ある技師の証

教会に加入して間もない技師の体験談。

宣教師の訪問を受けた彼の奥さんは、二人を家に招き入れました。奥さんは宣
教師のメッセージに積極的だったのですが、彼の方は自分の意に反して勝手に
レッスンが進んでいるように感じました。ある晩、奥さんはバプテスマを受け
たいと、彼に打ち明けました。彼の心には怒りが込み上げました。「それがど
んな意味か妻は分かっているのだろうか。時間は取られる。什分の一は納めな
ければならない。友達とだって別れる。たばこもあきらめなければならないん
だ。」彼は上着をつかみ、ドアを荒々しく閉めて夜の戸外へ出て行きました。
歩きながら、奥さんを、宣教師を、宣教師にレッスンを許した自分を、ののし
ったのです。やがて歩きつかれ、怒りも収まってきました。すると何かしら祈
りたい気持ちに駆られました。彼は歩きながら祈りました。疑問に答えてくだ
さるよう、神に懇願したのです。そのとき、はっきりと心に訴えるものがあり
ました。「福音は真実である。」そう告げる声が聞こえたようです。「福音は
真実、福音は真実、・・・。」繰り返しつぶやいていると、安らかな思いに満
たされました。家に着くまでには、あれほど怒りを覚えたもろもろの制約や要
求が、進歩の機会に思えてきたのです。玄関のドアを開けると、そこにはひざ
まずいて祈る奥さんの姿がありました。

(教会機関紙「聖徒の道」より引用)

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