外なる呼吸

 

 

 

 

天界の秘義1120

 

へそから胸の内的領域に向って行われていたところの最古代教会の人間の内なる呼吸は、時の経過につれ、またはかれらの子孫になると、変化し、更に背後の領域の方へまた腹部の方へ後退し、かくて外の方へ、また下の方へと更に後退し、ついには洪水の直前に存在したところの、その教会の最後の子孫になると、内なる呼吸は何一つ殆ど残らなくなったのである。そしてついにそれが胸の中に全く残らなくなった時、かれらはおのずから窒息してしまったが、しかし若干の者の中には、その時外なる呼吸が始まり、その呼吸とともに発音される音声が、すなわち話される言葉の言語が始まったのである。かくて洪水以前の人間のもとでは呼吸はその者らの愛と信仰の状態に順応したが、ついに愛がなくなり、信仰がなくなって誤謬の信念のみが生じた時、内なる呼吸は停止し、それとともに、天使との直接的な交流と認識も停止したのである。

 

 

 

 

天界の秘義9281[]

 

人間は外なる呼吸と内なる呼吸とをもっている。外なる呼吸は世から発しているが、内なる呼吸は天界から発している。人間は死ぬと、外なる呼吸は止むが、しかし内なる呼吸は―それは人間が世で生きている間は無音であり、知覚されはしないが―継続しているのである。この呼吸は全く真理に対する情愛に順応しており、かくてその信仰の生命に順応している。しかし地獄にいる者らのように、何ら信仰の中にいない者らは内から呼吸しないで、外から呼吸し、かくて反対の方法で呼吸しており、それでかれらは内から呼吸している天使たちの社会へ近づくと、窒息し初めて、死の像のようになってしまうのである(3894番)。