わたしの怒りが彼らを滅ぼすであろう。』
26 万軍の主は、かつてミデアン人がオレブの岩で殺されたときのように、彼に向かって鞭を振るわれる。また、海の上に杖がかざされたように、主はエジプトでの例に倣って、それを振り上げられる。
27 そしてその日には、彼の重荷はあなたの肩から取り去られ、彼のくびきはあなたの首から取り除かれ、また油を注がれたために、そのくびきは砕かれる。
28 彼はアイアテに着き、ミグロンを過ぎ、ミクマシに荷を置いた。
29 彼らは渡し場を過ぎてゲバに宿った。ラマはおののき、サウルのギベアは逃げ去った。
30 おお、ガリムの娘よ、声を上げよ。おお、哀れなアナトテよ、その声をライシに聞かせよ。
31 マデメナはすでに逃げ去り、ゲビムに住む者は集まって逃げ出そうとしている。
32 しかしその日、彼はノブにとどまり、シオンの娘の山、エルサレムの丘に向かって手を振る。
33 見よ、万軍の主なる主は、恐ろしい勢いで大枝を切り払われる。丈の高いものは切り落とされ、そびえ立つものは低くされる。
34 主は鉄で森の茂みを切り倒され、レバノンは力ある御方によって倒される。」

第21章

エッサイの株(キリスト)は、義をもって裁きを行われる。福千年には神を知る知識が地を覆う。主は旗を掲げて、イスラエルを集められる。イザヤ書第11章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「エッサイの株から一つの芽が出、その根から一つの枝が生じる。
02 そして、そのうえに主の御霊がとどまる。それは知恵と理解の霊、深慮と能力の霊、主を知る知識と主への畏れの霊である。
03 主の御霊は、主を畏れることを彼に早く悟らせる。彼は自分の目で見たことによって裁かず、自分の耳で聞いたことによって責めることをしない。
04 しかし、彼は義をもって貧しい者を裁き、公平をもって地の柔和な者を責められる。また、彼の口の鞭で世を打ち、彼の唇の息で悪人を殺す。
05 義は彼の腰の帯となり、忠信は彼の腹の帯となる。
06 おおかみは子羊とともに宿り、ひょうは子やぎとともに伏し、子牛と若いライオンと肥えた若い家畜はともにいて、幼い子供がこれらを導く。
07 雌牛とくまはともに食べ、その子らはともに伏し、ライオンは牛のようにわらを食べる。
08 乳飲み子は毒蛇の穴の上で戯れ、乳離れした子はまむしの穴に手を置く。
09 彼らはわたしの聖なる山のどこにおいても、害を与えることも損なうこともない。水が海を覆っているように、主を知る知識が地に満ちるからである。
10 その日、エッサイの根が民の旗として立ち、異邦人はこれに求め、彼の安息は栄光に満ちる。
11 そしてその日、主は再び、残されている御自分の民の残りの者を、アッスリヤ、エジプト、パテロス、クシ、エラム、シナル、ハマテ、および海の島々から元に戻す業を始められる。
12 主はもろもろの国民のために旗を掲げ、イスラエルの追放された者を集め、ユダの散らされた者を地の四方から集められる。
13 また、エフライムのねたみは消え去り、ユダの敵は絶たれる。エフライムはユダをねたまず、ユダもまたエフライムを悩まさない。
14 彼らは西の方のペリシテ人の肩に飛びかかり、またともに東の民から強奪する。彼らはエドムとモアブにも手を伸ばし、またアンモンの子孫を従わせる。
15 主はエジプトの海の入江をことごとく涸らされる。また、強風を伴って川の上で手を振り動かし、それを打って7つの流れとし、乾いた靴で人々を渡らせられる。
16 残された主の民の残りの者のために、アッスリヤからの大路がある。イスラエルがエジプトの地から上って来た日に、イスラエルのために備えられたように。」

第22章

福千年には、すべての人が主をほめたたえる。主は民の中にとどまられる。イザヤ書第12章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「その日、あなたは言う。『おお、主よ、わたしはあなたをほめたたえます。あなたはかつて、わたしのことをお怒りになりましたが、今はあなたの怒りも解かれ、あなたはわたしを慰めてくださいました。』
02 『見よ、神はわたしの救いである。わたしは信頼して恐れない。主なるエホバはわたしの力であり、わたしの歌である。また、主はわたしの救いとなってくださった。』
03 それゆえ、あなたがたは喜んで、救いの井戸から水をくむ。
04 その日、あなたがたは言う。『主をほめたたえ、主の御名を呼び、主の行われたことを人々の中に告げ知らせ、主の御名があがめられていることを話しなさい。
05 主をたたえて歌いなさい。主はすばらしいことをされたからである。このことは全地に知られている。
06 シオンに住む者よ、大声を上げて叫びなさい。イスラエルの聖者は、あなたの中にあって大いなる御方なのだから。』」

第23章

バビロンの滅亡は、主の再臨の時に悪人が滅びることの予型である。やがて怒りと報復の日が来る。バビロン(世)はとこしえに倒れる。イザヤ書第13章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「アモツの子イザヤが見た、バビロンについての託宣。
02 高い山の上に旗を掲げ、彼らに向かって声を上げ、手を振って、彼らを貴族の門に入らせなさい。
03 『わたしは聖別した者たちに命じた。また、わたしの勇士たちを召した。わたしの怒りは、わたしが高い位にあることを喜ぶ者には及ばないからである。』
04 群衆のような山々のとどろき。寄り集まったもろもろの民の王国のどよめき。万軍の主が軍隊を召集しておられる。
05 彼らは遠い地方から、天の果てからやって来る。まことに、主と主の憤りの武器が全地を滅ぼすために来る。
06 泣きわめけ。主の日は近づいているからである。それは全能者から滅亡として来る。
07 それゆえ、すべての手は弱り、すべての人の心はくじける。
08 彼らはおののき、ひどい苦しみと悲しみが彼らを捕らえる。彼らは互いに見合って驚き、彼らの顔は炎のようになる。
09 見よ、主の日が来る。憤りと激しい怒りを伴う容赦のない日が来て、地を荒れ廃れさせる。そして主は、そこにいた罪人を滅ぼされる。
10 天の星と星座は光を放たず、太陽は日の出から暗く、月もその光を輝かさない。
11 『わたしは悪のために世を罰し、罪悪のために悪人を罰する。また、誇る者の傲慢をとどめ、荒々しい者の高慢を抑える。
12 わたしは人を純金よりも、オフルの金塊よりも少なくする。
13 それゆえ、わたしは天を震わせる。また、万軍の主の激しい怒りにより、主のすさまじい怒りの日に、地はその場所から移る。』
14 それは、狩り出されるかもしかのようであり、集める者のいない羊のようである。彼らは各々自分の民に帰り、各々自分の国に逃げ戻る。
15 誇る者は皆、刺し貫かれ、また悪人の仲間に加わる者は皆、剣によって倒れる。
16 彼らの子供たちは目の前で投げ砕かれ、彼らの家は強奪され、彼らの妻は犯される。
17 『見よ、わたしはメデア人を起こして彼らに向かわせる。メデア人は金銀に見向きもせず、それを喜びもしない。
18 彼らの弓は若い男たちを射砕く。彼らは胎の実を哀れまず、彼らの目は子供たちを容赦しない。
19 もろもろの王国の誉れであり、カルデヤ人の卓越した麗しさであるバビロンは、かつて神がソドムとゴモラを滅ぼされたときのようになる。
20 そこに住む者は一人もなく、代々住みつく者もいない。アラビア人もそこには天幕を張らず、羊飼いたちもそこには羊の囲いを設けない。
21 砂漠の野獣がそこに伏し、彼らの家々には陰気な生き物が満ち、ふくろうがそこに住み、鬼神がそこで踊る。
22 島々の野獣が彼らの家でほえ、彼らの華麗な宮殿には龍が鳴く。バビロンの時は間近であり、その日は延ばされない。わたしは速やかにバビロンを滅ぼす。まことに、わたしは自分の民を憐れむが、悪人は滅びる。』」

