エスペラント、英語、日本語の文の共通構造

エスペラント、英語、日本語の文の構造について説明していきます。
各語の共通点、相違点を比較して説明します。

1)文の柱となる人・物と出来事について

  文はいくつかの単語の組み合わせでできています。
  文の軸になるのは「出来事」を示す単語です。
  そして、その「出来事」に関係している「人・物」を示す単語が
  「出来事」の説明として加わります。
  文の基本はこの「出来事」と「人・物」の組み合せになります。

  単語は、文の中で果たす役割によって、いくつかの種類に分類されます。
  「出来事」を示す単語は「動詞」、
  「人・物」を示す単語は「名詞」と呼ばれています。

  例)動詞 kuras(走る, run) flugas(飛ぶ, fly)
    名詞 kato(猫, cat) birdo(鳥, bird)
    文  Kato kuras.(猫が走る。 A cat runs.)
       Birdo flugas.(鳥が飛ぶ。 A bird flies.)

  代名詞は名詞と違う分類をする場合がありますが、
  ここでは、「人・物」を示すということで、同じ仲間として扱います。

2)文中の名詞の数について

  1つの文は1つの「出来事」について表します。
  文は「出来事」が基軸ですから、「出来事」は必ず出てきます。
  「人・物」は「出来事」に付属するものですから、
  「出来事」だけがあって「人・物」がない文はありますが、
  「人・物」だけがあって「出来事」がない文はありません。
  ですから、1つの文には、必ず「出来事」を示す動詞が1つ出てきます。

  文の中には「出来事」に「人・物」が全く絡まないこともありますし、
  逆に、複数の「人・物」が「出来事」に絡むこともあります。
  ですから、1つの文の中の「人・物」を示す名詞の数は、
  0の場合、1の場合、2の場合、3の場合があります。

  名詞の数が0の場合
    「出来事」に対して、「人・物」がないときや、
    あえて言及する必要がないとき、動詞だけの文になります。
    例)Pluvas. (雨が降っている。 It is raining.)
    英語の場合は、文法上、名詞のない文が許されないため、
    形式的な名詞 it が用いられます。
    エスペラントの場合は形式的な名詞は必要ありません。

  名詞の数が1の場合
    前回で出たので省略します。

  名詞の数が2以上の場合

    1つの文の中の「人・物」が複数出てくる場合、それぞれの「人・物」の
    立場が違ってきます。
    例えば、「太郎は本を読む」の場合、「人・物」は「太郎」と「本」の
    2つが出てきますが、「太郎」は読む側で、「本」は読まれる側です。
    文の中でそれぞれの名詞がどの立場なのかを区別する方法が
    必要になります。方法には次の4つの方法があります。

    1.文上の動詞に対する位置で示す。
      例)英語 Taro reads a book.
        読む側を動詞の前に、読まれる側を動詞の後に持ってきます。

    2.語の形を変えて示す。
      例)エスペラント Taro legas libron.(legas:読む libro:本)
        読む側はそのままの形、読まれる側に語尾nを付けます。
        英語 Taro give me a book.
        与えられる側の I を me に変える。

    3.名詞の前に立場を示す語を付け加える。
      この語のことを前置詞といいます。
      例)エスペラント Taro donas libron al mi.
        (donas:与える al:〜へ mi:私)
        与えられる側の mi の前に前置詞 al を置く。
        英語 Taro give a book to me.
        与えられる側の me の前に前置詞 to を置く。

    4.名詞の後に立場を示す語を付け加える。
      この語のことを助詞といいます。
      例)日本語 太郎が本を私に与える。
        与える側の「太郎」に後に「が」を置く。
        与えられる相手の「私」に後に「に」を置く。
        与えられる物の「本」に後に「を」を置く。

    エスペラントでは、2と3の方法をとります。
    日本語では4の方法をとります。
    英語では1と2と3の方法をとります。

    動作をする側を「主語」、動作をされる側を「目的語」と言います。
    上記の例のように1つの文に目的語が2つある場合があります。
    それぞれ「移動される物」と「移動先の相手」という立場があります。
    「移動される物」を直接目的語、
    「移動先の相手」を間接目的語と言います。

    エスペラントの場合、直接目的語は語尾nを付けて示し、
    間接目的語は前置詞を前に置いて示します。

    英語の場合には、間接目的語は前置詞を前に置い表す他に、
    前置詞なしに、動詞の後に、「間接目的語」「直接目的語」と
    いう順に並べて示すこともあります。
    エスペラントではこの方法はしません。

    英語、エスペラントとも直接目的語がなくて間接目的語だけを
    持つ文もあります。
      例)エスペラント Tiu libro aparteni al mi.(〜に属する)
        英語 That book belongs to me.

