特殊な動詞 |
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ここでは一般的な自動詞、他動詞以外の特殊な動詞について説明します。
英語の特殊な動詞について、エスペラントではどうなっているのかという形で
進めていきます。
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1.助動詞的(動詞+不定詞) |
英語の場合
助動詞が動詞と違っている点は次のとおり
・分詞、不定詞が無い。
・過去形が無いものがある。
・目的語に原形動詞(toの無い不定詞)をとる
(動詞ではtoの付いた不定詞のみ目的語にとれる。)
・be , haveは原形動詞ではなく分詞をとる
エスペラントの場合
・助動詞はない。英語の助動詞と同じ意味の語は動詞にある。
・その動詞には、分詞、不定詞、過去形がある。
・不定詞にはto の付くものと付かないもののような区別が無い。
・estiについては分詞をとるが、分詞は形容詞語尾をつけているので、
一般の形容詞をとるestiの文と同様に扱われる。
be 進行形、受動態を作る esti
Ni estis vidataj de tiu homo. 私たちはあの人に見られた。
= 通常の形容詞のように複数形語尾が付く
have 完了形を作る esti
do 疑問文を作る -
エスペラントではc^uを文頭に置く。
can, could 可能 povi
may, might 推定、許可 povi
must 断定、義務 devi
will, would 意志、未来 -
エスペラントでは述語動詞に未来語尾osをつける。
(Eng) It will be rain.
(Esp) Estos pluvo.
雨が降るでしょう。
shall, should 意志、未来 -
エスペラントでは述語動詞に未来語尾osをつける。
または意志法語尾uをつける。
(Eng) Shall we dance ?
(Esp) c^u ni dancu ?
踊りましょうか。
need 必要がある bezoni
Vi ne bezonas ekstari. あなたは立ち上がる必要が無い。
dare あえて〜する kurag^i
ought to 〜するのが当然である devi
used to 〜するのが常だった -
助動詞ではないが、目的語に不定詞をよくとる動詞
want 〜したい deziri, voli
be going 〜するつもりだ -
エスペラントでは述語動詞に未来語尾osをつける。
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2.不完全自動詞(動詞+補語) |
状態
be 〜である esti
seem 〜のようである s^ajni
appear 〜のようである aperi
変化
become 〜になる farig^i
get 〜になる ig^i
感覚
look 〜に見える aspekti
sound 〜のひびきがする -
taste 〜の味がする -
smell 〜のにおいがする -
feel 〜の感じがする -
保存
keep 〜の状態を保つ -
remain 〜の状態にとどまる resti
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3.授与動詞(動詞+間接目的語+直接目的語) |
1番目の間接目的語(人)と2番目の直接目的語(物)の
関係は=(イコール)ではない。図示すると以下のようになる。
------------------
|直接目的語(物)|
------------ ------------------ ------------------
|主語(人)|------------------------------>|間接目的語(人)|
------------ ------------------
人と人の間で物がやり取りされるイメージである。
英語でいうところのSVOO構文である。
エスペラントではSVOOの構文がない。
直接目的語は対格で、間接目的語が前置詞を伴って表される。
パターン1
(英語)「S、V、人、物」であり、「S、V、物、to 人」とも表現できるもの。
(エス)「S、V、al 人、物n」と表現するもの。
give 〜に〜を与える doni
(Esp) Mi donos al li horlog^on.
(Eng) I will give him a clock.(I will give a clock to him.)
彼に時計をやろう。
tell 〜に〜を告げる rakonti
raporti
lend 〜に〜を貸す prunti
send 〜に〜を送る sendi
show 〜に〜を示す montri
pass 〜に〜を渡す transdoni
pay 〜に〜を支払う pagi
offer 〜に〜を提供する oferti
promise 〜に〜を約束する promesi
bring 〜に〜を持ってくる alporti
パターン2
(英語)「S、V、人、物」であり、「S、V、物、for 人」とも表現できるもの。
(エス)「S、V、物n、por 人」と表現するもの。
buy 〜のために〜を買う ac^eti
make 〜のために〜を作る fari
do 〜のために〜をしてやる fari
get 〜のために〜を得る akiri
leave 〜のために〜を残す postlasi
order 〜のために〜を注文する mendi
choose 〜のために〜を選ぶ elekti
cook 〜のために〜を料理する kuiri
パターン3
(英語)「S、V、人、事」であるが、間接目的語は置き換え不可能なもの
(エス)「S、V、人n、前置詞+事」と表現するもの。
ask (人)に(事)をたずねる demandi 人n pri 事
(Eng) He asked me your condition.
