S兄弟は三歳のときに、お父さんが亡くなられました。彼は19歳で、この
教会に入りました。彼が20歳のある日、お父さんがどんな人だったかを、お
父さんを知る人たちに聞いてみたいと思いました。お父さんには兄弟がいまし
た。しかし、お父さんが亡くなってからは、連絡が途絶え、お父さんの兄弟が
今どこにいるのか、お母さんは知りませんでした。しかし、彼は何かの手がか
りを捜し求め、お父さんがかつて設計の仕事で働いていた米軍基地に連絡を取
りました。そこでお父さんが所属していた設計事務所の連絡先を教えてもらい
ました。そして、お父さんを知るかつての上司に会うことができ、お父さんの
話しを聞くことができました。その人の話しによると、お父さんは立派な人だ
ったようです。その人はお父さんの実家の連絡先を知っていたので、S兄弟
は教えてもらい、その住所を訪ねました。しかし、近所の人に聞くと、もう、
お父さんの両親は亡くなられていました。お父さんの兄弟の連絡先は分からな
いとのことでした。S兄弟はがっかりしましたが、お父さんのかつての上司
とも話しができたことだし、これで満足しなければいけないと思いあきらめま
した。
それから数ヵ月後、奇跡が訪れました。S兄弟はお父さんの身代わりの儀式
を神殿で受けるために、お父さんの名前を提出していました。しかし、教会の
管理本部で働いている同じワードの姉妹から「あなたのお父さんは、十年前に
身代わりの儀式を受けているよ。」と言われました。はじめ彼は何を言われて
いるのか分かりませんでした。実は、教会の管理本部にはS兄弟のおじさん、
つまり、お父さんの弟が勤めていたのです。先の姉妹がS兄弟の提出したお
父さんの名前をコンピュータに入力しようとしていたところ、S兄弟のおじ
さんがその横を通り、ふと画面を覗き込みました。自分の兄の名前があるので
彼は驚きました。そういう経緯で、すべてが明らかになりました。それを聞い
たS兄弟は、捜していた自分のおじさんが、同じ教会の会員であったことと、
自分のお父さんが自分より前にバプテスマを受けていたことに驚きました。
(聖餐会での本人の話より引用)
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