3)形容詞

  形容詞は名詞に対して説明を付け加えます。
  これを修飾すると言います。
  エスペラントや英語の場合、名詞の前か後に形容詞を置きます。
  日本語の場合、前にしか置けません。

  例)名詞  kato(猫, cat) floro(花, flower)
    形容詞 granda(大きい, big) blua(青い, blue)
    組合せ granda kato(大きい猫, big cat)
        blua floro(青い花, blue flower)

  代形容詞、冠詞、数詞は形容詞と違う分類をする場合がありますが、
  ここでは、どれも名詞を修飾するということで、同じ仲間として扱います。

4)名詞、形容詞の述語化

  文の中では動詞が「出来事」を示す役割を担っています。
  このように、文の中で「出来事」を示す語のことを「述語」といいます。
  通常、述語は動詞ですが、名詞、形容詞もある方法で、
  述語になることができます。

  エスペラントの場合、名詞、形容詞を述語にするには、
  その前に estas を置きます。
  英語の場合は be 動詞を前に置きます。
  日本語の場合は名詞の後に「だ」または「です」を置きます。
  日本語の形容詞はそのまま述語になれます。

  例)Tiu floro estas rug^a.(その花は赤い。 That flower is red.)
    Rozo estas floro.(バラは花だ。 Rose is flower.)

  形容詞が述語になると動詞と同じように、目的語を持つことができます。
  しかし、動詞ではないので直接目的語を持つことができません。
  そこで、前置詞を置いて間接目的語の形で目的語を持ちます。

  例)
    〜 estas favora al ...  (...に好意的だ)
    〜 estas diferenca de ...(...と違う)
    〜 estas kapabla por ... (...する能力がある)
    〜 estas certa pri ...  (...に確信がある)

    英語でも次のようなものがあります。
    〜 is afraid of ...  (...を恐れている)
    〜 is interested in ...(...に興味を持っている)
    〜 is good at ...   (...が上手だ)

5)副詞

  形容詞は名詞を修飾しますが、副詞はそれ以外の語を修飾します。
  動詞だけでなく、形容詞、副詞、文全体などいろいろと修飾します。

  エスペラントの場合には、副詞には単語の最後にeが付くものと
  付かないものがあります。

  単語の最後にeが付く副詞は、形容詞のaをeに置き換えて作られるので、
  派生副詞と言われます。
  英語の場合は形容詞にlyを付けて派生副詞を作ります。
  日本語の場合は形容詞の連用形が派生副詞に相当します。
    例) 白い → 白く

  eが付かない副詞は、本来副詞、代副詞の場合です。
  本来副詞とは、形容詞からの派生でなく本来からある副詞です。

  本来副詞には、何かを修飾するというよりは、特別な働きをする
  ものがあります。これらはどの品詞にも含めるのができないので、
  本来副詞の中に含めています。

  例)
  一般的に修飾するもの
    動詞を修飾する例
      rapida(速い, quick) → rapide(速く, quickly)
      Tiu kato kuras rapide.
      (その猫は速く走る。 That cat runs quickly.)
    形容詞を修飾する例
      tre(とても, very)
      Tiu floro estas tre bela.
      (その花はとても美しい。 That flower is very beautiful.)
    副詞を修飾する例
      Tiu kato kuras tre rapide.
      (その猫はとても速く走る。 That cat runs very quickly.)
    文全体を修飾する例
      felic^a(幸福な, happy) → felic^e(幸福に、幸福にも, happily)
      Felic^e li ne mortis.
      (幸福にも彼は死ななかった。 Happily he did not die.)
      比較例(動詞だけへの修飾)
      Li ne mortis felic^e.
      (彼は幸福には死ななかった。 He did not die happily.)

