臨終の時
マリア・ワルトルタ/ /P
ラザロ:「死?!それがどうだったか、しかとは覚えていません。たいへんな苦しみの後に衰弱が続いて・・・やがてもう苦しみも失せ、ただ眠りたい、眠いという感じでした・・・。光りと音とはますます遠のいて弱々しくなって・・・姉妹とマッシミーノに言わせると、私は辛そうで苦しげだったそうですが、よく覚えていません」
主:「そう。“御父のあわれみは、死ぬ人の理性的な感覚を鈍らせ、煉獄ともいえる臨終によって、清められるべき肉体だけが苦しむように計らわれる”けれど、私は・・・。死について何か覚えていますか」
「全然。先生、何も。(後略)」
「そうでしょうね。戻って来る人々は何も知らない。そこに入る人ごとに、その秘密が表わされるのですが・・・。」