ベーシック・イングリッシュには動詞が16個しかない。
動詞が表す内容は究極的には16個に集約できる。
他の動詞の表す内容はこれらの動詞と動詞以外の語の組
み合わせで表現可能である。
例えば walk は go on footで表現する。
日本語でも「する」と「させる」の2つの動詞があれば、
名詞との組み合わせでなんでも表現できるのと似ている。
例えば「歩く」は「歩行」+「する」で表現できる。
次の表は16語を分類したものである。
する させる
存在 be
存在の発生 come make
属性 be,seem
属性の発生 get make
位置 be
位置の発生 come put
移動 go send
所有 have
所有の発生 take give
所有の継続 keep
情報
情報の発信 say
情報の受信 see
行為 do have,make,let
・動詞は「存在」「属性」「位置」「移動」「所有」「情報」「行為」
に分類される。
・それぞれに「する」「させる」がある。
・存在
・be は「存在している」→「ある」
・come は「発生する」→「起こる」
・make は「発生させる」→「作る」
・属性
・be は「ある属性がある」→「~である」
・seem は「ある属性のようにある」→「~のようだ」
・get は「ある属性が発生する」→「~になる」
・make は「ある属性を発生させる」→「~にする」
・位置
・be は「ある場所に位置している」→「~にある」
・come は「ある場所に位置する」→「~に来る」
・put は「ある場所に位置させる」→「~に置く」
・移動
・go は「ある場所へ移動する」→「~へ行く」
・send は「ある場所へ移動させる」→「~へ送る」
・所有
・have は「自分の場所に所有している」→「~を持つ」
・take は「自分の場所に所有する」→「~を取る」
・give は「相手の場所に所有させる」→「~を与える」
・情報
・say は「自分の中から情報を出す」
音声以外にも使える。
例)newspaper says ...
・see は「自分の中へ情報を入れる」
見ること以外にも使える。
例)会う meet 分かる understand
・行為
・do は「行為をする」→「~する」
・have は「行為をさせる」→「~させる」
・make は「行為をさせる」→「~させる」
・let は「自由に行為をさせる」→「~のままにする」
すべての動詞は上記のどれかの概念の中に入る。
例えば write という行為は、紙の上に文字を位置させる(put)と
考えることができる。
return は、もとの位置に移動する(go)である。
以下は中学校レベルの動詞の一覧である。
これを16動詞で表してみた。
become ~になる get
walk 歩く go on foot
continue 続く、続ける go on
return もどる go back
run 走る go quickly
leave 去る go away from
置いていく not take away
ride 乗る go on (a horse etc.)
swim 泳ぐ go through water
visit 訪れる go to be with
arrive 着く come
fall 落ちる come down
bring 持ってくる come taking with
carry 運ぶ give transport to
drink 飲む take (liquid)
eat 食べる take (food)
tell 言う give an account of
speak 話す say
talk 話す say
call 呼ぶ say in a loud voice
shout 叫ぶ make loud sound with voice
read 読む say words of (book etc.)
write 書く put down on (book etc.)
understand 理解する see
meet 会う see
watch 見る be looking for
look 見る have the eyes turned
feel 感じる be conscious of (thing) by touch
hear 聞く be conscious of (sound) through ear
listen 聞く make attempt at hearing (thing)
ask たずねる,頼む make request to
answer 答える give an answer to
start 始める,始まる make start at
begin 始める,始まる make start at
finish 終える put an end to
build 建てる make
break こわす make into separate parts
make a stop in
buy 買う get in exchange for money
sell 売る give in exchange for money
catch 捕まえる get in hands
clean きれいにする make (thing) clean
wash 洗う make (thing) clean with water
close 閉める get shut
open 開ける,開く make open
cook 料理する get (food) ready
cry 泣く have drops rolling from eyes
cut 切る make division of
draw 引く get moved by pulling
描く make (a picture)
dream 夢を見る have a dream
drive 運転する make (machine) go
enjoy 楽しむ take pleasure in
excuse 許す let (person) off (punishment etc.)
find 見つける make discovery of
remember 覚えている keep in memory
forget 忘れる not keep in memory
grow 成長する get greater
help 助ける make it simpler for (person)
hope 望む have hope
introduce 紹介する put forward
invite 招待する make request to
know 知っている have knowledge of
learn 学ぶ get knowledge of
study 勉強する give time to getting knowledge of
teach 教える give knowledge of
like 好む be pleased with
live 暮らす have living place
lose 失う not keep
love 愛する have love
mean 意味する have the sense of
move 動く,動かす make change in position
need 必要とする have need for
want 欲する have need for
play 演奏する make music on (instrument)
スポーツをする take part in (sport etc.)
sing 歌う make music with voice
present 与える put on view
rise 昇る get up
sleep 眠る go to bed
spend 費やす give out (money)
stand 立つ get into upright position
sit 座る be seated
stay 滞在する keep in (place)
thank 感謝する say (thing) to (person) for kind
think 思う have in mind
turn 回す make round
use 使う make use of
wait 待つ put off doing
welcome 歓迎する give signs of pleased at coming of
work 働く do work
worry 心配する have troubled mind about
ベーシック・イングリッシュはこのように長い表現になるので、
実際の使用には向かないと思う。しかし、教育的な価値はある。
あることを言いたいのだが、その単語が分からないとき、知ってい
る単語の組み合わせで、言いたいことが言える能力が身につく。
wikipedia のベーシック・イングリッシュの項目に次のようにある。
「ベーシック英語」
オグデンによると、通常の英語を学習するには7年、エスペラント
には7ヵ月必要であるのに対して、ベーシック英語は7週間で学習
することができるとされる。
しかし、田中克彦氏の「エスペラント」には次のようにある。
私は中学生の時に、熱心なベイシック英語の先生から、その便利さ
を説かれ、指導を受けたけれども、この「やさしい英語」のほうが
かえってむつかしいと思ったものである。なぜなら、意味の広い単
語に副詞をいろいろと工夫して組み合わせてつくるというのは、な
かなか頭を働かせる必要があると知ったからである。そのむつかし
さは、漢語ではなく何かいかにも日本語らしい感じの単語を外国人
などに噛みくだいて説明しようとするときに味わう、あのむつかし
さに似ている。
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