上着

 

1.上着

2.上着を裂く

 

 

 

1.上着

 

天界の秘義3693[6]

 

 モーセの書には―

 

 もし質物[抵当]を取るにあたりあなたはあなたの隣人の上着を質物としてとらねばならないなら、陽が沈む前にあなたはそれをかれにかえさなくてはならない。なぜならそれはかれのただ一枚の着物であり、かれの皮膚のための上着であってその中にかれは眠るからである(出エジプト記22・26、27)。

 

 さらに―

 

 もしかれが貧しい人間であるなら、あなたはかれの質物[抵当]の上に臥してはならない、あなたは陽が沈まない中にその質物をかれに必ず返さなくてはならない、そうするならかれはあなたを祝福し、それはあなたの神エホバの前にあなたにとり義となるであろう(申命記24・12、13)。

 

 この律法の中には、他の凡ての法律におけるように、神的な律法[神の律法]を表象し、意味しているものが在り、神的な律法は主の王国における善と真理とのそれであって、そこからこの律法が発していることは、その細目から明らかである。それはその律法の根底そのものとして人間の交友たちがその者たちが生きる規準となる教義的なものとその祭儀であるところの外なる真理を剥奪されてはならないことを含んでおり、このような真理が上着であることは前に見ることができよう(297、1073、2576番)。『陽が沈まない中に質物をかえすこと』は、真理がかれのもとに死滅しない中に、を意味しており、この真理は外なるものであるため、『その上着はかれが着て眠るものであってかれの皮膚のためである』と言われているのである。

 

 

天界の秘義4545

 

「あなた方自身を清めて上着を変えなさい」。これは聖さを着けなくてはならなかったことを意味していることは、以下から明白である、すなわち『清められる』または『浄くされること』の意義は聖化されることであり(そのことは以下に述べよう)、『上着を変えること』の意義は着ることであり、ここでは聖い諸真理を身につけることである、なぜなら聖言の内意では『着物』により真理が意味されているからである。

 

 

2.上着を裂く

 

天界の秘義4763

 

「かれはその上着を裂いた」。これは嘆くことを意味していることは、『上着を裂くこと』の意義から明白であり、それは嘆くことであり、すなわち、真理が破壊されたために、または信仰がなかったために嘆くことである。聖言には、とくに歴史的な聖言の中に自分の上着を裂く人物のことがしばしば記されているが、しかしそのことの起源は現今では知られておらず、またそれが真理が失われたための悲哀を表象したことも知られてはいないのである。この行為は、前に示したように(4545番)、『上着[着物]』は真理を意味したという事実から表象的なものになったのである。さらに本章の後の方でヤコブはその息子の肌着をみとめると、その上着を裂いたともまた言われており(34節)、そのことにより破壊された真理のために嘆くことが意味されているのである。