茨の冠

 

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/2巻P150

 

今朝のイエズスは沈黙のうちに現れ、とても悲しい様子でした。主は頭の上に棘だらけの冠をつけていた。私の内部の力は沈黙し、一言も発しなかった。イエズスが大変な頭の痛みに苦しんでいるのを見て、私は手を伸ばし、静かにそれをはずした。なんというひどいお苦しみ。傷はひろがり、血が次々と噴き出していた。本当に心がはり裂けそう。私は自分の頭にそれをおいた。主ご自身、それが中まで食い込むようにしてくれた。すべては沈黙のうちに。

 

 驚いたことに、少し経って再び主を見ると、人びとはイエズスを攻撃し、もうひとつの冠を主の頭上におこうとしていた。ああ、なんて非道なの。・・・ああ、イエズス、なんでそんなに我慢するの。なんて大人なの。

 イエズスは黙っていた。顔も上げなかったので、誰が攻撃しているのかも知らなかった。私はあらためて冠を取り去った。