時制の一致


英語では従属節と主節とで時制の一致を行なわなければならない。
そのため次の例では、過去のさらに過去を表すため過去完了が用いられる。
エスペラントでは、このような時制の一致を行なわないので、過去完了
というややこしい時制を考えなくてもよい。

(英語)She said  that she had seen me.
(エス)S^i diris ke   s^i vidis    min.
        彼女は彼女が私を見たといった。

このように、keや疑問詞で導かれる従属節(名詞節)の動詞の時制は、
主節の時制が表す時点から見た時制をとる。(相対時)

ただし、関係代名詞や関係副詞で導かれる従属節(形容詞節、副詞節)の動詞の時制は、
その文を書いた(言った)時点から見た時制をとる。(絶対時)

    疑問詞の節(名詞節)の場合
    Mi ne sciis, kiun lingvon li parolas.
        私は彼が何語を話しているか分からなかった。

    関係代名詞の節(形容詞節)の場合
    Mi ne komprenis la lingvon, kiun li parolis.
        私は彼が話している言葉が分からなかった。

しかし、これは英語のような時制の一致とは違う。
たとえば、以下の文の場合、を見てみよう。

    Mi log^is en la urbo, kie okazis milito.
    私は戦争が起こった町に住んでいた。

戦争が起こったことが、町に住んでいたことよりも昔の場合でも、
okazi を 過去完了にすることはしない。
これを話している時点から見ると、戦争が起こったことも、
町に住んでいたことも、過去なので、両方が過去形になるだけである。

なぜ、こうなるかというと、関係代名詞や関係副詞の文は、
一般的な従属接続詞を用いた文と同様にみなされるからである。

    Mi iris al la urbo, c^ar Zamenhof log^is tie.
    私はその町に行った。なぜなら、そこにザメンホフが住んでいたから。

ザメンホフが住んでいたのは、私がその町に行った時点よりも前だが、
log^i を過去分詞にしないのと同じである。

両方の文の前後関係を明確にしたい場合は、antau^e(以前に)を用いるとよい。

    Mi iris al la urbo, c^ar Zamenhof antau^e log^is tie.


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