神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。

(ルカ1・32)

 

 

天界の秘義5313[2]

 

 聖言には、とり扱われている主題が神的な真理[神の真理]とそこから発している審判[判断]であるところでは、『王座』のことがしばしば言われており、『王座』によりその内意では神的な王者性〔神の王者性〕にぞくしているものが意味され、『その上に坐られる者』により、王または審判者としての主御自身が意味されているのである。しかし『王座』の意義は、他の多くの事柄の意義のように、その用い方に従って異なっているのである。神的なものそれ自身と主の神的な人間的なものとが『王座に坐られる者』により意味されていると、そのときは主から発出している神的真理〔神の真理〕が『王座』により意味されているが、しかし主から発出している神的真理が『王座に坐られる者』により意味されていると、そのときは神的真理に満たされた天界全体が『王座』により意味されるが、しかし高い諸天界における神的真理の方面の主が『王座に坐られる者』により意味されていると、そのときは最低の天界とまた教会における神的真理が『王座』により意味されるのである。かくて『王座』の意義は相対的なものである。『王座』により神的真理にぞくしているものが意味されることは、真理が聖言では『王』により、また『王国』により意味されているためである。(真理が『王』により意味されていることは前の1672,1728,2015,2069,3009,3670,4581,4966,5044,5068番に見ることができ、それが『王国』によって意味されていることは、1672,2547,4691番に見ることができよう)。

 

〔3〕しかし聖言に『王座』により特定的に意味されていることは、それが語られている(前後の)関連から明らかである、例えばマタイ伝には―

 

 わたしはあなた方に言います、一切ちかってはならない、天によってもちかってはならない、それは神の王座であるからである、地によってもちかってはならない、それは神の足台であるからである、エルサレムによってもちかってはならない、それは大いなる王の都であるからである(5・34,35)。

 

さらに他の所には―

 

天によりちかう者は神の王座により、またその上に坐られる者によりちかうのである(23・22)。

 

ここに明らかに天界は『神の王座』であると言われており、神の『足台』と呼ばれている『地』により、天界の下に在るものが意味され、かくて教会が意味されているのである(『地』は教会であることは前に見ることができよう、566、662、1066、1068、1262、1413、1607、1733、1850、2117、2118、2928、3355、4447、4535番)。同じくイザヤ書には―

 

エホバはこのように言われる、天はわたしの王座であり、地はわたしの足台である(66・1)。

 

ダビデの書には―

 

 エホバはその王座を天にかたくすえられた(詩篇103・19)。

 

マタイ伝には―

 

 人の子がその栄光のうちに来て、また聖い天使たちがすべてかれとともに来るとき、その栄光の王座に坐るでしょう(35・31)。

 

 これは最後の審判のことを語っており、王座に坐られる方は『王』と呼ばれている(34,40節)。ここでは『栄光の王座』はその内意では天界の神的善から発している神的真理であり、その王座に坐られる方は主であり、主は、神的真理から審判者であられるため、ここでは『王』と呼ばれたもうている。

 

〔4〕ルカ伝には―

 

かれは偉大なものとなって、至高者の子と呼ばれ、主なる神はかれにその父ダビデの王座を与えられるであろう(1・32)。

 

 これは天使によりマリアに言われたのである。たれでもここのダビデの王座はダビデの得た王国ではなく、または地上の王国ではなくて、天界の王国であることを認めることができよう、それで『ダビデ』によりダビデは意味されないで、主の神的王者性〔神の王者性〕が意味され、『王座』により、発出して主の王国を作っている神的真理が意味されているのである。

 

 

天界の秘義5313[10]

 

高い天界で神的真理[神の真理]と審判とについて話されていると、最も外なる天界には王座が現れるのである。

 

 

天界の秘義5313[13]

 

このようなものは天界には絶えず見られて、凡てのものは表象的なものであり、高い諸天界にいる天使たちの談話から現れており、その談話が下降すると、それは視覚にこのようなものを示すのである。

 

 

天界の秘義5313[14]

 

 これらの言葉が表象し、そこから意味している事柄を知らない者は、主は地上の王たちのように王座を持たれていると信じまたそこにはここに記されているような物があると信じるにちがいないが、それでも諸天界にはそのようなものはないのであり、それらは最も外なる天界の中にいる者たちの所にそのように目に示されるのであった、そこからかれらは神的アルカナを絵から認めるように認めているのである。

 

 

天界の秘義6832〔4〕

 

『王座』は天界を意味し、本来は天界を形作っているところの、主から発出している神的な真理を意味していることについては、5313番を参照されたい。