第24章

イスラエルは集められ、福千年の安息を享受する。ルシフェルは背いたために天から追い出された。イスラエルはバビロン(世)に打ち勝つ。イザヤ書第14章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 「主はヤコブを憐れみ、やがてイスラエルを選んで、彼らを彼ら自身の地に置かれる。また、見知らぬ者たちが彼らに連なり、ヤコブの家に結びつく。
02 人々は彼らを連れて、彼らの地に導く。まことに、遠くから地の果てまで彼らを導く。そして、彼らは自分たちの約束の地に帰る。イスラエルの家はそれらを所有し、主の地は僕のものとなり、はしためのものとなる。そして彼らは、かつて自分たちをとりこにした者をとりこにし、自分たちを虐げた者を治める。
03 そしてその日、主はあなたの悲しみと恐れを取り除き、またあなたが服したつらい苦役を解いて、あなたに安息を与えられる。
04 そしてその日、あなたはバビロンの王に対して次の言葉を告げて言う。『虐げる者がどうして果てたのか。黄金の都がどうして滅びたのか。
05 主は悪人の杖、支配者たちの笏を折られた。
06 激しい怒りをもって民を打ち続けて苦しめた者、怒りのうちに国民を治めた者は今責められる。そして、それをとどめる者はだれもいない。
07 全地は安息を得、穏やかになり、人々は声を放って歌う。
08 まことに、もみの木も、レバノンの杉の木もあなたのことを喜んで言う。「あなたが倒れてから、わたしたちを切りに来るきこりは一人もいない。」
09 下の地獄は、あなたが来るのを迎えて揺れ動く。あなたのために死者を、すなわち地のすべての指導者たちを揺り起こす。また、国々のすべての王たちをその王座から立ち上がらせる。
10 彼らは皆、あなたに告げて言う。「あなたもまた、わたしたちのように弱くなったのか。あなたも、わたしたちと同じようになったのか。」
11 あなたの華やかさは墓に葬られ、あなたの琴の音は聞こえない。うじがあなたの下に敷かれ、またあなたを覆う。
12 おお、暁の子ルシフェルよ、あなたはどうして天から落ちたのか。もろもろの国々を打ちのめしたあなたが、地に切り倒されるとは。
13 あなたはかつて心の中で言った。「わたしは天に昇り、わたしの王座を神のもろもろの星よりも高くしよう。また、北の果てにある集会の山に座そう。
14 わたしは雲の頂に昇り、いと高き者のようになろう。」
15 しかし、あなたは地獄に落とされ、穴の底に入れられる。
16 あなたを見る者はつくづくとあなたを見、あなたに目を留めて言う。「これが地を震わせ、もろもろの王国を揺り動かした者か。
17 世界を荒れ野のようにし、そのもろもろの町を滅ぼし、捕らえた者たちを釈放しなかった者か。」
18 もろもろの国の王たちは皆、まことにすべての王たちはそれぞれ、尊い有様で自分の家に横たわっている。
19 しかし、あなたは忌み嫌われる枝のように墓の外に投げ出される。また、剣で刺し殺された者の残りは、穴の底に投げ落とされる。まるで、足で踏みつけられるしかばねのようである。
20 あなたは自分の国を滅ぼし、自分の民を殺したので、彼らとともには葬られない。悪を行う者の子孫は、決して名を知られることがない。
21 先祖が罪悪を犯したので、彼の子孫が立って地を占領して、世界の面をもろもろの町で満たすことのないように、子孫を殺す備えをしなさい。』
22 万軍の主は言われる。『わたしは彼らに逆らって立ち、バビロンからその名と、残りの者と、息子と、孫とを絶とう。』そう主は言われる。
23 『わたしはバビロンをさぎの住みかとし、水の池とする。また、滅びのほうきでそれを掃こう。』万軍の主はそう言われる。
24 万軍の主は誓って言われた。『わたしが思ったように必ず事は成り、わたしが定めたように必ず立つ。
25 わたしはアッスリヤ人をわたしの地に入らせ、わたしの山々の上で踏みにじろう。そのとき、アッスリヤ人のくびきはイスラエルから取り去られ、その重荷は彼らの肩から取り除かれる。』
26 これは全地に対して定められたことであり、またこれは、すべての国の上に伸ばされた御手である。
27 万軍の主が定められたものを、だれが取り消せようか。主の手が伸ばされているのを、だれが押し戻せようか。
28 アハズ王の死んだ年に、この託宣があった。
29 『ペリシテの全地よ、あなたを打った者の鞭が折れたからといって喜んではならない。蛇の根からまむしが出、その実は火の飛ぶ蛇となるからである。
30 貧しい者の初子は食物を得て、乏しい者は安らかに伏す。わたしはあなたの根を飢饉で枯らし、彼はあなたの残りの者を殺す。
31 おお、門よ、泣きわめけ。おお、町よ、叫べ。ペリシテの全地よ、崩れよ。北から煙が来るからである。定められたときに独りでいる者はだれもいない。』
32 そのとき、国々の使者たちは何と答えるだろうか。『主はシオンを築かれた。主の民の貧しい者はそれに頼る』と答える。」

第25章

ニーファイは、分かりやすいことを喜びとする。終わりの時にはイザヤの預言が理解される。ユダヤ人はバビロンから帰り、メシヤを十字架につけ、散らされ、苦しめられる。ユダヤ人はメシヤを信じるようになると、元の状態に戻される。リーハイがエルサレムを去って600年たつと、メシヤの最初の来臨がある。ニーファイ人はモーセの律法を守り、イスラエルの聖者であるキリストを信じる。紀元前約559年から545年に至る。

