つばめ

 

 

 

 

詩篇84・2−5

 

万軍の主よ、あなたのいますところは

どれほど愛されていることでしょう。

主の庭を慕って、わたしの魂は絶え入りそうです。

命の神に向かって、わたしの身も心も叫びます。

あなたの祭壇に、鳥は住みかを作り

つばめは巣をかけて、雛を置いています。

万軍の主、わたしの王、わたしの神よ。

いかに幸いなことでしょう

あなたの家に住むことができるなら

まして、あなたを賛美することができるなら。

 

 

 

 

マリア・ワルトルタ/受難の前日/P179

 

 あなたたちの最初の仕事は、そういうことです。巣立って、さて飛び立とうとする燕は、最初から無謀なことはやりません。まず、屋根に影を落すぶどうの木と樋がぶつかっている辺りから、飛ぼうと試みます。それからまた巣に戻り、このテラスからあのテラスへと移り飛んで見ます。そうしてだんだん距離を伸ばします。翼の力も方向感覚もかなり力がついてきたと思えば、風に乗って上に昇ることも、虫を追うことも、水に触れることも覚えていきます。

 やがて時が過ぎ、糧が豊かにある暖かい地方に旅立つ日となれば、燕はいっぱいに翼を広げ、恐れることなく自信を持って、海と空との間の無限の空間を、目指す一点に向って飛び去って行きます。風や気流を利用して飛び込んで行くこの若い燕には、最初のころのあのとまどいや恐れはもう跡形もなく消えています。彼らがどんな気持ちで飛ぶのか、愛に支えられてか、何に寄りすがってか、だれにそれが分かるでしょうか。

 あなたたちについても、またこれからあなたたちと同じような道を進む多くの霊魂についても、その燕がよい例になるでしょう。霊魂は突然頂上に達するものではありません。最初の敗北にめげず、最初の勝利におごらずにそれを次の飛躍の土台としてなければなりません。神はまた、そうした善良な意志に助力をお与えくださいます。さらに牧者たちの助言や指示によく従ってそれぞれの使命を果すこと、これもあなたたちと、あとに続く多くの姉妹は受け継いでもらいたい。

最後に忘れてならないのは、私の母に対してはいつも娘のような気持ちで接することです。母はあなたたちをいつでも、どんな時にも、正しい道に導いてくださいます。母は、その体験によって、また超自然の知恵によって、どんな身分の人でも、娘でも、やもめでも、母親でも、どんな人でも導くことのできる人です。聖なるマリアは、ヨゼフの妻であったので、結婚にとって一番大切なのは心の一致で、土台の上に結婚が成り立つことを知っていました。彼女は生命の木です。神の生きる箱舟です。

神の知恵は、彼女の肉に住まいを造り、恩寵はこうして肉体となりました。

 

 

マリア・ヴァルトルタ/天使館第4巻上P92

 

「彼女を、平和のある場所に、汚れのない母のそばで、生命であるキリストを世に与えるべく得た生命ほどのあの方のそばで、多くの霊魂が生まれ変わる場所に導いたのは、あなたの苦しみです。あなたの妹はわたしの母のところにいます。ああ!生ける星、マリアの甘美な一条の光が射した後、その彼女の御子の、口に出さない活動的な愛ゆえの愛の懐に呼ばれ、あなたの妹が平和の、あの平和の港に帆をたたんだのは彼女が初めてではありません!あなたの妹はナザレにいます。」

 

「でも、妹はあなたのお母様も、あなたの家も知らないのに、どうやって行ったのでしょう?・・・一人で・・・しかも真夜中に・・・あのまま・・・どんな手段もないのに・・・あの服を着て・・・あれほどの道程を・・・どうやって?」。

 

「どうやって?疲れたツバメがふるさとの巣に戻るように、海を越え山を越え、嵐と霧と厳しい風の中を。ツバメが越冬地に飛んで行くように・・・自分たちを導く本能によって、自分たちを招く暖かさによって、自分たちを呼ぶ太陽によって。彼女もまた、自分を呼ぶ光のもとへ駆けつけました・・・万人を招く母のもとへと。そして、わたしたちは暁に幸せに戻ってくる彼女を見るでしょう・・・永遠に暗闇から脱け出して、もう二度と孤児(みなしご)ではないように、一人の母、わたしの母の傍らに。あなたはそれを信じることができますか?」

 

「はい、わが主よ」。

 

 

 

マリア・ヴァルトルタ/私に啓示された福音/7

卷上P145/447・8

 

イエズスは厳しい顔で振り返る。「わたしと一緒にいるのは、弟子ですか? 悪魔ですか? 無慈悲な心の持ち主は、どこかへ行きなさい! あなたたちの存在は不快です」。

三人はその場に立ち尽くす。叱責に呆然としている。

御子よ! あなたはもう、じゅうぶん悲しんでいます! わたしも、とても悲しいです! 悲しみを増やさないでください・・・三人を見てください!・・・」と、マリアが懇願する。

 イエズスが振り返って顔を見ると、彼らの目は希望と悲しみでいっぱいだ。「来なさい!」と、イエズスが命じる。

おお! ツバメよりも速い身のこなし。