アメリカの好景気

グローバル化とアメリカの好景気

・現在、国際的な資金移動量のほとんどが「投資」で、物をやり取りするの貿
  易の約100倍です。コンピュータネットワークによって大量の資金が瞬時
  に移動します。このような金融のグローバル化が起きたのは先進国の工業の
  飽和が関係しています。
・1980年代後半、先進自由経済圏(北米、西欧、日本)が工業の飽和状態にな
  りました。つまり国内に投資先がなくなったのです。
・一方、1990年代になって、ロシア、東欧、アジア、中南米が自由経済圏に入
  りました。これらは、後発自由経済圏として、まだ工業が発展する余地があ
  ります。
・先進自由経済圏は新たな投資先として後発自由経済圏へ目を向けたのです。
・日本では土地に投資が向かいました。そのきっかけは1985年のプラザ合
  意です。工業の飽和によって不景気になっていたアメリカを救うために、先
  進各国がドル安になるように協調介入したのです。そのため日本が円高にな
  り、輸出に頼っていた日本は不景気に陥りました。そのため国は金利を引下
  げたのですが、それによる投資は設備ではなく、絶対下がることはないと信
  じられていた土地へと向かいました。日本でも工業が飽和していたので、設
  備に投資しても意味が無いと思われたからです。土地への投機は加熱し、最
  終的にはバブルの崩壊という現象を生んだのです。現在は、新たな矛先は後
  発自由経済圏に向いています。
・一方、1990年代のアメリカは飽和した工業を切り捨て、金融に重きを置くこ
  とにしました、金利を引き上げ各国の資金を自国に呼び込むことにしたので
  す。この資金は、自国の情報・通信分野と、後発自由経済圏へ工業化に使わ
  れたのです。これが功を奏してアメリカは今、好景気です。
・ヨーロッパ、日本のお金はアメリカのウォール街を経由して後発自由経済圏
  へ流れています。
・後発自由経済圏への投資というのは、辛抱強く育てていこうというより、ギ
  ャンブルのようなものです。すこしでも、やばくなるとさっと資金を引き上
  げてしまい、とても、不安定なのです。これが深刻な通貨危機を生みました。
・ギャンブルにたとえると先進自由経済圏は賭ける人、アメリカは胴元、後発
  自由経済圏は賭け馬です。今の日本の状態はギャンブル好きの夫とその妻に
  たとえることができます。夫は銀行、企業で、妻は国民です。妻がパートで
  得た金を、夫が無心して、競馬で使い込む状態です。企業は設備投資しない
  でウォール街で投機に走っているのです。

なぜアメリカはインフレなき経済成長を続けるのか。

今までの常識では、普通、好景気が続くとインフレになります。みんなが物を
欲しがるので、供給より需要が上回るからです。しかし、アメリカは、インフ
レにはならないのです。好景気がインフレを起こすという常識は商品が「物」
であることを前提にしています。「物」の生産には時間がかかるため需要にた
いして生産が追いつかないのです。しかし、情報製品はすぐにコピーできるた
め、需要に即座に対応できるのです。極端な場合、インターネット上にアップ
ロードしておくだけで、製品を消費者がコピー(ダウンロード)して買ってい
きますから、どんなに消費が増えても供給=需要がいつでも成り立つのです。

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