01 ところで、わたしニーファイは、イザヤの口を通して語られた御言葉をこれまで書き記してきたが、今これらについて少し話をしよう。見よ、イザヤが語った多くの事柄は、わたしの民の多くの者にとって理解しにくいものである。それは、彼らがユダヤ人の預言の仕方を知らないからである。
02 それは、ユダヤ人が闇の業にふけり、忌まわしい行いに走っていたので、わたしニーファイはユダヤ人の風習について多くのことを民に教えなかったからである。
03 それで、わたしは自分の民に、また、わたしが今書いているこれらのものを将来受けるすべての人に書き記して、彼らが神の語られた御言葉のとおりに、すべての国民に及ぶ神の裁きについて知ることができるようにしよう。
04 したがって、聴きなさい、おお、イスラエルの家に属するわたしの民よ。わたしの言葉に耳を傾けなさい。イザヤの言葉はあなたがたには分かりにくいが、預言の霊に満たされている人々には分かりやすい。わたしはあなたがたに、わたしの内にある御霊によって預言する。すなわち、父とともにエルサレムを出たときから絶えず示してきた、分かりやすい言葉で預言する。見よ、わたしは、民が学べるように分かりやすい言葉で話すことを喜びとしているからである。
05 また、わたしは自分がエルサレムから出て来た者であり、この目でユダヤ人にかかわることを見てきたので、イザヤの言葉を喜んでいる。ユダヤ人は、預言者たちの述べた事柄をよく理解している。しかも、ユダヤ人に話された事柄をユダヤ人ほどよく理解できる者は、ユダヤ人の風習を教わっていないかぎり、ほかにいない。このことをわたしは知っている。
06 しかし見よ、わたしはユダヤ人の風習について自分の子供たちに教えなかったが、わたし自身はかつてエルサレムに住んでいたので、その周りの地方について知っている。また、わたしは子供たちに、イザヤが語ったすべての事柄のとおりに、すでにユダヤ人に神の裁きが下ったことを告げた。それについてはここには書かない。
07 しかし見よ、わたしは分かりやすい言葉で自分の預言を続けよう。分かりやすく述べれば、だれも誤解しようがないことを知っているからである。しかし、イザヤの預言が成就する日に、すなわちそれらの預言が事実となるときに、人々はそれが確かであることを知るであろう。
08 それゆえ、イザヤの預言は人の子らにとって価値がある。価値がないと思う者に特にわたしは語ろう。また、わたしの民に対してだけ語る。それはイザヤの言葉が、終わりの時に、彼らにとって大いに価値のあるものとなることを知っているからである。彼らはその日に、イザヤの言葉を理解するからである。それゆえ、わたしは彼らのためにそれらを書き記してきたのである。
09 ユダヤ人の中で1代の人々がすでに罪悪のために滅びたように、代々のユダヤ人も彼らの罪悪のために滅びてきた。彼らの中には、主の預言者たちから予告を受けることなしに滅びた者は、これまでにまだ一人もいない。
10 さて、ユダヤ人は、わたしの父がエルサレムを去ったすぐ後に滅亡が及ぶことを告げられていた。にもかかわらず、彼らは心をかたくなにした。囚われの身となってバビロンへ連れ去られた者以外は、わたしの預言どおりに滅ぼされてしまった。
11 わたしは今このことを、わたしの内にある御霊によって語る。彼らは連れ去られたにもかかわらず、将来再び帰って来て、エルサレムの地を所有する。彼らの受け継ぎの地に再び戻されるのである。
12 しかし見よ、彼らの中には戦争と戦争のうわさがある。また、御父の独り子、すなわち天地の父が肉にあって彼らに御自身を現される日が来ると、見よ、彼らは罪悪を犯し、心をかたくなにし、強情になって、その御方を拒む。
13 見よ、彼らは独り子を十字架につける。しかし、独り子は3日間墓に横たえられた後、御自分の翼にある癒しによって死者の中からよみがえられる。そして、独り子の名を信じる者は皆、神の王国に救われる。わたしは、この独り子について預言することに喜びを感じる。それは、わたしはすでにこの独り子の生涯を見たからである。したがって、わたしの心は独り子の聖なる名を賛美する。
14 そして見よ、メシヤが死者の中からよみがえり、御自分の民に、すなわち御名を信じる多くの者に御自身を現された後、エルサレムは再び滅ぼされる。神と神の教会の聖徒たちに逆らって戦う者は、災いを受けるからである。
15 これによって、ユダヤ人はすべての国民の中に散らされる。また、バビロンも滅ぼされるので、ユダヤ人はほかの国民によって散らされる。
16 そして、彼らが散らされ、主なる神が何世代もの間、すなわち、彼らが神の御子キリストと全人類のための無限の贖罪を信じるようになるまで、代々ほかのもろもろの国によって彼らを鞭打たれた後、やがて彼らがキリストを信じ、純真な心と清い手をもってキリストの名により天の御父を拝し、もうほかのメシヤを待ち望まない日が来る。そのときには、彼らはこれらの事柄を信じざるを得なくなる。
17 やがて主は御自分の民を、迷い堕落した状態から元の状態に戻す業を再び始められる。そのために、主は驚くべき業と不思議を人の子らの中で行われる。
18 そして主は、彼らに御自分の言葉を伝えられる。それらの御言葉は彼らに、かつてユダヤ人が拒んだまことのメシヤを信じさせ、また、もうほかのメシヤがおいでになるのを待ち望む必要がないことを確信させるために与えられるものであるから、彼らは終わりの日にこれらの御言葉によって裁かれるのである。預言者たちの語るメシヤはただ一人であって、ユダヤ人はそのメシヤを拒むのであるから、ほかにメシヤが来るとすれば、それは民を惑わす偽りのメシヤにほかならない。
19 預言者たちの言葉によれば、メシヤはわたしの父がエルサレムを去ってから600年で来られる。また、預言者たちの言葉と神の天使の言葉によれば、その御名は神の御子イエス・キリストととなえられる。
20 さて、わたしの同胞よ、わたしはあなたがたが誤解しないように分かりやすく語ってきた。主なる神はイスラエルをエジプトの地から導き出し、また、民が毒蛇にかまれたときには、モーセが彼らの前に上げた蛇を見れば癒されるようにモーセに力を与え、さらに、岩を打てば水が出るようにモーセに力を授けられた。見よ、これらのことが真実であるように、また主なる神が生きておられるように確かに、わたしが語ってきたイエス・キリストのほかに、人に救いを与えることのできる名は天下に与えられていないということを、あなたがたに言っておく。
21 さて、このような理由で、主なる神は、わたしが書き記すこれらのものが保存され、残されて、代々わたしの子孫に伝えられると約束してくださった。それによって、ヨセフの子孫は大地のあるかぎり決して滅びることはないという約束が、ヨセフに対して果たされるのである。
22 それゆえ、これらのものは大地のあるかぎり代々伝わる。神の御心と思いのままに伝わるのである。そして、これらのものを所有する国民は、書き記されている言葉によって裁かれるのである。
23 わたしたちは子孫と同胞に、キリストを信じ、神と和解するように説き勧めるために、熱心に記録し続けようと努めている。それは、わたしたちが最善を尽くした後、神の恵みによって救われることを知っているからである。
24 また、わたしたちはキリストを信じているが、今はモーセの律法を守り、律法が成就するまで確固としてキリストを待ち望む。
25 この目的のために律法が与えられたからである。それゆえ、律法はわたしたちにとってすでに無用となって、わたしたちは信仰により、キリストによって生かされている。それでも、神の戒めに従って律法を守るのである。
26 わたしたちはキリストのことを話し、キリストのことを喜び、キリストのことを説教し、キリストのことを預言し、また、どこに罪の赦しを求めればよいかを、わたしたちの子孫に知らせるために、自分たちの預言したことを書き記すのである。
27 それゆえ、律法について語るのは、わたしたちの子孫に律法が無用であることを知らせるためである。また彼らが、律法が無用であることを知って、キリストの内にある命を待ち望み、律法が何の目的で与えられたかを知ることができるようにするためである。さらに、キリストによって律法が成就して律法が廃されるときに、彼らがキリストに対して心をかたくなにすることがないようにするためである。
28 さて見よ、わたしの民よ、あなたがたは強情な民であるから、誤解しようのないように、わたしは分かりやすく語ってきた。わたしが語ってきた言葉は、どんな人にでも正しい道を教えるのに十分であるから、あなたがたを責める証になる。正しい道とは、キリストを信じること、キリストを否定しないことである。キリストを否定すれば、預言者と律法も否定することになる。
29 さて見よ、わたしはあなたがたに言っておく。正しい道とはキリストを信じること、キリストを否定しないことである。そして、キリストとはイスラエルの聖者である。それゆえ、あなたがたはキリストの前にひれ伏し、あなたがたの勢力と思いと力を尽くし、全身全霊を込めてキリストを拝さなければならない。これを行えば、あなたがたは決して追い出されることはない。
30 モーセに与えられた律法が成就するまで、必要なかぎり、あなたがたは神の勤めと儀式を守らなければならない。

第26章

キリストは将来、ニーファイ人を教え導かれる。ニーファイ、自分の民の滅亡を予見する。彼らは地から語る。異邦人、偽りの教会と秘密結社を作る。主は偽善売教を禁じられる。紀元前約559年から545年に至る。

