純朴
ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/2巻P50
慎ましく純朴であることがどれほど大切かイエズスは教えた。
1899年5月19日
今朝イエズスではなく、悪魔が私をだまそうとしているのではないかと恐れた。イエズスがやって来て、そんな私を見て言った。
「謙遜こそ天国を約束してくれる。謙遜はその魂を確実に包みこむので、狡猾な敵もその中に入り込むことがない。謙遜は天国の恵みをしっかり確保するので、十分な謙遜を見ると、さまざまな種類の天の恩恵を流し与える。だから心配しないで、単純な目でいつもお前の心の内が真の謙遜に包まれているようにし、その他のことは心配しないように。」
それから多くの修道者の姿を見せてくれた。中には聖なる人生を送っている人たちもいた。しかしたとえとても良い人びとであるとはいえ、主が与えられる多くの恵みと、そのさまざまなわざを信ずる、あの素朴な精神の持主は、その中にはいなかった。
「慎ましく純朴な人びとに私を伝えよう。その人たちは無学で貧しくとも、私の恵みをすぐに信じ、それをとても大切にしてくれる。
あなたが見ている目の前の人びとは、あまり好きではない。私に正しく近づくための鍵は、信仰だからです。その人たちは、知識、教義、また聖性があっても、天の光を決して感じないのです。つまり自然の道を歩んでいるので、少しも超自然的存在に触れることがない。これこそ私が地上で生活している間に、学者、祭司、権力者などは一人も私の弟子にせず、無学で身分の低い者だけを弟子にした理由です。人はへり下って純朴であればあるほど、私のための大きな犠牲が簡単だからです。」
ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/2巻P104
「娘(こ)よ、正義とは真理のことです。私が偽りのない永遠の真理であるように、正義を有する霊魂は、そのすべての行動により真理を輝かせ、その経験から真理の本当の光を知り、騙されそうになっても自分自身のうちに持っている光によってすぐにその欺瞞に気づきます。この真理の光を持つ霊魂は、自分も隣人も欺くことなく、騙されることもありません。正義と真理がもたらすこの結果が純朴であり、これは私の存在のもうひとつの特色です。それはあらゆるところに浸透してゆく。この純朴さを妨げるものは、何もありません。それは天にも深淵にも、善にも悪の中にも入り込んでゆきます。単純極まる私の本質は、悪のうちに浸透しても汚れず、何にも影響されない。
正義と真理と共にある霊魂は、したがってこの純朴さという美しい果実を自分のうちに収穫してゆきます。単純な霊魂は天を貫き、人びとの心を私のところまで連れて来るためにそれらの中へと浸透し、すべて善であるもののうちに侵入します。罪が犯す悪を、彼らと共に目にしても、単純な心の持ち主は、それに汚されることなく、なんの被害も受けずすぐに自由になります。純朴さはまことに美しいもので、それを一瞥しただけでも私の心は感動します。純真な霊魂は、天使たちや人びとから驚嘆を受けます。」