聖体拝領の恩恵
キリストに倣いて4・1・10
ああ神よ、世界の目に見えぬ創造主よ、主が私たちに対してなさることはいかに不可思議でしょう!主がお選みになった者、この秘跡をもってご自身を授けようとなさる者のために、万事をお計らいになることは、いかに甘美と恵みとに満ちているでしょう!
なんとなれば、これはまったく人間の悟り得ぬことであって、敬虔な人々の心を特別に引きつけ、その愛を燃え立たせるからであります。
なんとなれば、真に主に忠実で、自分を改めることにその全生涯を献げる者は、このもっともとうとい秘跡によって、熱心になり徳を愛するようになる大なる恩恵をしばしば受けるからであります。
キリストに倣いて4・1・11
ああ、この秘跡のおどろくべき玄妙な恩恵よ!それはただキリストに忠実な信者だけが知っているのであって、信仰のない者や罪の奴隷である者には体験することができません。
この秘跡によってこそ、霊的恩恵は与えられ、霊魂の失われた力は回復され、その罪に損なわれた美しさももどってくるのであります。
そしてこの恩恵の偉大なことは、授けられた敬虔が溢れて、心ばかりでなく、弱い肉体までも、非常に力づくのを覚えるほどであります。
キリストに倣いて4・3・3
「それは人の心が幼いときから悪にかたむいていて、」(創世記8・21)主のとうとい霊薬の助けがなければ、人はすぐ悪におちいるからであります。
ですから聖体拝領は、人を引き留めて悪におちいらせず、これを強めて善を行わせるのであります。
キリストに倣いて4・4・2
このもっとも高くもっともすぐれた秘跡は、霊魂を救うもので、あらゆる霊的病気の妙薬であり、これによって私の悪は治され、私の情欲は抑えられ、誘惑は打ち勝たれまたは減じられ、いっそう大なる恩恵が注がれ、芽生えた善徳は成長し、信仰は固められ希望は強められ、愛は燃やされ広くされるのであります。
キリストに倣いて4・4・3
ああ私の神、私の魂の擁護者、人間の弱さを補い、あらゆる内的慰安をお与えになるおかたよ、主は敬虔に聖体を拝領する主のお愛しになる者に、この秘跡で多くのおん恵みをお与えくださいましたし、またいまもなおしばしばお与えくださいます。
なんとなれば主は種々の艱難に際してかれらに多くの慰めを注ぎ、失望落胆の底からこれを引き上げて主のご加護を希望させ、新たに恩恵をたれて内的にこれを力づけ照らし、聖体拝領前心配してなんの愛情も感じなかった者でも、この天上の食べ物飲み物に元気づけられたのちは、自分がよいほうに変わったと気づくようにしてくださるからであります。
主がお選みになった者に対して、かようになさるのは、かれらに自分だけではその弱さがどれほどひどいか、主のおん恵みご恩恵から得るところがいかに多いかを、真に認めさせ、明らかに体験させてくださるためなのであります。
なんとなればかれらは、自分独りだけでは、冷淡でなんの感情もわかず、不信心でありますが、主によって熱心に、快活に、信心深くされるからであります。
じつに、だれか謙遜に甘露の泉に近づいて、それから少しは甘露を得て帰らない者がありましょうか?
まただれか烈しい火のそばに立って、それから少しは熱を受けない者がありましょうか?
そして主はいつも満ちあふれる泉であり、常に燃え決しておとろえることのない火でおいでになるのであります。