天界の秘義4013

 

『枝[棒、つえ]』は再三聖言に言われており、凡ゆる所でそれが羊飼いによりその羊を治める力を揮うためにのみ用いられるのみでなく、またそれが身体を支え、いわば右手に役立つために、力を意味している、なぜなら『手』により力が意味されるからである(878、3387番)。そしてこれが『枝[棒、つえ]』の意義であったため、杖[つえ]が古代王により用いられて、そこから王のしるしは短い棒となり、また笏ともなったのである。枝[つえ、棒]は王にみによって用いられたのではなく、たとえばアロンとモーセにより用いられたように、また祭司と予言者によっても用いられたが、それはまたかれらがその杖によりかれらに属している力を意味するためであったのである。このことがモーセが、奇蹟が行なわれつつあった時、再三その杖[棒]をのばすようにと、また他の時にはその『手』をのばすようにと命じられた理由であったのである、なぜなら神的な力は杖[棒、枝]によりまた手により意味されたからである。エジプトの法術士たちがその魔法を行なったとき、杖を用いたのは『杖』が力を意味され、しているためであったのであり、魔法使いが手に杖をもって今表現されているのもここから起っているのである。この凡ては『杖』は力を意味していることを示している。

 

 

天界の秘義7026

 

(『棒〔杖〕』は自然的なものの力を意味し、『手』は霊的なものの力を意味し、自然的なものは霊的なものから力を得、かくて『棒〔杖〕』により、それが手の中にある時は、力が意味されることについては、7011番を参照)。『棒〔杖〕』が力を意味していることは他生における表象的なものから起っている、なぜならその生命では魔術を行う者らは棒を持って現れ、その棒もまた彼らには力として役立っているからである。ここからまたエジプトの魔術師らは棒を持ち、その棒により奇蹟のように見えるものを行ったのであり、そこから古代人はその著作の中で至る所に魔術者に棒を持たせているのである。(中略)またそれと同じ理由から、王は短い棒である笏を持っており、それにより王の権能が意味されているのである。棒と力との相応は、棒または笏は手と腕を支え、かくて同時に身体も支え、巨大人の中では手と腕とは力に相応しているという事実から発しているのである(878、3387、4931−4937、5327、5328、5544、6947、7011番)。