とりなしの祈り

 

 

 

 

サンダー・シング/聖なる導きインド永遠の書/P96

 

哲学者:「あなたは、この洞窟が盗賊の巣と呼ばれているのをご存じですか」

 

聖人:「十分承知しています。この洞窟は泥棒のたまり場ですが、わたしにとっては避難所です。一日の仕事を終えて、沢山の人々が行き交う街中で祈りと瞑想をしようと思っても、礼拝の邪魔をし心をそらすものがあまりに多く、霊的体験から何の益も得られないことがわかるのです。そこで、わたしは騒々しい町中からこの静かな場所に移り、神の甘美なる現存の中に安らぎ、麗しく、聖なる神を仰いでいるのです。ここで、わたしは祈りに時を費やしていますが、特に他者へのとりなしの祈りをしています。この霊的修行は、自分にも人にもよい影響を与えます。盗賊たちはよくここに来ますが、わたしの邪魔は決してしません。一人はいいました。自分たちは馬鹿ではない。人を瞞(だま)すような人間からしか金は盗らない。そうした人間は泥棒ではないといっても、人から搾取することにかけてはひけをとらないと。わたしは、彼らを役所に密告したりはしません。この世の政府は多少の刑罰は与えることはできても、彼らを役所に密告したりはしません。この世の政府は多少の刑罰は与えることはできても、彼らを改心させることはできず、心をますます悪化させるだけです。

 しかし、わたしは彼らの心を変えて新しい生命を注ぎ込んでくださるよう、神にとりなしの祈りをしているのです。新しく変えられて、法を守るよき市民となり、人助けをするようになった者たちもいます。このように、わたしは神の御恵みによって、町中と同じくここでも、霊的仕事を続けているのです。」