01 キリストは死者の中からよみがえった後、あなたがた、すなわちわたしの子孫と愛する同胞に御自身を現される。そして、そのときにキリストがあなたがたに語られる御言葉は、あなたがたが守らなければならない律法となる。
02 見よ、わたしはあなたがたに言っておく。将来多くの代が過ぎて、わたしの民の中に大きな戦争と争いがあるのを、わたしは見た。
03 メシヤが来られると、わたしの民にメシヤの降誕のしるしが数々与えられる。また、死と復活のしるしも数々与えられる。その日は悪人にとって大変な恐ろしい日となる。彼らはその日に滅びるからである。彼らが滅びるのは、預言者と聖徒を追い出し、石を投げつけ、殺すからである。そのため、聖徒の血の叫びが地から神のもとに上って、彼らのことを訴えるのである。
04 それであるから、すべて高ぶる者と悪を行う者が、やがて焼き尽くされる日が来るであろうと、万軍の主は言われる。彼らはわらのようになるからである。
05 預言者と聖徒を殺す者は地の深い所にのみ込まれると、万軍の主は言われる。山々が彼らに覆いかぶさり、旋風が彼らを運び去り、建物が彼らの上に倒れかかって、彼らを押しつぶし、粉みじんにしてしまう。
06 また彼らは、雷や稲妻、地震、およびあらゆる破壊に見舞われる。それは、主の怒りの火が彼らに対して燃え上がり、彼らはわらのようになり、やがて彼らを焼き尽くしてしまう日が来るからである。このように万軍の主は言われる。
07 おお、わたしの民の中の殺されて失われる者のゆえに、わたしの心は痛み、苦しむ。わたしニーファイはそれを見たので、主の前に燃え尽きてしまいそうである。しかし、わたしは神に向かって、「あなたが行われることは公正です」と叫ばざるを得ない。
08 しかし見よ、預言者たちの言葉に聞き従い、また彼らを滅ぼそうとすることなく、どのような迫害を受けても与えられたしるしを心に留めて、確固としてキリストを待ち望む義人は、滅びを受けない人々である。
09 しかし、義の御子は将来彼らに現れ、彼らを癒される。そして、3代の人々が世を去り、4代目の多くの人も義のうちに世を去るまで、彼らは御子によって平安を保つ。
10 しかし、これらのことがあってから、速やかな滅亡がわたしの民に下る。わたしの心は痛むが、わたしはそれを見たので、将来そのことが起こることを知っている。彼らは価値のないものに自分自身を売り渡すのである。わたしの民は、高慢と愚かな行いの報いとして滅亡を刈り取る。彼らは悪魔に従い、光よりも闇の業の方を選ぶので、地獄へ下って行かなければならない。
11 主の御霊はいつでも人を励ますわけではないからである。そして、御霊が人を励ますのをやめると、速やかに滅びが来る。わたしが悲しく思うのは、このためである。
12 わたしは、イエスがまことのキリストであられるとユダヤ人に確信させることについて語ったが、異邦人にもイエスはキリストであり、永遠の神であられることを確信させることが必要である。
13 イエスは御自分を信じるすべての人、まことにあらゆる国民、部族、国語の民、民族に聖霊の力によって御自身を現され、人の子らの中で、彼らの信仰に応じて大きな奇跡としるしと不思議を行われる。このことも、異邦人に確信させる必要がある。
14 しかし見よ、わたしはあなたがたに、終わりの時について、すなわち、主なる神がこれらのことを人の子らに明らかにされる時代について、預言する。
15 わたしの子孫とわたしの兄弟の子孫は、不信仰に陥って異邦人に打たれる。まことに、主なる神は彼らの周りに陣を構え、彼らを山で囲み、彼らに対してとりでを築かれる。そして彼らは地に倒されて、もはや存在しなくなる。しかしながらその後、義人の言葉が書き記され、忠実な者の祈りが聞き届けられるので、不信仰に陥った者のすべてが忘れ去られるわけではない。
16 滅ぼされる者が、地から人々に語りかけるからである。その言葉は低く地の中から出て来て、その声は霊媒の声のように聞こえる。主なる神はその者に力を授け、まるで地の中から出て来るかのように、その者が彼らのことをささやけるようにされる。こうして彼らの言葉は、地の中からささやくのである。
17 主なる神はこう言われる。「彼らは彼らの中で行われることを書き記す。そして、それらのことは、一つの書物に書き記されて封じられる。不信仰に陥った者は、神にかかわるものを絶やそうとするので、それらのものを得られない。
18 それゆえ、すでに滅ぼされた者たちは速やかに滅ぼされた。また、荒々しい者の群れは、吹き飛ぶもみ殻のようになる。」まことに主なる神は言われる。「このことは突然に、瞬く間に起こる。」
19 そして不信仰に陥った者は、異邦人によって打たれる。
20 また異邦人は高慢な目をもって高ぶり、つまずきとなるものが大きいためにつまずいた。そして多くの教会を設けた。しかしながら彼らは、神の力と奇跡を侮り、自分の知恵と学識を自賛して、利益を求め、貧しい者の顔をすりつぶす。
21 ねたみと争いと悪意を引き起こす教会が、多く設けられる。
22 また昔のように、悪魔の結社である秘密結社もある。悪魔はすべてこれらのものの創設者、まことに、殺人やいろいろな闇の業の創始者である。そして悪魔は、麻縄を彼らの首にかけて引っ張って行き、ついには強い縄で、とこしえに彼らを縛ってしまうのである。
23 見よ、わたしの愛する同胞よ、あなたがたに言っておく。主なる神は暗闇の中で業を行うようなことはなさらない。
24 主は、世のためになることでなければ何事もなさらない。すべての人をみもとに引き寄せるために御自分の命を捨てるほど、主は世を愛しておられるからである。したがって主は、御自分の救いにあずかってはならないと、だれにも命じられることはない。
25 見よ、主がだれかに向かって、「わたしのもとから去れ」と叫ばれるだろうか。見よ、わたしはあなたがたに言う。そのようなことはない。むしろ、「地の果てに至るすべての者よ、わたしのもとに来て、金を出さず、代価を払わないで、乳と蜜を買いなさい」と言われる。
26 見よ、主はだれかに、会堂、すなわち礼拝の家から立ち去るように命じられたことがあるだろうか。見よ、わたしはあなたがたに言う。そのようなことはない。
27 また主がだれかに、主の救いにあずかってはならないと命じられたことがあるだろうか。見よ、わたしはあなたがたに言う。そのようなことはない。むしろ主は、すべての人に救いを無料で授けてこられた。そして、すべての人に悔い改めを説き勧めるよう、主の民に命じてこられた。
28 見よ、主がだれかに、主の慈しみにあずかってはならないと命じられたことがあるだろうか。見よ、わたしはあなたがたに言う。そのようなことはない。むしろすべての人に、ほかの人と同様の者となる特権が与えられており、それを禁じられる者はだれ一人いない。
29 主なる神は、偽善売教はあってはならないと命じられる。見よ、偽善売教とは、利益と世の誉れを得るために、説教をして自分自身を世の光とすることであって、シオンの幸いを求めることではない。
30 見よ、主はこのことを禁じられた。それゆえ主なる神は、人は皆、慈愛すなわち愛を持つようにとの戒めを与えられた。慈愛がなかったならば人は何の価値もない。それゆえ、もし人に慈愛があれば、シオンで働く者を死なせたりはしないであろう。
31 しかし、シオンで働く者は、シオンのために働くべきである。もしも金銭のために働くならば、滅びるであろう。
32 また、主なる神は、人を殺してはならない、偽りを言ってはならない、盗んではならない、自分たちの神である主の名をみだりに唱えてはならない、ねたんではならない、悪意を抱いてはならない、互いに言い争ってはならない、みだらな行いをしてはならない、これらのことをどれも行ってはならないと命じられた。これらのことを行う者は滅びるからである。
33 これらの罪悪は、いずれも主から来るものではない。主は人の子らの中で、ためになることを行われるからである。また主は、人の子らにとって分かりやすいことでなければ、何事も行われない。そして主は、御自分のもとに来て主の慈しみにあずかるように、すべての人を招かれる。したがって主は、黒人も白人も、束縛された者も自由な者も、男も女も、主のもとに来る者を決して拒まれない。主は異教徒さえも心にかけられる。ユダヤ人も異邦人も、すべての人が神にとって等しい存在なのである。

第27章

終わりの時に暗黒と背教が地を覆う。『モルモン書』が出て来る。その書物について3人の証人が証する。学者はその封じられた書物を読むことはできないと言う。主は驚くべき業と不思議を行われる。イザヤ書第29章と比較せよ。紀元前約559年から545年に至る。