  特別な働きをするもの
    疑問文に関するものの例
      c^u(〜か?) 
      C^u vi estas infano?(あなたは子供ですか。 Are you a child?)
      jes(はい, yes) 
      ne(〜でない, no)
    名詞も修飾するもの例
      nur(〜だけ, only)
      Li estas nur infano.(彼はただの子供だ。 He is only a child.)
    間投詞的なもの例
      jen(そらここに, behold)
      Jen estas libro.(ほら、本がある。 Behold there is a book.)
    その他の例
      c^i(近接を示す) 
      tiu(あの,that) → tiu c^i(この,this)

6)従属句

  複数の意味ある単語の集まりを句と言います。
  この句が文の中で1つの単語のように振舞うものを従属句と言います。
  従属句は1つの文のような意味を持ち、それがさらに文の中に組み込まれます。
  ある文が文の中に従属しているので従属句と呼ばれます。
  このようにして複雑な文が組み上げられます。

  エスペラント、英語の場合
    従属句を作るものには、前置詞、不定詞、分詞、接続詞、疑問詞、関係詞、
    があります。
    これが、名詞的、形容詞的、副詞的に文の中に従属します。

    前置詞句
      前置詞は、名詞で他の語を修飾したい場合に、
      その名詞の前に置いて用います。
      前置詞句は形容詞的、副詞的に他の語を修飾します。

      例)
      形容詞的な前置詞句
        de(〜の, of)
        G^i estas libro de Sato.
        (これは佐藤の本だ。 It is a book of Sato.)
      副詞的な前置詞句
        al(〜へ, to)
        Li iras al lernejo.
        (彼は学校に行く。 He goes to school.)

    不定詞句
      不定詞とは動詞から時間の要素を取り去った形です。
      不定詞は通常の動詞と同様に目的語などを持つことができます。
      エスペラントでは動詞の語尾をiにします。
      英語では動詞の原形の前にtoを置きます。
      不定詞は文の述語とはならずに、文の中で、名詞的、形容詞的、副詞的な
      役割をします。

      例)
      名詞的な不定詞句
        ludas(演奏する, play) → ludi(演奏すること, to play)
        Li amas ludi pianon.
        (彼はピアノを弾くことが好きだ。 He likes to play piano.)
      形容詞的な不定詞句
        komprenas(理解する, understand)
         → kompreni(理解する〜, to understand)
        la kapablo kompreni vian ordonon
        (あなたの命じることを理解する能力
         the ability to understand your order)
      副詞的な不定詞句
        ac^etas(買う, buy)→ ac^eti(買いに, to buy)
        Mi iris ac^eti.
        (私は買い物に行った。 I went to buy.)

    分詞句
      分詞は不定詞と同様に、文の中で、名詞的、形容詞的、副詞的な
      役割をします。
      不定詞と違って時間の要素を持っています。
      エスペラントでは、6種類の分詞があり、それぞれ、名詞、形容詞、副詞の
      語尾を付けることができます。
        現在能動分詞 −ant−
        現在受動分詞 −at−
        過去能動分詞 −int−
        過去受動分詞 −it−
        未来能動分詞 −ont−
        未来受動分詞 −ot−
      英語では2種類の分詞があります。それぞれ、名詞、形容詞、副詞では
      形は同じです。
        現在分詞 −ing
        過去分詞 −ed

      例)
      形容詞的な分詞句
        動詞の語尾をantaにすることで分詞形容詞を作ります。
        kuras(走る, run) → kuranta(走っている〜, running)
        Mi vidis viron kuranta en la parko.
        (私は公園で走っている男の人を見ました。
         I saw a man ranning in the park.)
      副詞的な分詞句
        動詞の語尾をanteにすることで分詞副詞を作ります。
        sidas(座っている, sit) → sidante(座って, sitting)
        Mi legis libron, sidante en la parko.
        (公園で座って、私は本を読んだ。
         I read a book, sitting in the park.)

    接続詞句
      従属接続詞は、文全体を他の文の名詞的、副詞的な語として用いたい場合、
      その文の前に置いて用います。

      例)
      名詞的な接続詞句
        ke(〜すること, that)
        Ni scias ke la terglobo estas bula.
        (私たちは地球が青いことを知っている。 
         We know that the earth is blue.) 
      副詞的な接続詞句
        se(もし〜なら, if)
        Mi ne iros, se pluvos.
        (もし雨が降るなら、私は行かないでしょう。
         I will not go, if it will rain.)

    疑問詞・関係詞句
      疑問詞・関係詞句の中では、主文の対象となる語と、
      従属文の疑問詞・関係詞が関係します。
      主文の対象となる語のことを先行詞といいます。
      主文の先行詞を従属文の疑問詞・関係詞が代名詞(代形容詞、代副詞)の
      ようにして受けとり、その先行詞の詳細な説明を従属文の中で行ないます。
      関係詞とは、代名詞(代形容詞、代副詞)と接続詞を兼ねたものと
      考えることができます。
      先行詞は省略される場合が多いです。
      以下の例では、省略された先行詞を括弧の語で補って説明します。

