ハイエナ

 

 

マリア・ヴァルトルタ/天使館/第5巻上/P55

 

 あなたたちはジャッカルのよう、いやそれよりも、芳香で溢れる庭園から風に乗って漂ってくる馨しい薫りをなおざりにして、ひどい悪臭に向って走り出すハイエナのようです。ハイエナは百合や薔薇やジャスミンや樟脳や肉桂や丁子の木を好みません。彼らには気に障る不愉快な薫りです。しかし、峡谷の底に、あるいは車道上に、暗殺者が投げ捨て、茨の下に埋めた、あるいは人気の無い浜辺に嵐によって打ち上げられ、水で膨れ上がった紫色の、裂けた、身の毛もよだつ腐爛した死体の臭気、おお! それこそハイエナの好む薫りなのです!