(Esp) Li demandis min pri via sanstato.
彼は君の健康状態についてぼくにたずねた。
answer (人)に(事)を答える respondi 人n pri 事
envy (人)に(事)をうらやむ envii 人n pri 事
forgive (人)に(事)を赦す pardoni 人n pri 事
パターン4
(英語)「S、V、人、前置詞+事」と表現するもの。
(エス)「S、V、人n、前置詞+事」と表現するもの。
inform (人)に(事)を伝える informi 人n pri 事
(Esp) Mi informis lin pri afero.
(Eng) I informed him about business.
彼に事業ついて伝えた。
直接目的語がthat節になることがある
Mi informis lin, ke la afero bone iras.
彼に事業は順調であると伝えた。
thank (人)に(事)を感謝する danki 人n pro 事
(Eng) I thank you for your kindness.
(Esp) Mi dankas vin pro via konplezo.
あなたの親切に感謝します。
interest (人)に(事)の興味を持たせる interesi 人n pri 事
(Eng) This book interested me in Esperanto.
(Esp) C^i tiu libro interesis min pri Esperanto.
この本は私にエスペラントに興味をいだかせました。
C^u la libro interesis vin. その本は面白かったですか。
Mi estas interesita pri muziko. 私は音楽に興味がある。
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4.不完全他動詞(動詞+目的語+目的語補語) |
目的語と目的語補語が=(イコール)の関係にある。
call 〜を〜と呼ぶ nomi
name 〜を〜と名づける nomi
(Esp) La patrino nomis la bebon Taro.
(Eng) The mother named the baby Taro.
母親はその赤ちゃんをタロウと名づけた。
appoint 〜を〜に任ずる nomi
elect 〜を〜に選ぶ elekti
(Esp) Ni elektis lin prezidanto.
(Eng) We elected him president.
私たちは彼を議長に選んだ。
think 〜を〜と思う konsideri
opini
belive 〜を〜と信じる kredi
feel 〜を〜と感じる senti
目的語補語に不定詞をとる場合がある。
「述語動詞+目的語+不定詞」の章を参照
find 〜を〜とわかる trovi
remarki
keep 〜を〜にしておく teni
make 〜を〜にする fari, igi
(Esp) Tio faris min felic^a.
(Eng) That makes me happy.
そのことは私を幸せにした。
目的語補語に不定詞をとる場合がある。
「述語動詞+目的語+不定詞」の章を参照
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5.動詞+目的語+不定詞 |
これは述語動詞+目的語+補語の変形である。補語のところに不定詞がくる。
目的語+補語の部分が新たに主語+述語動詞を構成している。
英語の場合、不定詞にtoの付かないパターンと付くパターンがある。
エスペラントはそのような区別はない。
知覚動詞(toの無い不定詞)
see 〜が〜するのを見る vidi
(Esp) Mi vidis la turon fali.
(Eng) I saw the tower fall.
私は塔が倒れるのを見た。
hear 〜が〜するのを聞く au^di
(Esp) Mi au^dis la pordon malfermig^i.
(Eng) I heard the door open.
私は戸が開くのを聞いた。
feel 〜が〜するのを感じる -
英語のfeelと違って、sentiには senti -n -i という構文はない。
あえて表現したいときは分詞形容詞を使う。
使役動詞(toの無い不定詞)
make 〜に〜させる -
英語のmakeと違って、fariには fari -n -i という構文はない。
あえて表現したいときは分詞形容詞を使う。
have 〜に〜させる igi
(Esp) Mi igis lin foriri.
(Eng) I had him go away.
私は彼を(私の意志で)帰らせた。
let 〜に自由に〜させる lasi
(Esp) Mi lasis lin foriri.
(Eng) I let him go away.
私は彼を(彼の意志で)帰らせた。
その他(toのある不定詞)
helpi 手伝う
(Esp) Li helpis min ordigi la c^ambron.
(Eng) He helped me to order the room.
彼は部屋の整頓を手伝ってくれた。
g^eni じゃまする
Ne g^enu s^in iri.
彼女が行くのを邪魔するな。
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6.動詞+文 |
思考動詞(英語ではthat節、エスペラントではke節をとる)
think 〜と思う pensi
Mi pensas, ke li ne pravas. 彼は正しくないと思う。
expect 予期する atendi
普通 ke節が未来になる。
Li neniam atendis ke s^i trompos lin.
彼は彼女が自分をだますとは思ったことがなかった。
hope 期待する esperi
普通 ke節が未来になる。
Mi esperas, ke li trapasos la krizon.
