キンボール長老の証

ある若い母親が天候不良でごった返す空港で、2歳の娘を連れて長い列の後ろ
に並んでいた。彼女は妊娠2ヶ月で、娘を抱き上げることを医師から禁じられ
ていた。疲れ果てた娘は大声で泣いている。だれも援助を申し出る人はなく、
逆に泣きわめく子供をうとましく思う人々から批難の声さえ聞かれるほどだっ
た。この母親はそのときのことをこう語っている。

「一人の人が私たちのほうに近づいてきて、にっこり笑ってこう言うのです。
『何かお手伝いしましょうか。』わたしはため息混じりに感謝の言葉を述べて、
申し出を受けることにしました。彼は泣きじゃくる娘を冷たい床から抱き上げ、
しっかりと胸に抱いて背中をやさしくたたいてくれました。そして、ガムをあ
げてもいいですか、と尋ねるのです。そして娘が落ち着くと、娘を抱いたまま
で、列の前のほうの人たちに何やら話し掛けました。わたしのことを助けてほ
しいと言ってくれたのです。皆さん同意をしてくれたようでした。それから、
チケットカウンターに行き、すぐに出発する便に乗れるようにしてくれました。
彼はわたしたちをベンチに伴い、少しの間おしゃべりをして、もう大丈夫と分
かると行ってしまいました。それから1週間たって、わたしは使徒であるスペ
ンサー・W・キンボールの写真を見て、空港でのあの見知らぬ紳士が彼である
ことが分かったのです。」

(「私たちの受け継ぎ」より引用)

彼女は教会員ではありませんでしたが、このことがきっかけとなり後に教会員
になりました。

何年も後で、キンボール大管長は1通の手紙を受け取った。その中には次のよ
うに書かれていた。

「拝啓、キンボール大管長。
わたしはブリガム・ヤング大学の学生です。西ドイツのミュンヘンでの伝道か
ら帰ったばかりです。伝道はすばらしい経験でしたし、多くのことを学びまし
た。先週、神権会に出席していたときのことです。キンボール大管長がシカゴ
の空港で21年ほど前にされた、愛に満ちた奉仕に関する話が紹介されました。
泣きじゃくる子供を連れ、悲嘆に暮れながら、搭乗券を求めて長い列に並んで
いる身重の若い母親に会われたいきさつです。彼女は流産する恐れがあったた
め、幼い子供を抱き上げてあやすこともできずにいました。それまでに4度も
流産していて、かがんだり、物を持ち上げたりしないよう、医師から念を押さ
れていたのです。大管長は泣いている子供をあやし、列に並んでいるほかの乗
客に窮状を説明してくださいましたね。この愛に満ちた行いのおかげで、母の
張り詰めた心は和らぎました。わたしはそれから数か月後に、ミシガン州フリ
ントで生まれました。キンボール大管長の愛に、感謝の気持ちを伝えたかった
のです。すばらしい模範を示してくださってありがとうございました。」

(「歴代大管長の教え:スペンサー・W・キンボール」より引用)

証集

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