私はエスペラントのすばらしいと思った点を、多くの人に知ってもらいたくて、
このホームページに発表しました。
映画「アマデウス」の中で、サリエリがモーツアルトの書いた楽譜を見て、そ
の完璧さに感動している場面があります。そして、こうつぶやきます。「この
楽譜のどこをいじってもすべてが台無しになってしまう」と。
私がエスペラントを学んで感じたことは、これと同じものでした。これは、ザ
メンホフという天才だけが成し遂げることができた偉業であると思いました。
エスペラントを多くの凡人が改造しようとして、いじりまわしましたが、それ
はすべてエスペラントの学習容易性と論理性を破壊するものでした。エスペラ
ントがなかったら、他の計画言語が今エスペラントがいる位置にいたのかとい
う問いには、私はいいえと答えるでしょう。エスペラントの修正版のイドを始
め、数々の計画言語案をみると、後々まで、残っていける力を持ったものは、
エスペラント以外に見当たりません。
私の夢は、エスペラントが全世界で英語並み、あるいは、それ以上の人々に使
われるようになるということです。しかし、それはそう簡単ではありません。
しかし、最近のリナックス(コンピュータの無料の基本ソフト)の広がり方を
みて、エスペラントを広めるよい方法を思い付きました。
それは、ホームページの記述言語である、HTMLに「エスペラントタグ」を追加
することです。エスペラントタグの間にエスペラント文を書いておけば、各国
のウェブブラウザでその国の言語に自動的に翻訳されて表示されるというもの
です。
たとえばHTML文書に次のように書いておくと、
<ESPERANTO> Mi iris al lernejo hierau~. </ESPERANTO>
英語のブラウザでは、次のように表示され、
I went to school yesterday.
日本語のブラウザでは、次のように表示されます。
きのう私は学校へ行きました。
問題は正しく翻訳できるかということです。たとえば、英語から日本語の翻訳
ソフトでは、あまり正しい日本語に翻訳されるのは、期待できません。英語は
論理性が低い(あいまい度が高い)ので、翻訳結果がいく通りも出てきてしま
います。そのうちどれが、正しいかをコンピュータに判断させるのは、難しい
ことです。一方、エスペラントは論理性が高いので、翻訳結果が複数通り出る
ことはありません。つまり、論理性が高い言語(計画言語)からの機械翻訳処
理はかなり良い結果が期待できます。
ただし、問題は、エスペラント文の記述ミスによって、正しく翻訳できないこ
とがあるということです。私は、山野氏作成のフリーのエスペラント翻訳ソフ
ト、「トラちゃん」をよく使います。「トラちゃん」はよくできたソフトで、
辞書なしでほとんどのエスペラント文は読めてしまいます。ただし、時々、正
しい翻訳がされないときがあります。「トラちゃん」には、エスペラント学士
院公認の語根とよく使う合成語が登録されています。ですから、未公認の語根
の使用、あまり使われない合成語の使用、単語のつづりの間違い、文法の間違
い、などによって、正しく翻訳されないのです。
これを防ぐために、エスペラントタグ対応HTMLエディターにエスペラント文チ
ェック機能を付けます。このチェックを通ったものを、ウェブ上に公開すれば
よいのです。このHTMLエディターが使う辞書と、各国のウェブブラウザーが使
う辞書の間では、登録されている語根と合成語を同期をとって置きます。する
と、ブラウザー側で、翻訳できない単語がなくなります。
各国のエスペランティストのプログラマーが集まって、ボランティアのプロジ
ェクトを組めば、このようなことは不可能ではありません。
エスペラントタグ対応したHTMLエディターとウェブブラウザーをつくり、Linux
のごとく、フリーソフトとして、公開するのです。そして、HTMLを規格化して
いる団体にエスペラントタグを採用してくれるようにと申請します。
エスペラント文でHTMLに書いておきさえすれば、各国の人々はその国の言葉で
それを読むことができます。たとえ英語ができなくても、読むだけなら、世界
中のホームページを自国語で読むことができるようになるのです。すばらしい
でしょう。
語学関係では英語しか置いてないような、小さな本屋さんでも、最近では、
HTMLの本が置いてあります。もし、エスペラントがHTMLの中に入り込むことに
成功したら、このような所にも、エスペラントの本が並ぶでしょう。エスペラ
ントを全く知らなかったという人も、それを目にし、自分のホームページに使
ってみようとと思うに違いありません。このようにして、エスペラントは多く
の人に使われるようになるという、私の夢物語です。
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