01 しかし見よ、終わりの時、すなわち異邦人の時代になると、見よ、異邦人とユダヤ人のすべての国民は、この地に来る者もほかの地にいる者も、すなわち全地の者が皆、見よ、罪悪とあらゆる忌まわしい行いで酔う。
02 その日が来ると、万軍の主は、雷、地震、大音響、嵐、暴風雨、焼き尽くす火の炎を彼らに下される。
03 そして、シオンと戦い、シオンを悩ますすべての国民は、夜の幻のようになる。すなわち、飢えた者が夢を見るようである。飢えた者が夢の中で食べても、目を覚ませば空腹である。あるいは、のどの渇いた者が夢を見るようである。見よ、のどの渇いた者が夢の中で飲んでも、目を覚ませば体は弱っており、渇きは続いている。まことに、シオンの山と戦うすべての国民の群れも、そのようになる。
04 また見よ、罪悪を行う者たちよ、あなたがたは皆、立ち尽くして驚嘆せよ。あなたがたは大声で叫び、わめくであろう。まことに、あなたがたは酔うが、ぶどう酒によるのではない。震えるが、強い酒によるのではない。
05 また見よ、主があなたがたのうえに、深い眠りの霊を注がれたからである。あなたがたが目を閉じ、預言者たちを拒んだためである。それで、主はあなたがたの罪悪のために、統治者と聖見者を隠してしまわれた。
06 そして主なる神は、ある書物の言葉をあなたがたにもたらされる。それは眠りに就いた者たちの言葉である。
07 見よ、その書物は封じられており、その中には、世の初めから世の終わりまでの神からの啓示が載っている。
08 また、封じられているものがあるので、封じられているものは、民が悪事と忌まわしい行いにふけっている時代には授けられない。したがって、その書物は人々から隠される。
09 しかしその書物は、やがて一人の男に授けられる。そして彼は、その書物の中の言葉、すなわち地の中で眠りに就いている者たちの言葉を、別の男に授ける。
10 しかし彼は、封じられている言葉は授けないし、その書物も渡さない。その書物は神の力によって封じられており、また、封じられている啓示は、主がふさわしいと思われる時が来て世に出るまで、その書物の中に保たれるからである。見よ、それらの啓示は世の初めから世の終わりまで、すべてのことを示すものである。
11 こうして、封じられた書物の言葉が屋根の上で読み上げられ、またキリストの力によって読まれる日が来る。そして、かつて人の子らの中にあったことと、またこれから世の終わりまでに起こることがすべて、人の子らに示される。
12 それゆえ、わたしが前に述べた男にその書物が授けられる日に、その書物は世の人々の目につかないように隠される。そして、その書物を授けられる男のほかに、3人の証人が神の力によってそれを見るが、そのほかにはだれも見ない。そしてこの3人は、その書物とその中に書いてあることが真実であることを証する。
13 このほかにそれを見る者は、ただ神の御心に従って人の子らに神の言葉について証を述べる少数の者だけで、だれもほかにいない。主なる神は、忠実な者の言葉はあたかも死者から出るかのように語る、と言われた。
14 それゆえ、主なる神はその書物の言葉をもたらし、また適切であると見なされる人数の証人の口を通して、御自分の言葉を確かなものとされる。したがって、神の言葉を拒む者は災いである。
15 しかし見よ、そこで主なる神はその書物を受け取る男にこう言われる。「封じられていないこれらの言葉を取って別の男に渡し、彼が学者にそれを見せて、『どうぞ、これを読んでください』と言うようにしなさい。するとその学者は、『その書物をここに持って来てください。そうすれば読みましょう』と言う。
16 ところで、彼らがそう言うのは、世の誉れのため、また利益を得るためであって、神の栄光のためではない。
17 それで先の男は、『その書物は封じられているので、持って来ることはできません』と言う。
18 すると、学者は、『それでは、わたしには読めない』と言う。」
19 そこで、主なる神はその書物とその中の御言葉をもう一度学識のない者に授けられる。すると学識のない者は、「わたしは無学です」と言う。
20 そのとき、主なる神は言われる。「学者は、これらの言葉を受け入れなかったので、読めない。しかし、わたしにはわたし自身の業を行う能力があるので、あなたはわたしが授ける言葉を読むであろう。
21 封じられている部分に触れてはならない。わたしは、自分がふさわしいと思うときにそれらをもたらすからである。そして、わたしにはわたし自身の業を行う能力があることを、人の子らに示そう。
22 それゆえ、あなたはわたしの命じた言葉を読み、またわたしがあなたに約束した証人たちを得たら、その後、あなたは再びその書物を封じて、わたしに託して隠すようにしなさい。そうすればわたしは、人の子らにすべてのことを明らかにするのがわたしの知恵にかなうと思うときまで、あなたのまだ読んでいない言葉を保っておくことができる。
23 さて見よ、わたしは神である。奇跡の神である。わたしは、昨日も、今日も、またとこしえに変わらないこと、また、わたしは人の子らの信仰に応じてでなければ彼らの中で業を行わないことを、世の人々に示そう。
24 そしてまた、主は御言葉を授けられて、それを読む先の男に言われる。
25 「この民は口ではわたしに近づき、唇ではわたしをあがめるが、彼らの心はわたしから遠く離れている。彼らがわたしを畏れ敬うのは、人の訓戒によって教えられているからである。
26 それゆえ、わたしはこの民の中で驚くべき業を、まことに驚くべき業と不思議を行う。知者と学者の知恵は失われ、賢者の知識は隠される。」
27 自分たちのはかりごとを奥深く隠して、主に知られないようにしようとする者は、災いである。彼らの行いは闇の中にあり、彼らは、「だれがわたしたちを見ていようか。だれがわたしたちを知っていようか」と言う。彼らはまた、「確かに、あなたがたが物事を転倒して考えていることは、陶器師の粘土のようなものだ」と言う。しかし見よ、万軍の主は言われる。「わたしは彼らのあらゆる行いを知っていることを彼らに示そう。造られたものがそれを造った者について、『彼はわたしを造らなかった』と言えるだろうか。形造られたものが形造った者について、『彼には分別がない』と言えるだろうか。」
28 しかし見よ、万軍の主は言われる。「わたしは人の子らに、もうしばらくするとレバノンがよく肥えた畑に変わり、そのよく肥えた畑が森のように思われる時が来ることを示そう。」
29 そしてその日、耳の聞こえない者もその書物の御言葉を聞き、目の見えない者も暗闇から、また暗黒から出て見えるようになる。
30 また、柔和な者たちも増えて主にあって喜びを得、人々の中の貧しい者たちは、イスラエルの聖者によって喜びを味わうようになる。
31 荒々しい者はいなくなり、あざける者は焼き尽くされ、罪悪の機をうかがう者は絶たれることを、主が生きておられるように確かに、彼らは知るからである。
32 たった一言のために人を悪く見る者、門でとがめる者に対してわなを仕掛ける者、また価値のないもののために正しい者を退ける者、これらの者は絶たれる。
33 さて、アブラハムを贖われた主は、ヤコブの家についてこう言われる。「それゆえ、ヤコブはもはや恥を受けることなく、また、もはや顔色を失うこともない。
34 彼が自分の中にわたしの手の業である自分の子孫を見るとき、彼らはわたしの名を神聖であるとたたえ、ヤコブの賢者を神聖な方としてたたえ、イスラエルの神を畏れ敬う。
35 心に誤解を生じていた者も理解するようになり、つぶやいていた者も教義を知るようになる。」

第28章

終わりの時に、多くの偽りの教会が設けられる。これらの教会は、偽りの、むなしい、愚かな教義を教える。偽教師がいて背教が広がる。悪魔は人々の心の中で荒れ狂う。悪魔はあらゆる偽りの教えを広める。紀元前約559年から545年に至る。