私は彼がその危機を脱することを願っている。
seem 〜に思える s^ajni
英語ではit主語の文、エスペラントでは無主語文になる。
(Eng) It seems to me that he is angry.
(Esp) S^ajnas al mi , ke li estas kolera.
私には彼が怒っているように思える。
beleave 確信する kredi
Li kredas, ke s^i s^telis monon.
彼は彼女が金を盗んだことを確信している。
suspect 疑う suspekti
Li suspektas, ke s^i s^telis monon.
彼は彼女が金を盗んだと疑っている。
doubt 疑う dubi
英語では whether (if)節、エスペラントではc^u節をとる。
Li dubas, c^u s^i s^telis monon.
彼は彼女が金を盗んだのかどうか疑っている。
Li ne dubas, ke s^i s^telis monon.
彼は彼女が金を盗んだことを疑っていない。
=彼は彼女が金を盗んだことを確信している。
認識動詞(間接疑問文をもつことができる)
know 知っている scii
Li scias, ke s^i s^telis monon.
彼は彼女が金を盗んだことを知っている。
Li scias, kiam s^i s^telis monon.
彼は彼女がいつ金を盗んだのか知っている。
* koniも「知っている」という意味があるが ke節や
間接疑問文は持てない。
告知動詞(間接話法と直接話法がある)
say 言う diri
(Eng) She said "I saw you".
(Esp) S^i diris "mi vidis vin".
彼女は「私はあなたを見ました」といった。
(Eng) She said that she had seen me.
(Esp) S^i diris ke s^i vidis min.
彼女は彼女が私を見たといった。
ask 尋ねる demandi
c^u節をとる場合
Mi demandis al mi "C^u li estas sag^a?"
私は「彼は賢いのだろうか。」と自問した。
Mi demandis al mi, c^u li estas sag^a.
私は、彼が賢いかどうか自問した。
order 命じる ordoni
ke節の動詞が意志法をとる場合
S^i ordonis "Laboru diligente."
彼女は「一生懸命働きなさい。」と命じた。
S^i ordonis, ke ni laboru diligente.
彼女は一生懸命働くように命じた。
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7.動詞+間接目的語 |
エスペラントでは間接目的語(前置詞付きの目的語)を持つ動詞に次のようなもの
がある。
alig^i al 〜に申し込む
c^agrenig^i pri 〜を悩む
fieri pri 〜を自慢する
konatig^i kun 〜と知り合う
konsisti en 〜に本質がある
partopreni en 〜に参加する
suferi pro 〜で苦しむ
aparteni al 〜に属する
dependi de 〜に依存する
interesig^i pri 〜に興味を持つ
konsisti el 〜から成り立つ
manki al 〜に欠けている
temi pri 〜を話題にする
edzig^i al 〜と結婚する(夫になる)
edzinig^i al 〜と結婚する(妻になる)
rekontig^i kun 〜と出会う
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8.esti+形容詞+間接目的語 |
形容詞は直接目的語を持つことができないので、前置詞を通じて間接目的語
を持つことができる。
たとえば英語では次のようなものがある。
be afraid of ... (...を恐れている)
be interested in ... (...に興味を持っている)
be good at ... (...が上手だ)
エスペラントでも次のようなものがある。
esti favora al ... (...に好意的だ)
esti diferenca de ... (...と違う)
esti kapabla por ... (...する能力がある)
esti certa pri ... (...に確信がある)
間接目的語は、前置詞句だけでなく、不定詞や文節であることもある。
たとえば英語では次のようなものがある。
be easy to ... (...しやすい)
be difficult to ... (...しにくい)
be able to ... (...する能力がある)
be ready to ... (...する準備ができている)
be certain to ... (...する確信がある)
エスペラントでも次のようなものがある。
esti facila por ...-i (...しやすい)
esti kapabla ...-i (...する能力がある)
esti preta ...-i (...する準備ができている)
esti ema ...-i (...しがちだ)
esti g^oja , ke ... (...ことをうれしく思う)
esti certa , ke ... (...ことに確信がある)
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9.その他 |
prefer AよりBを好む preferi B al A
(Eng) I prefer physics to chemistry.
(Esp) Mi preferas fiziko al kemio.
私は化学より物理が好きだ。
necessary AにはBが必要である B necesi por A
(Esp) Via helpo necesas por mi.
(Eng) Your help is necessary for me.
私にはあなたの助けが必要です。
(Esp) Necesas, ke vi tuj ekiru.
(Eng) It is necessary that you go now.
すぐに出発する必要があります。
please AがBのお気に入りである A plac^i al B
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