言わせておく

 

 

マリア・ヴァルトルタ/自叙伝/P341

 

私は母の言いたいように言わせて、やりすごしました。

 

 

 

 

トマス・ア・ケンピス/キリストにならいて/3・46・2

 

 しかしもっとよく自分の心の内を探ってみよ、そうすればあなたは、世間というものと、人の気に入りたいというむなしい望みとが、まだ自分のうちに生きていることに気がつくだろう。

 なんとなれば、あなたが自分の欠点のためにさげすまれ、恥ずかしめられることを喜ばないうちは、あなたがほんとうに謙遜でもなければ、ほんとうに世に死してもおらず、世もまたあなたに対して十字架に付けられていないことは、明らかであるからである。

 しかしわたしの言葉に耳を傾けよ、そうすればあなたは人々の千万の言葉も気にかけなくなるだろう。

 見よ、人間が悪意で思いつくことのできる、あらんかぎりの悪口雑言をあなたに対して浴びせかけたとしても、もしあなたがそれを聞き流して、わら一本ほどにも思わぬなら、なんの害をあなたに与えることができよう? あなたから頭髪(かみのけ)一筋抜き取ることすらできないではないか?