01 さて見よ、わたしの同胞よ、わたしは御霊によって促されるままに、あなたがたに語ってきた。したがって、これらのことが将来必ず起こることを、わたしは知っている。
02 その書物から書き記される事柄は、人の子らのために、特にイスラエルの家の残りの者であるわたしたちの子孫のために、大いに価値がある。
03 そしてその日には、主のために設けられたのではない数々の教会があって、ある者は別の者に向かって、「見よ、わたしは主の教会の者だ」と言い、別の者も、「わたしこそ主の教会の者だ」と言う。教会を設けた者たちは皆、主のために設けたのではないにもかかわらず、このように言う。
04 そして、彼らは互いに言い争う。また、その聖職者たちも互いに言い争って、自分の学識で教え、語る言葉を与えてくださる聖霊を否定する。
05 彼らはイスラエルの聖者である神の力を否定し、人々に言う。「わたしたちに耳を傾け、わたしたちの訓戒を聞きなさい。見よ、今日、神は存在しないからである。主なる贖い主はすでに御自分の業を終え、御自分の力を人に与えられた。
06 見よ、わたしの訓戒を聴きなさい。もし主の手によって奇跡が行われたと言う者がいても、信じてはならない。今日、神は奇跡の神ではないからである。神はすでに御自分の業を終えられた。」
07 また、次のように言う者も大勢いる。「明日は死ぬ身なのだから、飲み食いし、楽しみなさい。そうすれば、わたしたちは幸せだ。」
08 次のように言う者もまた大勢いる。「飲み食いし、楽しみなさい。しかし同時に神を畏れなさい。神は少しの罪を犯すことは許してくださる。だから、少しばかり偽りを言い、人の言葉に付け込んで欺き、隣人を陥れる穴を掘りなさい。これは少しも悪いことではない。わたしたちは明日は死ぬ身なのだから、これらのことをすべて行いなさい。たとえわたしたちに罪があるとしても、神はわたしたちをほんの少し鞭打たれるだけで、結局わたしたちは神の王国に救われる。」
09 このように、偽りの、むなしい、愚かな教義を教え、心の中で誇り高ぶり、自分たちのはかりごとを深く隠して主に知られないようにしようとする者が大勢いる。彼らの行いは、闇の中にある。
10 そのとき、聖徒たちの血が、地から叫んで彼らを訴える。
11 まことに、彼らは皆、道から外れ、堕落してしまっている。
12 彼らの教会は、高慢のために、また偽教師と偽りの教義のために腐敗している。彼らの教会は思い上がっており、高慢のために、彼らは誇り高ぶっている。
13 彼らは立派な聖堂を建てるために貧しい者から奪い取り、また華やかな衣をまとうために貧しい者から奪い、柔和な者と心の貧しい者を苦しめる。高慢のために誇り高ぶっているからである。
14 彼らは心をかたくなにし、頭を高くする。そして、キリストに従う少数の謙遜な者たちを除いて、すべての者が、高慢と悪事と忌まわしい行いとみだらな行いのために迷ってしまっている。しかし、キリストに従う少数の者たちも誘いを受け、人の訓戒によって教えられるので、度々過ちを犯す。
15 おお、心を高慢にして誇り高ぶる知者、学者、物持ち、偽りの教義を説く者、みだらな行いをして主の正しい道を曲げる者、これらの者は皆、災いである。おお、災いである。災いである。全能の主なる神がこう言われる。これらの者は地獄に突き落とされるからである。
16 価値のないもののために正しい者を退け、善いことをののしって、それは何の価値もないと言う者は、災いである。主なる神が地に住む者に、速やかに報いを下される日が来るからである。罪悪が完全に熟すその日に、彼らは滅びるのである。
17 しかし見よ、地に住む者が自分たちの悪事と忌まわしい行いを悔い改めるならば、彼らは滅ぼされることはないと、万軍の主は言われる。
18 しかし見よ、全地の淫婦であるあの大きな忌まわしい教会は、地に崩れ落ち、その倒れ方はひどい。
19 悪魔の王国は必ず揺れ動く。また、それに属する者は、必ず悔い改めるように促される。そうでなければ、彼らは悪魔の永遠の鎖に縛られ、怒るようにそそのかされて滅びてしまう。
20 見よ、その日、悪魔は人の子らの心の中で荒れ狂い、人の子らをそそのかして善いことに対して怒らせる。
21 また、悪魔はほかの人々をなだめ、彼らを欺いて現世での安全を確信させるので、彼らは、「シオンの中では、すべてが良い。まことに、シオンは栄えており、すべてが良い」と言う。悪魔はこのようにして人々をだまし、巧みに地獄に誘い落とすのである。
22 そして見よ、悪魔はほかの人々にへつらい、「地獄はない」と告げ、「悪魔はいないので、わたしは悪魔ではない」と言う。悪魔はこのように彼らの耳にささやいて、決して逃げられない恐ろしい鎖で縛ってしまう。
23 まことに彼らは、死と地獄に捕らえられる。そして、死と地獄と悪魔と、それらに捕らえられたすべての者は、神の御座の前に立たなければならない。そして、彼らは自分の行いに応じて裁かれる。それから彼らは、自分たちのために用意された場所、すなわち無窮の苦痛である火と硫黄の池に入らなければならない。
24 したがって、シオンでのんきに暮らす者は、災いである。
25 「すべてが良い」と大声で叫ぶ者は、災いである。
26 まことに、人の訓戒に耳を傾け、神の力と聖霊の賜物を否定する者は、災いである。
27 まことに、「わたしたちは受けているので、もうこれ以上は必要ない」と言う者は、災いである。
28 要するに、神の真理のゆえに身を震わせて怒る者は皆、災いである。見よ、岩の上に建てられる者は喜んで神の真理を受け入れるが、砂の土台の上に建てられる者は、倒れるのではないかと震えおののくからである。
29 「わたしたちは、すでに神の言葉を頂いている。もうこれで十分だから、これ以上神の言葉は必要ない」と言う者は、災いである。
30 見よ、主なる神はこう言われる。「わたしはここにも少し、そこにも少しと、教えに教え、訓戒に訓戒を加えて、それを人の子らに与えよう。わたしの訓戒を聴き、わたしの勧めに耳を貸す者は、知恵を得るので幸いである。わたしは受け入れる者にさらに多く与え、『もう十分である』と言う者からは、彼らが持っているものさえも取り上げる。」
31 人に頼る者、すなわち肉を自分の腕とする者はのろわれる。すなわち、聖霊の力によって与えられる訓戒ではなく、人の訓戒に耳を傾ける者はのろわれる。
32 万軍の主なる神は言われる。「異邦人は災いである。わたしが日々腕を伸べているにもかかわらず、彼らはわたしを拒むからである。それでも、彼らが悔い改めてわたしのもとに来るならば、わたしは彼らを憐れもう。わたしは終日、腕を伸べているからである」と主なる神は言われる。

第29章

多くの異邦人は『モルモン書』を拒む。彼らは、「ほかに聖書は必要ない」と言う。主は多くの国民に語られる。主は書き記される数々の書によって世の人々を裁かれる。紀元前約559年から545年に至る。

01 「しかし見よ、わたしが異邦人の中で驚くべき業を始めるその日には、異邦人の数は多い。わたしが驚くべき業を行うのは、人の子らに立てた聖約を思い起こして、イスラエルの家に属するわたしの民を再び連れ戻す業に着手するためである。
02 また、あなたニーファイとあなたの父に立てた約束、すなわち、あなたがたの子孫を覚え、あなたがたの子孫の言葉がわたしの口から出て、あなたがたの子孫に伝わるようにするという約束を、わたしが思い起こして守るためである。わたしの言葉は地の果てまで響き渡り、イスラエルの家に属するわたしの民にとって旗となる。
03 そして、わたしの言葉が響き渡るので、多くの異邦人は、『聖書か、聖書か。我々はすでに聖書を持っている。これ以外に聖書があるはずがない』と言う。」
04 しかし、主なる神はこう言われる。「愚かな者よ、彼らは聖書を持つが、それは昔わたしが聖約を交わした民、ユダヤ人から出るものである。彼らはユダヤ人から得る聖書について、ユダヤ人にどのように感謝しているか。まことに、異邦人はどういうつもりか。彼らはユダヤ人が負った労苦と労力、骨折り、また自分たちに救いを得させることになったユダヤ人の、わたしに対する努力を思い起こしているか。
05 おお、異邦人よ、あなたがたは、昔わたしが聖約を交わした民、ユダヤ人を覚えていたか。いや、逆にあなたがたは彼らをのろい、憎み、彼らを元の状態に戻そうとはしなかった。しかし見よ、主なるわたしはわたしの民を忘れたことはないので、これらすべてのことの責めをあなたがた自身の頭に求める。
06 『聖書か。我々はすでに聖書を持っている。だから、ほかに聖書は必要ない』と言う者よ、あなたがたは愚か者である。あなたがたはユダヤ人によらずに聖書を手に入れたか。
07 あなたがたは、国民は数多くあることを知らないのか。主であり、あなたがたの神であるわたしがすべての人を造ったこと、またわたしが海の島々にいる者たちを覚えていることを知らないのか。またわたしが上は天で治め、下は地で治めていること、そしてわたしの言葉を人の子ら、すなわち地のすべての国民にもたらすことを知らないのか。
08 さて、なぜあなたがたは、わたしの言葉がもっと多く与えられるからと言ってつぶやくのか。二つの国民の証が、わたしが神であることと、一つの国民をもう一つの国民と同じように覚えていることの、あなたがたへの証拠となることを知らないのか。わたしは一つの国民に語るのと同じ言葉を別の国民にも語る。そして、その二つの国民が合わせられるとき、二つの国民の証も合わせられるのである。
09 わたしがこれを行うのは、わたしが昨日も、今日も、またとこしえに変わらないことと、わたし自身の望むままにわたしの言葉を語るということを、多くの人に証明するためである。したがってわたしが一言語ったので、もう一言も語れないと思ってはならない。わたしの業はまだ終わっていないからである。わたしの業は人の存在が尽きるまで終わらないし、その後とこしえに終わりがないのである。
10 それゆえ、聖書を持っているからといって、わたしの言葉がすべてそこに含まれていると思ってはならない。また、わたしがもっと大切なことを書き記させなかったと思ってもならない。
11 わたしは、東の地、西の地、北の地、南の地、また海の島々にいるすべての者に、わたしの語る言葉を書き記すように命じるからである。わたしは書き記される数々の書によって、世のあらゆる人を、書き記されていることに従い、彼らの行いに応じて裁く。
12 見よ、わたしがユダヤ人に語れば、彼らはそれを書き記し、ニーファイ人に語れば、彼らはそれを書き記す。また、わたしが連れ出したイスラエルの家のほかの部族に語れば、彼らもそれを書き記す。さらにわたしが地のすべての国民に語れば、彼らはそれを書き記す。
13 そしてユダヤ人はニーファイ人の言葉を得て、ニーファイ人はユダヤ人の言葉を得る。また、ニーファイ人とユダヤ人は、イスラエルの行方の知れない部族の言葉を得て、イスラエルの行方の知れない部族は、ニーファイ人とユダヤ人の言葉を得る。
14 そして、イスラエルの家に属するわたしの民は、彼らの所有の地に集め戻され、わたしの言葉も一つに集められる。こうして、わたしが神であることと、わたしがアブラハムに彼の子孫をとこしえに覚えると聖約を立てたこととを、わたしの言葉とイスラエルの家に属するわたしの民に逆らって戦う者たちに示そう。」

