平成不況

今は新しい時代への質的変化への時期です。このような場合には、従来通りの
方法は通用しません。今までの方法は、不景気になると、国家は公共事業を起
こして雇用を創出し、金利を下げて企業が設備投資しやすくし、家計のお金を
貯蓄よりも消費にまわさせることによってお金の循環量を増やすことでした。
以前はこれで不景気から脱出できました。

これが通用しなくなったのは、日本では、1985年あたりからです。このこ
ろに起きた不景気はいままでの不景気とは質が異なっていました。これは、工
業の飽和状態によるものだったのです。工業製品がある程度、行き渡ったため
売れなくなったのです。この不景気に対して、政府は今まで通りの定石を打ち
ます。つまり、金利引き下げです。しかし、企業は、設備投資しても、もう売
れないので、設備投資なんかしようとしません。設備投資の代わりに不動産や
株式に投資し始めました。みんながそうするものですから、土地は人気がでて
きてどんどん値段が上がります。そうすると益々人気が出ます。低金利なので
銀行からお金が借りやすいので、その金で、土地を買って、その土地を担保に
またお金を借りて土地を買います。そうするうちに、土地は実質よりもはるか
に高値になります。これがバブル景気だったのです。これが最終的にどうなっ
たのかは、ご存知の通りです。バブルが崩壊して、今、不景気のどん底です。

政府はこの状態に対して、まだ、例の定石を打ってどうにかしようとしていま
すが、もうこれは、通用しないのです。金利を下げることによって、企業の設
備投資を促し、国内のお金の循環量を増やそうとしています。しかし、最近で
は、資本はいとも簡単に国から国へと移動します。お金は、金利の低い日本か
ら金利の高いアメリカへと流れていってしまいます。これでは、国内のお金の
循環量は逆に減ってしまいます。これでは、なかなか不景気を脱出できません。

今後は、情報、サービス(とくに福祉)、環境の3つの分野が伸びていきます。
逆に、工業は衰退し、それを支えてきた、金融(銀行、株式)、建設、不動産
も衰退していきます。(工業は大きな工場が必要なので、その資金を提供する
金融、工場の建物を提供する建設、工場の土地を提供する不動産が大きく機能
していました。)

今の現状は明らかに工業が衰退していく現象です。衰退していくものを無理矢
理に維持させようというのは、無駄です。むしろ、政府の役目は、混乱なく新
しい社会構造に移行できるようにすることです。

でんし共産制社会
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