うじ虫

 

1.ルイザ・ピッカレータ

2.グリニョン・ド・モンフォール

 

 

1.ルイザ・ピッカレータ

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/1巻P193

 

 私は完全な戸惑いとへりくだりの心のうちに告白の祈りを唱えました。私の過去を一瞥しますと、自分が全く罪に覆われているのを見ましたが、主にお与えした侮辱の中でいちばん思いものとして、私のうちに覚えた単純な傲慢心のいくつかを見つけました。それで申し上げました。「主よ、あなたの御前で傲慢の罪を犯しましたことを告白いたします。」するとイエスは「わたしの愛情深い御心に近づきなさい。耳をすませてごらんなさい。この罪によってわたしの寛大な心にあなたが与えたひどい苦悩を感じるでしょう。」とおっしゃいました。私はすっかり震えあがりその御心に耳をかたむけました。ほんの一瞬でしたがその時に感じ、理解したことを誰が言い表せるでしょうか? 愛におののく私の心は非常に強くどきどきとしはじめて胸がつぶれるかと思われ、苦痛のために心臓は破裂し、きれぎれになってほとんど破壊されてしまうのではないかと思えました。このような感じを覚えたあと私は叫びました。「人間の傲慢心というものはなんと冷酷なものでしょう! もし可能性が与えられていたら、それは神性そのものをも破壊してしまうでしょう。」

 そのとき私にとって人間の傲慢心とはちょうどうじ虫で表象されるように思えました。それは偉大な王様の足もとで気楽に過ごせるのをいいことに、まるで自分もなにか偉い者であるかのように信じて頭を高く上げ、ふくらんでゆき、少しずつ王様の衣服をはい登り、ついにその頭まで行きつきます。するとその頭が輝く王冠にかざられているのを見て、それを自分の頭にのせるために王様の頭から取りたいと思い、さらに衣服も脱がせ、玉座からおろし、ついにはその命までねらってあらゆる方法を使いたいとさえ願います。このうじ虫は自分が何者であるかを知りません。まして自分の傲慢のゆえに、彼を消してしまうには、王様がその厚かましい計画に気づいて片方の足でふみつけるだけで足りるということすら考えることができません。傲慢で熱した頭が作り出した錯覚による金色の彼の夢の全てはたった一瞬のうちに壊され、彼ほど傲慢でない人びとにも蔑みと同情心を起させることでしょう。このような人は恩知らずで悪者であるだけでなく、もっとも軽はずみで生意気な人だと思われるでしょう。

 まさしくこの私が、神聖な王様の足もとにいる惨めなうじ虫であるのを見ました。私が主にたいして犯した侮辱を思って非常な戸惑いと申し訳ない気持ちでいっぱいになるのを感じ、私の傲慢の罪ゆえにイエスが苦しまれたひどい苦悩を私の心におぼえました。イエスはこのあと私をひとりに残されましたが、私は傲慢心の醜さについて考えつづけました。それはあまりにも生々しい苦しみを生みましたので、とても言葉で言い表すことはできません。

 

2.グリニョン・ド・モンフォール

 

グリニョン・ド・モンフォール/聖母マリアへのまことの信心228

 

第一週には、すべての祈り、すべての信心のわざを、自分自身を知り、おかした罪を痛悔する恵みをねがうことに専念します。したがって、すべてのことを、謙遜の精神でおこないます。

そのためには、どうしたらいいのでしょうか。もしお望みなら、わたしが前に述べた(78〜79)ように、自分の内奥の醜悪な精神的土壌をふかく反省し、自分自身のことを、カタツムリだ、ガマだ、ブタだ、ヘビだ、雄ヤギだ、と自嘲せねばなりません。または、聖ベルナルドの次の三つのことばを、まじめに黙想するのも、いい方法です。

すなわち「おまえは過去において、どんなものだった?くさい粘液でした。現在はどうだ?きたないクソ袋です。将来はどうだ?ウジ虫のエサです」(「人間の実体についての瞑想」3・8)