      例)
      名詞的な疑問詞句(間接疑問文)
        kiam(いつ, when)
        Li scias (tion), kiam s^i s^telis monon.
        (彼は彼女がいつ金を盗んだのか知っている。
         He know when she stole money.)
        主文の先行詞 tio を 従属文が疑問詞 kiam で受け詳細を説明します。
        「彼は tio(何か)を知っていて、それは kiam(何かの時)であり、
        その時とは彼女がお金を盗んだ時」。
      形容詞的な関係詞句
        kiu(〜する〜, who)
        Mi vidis viron, kiu kuris en la parko.
        (私は公園で走っている男を見ました。
         I saw a man who ran in the park.)
        主文の先行詞 viro を 従属文が疑問詞 kiu で受け詳細を説明します。
        「私は viro(男)を見て、それは kiu(誰か)というと、
        公園で走っていた人」。
      副詞的な関係詞句
        kiam(〜するとき, when)
        Mi dormis (tiam), kiam li venis.
        (彼が来たとき、私は寝ていました。
         I was sleeping when he came.)
        主文の先行詞 tiam を 従属文が疑問詞 kiam で受け詳細を説明します。
        「私は tiam(ある時に)眠っていて、それは kiam(何かの時に)であり、
        その時とは彼が来た時」。

  日本語の場合

    分詞、不定詞にあたるのは、動詞、形容詞の連用形、連体形です。
    連用形は副詞的な句、連体形は形容詞的な句を作ります。
    名詞的な句は連体形に「こと」や「もの」を付けて表現します。

      終止形 動く     赤い
      連体形 動く(こと) 赤い(こと)
      連用形 動き、動いて 赤く

    前置詞にあたるのは助詞です。
      「の」 彼の本
      「を」 本を読む
      「に」 ここにいる
      「で」 ここでする
      「へ」 そこへ行く

7)助動詞

  助動詞というのは、日本語、英語、エスペラントとも共通した役割
  をもっています。それは動詞に付いて、動詞の意味を広げることです。

  日本語の場合

    時間的な意味の付加
      「た」(過去)
    機能の付加
      「ない」(打ち消し)
    動作の行為者と受け手の立場の変換
      「れる」「られる」(受身) 
      「せる」「させる」(使役)
    話者の心的態度の表現
      「れる」「られる」(可能) 
      「う」「よう」(推量)
      「たい」(希望)

  英語では、このような機能は主に助動詞であらわされますが、
  助動詞ではないもので表されることもあります。

    時間的な意味の付加
      過去は助動詞を使わずに動詞の語形を変化させます。
      未来は助動詞 will で表します。
      進行は助動詞 be と現在分詞で表します。
      完了は助動詞 have と過去分詞で表します。
    機能の付加
      打ち消しは助動詞 do と not で表します。
    動作の行為者と受け手の立場の変換
      受身は助動詞 be と過去分詞で表します。
      使役は助動詞を使わずに動詞 make と原形動詞で表します。
        例)I made him sing.(私は彼に歌わせた。)
    話者の心的態度
      可能は助動詞 can で表します。
      推量は助動詞 may で表します。
      希望は助動詞を使わずに動詞 want と不定詞で表します。

  エスペラントには助動詞がありません。
  英語の助動詞に相当するものは、次の3つのいずれかに当てはまります。

  1.動詞の語尾

    未来を表す場合、英語では will を使いますが、
    エスペラントでは、動詞の語尾を os にします。
      Estos pluvo.(雨が降るでしょう。 It will be rain.)

    意志を表す場合、英語では shall を使いますが、
    エスペラントでは、動詞の語尾を u にします。
      C^u ni dancu?(踊りましょうか。 Shall we dance?)

    仮定を表す場合、英語では would を使いますが、
    エスペラントでは、動詞の語尾を us にします。
      Se mi estus juna, mi irus kun vi.
      (私が若ければ、あなたと一緒に行くのだが。
       If I were young, I would go with you.

  2.動詞+不定詞

    可能を表す場合、povi を用います。
      Mi povas nag^i.(私は泳ぐことができる。 I can swim.)

    断定、義務す場合、devi を用います。
      Mi devas iri tien.
      (私はそこへ行かなければなりません。
       I must go there.)

  3.esti+分詞形容詞

    受け身の文を作る時は esti を前に置き、
    動詞の語尾を受動分詞の形容詞 -ata の形にします。
      Mi estis vidata de tiu homo. 
      (私はあの人に見られた。
       I was seen by that man.)

