世知

 

 

天界の秘義6865〔2〕

 

 霊的な教会の者たちを主として悩ますものは誤った記憶知である、なぜなら彼らは善から真理を認めることは出来ないで、ただ教義から真理の記憶知を得ているに過ぎず、このような者は記憶知に取り憑かれて非常に悩まされるからである。なぜなら記憶知は最も全般的な容器であって、真理がその中へ入れられてそれを透明なものとなし、かくてそれを気づかれないものにする迄は、時には真理に反しているように見えるからである。更に記憶知は感覚の迷妄〔妄想〕に満ちていて、その迷妄は、教義から単なる知識の中にはいるが、善から真理を認識していない者らによっては消散されることが出来ないのであり、そのことは主として、世の光が彼らを支配しているためであり、その光は天界の光がその中へ流れ入らない限り、澄明に見えるが、天界の光が流れ入るや否や、光に代って不明確なものになるのである。ここからこれらの人物は世の事柄には明るくされて、利口でもあるが、天界の事柄では暗く、また鈍いのである。