第30章

改宗した異邦人は聖約の民とともに数えられる。多くのレーマン人とユダヤ人が書物の御言葉を信じて、喜ばしい状態になる。イスラエルは元の状態に戻り、悪人は滅ぼされる。紀元前約559年から545年に至る。

01 さて見よ、わたしの愛する同胞よ、わたしはあなたがたに語りたい。わたしニーファイはあなたがたに、自分たちが異邦人以上に義にかなっていると思ってほしくないからである。神の命令に従わないならば、あなたがたも皆同じように滅びる。しかし、すでに述べられた言葉があるからといって、異邦人がことごとく滅ぼされると考えてはならない。
02 それは、見よ、あなたがたに言うが、異邦人であっても悔い改める者は皆、主の聖約の民となり、ユダヤ人であっても悔い改めない者は皆、捨てられるからである。悔い改めてイスラエルの聖者である御子を信じる者でなければ、主はだれとも聖約されないからである。
03 ところで、わたしはユダヤ人と異邦人についてもう少し預言したい。わたしが前に語ったあの書物が出て、異邦人に書き伝えられ、再び封じられて主に託された後、書き記されたそれらの御言葉を信じる人々が大勢いる。彼らはそれらの御言葉を、わたしたちの子孫の残りの者に広める。
04 その後、わたしたちの子孫の残りの者は、わたしたちのことと、わたしたちがエルサレムから出て来た次第と、自分たちがユダヤ人の子孫であることを知る。
05 そして、イエス・キリストの福音が彼らの中で告げ知らされる。それゆえ彼らは、自分たちの先祖についての知識を再び得て、また先祖の中で知られていたイエス・キリストについての知識も得るようになる。
06 そこで彼らは、それが神の手から自分たちに与えられた祝福であることを知って、喜ぶであろう。また、暗黒のうろこが彼らの目からはがれ始め、多くの世代が過ぎないうちに、彼らは清い、喜ばしい民になる。
07 そして、散らされているユダヤ人もキリストを信じ始め、地の面に集まり始める。そして、キリストを信じる者は皆、喜ばしい民になる。
08 そして主なる神は、御自分の民を地上で回復するために、すべての国民、部族、国語の民、民族の中で御自分の業を始められる。
09 そして主なる神は、義をもって貧しい者を裁き、公平をもって地の柔和な者を責められる。また、その口の鞭で世を打ち、その唇の息で悪人を殺される。
10 主なる神が、民の中に甚だしい分離を引き起こされる時が速やかに来る。そのとき、主なる神は悪人を滅ぼし、御自分の民を救われる。まことに、たとえ火で悪人を滅ぼさなければならなくても、そのようにされる。
11 義はその腰の帯となり、忠信はその腹の帯となる。
12 またそのとき、おおかみは子羊とともに宿り、ひょうは子やぎとともに伏し、子牛と若いライオンと肥えた若い家畜はともにいて、幼い子供がこれらを導く。
13 雌牛とくまはともに食べ、その子らはともに伏し、ライオンは牛のようにわらを食べる。
14 乳飲み子は毒蛇の穴の上で戯れ、乳離れした子はまむしの穴に手を置く。
15 彼らは、わたしの聖なる山のどこにおいても、害を与えることはなく損なうこともない。水が海を覆っているように、主を知る知識が地に満ちるからである。
16 また、すべての国民のことが知られるようになる。まことに、すべてのことが人の子らに知らされるようになる。
17 秘密のことで明らかにされないことはなく、闇の業で明るみに出ないものもない。また、地上で結ばれたもので解かれないものもない。
18 したがって、人の子らに明らかにされてきたことはすべて、その日に明らかにされる。サタンはもはや長い間、人の子らの心を支配する力を持たない。さて、わたしの愛する同胞よ、わたしはこれでわたしの言葉を終える。

第31章

ニーファイ、キリストがバプテスマを受けられた訳を告げる。救いを得るためには、人はキリストに倣ってバプテスマを受け、聖霊を授かり、最後まで堪え忍ばなければならない。悔い改めとバプテスマは、細くて狭い道に至る門である。永遠の命は、バプテスマを受けた後も戒めを守る人々に与えられる。紀元前約559年から545年に至る。

01 さて、わたしニーファイは、あなたがた愛する同胞に預言することをこれで終える。わたしは将来必ず起こると知っていることを、少ししか書き記せない。また、弟のヤコブの言葉も少ししか書き記せない。
02 しかし、これまで書き記してきたことで十分である。ただ、キリストの教義については少し述べておかなければならない。それで、わたしの分かりやすい預言の仕方で、あなたがたに分かりやすく述べておく。
03 わたしは、分かりやすいことを喜びとする。主なる神は分かりやすい方法で、人の子らの中で業を行われるからである。主なる神は理解力に光をお与えになる。主なる神は、人々が理解できるように彼らの言葉に倣って語られる。
04 そこで、主がわたしに示されたあの預言者、すなわち世の罪を取り除かれる神の小羊にバプテスマを施す預言者について、わたしが前に述べたことを思い起こしてもらいたい。
05 さて、神の小羊が聖なる御方であっても、あらゆる義を満たすために水でバプテスマをお受けになる必要があるとすれば、おお、聖くないわたしたちがバプテスマを、すなわち水でバプテスマを受けることは、なおさら必要ではないだろうか。
06 そこで、わたしの愛する同胞よ、神の小羊は水でバプテスマをお受けになることによって、どのようにあらゆる義を満たされたのか、わたしはあなたがたに尋ねたい。
07 あなたがたは小羊が聖くあられたことを知らないのか。しかし小羊は、聖いにもかかわらず、肉においては御父の前にへりくだることを人の子らに示される。そして、御父の戒めを守ることについて御父に従順であることを、御父に証明されるのである。
08 それゆえ、小羊が水でバプテスマをお受けになると、聖霊が鳩の形を取って小羊のうえに降って来られた。
09 そしてまた、それは人の子らに、道が細くて彼らの入る門が狭いことを示しており、小羊は彼らの前に模範を示されたのである。
10 小羊は、「わたしに従いなさい」と人の子らに言われた。それゆえ、愛する同胞よ、進んで御父の戒めに従わないで、わたしたちはイエスに従うことができるだろうか。
11 御父は言われた。「悔い改めよ。悔い改めよ。わたしの愛する子の名によってバプテスマを受けよ。」
12 また、御子の声がわたしに聞こえて言われた。「父は、わたしの名によってバプテスマを受ける者に、わたしに授けてくださったと同じように聖霊を授けてくださる。それゆえ、わたしに従い、わたしが行うのを見たそのことを、あなたがたも行いなさい。」
13 したがって、わたしの愛する同胞よ、もしあなたがたが十分に固い決意をもって御子に従い、神の前に決して偽善と欺きを行うことなく誠意をもって行動し、罪を悔い改め、バプテスマによって、まことに、あなたがたの主であり救い主である御方に従い、主の言葉のとおりに水に入り、バプテスマを受けることによって、キリストの名を喜んで受けることを御父に証明するならば、見よ、そのとき、あなたがたは聖霊を受ける。すなわち、そのとき火と聖霊によるバプテスマを受ける。するとあなたがたは天使の言葉で語り、イスラエルの聖者に賛美の声を上げることができるのである。わたしはそれを知っている。
14 しかし見よ、わたしの愛する同胞よ、御子の声が次のように聞こえてわたしに言われた。「あなたがたは罪を悔い改め、水によるバプテスマを受けることによってわたしの戒めを進んで守ることを御父に証明し、火と聖霊によるバプテスマを受け、新しい言葉、すなわち天使の言葉で語れるようになった後に、わたしを否定するのであれば、わたしを知らなかった方があなたがたのためによかったであろう。」
15 わたしはまた、御父がこう言われる声を聞いた。「まことに、わたしの愛する者の言葉は真実であり、確かである。最後まで堪え忍ぶ者は救われる。」
16 さて、わたしの愛する同胞よ、このことから、人は生ける神の御子の模範に倣って、最後まで堪え忍ばなければ救われないことが分かる。
17 したがって、わたしがあなたがたの主であり贖い主である御方の行われることを先見して、これまで語ってきたことを、あなたがたも行いなさい。これらのことがわたしに示されたのは、あなたがたが入らなければならない門を知ることができるようにするためである。あなたがたが入らなければならない門とは、悔い改めと、水によるバプテスマである。そうすれば、火と聖霊によって罪の赦しが与えられる。
18 そのとき、あなたがたは、永遠の命に至る細くて狭い道にいることになる。まことに、あなたがたはその門から入っている。あなたがたは御父と御子の戒めに従ってこのように行っている。またあなたがたは、御父と御子について証をされる聖霊を受けている。こうして、その方法によって入るならば受けると主が約束された、その約束が果たされたのである。
19 さて、わたしの愛する同胞よ、わたしは尋ねたい。あなたがたがこの細くて狭い道に入ったならば、それですべて終わりであろうか。見よ、わたしはそうではないと言う。もしキリストを信じる確固とした信仰をもってキリストの言葉に従い、人を救う力を備えておられるこの御方の功徳にひたすら頼らなかったならば、あなたがたは、ここまで進んで来ることさえできなかったからである。
20 したがって、あなたがたはこれからもキリストを確固として信じ、完全な希望の輝きを持ち、神とすべての人を愛して力強く進まなければならない。そして、キリストの言葉をよく味わいながら力強く進み、最後まで堪え忍ぶならば、見よ、御父は、「あなたがたは永遠の命を受ける」と言われる。
21 さて、わたしの愛する同胞よ、これが道である。そして、このほかには人を神の王国に救う道も名も天下に与えられていない。見よ、これがキリストの教義であって、限りなく一つの神である御父と御子と聖霊の唯一の真正な教えである。アーメン。