  補足

    ・過去を表す場合、英語と同様に語形を変化させて、動詞の語尾を
     is にします。
    ・打ち消しは助動詞を使わずに、副詞 ne を動詞の前に置きます。
    ・使役は英語と同様、助動詞を使わずに、動詞 igi と動詞の
     不定形で表します。
       例)Mi igis lin kanti.(私は彼に歌わせた。)

  *注記
  英語の場合、助動詞は動詞に似ていますが、以下の点で動詞と違っています。
  ・分詞、不定詞にならない。
  ・過去形が無いものがある。
  ・目的語に原形動詞(toの無い不定詞)をとる。
   (動詞ではtoの付いた不定詞のみ目的語にとれる。)
  ・be, haveは原形動詞ではなく分詞をとる。

8)品詞のまとめ

    エスペラント   英語       日本語
  -----------------------------------------------------------
    動詞       動詞       動詞
    名詞       名詞       名詞
     (代名詞)    (代名詞)    (代名詞)
    副詞       副詞       副詞
     (代副詞)    (代副詞)
    形容詞      形容詞      形容詞
     (代形容詞)   (代形容詞)   (形容動詞)
     (冠詞)     (冠詞)     (連体詞)
     (数詞)     (数詞)
             助動詞      助動詞
    前置詞      前置詞      助詞
    接続詞      接続詞      接続詞
    間投詞      間投詞      感動詞

  文の中心となる出来事を表す「動詞」。
  その出来事を取り巻く人・物を表す「名詞」。
  この2つが、文の骨となります。

  動詞を修飾する「副詞」。
  名詞を修飾する「形容詞」。
  動詞の表現範囲を広げる「助動詞」。
  名詞の表現範囲を広げる「前置詞」や「助詞」。
  これらによって文が肉付けされます。

  「接続詞」によって、文と文、語と語がつながります。
  「間投詞」や「感動詞」によって、文に感情や音や情景等を盛り込みます。

  これ以外に代名詞、代形容詞、代副詞、冠詞、数詞、形容動詞、連体詞
  などの品詞があるという説もありますが、これらは、この8種類の
  品詞の一部とみなすことができます。

  *注記
  日本語の形容動詞、連体詞とは。
  形容詞には「白い」「美しい」などの「い」で終わるものと、
  「穏やかな」「この」などの「い」で終わらないものがあります。
  「い」で終わるものだけを形容詞とし、終わらないものを別に扱う
  説があります。
  「穏やかだ」というように述語になれるものを形容動詞と呼び、
  「この」のように述語になれないものと連体詞と呼びます。

9)品詞転換

  ある品詞を別の品詞的に使いたいときは、
  エスペラントでは語尾を付け替えて、簡単に品詞転換ができます。
  これは、他の言語にはではないエスペラントの特徴です。
  しかし、この方法で作られた品詞の意味は長年の使用の中で、
  固定的な意味が決まってきますので、
  各話者が自由に行なえるわけではありません。
  例えば、krono(王冠)の動詞形 kroni は、
  「王冠をかぶる」ではなく、「王に任ずる」です。
  profeto(予言者)の動詞形 profeti は、
  「予言者になる」ではなく「予言する」です。
  oro(金)の動詞形 ori は、
  「金をつくる」ではなく「金メッキする」です。
  語尾を付け替えて品詞転換した単語を使用するには、
  意味を辞書で確かめる必要があります。
  自由に品詞転換したいときは、実際には、下記のような、
  語の組み合わせ等で、行ないます。

  エスペラントの場合

       名詞的用法 動詞的用法 形容詞的用法 副詞的用法
  名詞   ---------- esti +   de +     前置詞 +
  動詞   不定詞   ---------- 分詞     分詞
  形容詞  la +    esti +   ------------ 語尾をeに付替

  語を前に置いたり、不定詞や分詞にすることによって、
  品詞の転換が行なわれます。
  形容詞から副詞への転換は語尾を付替るしかないようです。

  英語の場合

       名詞的用法 動詞的用法 形容詞的用法 副詞的用法
  名詞   ---------- be +    of +     前置詞 +
  動詞   不定詞   ---------- 分詞     分詞
  形容詞  the +    be +    ------------ 語尾にly付ける

  エスペラントの場合とほぼ同じなので説明を省略します。

  日本語の場合

       名詞的用法 動詞的用法 形容詞的用法 副詞的用法
  名詞   ---------- + だ    + の     + 助詞
  動詞   + こと   終止形   連体形    連用形
  形容詞  + こと   終止形   連体形    連用形

  語を後に置いたり、連体形や連用形にすることによって、
  品詞の転換が行なわれます。

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