エスペラントの中立性

エスペラントはどこの国の言語でもないので、中立であると主張がある一方、
エスペラントはヨーロッパ語を元に作られたので、アジア人、アフリカ人には
不向きつまり中立ではないという主張もある。確かに、アジア人、アフリカ人
がエスペラントを習得するよりは、ヨーロッパ人のほうが速く習得できる。

しかし、エスペラントは非ヨーロッパ人にも学びやすいよう工夫されている。
その工夫がかえって、ヨーロッパ人にエスペラントに不自然さを感じさせてい
る。中には、エスペラントは人間の言葉ではないというヨーロッパ人もいる。
そういう理由で、かつて、ヨーロッパ人の何人かはエスペラントをヨーロッパ
語に近づけようとする改良案をいくつか出した。改良案は全て、エスぺランチ
ストの大半に反対され否決された。

たとえば、mal という接頭辞は反対語を造る。nova(新しい),malnova(古い)
となる。しかし、new, oldを知っているヨーロッパ人にはとても不自然に感じ
られる。nova, oldaのほうが自然だし、学びやすいのである。一方、new, old
を知らない非ヨーロッパ人にはnovaを覚えれば、その反対語も自動的に覚えた
ことになるエスペラントのシステムの方が都合がよいのである。

逆に、エスペラントをヨーロッパ語からもっと引き離して、すべての言語に偏
らない言語を造ろうとした人たちもいたが、そのようなものは、すべての人が
学びやすいものではなく、かえって、すべての人が学びにくいものになってし
まった。

たとえば、外国語を学ぶときもっとも苦労を要するのは音素と語順であるが、
この2つを採ってみても難しい。世界の言語の中で共通に使われている音素は
k,s,t,p,n,m,rの7つの子音とa,i,u,e,oの5つの母音である。たったこれだけ
では貧弱な語彙しか造れない。語順では、世界の言語を大別して、SVOで前
置詞を使うもの(英語、中国語)と、SOVで後置詞を使うもの(日本語、朝
鮮語)に分けることができる。この2つのどちらにもに偏らないようにするた
めに、語順が自由で前置詞を前に置いても、後ろに置いてもよいとする言語を
考えた人もいたが、かえって使いにくい。

エスペラントはヨーロッパ語に近づけようとしても、遠ざけようとしても問題
が起こるという、絶妙のバランスのとれた位置に作られている。

エスペラントはさまざまな工夫により、英語と比べると、約8分の1の時間で
習得できるようになっている。ある統計では、日本人が英語を習得するのにか
かる時間は約2000時間、韓国語は約500時間、エスペラントは約250
時間であった。日本語にもっとも近いとされる韓国語よりも、エスペラントは
時間がかからない。エスペラントの中立性の問題は、その学習容易性により充
分カバーできるものである。


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