【動画】ニーファイ,キリストの教義を説き明かす


第32章

天使は聖霊の力によって語る。人は祈り、自分で聖霊から知識を得るようにしなければならない。紀元前約559年から545年に至る。

01 さて見よ、わたしの愛する同胞よ、あなたがたはその道によって入ってからどのようにすればよいのか、多少心の中で深く考えていると思う。しかし見よ、なぜこれらのことを心の中で深く考えているのか。
02 あなたがたは、聖霊を受けたら天使の言葉で語ることができるとわたしが言ったことを覚えていないのか。また、聖霊によらなければ、どうして天使の言葉で語ることができようか。
03 天使は聖霊の力で語る。したがって、天使はキリストの言葉を語る。さて、わたしは、キリストの言葉をよく味わうようにあなたがたに言った。見よ、キリストの言葉はあなたがたがなすべきことをすべて告げるからである。
04 さて、わたしがこれらのことを述べても、あなたがたが理解できないとすれば、それはあなたがたが求めもせず、また、門をたたきもしないためである。それゆえ、あなたがたは光の中に導かれず、闇の中で滅びてしまうに違いない。
05 見よ、わたしは、もう一度あなたがたに言っておく。あなたがたがその道によって入り、聖霊を受けるならば、聖霊は、あなたがたがなすべきことをすべてあなたがたに示されるであろう。
06 見よ、これがキリストの教義である。キリストが肉にあってあなたがたに御自身を現される時まで、これ以上の教義は与えられない。そして、キリストが肉にあってあなたがたに御自身を現される時には、あなたがたはキリストが言われることを行うように努めなければならない。
07 さて、わたしニーファイはこれ以上言うことができない。御霊がわたしの語るのを止められるからである。わたしは、人々が不信仰で、邪悪で、無知であり、強情であるのを悲しく思う。彼らは知識を求めようとしない。また、偉大な知識を分かりやすく、可能なかぎりはっきりした言葉で教えられても、それを理解しようとしない。
08 さて、わたしの愛する同胞よ、わたしはあなたがたがまだ心の中で深く考えているのを承知している。そして、このことについてあなたがたに述べなければならないのは、わたしにとって悲しいことである。あなたがたは、祈るように人に教えてくださる御霊に耳を傾けるならば、祈らなければならないことが分かるであろう。悪霊は祈るようにとは人に教えず、かえって祈ってはならないと人に教える。
09 しかし見よ、わたしはあなたがたに言っておく。あなたがたは気を落とさずに常に祈らなければならない。そして、主があなたがたの行うことを神聖にしてくださり、あなたがたの行うことが自分自身に幸いをもたらすものとなるように、キリストの名によってまず御父に祈らずには、主のためにどんなことも行ってはならない。

第33章

ニーファイの言葉は真実であり、キリストについて証する。キリストを信じる者はニーファイの言葉を信じる。彼の言葉は裁きの法廷で証言となる。紀元前約559年から545年に至る。

01 さて、わたしニーファイは、民の中で教えられたことをすべて書き記すことはできない。また書くときには話すときほどの力もない。人が聖霊の力によって語るときには、聖霊の力がそれを人の子らの心に伝えるからである。
02 しかし見よ、聖なる御霊に対して心をかたくなにする人が大勢いる。彼らには聖なる御霊は宿ることがおできにならない。そのために、これらの人々は、書き記されている多くのことを捨てて、これらを価値のないものと見なす。
03 しかし、わたしニーファイは、これまで書き記してきたものを大いに価値があると考え、特にわたしの民にとってそうであると考えている。わたしは昼は絶えず民のために祈り、夜は彼らのことを心配して涙で枕をぬらしている。そしてわたしは、信仰をもって神に叫び求めている。わたしは、神がわたしの嘆願を聞き届けてくださることを知っている。
04 また、主なる神がわたしの祈りを民の益となるように神聖なものとしてくださることを、わたしは知っている。また、弱点がありながらも書き記してきた言葉は、わたしの民のために力強いものとなるであろう。それは、この言葉が善を行うように説き勧め、また彼らに先祖のことを知らせ、イエスについて述べ、イエスを信じて最後まで堪え忍ぶように彼らに説き勧めるものだからである。イエスを信じて最後まで堪え忍ぶならば、永遠の命を授かるのである。
05 また、真理が率直であることから、わたしが書き記してきた言葉は、罪に対して厳しく語る。それゆえ、悪魔の霊を宿している者でないかぎり、だれもわたしが書き記してきた言葉に腹を立てないであろう。
06 わたしは率直さに誇りを感じ、真理に誇りを感じる。また、イエスがわたしを地獄から贖ってくださったので、わたしはイエスを誇りとする。
07 わたしは自分の民に慈愛を抱いており、また、キリストの裁きの座でまったく染みのない多くの人に会えるであろうと、キリストに深い信仰を抱いている。
08 わたしはユダヤ人に対しても慈愛を抱いている。ここでいうユダヤ人とは、わたしが出て来た地の民のことである。
09 わたしはまた異邦人に対しても慈愛を抱いている。しかし見よ、これらの人々はだれであっても、キリストとの和解を得、狭い門を入って命に至る細い道を歩み、試しの生涯の最後までその道を歩み続けないかぎり、わたしはその人のために何も望むことができない。
10 さて、わたしの愛する同胞よ、ユダヤ人よ、地の果てに至るすべての人よ、これらの言葉を聴き、キリストを信じなさい。また、これらの言葉を信じなくても、キリストを信じなさい。キリストを信じれば、これらの言葉を信じるようになるであろう。これらの言葉はキリストの言葉であり、キリストがわたしに授けてくださったものだからである。そして、これらの言葉は、善を行わなければならないことをすべての人に教えている。
11 これらがキリストの言葉でないかどうか、判断してもらいたい。キリストは終わりの日に、力と大いなる栄光とをもって、これらが御自分の言葉であることをあなたがたに示されるであろう。そして、あなたがたとわたしとはキリストの法廷で対面する。そうすればあなたがたは、わたしが、弱点があるにもかかわらず、これらのことを書き記すようにキリストから命じられたことを知るであろう。
12 わたしは、あの大いなる終わりの日に、たとえすべてではなくても、わたしたちの多くの者が御父の王国に救われるように、キリストの名によって御父に祈る。
13 さて、わたしの愛する同胞よ、すなわち、イスラエルの家に属するすべての人よ、地の果てに至るすべての人よ、わたしは地から叫ぶ者の声のようにあなたがたに告げる。「あの大いなる日が来るまで、さらば。」
14 神の慈しみにあずかろうとせず、ユダヤ人の言葉も、わたしの言葉も、神の小羊の口から出る御言葉も心に留めようとしない者たちよ、これらの言葉は終わりの日にあなたがたを罪に定めるので、見よ、わたしはあなたがたに永遠の別れを告げる。
15 なぜなら、わたしが地上で結ぶことは、裁きの法廷に持ち出され、あなたがたに対して不利に働くからである。主がわたしにこのように命じられたので、わたしは従わなければならない。アーメン。


【動画】ニーファイ,最後の証を記録する